壁紙クリーニングの料金は20㎡以下で11,000円|6畳が枠に収まらない理由と張り替えとの比べ方

壁の汚れた範囲に巻尺を当てて、広さを測っているイラスト

壁紙の汚れが自分では落とせなかったとき、次に思い浮かぶのが「業者に頼んで洗ってもらう」という方法です。張り替えるより安く済みそうですし、家具を動かすだけで元の壁に戻るなら、それがいちばんよさそうに思えます。

先に料金の目安からお伝えします。ハウスクリーニング大手のおそうじ本舗の場合、壁紙クリーニングは20㎡以下なら一律11,000円(税込)です。20㎡を超える分は別途見積もりになります(出典:おそうじ本舗「壁紙クリーニング(20㎡以下一律料金)」。以下、本記事の金額はすべて2026年9月時点のものです)。

ただし、この「20㎡」という数字には注意が必要です。6畳の部屋の壁は、天井を除いても約30㎡あります。つまり、部屋をひとつ丸ごと頼むと、一律料金の枠には収まりません。壁紙のクリーニングは「1部屋いくら」ではなく「決まった面積までいくら」で値段が決まる仕組みで、ここを知らずに料金だけを見ると、実際の金額とずれます。

もうひとつ、調べていて意外だったことがあります。ハウスクリーニング最大手のダスキンには、そもそも壁紙を洗うメニューがありません。料金表に並ぶ27のメニューを見ても壁紙・クロスという項目は無く、壁が出てくるのは浴室とトイレの作業範囲、それに「天井、壁、照明のダスティング」というホコリ落としだけです。そのかわりダスキンは、壁紙の汚れに対して別のサービスを用意しています。汚れを落とすのではなく、上から塗る方法と、小さな範囲を張り替える方法です。

そして、壁紙クリーニングのメニューを持つおそうじ本舗は、その案内に「汚れの状況により、完全に除去できない場合がございます」と書いています。壁紙を洗うメニューを持たないダスキンのほうも、ハウスクリーニング共通の注意書きに同じ趣旨の一文を置いています。

この記事を読むと、次のことが分かります。

  • 壁紙クリーニングの料金が「20㎡以下なら一律」という形で決まっていること。6畳の部屋の壁は約30㎡なので、ひと部屋は枠に収まらないこと
  • 大手2社で壁紙の扱いが分かれていて、ダスキンのハウスクリーニングには壁紙を洗うメニューが無いこと
  • 落とすかわりに「染める」「上から塗る」という方法があること。それぞれ施工できない壁紙・隠れない汚れが決まっていること
  • 2社が自社の案内に書いている「完全には落ちない場合がある」という一文と、名前が挙がっている汚れ・挙がっていない汚れ
  • 落ちなかったときに、クリーニング代の上に張り替え費用が乗る「二重払い」をどう避けるか
  • 汚れの範囲と種類から、どちらに相談すればよいかを決める手順

読み終えるころには、いま見積もりを取るべき相手がクリーニングの会社なのか、張り替えの会社なのかを、自分で決められるようになります。

張り替えた場合に、どの範囲が対象になっていくらかかるのか。そこだけでも先に分かると、クリーニングと比べる材料になります。見積もりのご依頼でなくても構いませんので、お気軽にお問い合わせください。

電話が難しい方はでもご相談いただけます。


壁紙のクリーニングは「一律料金の枠」で値段が決まる

汚れが1箇所だけの壁と、壁全体に汚れが広がった壁を並べた比較イラスト

壁紙のクリーニングを調べると、「11,000円」「22,000円」といった金額が出てきます。この金額だけを見ると部屋ひとつ分の値段のように思えますが、実際には「何㎡まで」という条件がセットになっています。

20㎡以下なら一律、超えたら別途見積もり

おそうじ本舗の壁紙クリーニングは、サービス名そのものが「壁紙クリーニング(20㎡以下一律料金)」です。価格は11,000円(税込)で、単位は「式」。つまり1回の作業一式という考え方で、面積で割った単価が示されているわけではありません。

20㎡を超えた場合については、注意書きに「20㎡を超える場合は、別途お見積りさせていただきます。」と書かれています(出典:おそうじ本舗「壁紙クリーニング(20㎡以下一律料金)」)。20㎡を超えた分の金額は、おそうじ本舗のページには示されていません。

作業の中身は、養生、ホコリ除去、専用洗剤での壁紙洗浄、乾拭きという4つの工程です。自分でやる拭き掃除と違うのは、床や家具を汚さないように養生をしたうえで、専用の洗剤と機材を使って壁一面をまとめて洗う点にあります。

6畳の部屋の壁は約30㎡。ひと部屋は枠に収まらない

ここで問題になるのが、「20㎡」がどれくらいの広さなのか、感覚として分かりにくいことです。

部屋の壁の面積は、床面積ではなく部屋のまわりの長さ(周長)で決まります。天井高を2.4mとして、窓やドアの分を引かずに概算すると、次のようになります。

  • 6畳(約2.7m×3.6m)……壁の面積 約30㎡
  • 8畳(約3.6m×3.6m)……壁の面積 約35㎡
  • 10畳(約3.6m×4.6m)……壁の面積 約39㎡

いずれも天井は含みません。おそうじ本舗の壁紙染色も「20㎡以下(天井を除く)」と明記していますし、後述するダスキンのアクセントウォールのページにも、天井は補修対象でないと書かれています。壁紙の世界では、壁と天井は別扱いになるのが基本だと考えておくとよいでしょう。張り替えの側でも天井は別扱いで、その費用の考え方はクロス張り替えで天井もやるべき?壁と同時なら追加2万円、後回しは割高になる理由で解説しています。

この数字を一律枠と並べると、6畳の部屋を丸ごとクリーニングに頼むと、20㎡の枠に対して10㎡ほどはみ出すことになります。つまり、ひと部屋まとめて頼むなら、表示されている一律料金では済まず、必ず別途見積もりの話になります。

逆に言えば、一律料金で収まるのは「壁の一面から二面くらいまで」です。6畳の部屋なら、長いほうの壁1面が約8.7㎡、短いほうが約6.6㎡ですから、汚れているのが1〜2面に収まっているなら、20㎡の枠内で頼める計算になります。

汚れが気になっているのが部屋全体なのか、特定の面だけなのか。壁紙のクリーニングを検討するときは、まずここを自分で確かめておくと、問い合わせの段階で話が具体的になります。

高さ・家具の移動・最低受注金額という別枠もある

面積のほかにも、金額が動く条件が決められています。おそうじ本舗の注意書きには、次のように書かれています。

  • 「高所作業の場合は別途費用が発生する場合がございます。」
  • 「家財道具の大きさや移動範囲によっては別途移動費が発生する場合がございます。」
  • 「電気・水道・ガス・洗浄スペースをお借りします。」

高い場所にある壁や、大きな家具で隠れている壁は、追加費用の対象になり得ます。吹き抜けや階段まわりのように脚立では届かない高さの壁が、これにあたります。

汚れの程度によって金額が変わることもあります。表示されている一律料金は、あくまで標準的な状態を想定した目安なので、汚れがひどいと感じている場合は、面積とあわせて汚れの状態も伝えたうえで見積もりを取るのが確実です。

また、ダスキンの料金表には「サービスは1回あたり11,000円(税抜10,000円)以上で承ります。」という一文があります(出典:ダスキン「ハウスクリーニングサービス Aエリア 料金表」)。定期サービスを除く条件付きで、加盟店によって異なる場合があるとも書かれています。ハウスクリーニングには最低受注金額があるのが一般的で、小さな範囲だけを安く頼む、という形にはなりにくいということです。

なお、ここで挙げているダスキンの金額は「Aエリア」の料金表に書かれているものです。ダスキンの料金は地域別に分かれているため、お住まいの地域では金額が異なる可能性があります。

大手2社で、壁紙の扱いが分かれている

壁の汚れを洗い落とすためのバケツとスポンジ、上から塗って覆うための塗料缶とローラーを並べたイラスト

ハウスクリーニングを調べていて意外だったのが、大手2社で壁紙の扱いがはっきり分かれていることです。壁紙クリーニングという独立したメニューは、おそうじ本舗にはあり、ダスキンにはありません。

ダスキンのハウスクリーニングに、壁紙を洗うメニューはない

ダスキンの料金表(Aエリア)には、エアコン、キッチン、レンジフード、浴室、洗面所、トイレ、冷蔵庫内、全自動洗濯機、フロア、カーペット、ファニチャー、白木、窓ガラス・サッシ・網戸など、27のメニューが並んでいます。ダスキンの料金表に並ぶ27のメニューに、壁紙やクロスを洗うものはありません。

壁という語が出てくる箇所を追うと、次の3つに限られます。

  • 浴室クリーニングの対応箇所に含まれる「天井・壁面」
  • トイレクリーニングの対応箇所に含まれる「壁面」
  • ハウスワイドサービス(家全体のセットプラン)Bセットに含まれる「天井、壁、照明のダスティング」

ダスティングはホコリを落とす作業のことなので、3つ目は汚れを洗い落とす作業とは別のものです。残る2つは、浴室とトイレという場所単位のメニューのなかに壁が含まれている形で、壁紙そのものを主役にしたメニューではありません。

言い換えると、トイレの壁の汚れなら、トイレクリーニング(Aエリアで床面積2㎡未満・10,340円)を頼めば作業範囲に入ります。けれども居室の壁だけを洗ってほしい、という頼み方は、ダスキンのハウスクリーニングのメニューには用意されていない、ということになります。

壁紙の汚れには、別のサービスが用意されている

では、ダスキンが壁紙の汚れを扱っていないのかというと、そうではありません。ハウスクリーニングとは別のサービスとして「アクセントウォール」というメニューがあり、そこに壁紙の汚れの話が出てきます。

キャッチコピーは「壁紙クロスのシミや汚れ・黄ばみをキレイにするなら「ペイント」、少し雰囲気を変えたいなら「壁紙貼り替え」で住まいに彩りを。」です(出典:ダスキン「サービス・料金[アクセントウォール]」)。

つまり、ダスキンが壁紙の汚れに案内しているのは、洗って落とす方法ではなく上から塗る方法です。

この違いは、どちらかが正しくてどちらかが間違っている、という話ではありません。落とす方法を商品として持つ会社と、覆う方法を商品として持つ会社がある、ということです。ただ、業界最大手が「壁紙の汚れ」に対して洗うメニューを用意せず、塗る・張り替えるという方向のメニューを並べている事実は、壁紙の汚れがどういう性質のものかを考えるうえで参考になります。表面に乗っているだけの汚れと、内側まで入り込んでしまった汚れとでは、洗って戻せるかどうかが変わります。だから覆う方向の商品も用意されている、と読むことができます。

「落とす」以外の2つの方法と、それぞれ使えない条件

汚れを落とすかわりに、今の壁紙を残したまま見た目を整える方法が2つあります。染める方法と、塗る方法です。どちらも張り替えるより費用を抑えられる場合があり、工期も短く済みますが、その一方で、施工できない壁紙や隠れない汚れがはっきり決められています。

なお、ここで取り上げるのはいずれも業者に頼む方法です。市販品を使って自分で隠す方法もあり、貼って隠す商品と塗って隠す商品で、使える場所や後戻りのしやすさが違います。その違いは壁紙の汚れ隠しは貼るか塗るか|商品が限定する3つの条件と、壁紙メーカー3社が粘着テープを避ける理由で整理しています。

染めて色をそろえる方法

おそうじ本舗には「壁紙染色(20㎡以下一律料金)」というメニューがあります。壁紙染色の料金は20㎡以下で22,000円(税込)です。20㎡を超える場合は1,100円(税込)〜/㎡で、面積の数え方は「20㎡以下(天井を除く)」と明記されています。

内容は「壁紙の表面に独自開発した染料を塗り重ねる」もので、「壁紙を一切剥がさないので、廃材が出ず環境に優しい。」と説明されています。施工時間の目安は10㎡あたり約1時間(乾燥時間は含まず)です(出典:おそうじ本舗「壁紙染色(20㎡以下一律料金)」)。

重要なのは、染色できる壁紙が限られている点です。同ページは、染色可能な素材としてビニールクロスとジプトーン(天井材の一種)を挙げる一方、できないものを次のように列挙しています。

「漆喰、土壁、塗り壁、珪藻土、紙クロス、防水・防汚加工された壁紙、ソーラトンなど」

一般的な住宅の壁紙はビニールクロスなので多くは対象に入りますが、和室の塗り壁や、紙でできた壁紙は対象外です。

上から塗る方法

ダスキンのアクセントウォールには「ペイント(壁紙の上塗り)」があります。「広範囲(~40㎡)の壁紙の上塗り。シミや黄ばみ、日焼けをはじめ、お子様の落書きなどを上塗りして、本来の美しさに。」という説明で、料金は10㎡まで35,200円(税込)、以降5㎡増加ごと(40㎡まで)に5,775円(税込)ずつ加算されます。塗料の色は22色用意されています。

こちらは40㎡まで対応できるので、面積だけで言えば部屋ひとつ分をカバーできます。ただし、次のような条件が付いています。

  • 「壁紙のペイントは、クロスが劣化している場合は施工できません。」
  • 「タバコのヤニがひどい場合や、カビが下地まで発生している場合は、ペイントでも隠れない場合があります。」
  • 「壁のキズが5㎝以上の場合、ペイントを施工してもキズあとが目立つ場合があります。」

また、ペイントの条件とは別に、アクセントウォールのページの末尾には、補修対象でないものとして「塗り壁(塗装・漆喰)」「天井」「3m以上の高所」が挙げられています。ペイントと壁紙貼り替えのどちらについての記載かはページ上で分かれていないので、どちらを頼む場合も、申し込みの前に当てはまらないかを確かめておくと安心です。

ヤニとカビは、上塗りでも隠れない場合があるとダスキン自身が書いています。ここは読んでおく価値のある一文です。ヤニは時間が経つと壁紙の内側まで入り込むことがありますし、カビは下地に根を張ります。どちらも表面を覆うだけでは処理しきれない性質の汚れで、それを施工する側が自社の注意書きに書いている、ということになります。

覆う方法でも対応しきれないとされている汚れについては、それぞれ次の記事で扱っています。

なお、ダスキンの壁紙貼り替えのほうは「ピンポイント(~10㎡)の壁紙貼り替え」で、料金は5㎡まで44,000円(税込)、10㎡まで55,000円(税込)です。料金表には「壁一面のみで算出します」「複数の面を補修する場合は、一面づつ算出します。」と書かれています。キズや穴がある場合は別途補修料金(11,000円(税込)〜)が加わります。

汚れ防止の壁紙を選んでいると、染める方法は使えない

染色できない素材のリストに戻ると、ひとつ気になる項目があります。「防水・防汚加工された壁紙」です。

汚れにくいことを期待して汚れ防止壁紙を選んでいると、その壁紙は染色の対象から外れます。表面に汚れを付きにくくする加工がしてあるので、染料も同じように定着しにくい。理屈としては分かりやすい話ですが、選ぶ時点では気づきにくい入れ替わりです。

汚れ防止壁紙そのものの性能と限界については、壁紙の汚れ防止はどこまで落ちる?規格の試験は4つの汚れだけ、油汚れ・ヤニ・手垢は対象外で、業界団体の試験項目をもとに整理しています。

確認した案内はいずれも、「完全に落ちる」とは書いていない

ここまで料金と条件を見てきましたが、もうひとつ、2社の案内を読み比べて共通していたことがあります。仕上がりについて、どちらも言い切っていないのです。

両社の案内に、同じ趣旨の一文がある

おそうじ本舗の壁紙クリーニングの注意書きには、次の一文があります。

「汚れの状況により、完全に除去できない場合がございます。」

ダスキンのほうは壁紙を洗うメニュー自体がありませんが、ハウスクリーニング各サービスに共通の注意書きに、同じ趣旨の一文が置かれています。

「汚れによっては完全に除去できない場合がありますのでご了承くださいますようお願いいたします。」

おそうじ本舗は壁紙クリーニングの案内に、完全に除去できない場合があると書いています。その一方で同じページには、「徹底除去できます」「しっかり汚れを落とします」とも書いています。訴求する文と注意書きが逆を向いているように見えますが、これは矛盾ではなく、落ちる汚れと落ちない汚れがあることを承知したうえで書かれている、と読むのが正確でしょう。

名前が挙がっている汚れと、挙がっていない汚れ

では、どういう汚れなら落ちるのか。クリーニング会社の案内に名前が挙がっているかどうかは、ひとつの手がかりになります。

おそうじ本舗の壁紙クリーニングのページで具体名が出てくる汚れは、「ヤニ・手アカ、ホコリなどのしつこい汚れ」です。見出しにも「しつこい壁紙のヤニや手アカも除去」とあります。一方、カビ、落書き、シミといった汚れの種類は、このページには出てきません。

逆にダスキンのペイントのほうは、「シミや黄ばみ、日焼けをはじめ、お子様の落書きなど」を上塗りの対象として挙げています。落書きや日焼けは、落とすのではなく覆う側のメニューで名前が出てくるわけです。

これはあくまで、今回確認した2社がページに書いている範囲の話で、名前が挙がっていない汚れは断れる、という意味ではありません。ただ、自分の家の汚れが案内に名前として出ているかは、問い合わせ前の目安になります。名前が出ていない汚れなら、問い合わせのときに「この汚れは対応できますか」と具体的に聞いたほうが確実です。

なお、その汚れが実際に落ちるかどうかの判断は、ハウスクリーニングの専門領域です。張り替えを扱う側で分かるのは、張り替えるとどうなるか、どの範囲が対象になるか、いくらかかるかであって、掃除で落ちるかどうかではありません。落ちるかどうかを知りたい段階なら、クリーニングの会社に直接聞くのが早道です。

ただし、ヤニや日焼けのように性質がはっきりしている汚れについては、壁紙メーカーや洗剤メーカーが公開している情報から、ある程度の見当はつきます。先ほど挙げた記事では、そうした公開情報をもとに、汚れごとの対処や、張り替えを考える目安を整理しています。

また、まだ自分で試していない段階であれば、業者に頼む前にひととおり確かめてみる価値はあります。何で拭くかについては壁紙の掃除に使う道具は4つだけ|メーカー3社の案内と、クイックルワイパーがシートで変わる理由、何を使うかについては壁紙の掃除に使う洗剤はどれがいい?汚れ別の選び方と使ってはいけない洗剤の見分け方で、壁紙メーカーの案内をもとに整理しています。

ビフォーアフターの画像に添えられた言葉

もうひとつ細かい話ですが、おそうじ本舗のページに載っている壁紙クリーニングのビフォーアフター画像には、画像の説明として「イメージ」という語が添えられています。おそうじ本舗の壁紙染色のページでも、比較画像の下に「本比較画像は作業の一例です。」という注記があります。

ビフォーアフターの写真は、どうしても期待値を引き上げます。ただし、業者のページに載っている写真と同じ結果が、自分の家でも出るとは限りません。どの程度落ちるかは汚れの種類と経過時間によるので、写真ではなく、現地を見てもらった判断を根拠にするほうが確実です。

張り替えと比べるときは、二重払いになるかどうかで考える

ここまで読んで、「それでも金額はクリーニングのほうが安い」と感じた方は多いと思います。実際、20㎡以下で11,000円という金額は、張り替えに比べればかなり安く見えます。

判断が分かれるのは、落ちなかったときにどうするかを決めているかどうかです。

落ちなければ、その費用の上に張り替えが乗る

クリーニングを頼んで思ったほど落ちなかった場合、そこで払った費用は戻りません。その状態で結局張り替えることにすると、張り替え費用はまるごと別にかかります。先に払った分が値引きされるわけではないので、落ちなかった場合の合計額は「クリーニング代+張り替え代」になります。

逆に、思ったとおりに落ちれば張り替えは不要なので、20㎡以下で追加料金もかからなければ、11,000円で済むことになります。つまりこれは、安く済む可能性と、上乗せになる可能性のどちらに賭けるか、という判断です。

判断材料になるのは、汚れの性質です。ホコリや手アカのように表面に乗っている汚れは、クリーニングの案内にも対象として名前が挙がっている種類です。一方、長年のヤニで壁全体が黄ばんでいる、下地までカビが及んでいる、日焼けで色が変わっている、といった状態は、先ほどのダスキンの注意書きにもあったように、覆う方法でさえ隠れないことがある種類の変化です。

そして、落ちなかったときに張り替えるつもりが最初からあるのなら、先に張り替えの見積もりを取っておくほうが総額を読みやすくなります。両方の金額を並べたうえで、「この金額差ならクリーニングを試してみる」と決めるほうが、順番としては安全です。

張り替え側の金額は部屋の広さと面数で決まるので、見積もりを取る前でもおおよその見当はつきます。たとえば8畳の部屋であれば、8畳の壁紙張り替え費用はいくら?5万〜9万円の目安と追加費用が発生する2つの条件を解説で内訳と、追加費用が出る条件を整理しています。

張り替えは1面単位で、範囲が決まれば金額は読める

張り替え側の費用の決まり方も、あわせて知っておくと比較しやすくなります。

張り替え業者に、汚れている部分だけを張り替えてもらう方法自体はあります。ただ、壁紙は幅約90cmのロールを貼り継いでいるので、継ぎ目の位置で区切って最低でも1枚分を張り替えることになり、段取りも1面とあまり変わらないため、費用は1面の張り替えと同じくらいになりやすくなります(多くの業者は最低料金を4万〜6万円程度に設定しています)。また、途中で継ぐとその線が残りますし、既存の壁紙は日焼けや経年で少しずつ色が変わっているため、同じ品番を取り寄せても色が合いません。

そのため、張り替えは壁の1面単位、あるいは部屋単位で考えるのが基本になります。汚れているのが1か所でも、張り替えるならその面全体を対象に考えるということです。逆に言えば、面の中でどれだけ汚れが広がっていても、1面に収まっていれば金額は大きく変わりません。

一方、汚れが1〜数箇所にとどまり、周りの壁紙がまだきれいなら、壁紙を張り替えずに汚れや傷のある箇所だけを直すことを専門にしているリペア業者に頼む方法もあります。費用の目安は1万〜3万円程度です。周りの色や柄に合わせて目立たなくする直し方なので、条件によっては、近くで見ると直した跡が分かることがあります。

クリーニングの一律枠が「面積」で区切られているのに対して、張り替えは「面」で区切られる。この違いを押さえておくと、見積もりを取ったときに金額の根拠が理解しやすくなります。

小さな範囲は、内装業者が手掛けることが少ない

もうひとつ、ダスキンのアクセントウォールの説明に、業界の事情がそのまま書かれている箇所があります。壁紙貼り替えの説明文です。

「ピンポイント(~10㎡)の壁紙貼り替え。内装や工務店などの専門業者では手掛けることが少ない小さな範囲のサービスを、短時間・低コストでのご提供を実現しました。」

10㎡以下というのは、6畳の部屋なら壁1面ほどの広さです。この規模の工事は内装業者が手掛けることが少ない、とダスキン自身が書いています。

実際、壁紙の張り替えには最低料金の考え方があります。職人が現場に行って、養生をして、道具を出して、片づけて帰るまでの手間は、1面でも1部屋でもそれほど変わらないためです。範囲が小さいほど1㎡あたりの単価は高くなるので、ごく小さな範囲だけを張り替えると割高に感じられます。

裏を返せば、複数の面や部屋をまとめて頼むほうが、1面あたりの負担は下がります。気になっている箇所が何か所かあるなら、まとめて相談したほうが結果的に得になることが多いということです。

相談の現場で実際に多いのは、自分で掃除して落ちなかった方

最後に、張り替えの相談を受ける側から見た実感もお伝えしておきます。

当社にいただくご相談で多いのは、自分で掃除して落ちなかったという経緯の方です。洗剤を変えて何度か試したうえで、これ以上は難しいと判断して連絡をくださるケースがかなりの割合を占めます。

一方で、ハウスクリーニングを経てから張り替えに来られる方は、あまり多くありません。お聞きする限りではという話ですが、クリーニングで落ちたので張り替えが不要になったのか、そもそもクリーニングという選択肢を検討しなかったのか、あるいはクリーニング会社にそのまま相談を続けているのか。こちらには来られない以上、理由までは分かりません。

ひとつ言えるのは、「クリーニングで落ちますか」というご質問自体を、こちらではほとんど受けないということです。落ちるかどうかを知りたい方は、クリーニングの会社に直接聞いているのだと思われます。逆に言えば、それが正しい順序でもあります。落ちるかどうかはクリーニングの専門領域、張り替えるといくらでどうなるかは張り替えの専門領域で、聞く相手が違います。

汚れの範囲と種類で、相談先を決める

ここまでの内容をもとに、どちらに相談すればよいかを決める手順を整理します。順番に3つ確かめれば、自分がどちらに当てはまるかが見えてきます。

まず測る:汚れているのは1面か、部屋全体か

最初に確かめるのは範囲です。クリーニングの一律料金の枠が20㎡なので、境目はおおむね「壁2面」のあたりです。

  • 汚れているのが1〜2面に収まっている……一律料金の枠内に入る可能性が高い。クリーニングを検討する価値がある
  • 部屋全体、あるいは複数の部屋に及んでいる……一律料金では収まらず、別途見積もりになる。この規模なら、張り替えの見積もりと並べて比べる意味がある

正確な面積を測る必要はありません。気になっている汚れが、部屋のどの面にあるかを数えておくだけで十分です。

次に見る:汚れの種類が、クリーニング会社の案内に名前として挙がっているか

次に汚れの種類を確かめます。ヤニ、手アカ、ホコリのように、クリーニングの案内に名前が挙がっている汚れであれば、問い合わせの相談はしやすいでしょう。

一方、次のような状態は、汚れが落ちるかどうか以前に、壁紙そのものが傷んでいる状態です。上塗りをしても隠れない場合があると注意書きに明記されているものもあれば、そもそも汚れ落としの範囲を超えて、補修や張り替えの相談になるものもあります。

  • 下地まで及んでいるカビ
  • 壁紙自体が劣化している(表面がもろくなっている、めくれてきている)
  • 5㎝以上のキズや穴
  • 壁紙が破れている、浮いている

壁紙そのものが傷んでいるなら、張り替えや補修を含めて状態を見てもらう段階です。掃除やクリーニングで対応する段階ではありません。

最後に決める:今の壁紙を残したいか、変えてもよいか

3つ目は、好みの問題です。

今の壁紙の色柄が気に入っていて、汚れだけが取れればよいのなら、まずクリーニングを試す方向になります。逆に、どうせ手を入れるなら部屋の雰囲気を変えたい、あるいは築年数が経っていて壁紙自体も古くなっている、ということであれば、張り替えを前提に考えたほうが、同じ費用でも満足度は高くなります。

汚れをきっかけに壁紙を見直す方は多く、実際に現地を見てみると、汚れている面以外にも、経年による変色やめくれが出ていることがよくあります。1面だけの張り替えを考えていた方が、見積もりを見たうえで部屋全体に切り替える、という判断をされることも珍しくありません。

汚れ以外にどういう変化が替えどきのサインになるかは、壁紙の替えどきはいつ?築年数より見るべき「今の壁の状態」と見逃せない5つのサインで整理しています。

判断に迷うときは、両方の見積もりを取ってから決めても遅くはありません。クリーニングも張り替えも、多くの場合は見積もりまで無料です。金額と、それぞれの会社の説明を並べてから決めるほうが、あとから「もう一方にしておけばよかった」と思う可能性は減ります。

まとめ

壁紙のクリーニングについて、2社の公開情報から分かることを整理すると、次のようになります。

  • 料金は「20㎡以下なら一律11,000円(税込)」のように、決まった面積までいくら、という形で設定されている。6畳の部屋の壁は天井を除いて約30㎡あるので、ひと部屋まとめて頼むと一律枠には収まらず、別途見積もりになる
  • 高所作業や家具の移動は別途費用の対象になり得る。ハウスクリーニングには最低受注金額があり、小さな範囲だけを安く頼む形にはなりにくい
  • 大手2社で扱いが分かれている。おそうじ本舗には壁紙クリーニングという独立メニューがあるが、ダスキンのハウスクリーニング(Aエリアの27メニュー)に壁紙を洗うメニューは無く、壁紙の汚れには上塗りと小範囲の張り替えという別サービスが用意されている
  • 落とすかわりに染める方法(22,000円/20㎡以下)と塗る方法(10㎡まで35,200円)がある。ただし染色は漆喰・土壁・紙クロス・防汚加工された壁紙などには施工できず、上塗りもヤニがひどい場合・カビが下地まで及んでいる場合・5㎝以上のキズには効果が限られると明記されている
  • おそうじ本舗の壁紙クリーニングの案内にも、ダスキンのハウスクリーニング共通の案内にも、「汚れによっては完全に除去できない場合がある」という趣旨の注意書きがある。ビフォーアフターの画像にも「イメージ」「作業の一例です」という言葉が添えられている
  • 落ちなかった場合、クリーニング代の上に張り替え費用が乗る。落ちなければ結局張り替えるつもりがあるなら、先に両方の見積もりを取って金額差を見てから決めるほうが、総額を読みやすい

判断の順番としては、汚れの範囲(1〜2面か、部屋全体か)、汚れの種類(案内に名前が挙がっているか、下地まで及んでいないか)、そして今の壁紙を残したいかどうか、の3つを確かめるのが分かりやすいでしょう。汚れが1〜2面に収まっているなら、クリーニングを試す価値があります。汚れの種類が案内に名前として挙がっているかも、あわせて確かめてください。範囲が部屋全体に及んでいる、あるいは壁紙自体が古くなっているのであれば、張り替えの見積もりを取って比べる段階です。

なお、その汚れが掃除で落ちるかどうかはハウスクリーニングの専門領域で、張り替えを扱う側で分かるのは、張り替えるとどの範囲がどうなり、いくらかかるかまでです。どちらを知りたいかで、聞く相手を変えてみてください。

張り替えの側で見当をつけたい場合は、汚れの範囲(何面か)と、これまでに試したことをお伝えいただければ、おおよその金額感をお答えできます。現地調査・お見積もりまで無料ですので、比較の材料としてお気軽にご利用ください。

電話が難しい方はでもご相談いただけます。

この記事の執筆者

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氏名:松田郁幾
実績:壁紙張り替えを中心に、これまで多くのお客様・職人と関わってきました。
この記事について:現場で見聞きした実例をもとに、誇張せず、実践的な視点で解説しています。

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