壁紙の汚れ落としは何から試す?7つの汚れの見分け方と、弱い方法から順に試す理由

壁のスイッチの周りを、湿らせた布でそっと拭いている年配の女性

壁紙の汚れが目について、「何を使えば落ちるのだろう」「いちばんよく落ちる方法はどれだろう」と調べている方は多いと思います。

先に結論をお伝えします。壁紙の汚れ落としは、①まず汚れの種類を見分け、②乾拭き→かたく絞った布での水拭き→薄めた中性洗剤という弱い方法から順に試し(織物や和紙のように水拭きが向かない壁紙は除きます)、③それでも落ちなければ、強い方法に持ち替える前にいったん手を止める、という3つの段階で考えるのが安全です。壁紙メーカーが汚れに対して案内しているのは、水拭きと中性洗剤が基本で、壁紙の種類や汚れによって消毒用アルコールが挙げられている程度です(カビには、かび取り剤を挙げているメーカーもあります)。どの汚れにも効く「最強」の方法は、メーカーの案内には見当たりません。落とす力の強い方法ほど、汚れと一緒に壁紙の表面まで変えてしまうことがあるので、強さで選ぶより、弱い方法から順に試すほうが安全です。

汚れの種類ごとの詳しい落とし方や、道具・洗剤ごとの向き不向きは、それぞれ専用の記事で詳しく扱っています。この記事は、自分の家の汚れがどれに当たり、どの記事を読めばよいかを決めるための入口として使ってください。

この記事を読むと、次のことが分かります。

  • 手垢、油汚れ、クレヨン、油性ペン、タバコのヤニ、カビ、原因の分からない黄ばみ・シミの7つを、触れる場所・色・形・付いた物の手がかりから見分ける方法
  • 乾拭き、水拭き、薄めた中性洗剤の順に試す理由と、それぞれのやり方
  • 織物や和紙のように、水拭きそのものが向かない壁紙があること
  • 壁紙メーカーが「使用しないで」と書いているもの、案内に出てこないもの、限られた場面にだけ出てくるもの
  • 順に試しても落ちないときの見切り方と、クリーニング業者の見立てと張り替えの見積もりを並べて比べる考え方

読み終えるころには、自分の家の汚れについて、次に何から手をつければよいかが見えてくるはずです。

汚れが広い範囲に及んでいる、試しても気になるという場合は、張り替えるとどうなるかを無料の現地調査・お見積もりで確かめることもできます。

電話が難しい方はでもご相談いただけます。


まず汚れの種類を見分ける

スイッチ横の手形の汚れ、クレヨンの落書き、黒い斑点状の汚れが付いた壁

壁紙の汚れと一口に言っても、正体はさまざまです。サンゲツは公式サイトのお手入れ方法のページで「壁紙の種類でお手入れや汚れを落とす方法が違います」と書いています(出典:サンゲツ「壁紙のお手入れ方法」)。汚れの側から見ても同じで、何が付いたのかによって、水拭きで動くもの、洗剤でゆるむもの、拭いても表面からは届かないものに分かれます。

見分けるときの手がかりは、次の4つです。

  • どこに出ているか(手が触れる高さか、キッチンか、天井から部屋全体か、空気のこもる場所か)
  • どんな色か(黒ずみか、黄ばみか、黒い点か、茶色い輪か)
  • どんな形か(線や点か、ぼんやり広がっているか、壁一面にムラなくか)
  • 何が付いたか心当たりがあるか(手で触れた、料理の油が飛んだ、クレヨンやペンで描かれた、タバコを吸っていた)

この4つをそろえて見ると、多くの汚れはおおよその見当がつきます。ここでは、壁紙でよく相談される7つの汚れについて、見分けの手がかりと、詳しい落とし方を読むための記事を挙げていきます。

スイッチやドアの周りの黒ずみは「手垢」

スイッチの周り、ドアノブの横、廊下の手すりの高さ、階段の壁など、人の手が触れる場所にだけ出ている黒ずみやくすみは、手垢であることが多いでしょう。形は輪郭がはっきりしない帯状や面状で、触れる高さに沿って広がっているのが特徴です。

手垢は一度に付いた汚れではなく、手の皮脂が毎日少しずつ重なったものです。そのため、気づいたときには層になっていて、一度拭いただけでは薄くならないことがあります。また、範囲が思ったより広いことが多く、気になる部分だけを拭くと、拭いた所と拭いていない所の境目が目立つことがあります。手垢の落とし方と、どこで張り替えに切り替えるかは、壁紙の手垢の落とし方|メーカーの案内は中性洗剤まで、張り替えを検討する4つのサインで詳しく解説しています。黒ずみが手垢なのか、カビやエアコン周りの汚れなのか迷うときの見分け方は、壁紙の黒ずみの原因は?カビ・手垢・エアコン周りの汚れの見分け方と、掃除で落ちないときの選択肢で整理しています。

キッチンのベタつきや黄ばみは「油汚れ」

コンロや換気扇の近くの壁、食器棚の周りがベタつく、触ると指に引っかかる、うっすら黄色く見える、という場合は油汚れの可能性が高いでしょう。料理の油煙が少しずつ付いたもので、時間が経つと油が変化して落ちにくくなります。サンゲツのメンテナンス資料も、キッチンの油煙は「壁紙を黄変させ、汚れがとれなくなることがあります」と注意しています(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。

油汚れで見落としやすいのは、目に見える範囲より広く、薄く付いていることです。換気扇の真下だけでなく、少し離れた壁にも油膜が広がっていることがあります。油汚れの範囲の見方と、中性洗剤で落ちる範囲については、壁紙の油汚れの落とし方|中性洗剤で落ちる範囲と張り替えに切り替える5つのサインで詳しく解説しています。

落書きは「クレヨン」か「油性ペン」かで分かれる

壁の落書きは、何で描いたかによって性質がまったく違います。クレヨンは油で固めた顔料が壁紙の表面に乗ったもので、油性ペンは水に溶けないインクが表面に付いたものです。どちらも水拭きだけではほとんど動かないため、まず手元にある画材を確かめ、どちらで描いたのかをはっきりさせてから試し方を選びます。描いた道具が分からないまま強くこすると、汚れが広がったり、壁紙の表面を傷めたりすることがあります。

クレヨンも油性ペンも、一般的なビニール壁紙では落としにくい汚れです。リリカラはお手入れの案内で、一般ビニル壁紙について「油性マジックやクレヨンなどは拭き取れません」と注意しています。一方で、表面にフィルムを貼った汚れ防止壁紙なら「一般の壁紙では拭き取れない油性マジックやクレヨンなども落とすことが出来ます」としています(出典:リリカラ「ビニル壁紙|お手入れ便利帳」)。自分の家の壁紙がどちらかで、試せることが変わります。それぞれの落とし方と限界は、次の記事で詳しく解説しています。

部屋全体や天井から黄ばんでいるなら「タバコのヤニ」

1か所ではなく、部屋全体がムラなく黄色っぽい、特に天井や壁の上のほうから黄ばんでいる、という場合は、タバコのヤニが考えられます。今は吸う人がいなくても、以前その部屋で誰かが吸っていたという場合も同じです。手がかりになるのは、タバコを吸っていた部屋ほど濃く出ているかどうか、そして拭いても部屋ににおいが残っているかどうかです。

ヤニは年月が経つと、壁紙の表面だけでなく、壁紙の内部や下地までしみ込んでいることがあります。そうなると、表面を拭くだけではどこまで取れるかが状態によって変わります。ヤニがしみ込む仕組みと、張り替えを考える目安は、壁紙のヤニ・タバコ汚れは掃除で落ちる?張り替えに切り替える4つのサインと見積もりの確認点で詳しく解説しています。

黒い点が集まっている・空気のこもる場所なら「カビ」

黒っぽい点が集まっている、ぼんやり黒ずんで広がっている、という汚れは、カビの可能性があります。北向きの部屋、窓の周り、家具の裏、押入れやクローゼットの中など、空気がこもりやすく湿気のたまりやすい場所に出ているなら、なおさらです。手垢のように手が触れる場所かどうかとは関係なく出てくるのが、ほかの汚れとの違いです。

カビについては、サンゲツがメンテナンス資料で、壁紙の表面だけに出ている場合は早めに消毒用アルコールで拭き取るのが効果的としたうえで、「壁紙内部に達している場合や大量に発生してしまった場合は落とすことが困難です。専門業者に相談することをおすすめします」と書いています(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。アルコールも壁紙の種類によっては表面を傷めることがあるので、目立たない場所で試してから使うよう添えられています。シンコールは、かび取り剤でかびをこすり取ったあと消毒用アルコールで拭き取る方法を案内しており、こちらも壁紙によっては表面を破損することがあるので目立たないところで試すよう書いています(出典:シンコール「壁紙のお手入れについて」)。市販のカビ取り剤の中には浴室用など、用途に壁紙が挙がっていない製品もあるので、使う前に製品の表示を確かめてください。カビが下地まで及んでいた場合の施工内容と費用は、壁紙のカビは張り替えだけで直る?下地の防カビ処置と費用の目安を解説で解説しています。

原因の分からない黄ばみ・シミは、先に原因の見当をつける

ここまでのどれにもはっきり当てはまらない黄ばみやシミは、拭く前に原因の見当をつけるのが先です。黄ばみには、手垢・皮脂、日焼け、タバコのヤニといった、正体のまったく違うものが混ざっています。日焼けは日光で壁紙そのものの色が変わったもので、そもそも汚れではありません。窓際や日の当たる面だけが変わっていて、家具の跡がくっきり白く残っているなら、日焼けを疑ってみてください。黄ばみやシミ以外の色の変わり方も含めて見当をつけたいときは、壁紙の変色の原因は?青・茶色・白っぽい色の見分け方と、掃除で戻るか張り替えるかの考え方が参考になります。

シミも同じです。縁が濃い茶色の輪になっているシミは、水が回って乾いた跡であることが多く、天井や窓の下に出ているなら、壁紙を拭くより先に水の入り口を確かめる必要があります。どれも見た目だけで原因を言い切れるものではないので、迷ったら次の記事で原因ごとの見分け方を確かめてください。

掃除は弱い方法から順に試す

はたき、水を張ったボウルと布、スプレーボトルが矢印で順に並んだ掃除道具

汚れの見当がついたら、次は落とし方です。ここで大切なのは、いきなり強い方法から始めないことです。

落とす力の強い方法は、汚れを動かす力が強いぶん、壁紙の表面にも同じように働きます。リリカラは「強く力を入れて拭くと表面の凹凸が潰れたり、キズが付くことがあるので注意してください」と書いています(出典:リリカラ「ビニル壁紙|お手入れ便利帳」)。潰れた凹凸や抜けた色は、あとから方法を変えても元に戻らないことがあります。弱い方法なら、落ちなくても次の方法に進めますが、強い方法で表面を変えてしまうと、その時点で引き返せなくなります。弱い方法から順に試すのは、この「引き返せるかどうか」の差があるからです。

①ハタキや乾いた布で、ホコリを落とす

最初は、水を使わずにホコリを落とします。サンゲツのメンテナンス資料は、日常のお手入れとして「こまめにハタキ掛けや乾いた布等での拭き取り」をすすめ、表面の凹凸にホコリがたまりやすいことにも触れています(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。

壁全体がなんとなくくすんで見えるときは、凹凸にたまったホコリがその一因になっていることもあります。最初の乾拭きなら水も洗剤も使わないので、壁紙に水分や洗剤が残る心配がありません。まずここで汚れがどこまで変わるかを見ておくと、残った汚れが本当に水や洗剤を使うべきものなのかが分かります。

②かたく絞った布で、吸い取るように水拭きする

乾拭きで変わらなければ、かたく絞った布やスポンジで水拭きをします。拭き方のコツは、こするのではなく、汚れを布に吸い取らせるように当てることです。シンコールは、一般ビニル壁紙の注意事項として「強くこすると、汚れが広がったり染み込んだり、表面が破損する場合があります」「壁紙のつなぎ目に水分が入ると剥がれの原因になります」と書いています(出典:シンコール「壁紙のお手入れについて」)。布はしっかり絞り、継ぎ目に沿って水が入り込まないよう気をつけます。スイッチやコンセントの周りを拭くときも、プレートのすき間に水が入らないよう、濡らしすぎない布で軽く拭く程度にとどめてください。

拭いたあとは、乾いた布で水分を拭き取っておきます。水拭きの手順と、やってはいけないことは壁紙は水拭きしていい?ビニールクロスはOK、織物・和紙はNGな理由、布やスポンジなど道具の選び方は壁紙の掃除に使う道具は4つだけ|メーカー3社の案内と、クイックルワイパーがシートで変わる理由で詳しく解説しています。

③落ちなければ薄めた中性洗剤。そのあと真水で拭き、乾拭きする

水拭きで落ちなければ、ここで初めて中性洗剤を使います。サンゲツは一般ビニル壁紙について、飲食物や調味料などの汚れは「かたく絞ったスポンジやタオルで汚れを吸い取るように拭き取ってください。落ちにくい場合は中性洗剤をご使用ください」と案内しています(出典:サンゲツ「壁紙のお手入れ方法」)。洗剤は製品の表示に従って水で薄め、布に含ませてから壁紙に当てます。

忘れやすいのが、洗剤を使ったあとの拭き取りです。サンゲツは同じページで「壁紙表面に残った洗剤は変色の原因になりますので、真水かぬるま湯できれいに拭き取ってください」と書いています。洗剤で拭く、真水で拭く、乾いた布で拭く、の3つで1組と考えてください。どんな洗剤を選べばよいか、汚れによって洗剤の使い方がどう変わるかは、壁紙の掃除に使う洗剤はどれがいい?汚れ別の選び方と使ってはいけない洗剤の見分け方で詳しく解説しています。

汚れ防止壁紙なら、消毒用アルコールが挙がっている場合もある

表面にフィルムを貼った汚れ防止壁紙では、試せる方法が少し広がります。サンゲツは「フィルム汚れ防止壁紙の場合」として、水拭きで「落ちにくい場合は中性洗剤や消毒用アルコールをご使用ください」と案内しています(出典:サンゲツ「壁紙のお手入れ方法」)。リリカラも、汚れ防止壁紙の「油性マジックやボールペンの場合」に、消毒用アルコールを染み込ませた布で拭き取るよう書いています(出典:リリカラ「ビニル壁紙|お手入れ便利帳」)。

ここで気をつけたいのは、これがあくまで汚れ防止壁紙についての案内だという点です。メーカーの案内は、一般的なビニール壁紙の汚れ全般にアルコールを勧めるものではありません(カビは別で、先ほどのとおりサンゲツは表面だけのカビに、シンコールはかび取り剤のあとにアルコールを案内しています)。また、汚れ防止壁紙でも何でも落ちるわけではなく、シンコールは「汚れ防止壁紙は、突発的な汚れに適した壁紙です。タバコのヤニや、時間が経ったしつこい汚れなどを完全に拭き取ることは困難です」と書いています(出典:シンコール「壁紙のお手入れについて」)。汚れ防止壁紙で落ちる汚れの範囲は、壁紙の汚れ防止はどこまで落ちる?規格の試験は4つの汚れだけ、油汚れ・ヤニ・手垢は対象外で詳しく解説しています。

試すときは、目立たない場所から1つずつ

どの段階でも、いきなり目につく壁の真ん中で試さず、家具の裏やドアの陰など、目立たない場所で先に試してください。乾いたあとに色が変わっていないか、つやが変わっていないかを確かめてから、気になる場所に移ります。

また、方法は1つずつ変えるのがおすすめです。水拭きと洗剤を同時に、あるいは洗剤を次々に替えて試すと、どの方法で落ちたのか、どの方法で表面が変わったのかが分からなくなります。何を試したかは、あとで業者に相談するときにも役立つので、簡単にメモしておくとよいでしょう。

壁紙の種類によっては、水拭きそのものが向かない

ここまでの手順は、日本の住宅で最も多いビニール壁紙を前提にしています。壁紙の種類によっては、水拭きや洗剤そのものが向かないことがあります。

たとえば織物の壁紙について、サンゲツは「濡れたタオルや洗剤で拭き取るとシミの原因になります」とし、汚れが付いた場合は「乾いたやわらかい布でやさしく拭き取ってください」と案内しています(出典:サンゲツ「壁紙のお手入れ方法」)。和紙や紙の壁紙も、水を含ませること自体に注意が要ります。こうした壁紙に上の手順をそのまま当てはめると、汚れを落とすつもりで、かえってシミを作ってしまうことになります。

自分の家の壁紙がどの種類か分からない場合は、手触りや見た目だけで決めつけず、確かめてから試すほうが安全です。種類の確かめ方は壁紙の種類は代表的な4つ|住宅用の約9割はビニールクロス、分からないときの確かめ方で解説しています。表面に凹凸の大きい壁紙の掃除はでこぼこ壁紙の掃除に歯ブラシは使える?メーカー3社に落とし方の記載はなく、歯ブラシは汚れ防止壁紙の案内も参考になります。

メーカーが「使用しないで」と書いているもの、案内に出てこない・限られた場面にだけ出てくるもの

中性洗剤で落ちないと、もっと強い洗剤や道具を探したくなるものです。ただ、強い方法として名前が挙がりやすいものの中には、壁紙メーカーが使わないよう書いているものと、メーカーの案内にそもそも出てこないもの(または限られた場面にしか出てこないもの)があります。書かれ方が違うので、分けて見ておきます。

サンゲツが使わないよう書いているもの、それに近い道具

サンゲツが「使用しないでください」と明記しているものには、有機溶剤・漂白剤・研磨剤があります。メンテナンス資料には、「有機溶剤、漂白剤、研磨剤は使用しないでください。劣化促進・変色・破損のおそれがあります」とはっきり書かれており、同じ資料で、強い洗剤やシンナーなどの有機溶剤も変色や表面破損の原因になるとして使用しないよう案内しています(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。シンナーやベンジン、除光液のような溶剤、衣料用や台所用の漂白剤、磨き粉のような研磨剤がこれに当たります。

道具で注意したいのは、メラミンスポンジです。サンゲツの資料にメラミンスポンジという名前は出てきませんが、洗剤ではなく表面を細かく削って汚れを落とす道具で、代表的な製品の製造元も「凹凸のある面」を使用に適さない面に挙げています。汚れと一緒に壁紙の型押しの山まで削り、そこだけテカって見えることがあります。詳しくは次の記事で解説しています。

メーカーの案内に出てこないもの、限られた場面にだけ出てくるもの

重曹、セスキ炭酸ソーダ、アルカリ電解水は、掃除の情報でよく見かけますが、壁紙メーカーのお手入れの案内には出てきません。メーカーが「使用しないで」と書いているわけではない一方、壁紙に使ってよいとも書かれていないので、重曹などが効くのか、壁紙にとって安全なのかを、メーカーの資料から確かめることができません。スチームクリーナーも、壁紙メーカーのお手入れの案内には出てきません。それぞれ何が分かっていて何が分からないのかは、次の記事で詳しく解説しています。

消しゴムは少し違い、壁紙メーカーの案内では、鉛筆の落書きと珪藻土壁紙の軽い汚れという限られた場面にだけ出てきます。黒ずみや手垢に使えると書かれているわけではないので、使う前に次の記事で確かめてください。

「強いほどよく落ちる」とは限らない

強い方法に持ち替えたくなるのは、落ちない原因が「方法が弱いから」だと考えるからです。けれども、長く付いた汚れが落ちないのは、方法の強さより、付いていた時間が関係していることがあります。サンゲツは「長年、蓄積した汚れは落とすことが難しい」と書き(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)、シンコールも「汚れは多種多様で、種類や放置時間によっては除去できなくなる場合もあります」としています(出典:シンコール「壁紙のお手入れについて」)。

こうした汚れに強い方法を重ねると、汚れは残ったまま、壁紙の表面のほうが先に変わってしまうことがあります。中性洗剤まで試して落ちなかったときは、方法を強くするより、次の章の見切り方に進むほうが、結果的に選べる道を多く残せます。

順に試しても落ちない・広がっている場合は

弱い方法から順に試しても汚れが気になるときは、どこで手を止めるかを決めておくと迷いません。ここでは、見切りの目安と、その先の選択肢を整理します。

手を止める目安

次のいずれかに当てはまるなら、掃除の方法を替えながら粘るより、いったん手を止めて、ほかの選択肢と比べる段階です。

  • 目立たない場所で試したうえで、薄めた中性洗剤まで使っても、汚れが薄くならない
  • 拭いた直後はきれいに見えても、乾くと汚れがぼんやり戻ってくる
  • 拭いた所だけ色が薄くなった、つやが出た、型押しが平らになったなど、汚れとは別の変化が出てきた
  • 汚れが1面では収まらず、部屋全体や家の複数の場所に広がっている
  • 黒い点が広い範囲に出ている、または同じ場所に何度もカビが出る

最後のカビについては、先ほどのとおり、サンゲツも内部に達している場合や大量に発生した場合は専門業者への相談をすすめています。

拭いても変わらないなら、汚れではないこともある

いくら拭いても変わらない場合、それが汚れではないこともあります。家具や椅子の背、掃除機が当たる場所で、表面が毛羽立っている、凹凸が平らになってテカっている、という場合は、表面が傷んだ擦れ跡かもしれません。指でそっと触れて、周りと手触りが違うかどうかが見分けの手がかりになります。また、家具やゴム製品が触れていた場所に、その色が移っていることもあります。

擦れ跡は掃除では元に戻りません。色移りも、どこまで薄くできるかは状態によります。それぞれの見分け方と直し方は、壁紙の擦れ跡は掃除で戻らない?汚れとの見分け方と、直し方3つ・費用の目安と壁紙の色移りの落とし方|キッチンハイターがNGな理由と張り替えに切り替える4つのサインで詳しく解説しています。

クリーニング業者の見立てと、張り替えの見積もりを並べて比べる

自分での掃除に見切りをつけたあとは、大きく分けると、壁紙のクリーニングを専門の業者に頼むか、張り替えるかです(汚れや傷みが残った箇所が限られるなら、このあと説明するリペアという方法もあります)。

ハウスクリーニング業者の中には、専用の洗剤と機材で壁をまとめて洗うサービスを用意しているところがあります。料金は、業者によっては決まった面積までの一律料金で、それを超える分や高い場所は別途になることがあります。大手でも、壁紙を洗うメニューを持たない会社があります。ただし、その汚れがどこまで落ちるかは、汚れの種類と状態によります。その見立ては、クリーニング業者に確認してください。張り替えの側で答えられるのは、張り替えた場合の範囲と費用までです。

比べるときに気をつけたいのは、クリーニングを頼んでも汚れが残った場合、そのあとの張り替え費用がまるまる上乗せになることです。「まず安いほうを試す」つもりが、最初から張り替えるより高くつくこともあります。汚れがはっきり出ている、乾くと戻る、範囲が広い、壁紙を貼ってから長い年数が経っている、といった場合は、クリーニングの見立てと張り替えの見積もりの両方を取り、並べてから決めるほうが安心です。クリーニングの料金の決まり方と、張り替えとの比べ方は、壁紙クリーニングの料金は20㎡以下で11,000円|6畳が枠に収まらない理由と張り替えとの比べ方で詳しく解説しています。

張り替えは継ぎ目で区切るので1面単位になりやすい。汚れや傷みが残った箇所だけならリペアという方法もある

張り替える場合は、汚れた部分だけを四角く切り取るのではなく、壁紙の継ぎ目で区切って貼り直すため、少なくとも1枚分、多くの場合は1面単位で考えることになります。一部だけを張り替えるときの考え方と色の注意点は、壁紙の部分張り替えはできる?最低1枚分になる理由と、1面張り替えと比べた費用・色の注意点で詳しく解説しています。張り替えでは、多くの業者が最低料金を4万〜6万円程度に設定しています。最低料金を設けている業者では、汚れが1か所だけでもこの程度の金額がかかることがあると考えておくとよいでしょう。ほかにも気になっている面があれば、まとめて相談したほうが1面あたりの費用は抑えやすくなります。

一方、落ちなかった汚れや、掃除でこすって型押しが潰れた・色が抜けたという箇所が1〜数か所で、周りの壁紙がきれいなら、張り替えずにその箇所だけを小さく貼り直したり塗装したりして目立たなくするリペア業者に頼む方法もあります。費用は、下地に傷みがない場合で1万〜3万円程度が目安です。どこまで目立たなくできるかは状態によるので、直しても近くで見ると分かることがある点は知っておいてください。

張り替えの相談をするときは、これまでに何を試したか(水拭き、中性洗剤、メラミンスポンジ、重曹など)も伝えておくと、表面や下地の状態を見るときの参考になります。試したことを隠す必要はありません。

まとめ:見分けて、弱い方法から試し、落ちなければ比べる

壁紙の汚れ落としで押さえておきたいのは、次の点です。

  • まず汚れの種類を見分ける。手がかりは、どこに出ているか、どんな色か、どんな形か、何が付いたか心当たりがあるか
  • 目安として、手が触れる場所の黒ずみは手垢、キッチンのベタつきは油汚れの可能性が高く、落書きはクレヨンか油性ペンかで分かれる。部屋全体や天井側からの黄ばみはヤニ、空気のこもる場所の黒い点はカビの可能性がある。原因の分からない黄ばみやシミは、拭く前に原因の見当をつける
  • 掃除は、壁紙の種類を確かめたうえで、乾拭き→かたく絞った布での水拭き→薄めた中性洗剤の順に、目立たない場所から1つずつ試す。洗剤のあとは真水で拭き、乾拭きまでする
  • 消毒用アルコールは、汚れ防止壁紙の汚れやカビなど、壁紙の種類や汚れを限ってメーカーが挙げているもの。一般的なビニール壁紙の汚れ全般に勧める案内ではない。カビには、かび取り剤を挙げているメーカーもある
  • 織物や和紙の壁紙は、水拭きや洗剤そのものが向かないことがある
  • 有機溶剤・漂白剤・研磨剤や強い洗剤は、サンゲツが「使用しないで」と書いている。重曹・セスキ炭酸ソーダ・アルカリ電解水・スチームクリーナーは、メーカーのお手入れの案内に出てこない。消しゴムが出てくるのは、鉛筆の落書きや珪藻土壁紙の軽い汚れという限られた場面だけ
  • 中性洗剤まで試して落ちない、乾くと戻る、表面が変わってきた、範囲が広いときは、強い方法に持ち替えず手を止め、クリーニング業者の見立てと張り替えの見積もりを並べて比べる

どの汚れにも効く「最強」の方法を探すより、汚れの正体を見分けて、引き返せる方法から順に試すほうが、壁紙を傷めるリスクを抑えられます。それでも汚れが気になる、範囲が広くて自分では手に負えないと感じたら、張り替えるとどの範囲でいくらかかるのかを一度聞いてみてください。電話や問い合わせフォームで、汚れの場所や広さ、これまでに試したことを伝えていただければ、現地で壁紙の状態を確かめたうえで、張り替えの範囲と費用をお伝えします。

弱い方法から試しても汚れが気になる、広がっていて自分では手に負えないと感じたら、クリーニングの見立てと比べる材料として、張り替えの範囲と費用を無料の現地調査・お見積もりで確かめてみてください。

電話が難しい方はでもご相談いただけます。

この記事の執筆者

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氏名:松田郁幾
実績:壁紙張り替えを中心に、これまで多くのお客様・職人と関わってきました。
この記事について:現場で見聞きした実例をもとに、誇張せず、実践的な視点で解説しています。

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