
ソファの背が触れる壁、ダイニングチェアの背もたれが当たる高さ、掃除機のヘッドがよくぶつかる壁の下のほう。気づくと、そこだけ壁紙の表面が白っぽく毛羽立っていたり、凹凸が平らになってテカって見えたり、色が薄くなっていたりする。汚れだと思って拭いてみても変わらず、「どうしてここだけきれいにならないのだろう」と感じている方もいるのではないでしょうか。
先に結論をお伝えします。拭いても変わらない壁紙の擦れ跡は、汚れではなく、壁紙の表面そのものが傷んでいる可能性があります。家具や椅子、掃除機が同じ場所に何度も当たるうちに、表面が削れたり、凹凸が押しつぶされたりした状態です。壁紙メーカーのサンゲツは、過度な摩擦を加えた場合に、キズや破れ、表面の凹凸が「復元しない場合があります」と案内しています。リリカラも、家具などの擦れによるキズや破れは「元通りに補修することは困難」としています。掃除の方法を変えても元の状態に戻すのは難しく、強くこするほど傷んだ範囲が広がることがあります。
目立たなくしたい場合の頼み先は、大きく2つです。1つは、張り替えずに傷んだ箇所だけを直すリペア業者で、目安は下地に傷みがない場合で1万〜3万円程度です。もう1つは壁紙の張り替えで、一部だけを張り替える場合も最低1枚分の作業になり、費用は1面の張り替えと同じくらいになりやすく、多くの業者は最低料金を4万〜6万円程度に設定しています。擦れ跡が1〜数箇所で周りの壁紙がきれいならリペアが候補になり(どこまで目立たなくできるかは傷みの状態によります)、1つの面に何か所もある・範囲が広い・周りの壁紙も古くなっているなら張り替えが向いています。
この記事を読むと、次のことが分かります。
- 擦れ跡ができる仕組みと、色移りや汚れ、ペットのひっかき傷との違い
- 掃除や市販の補修グッズで、どこまで目立たなくできるか
- 直す方法(リペア業者・一部の張り替え・面や部屋ごとの張り替え)と費用の考え方
- これ以上擦れ跡を増やさないための家具の置き方と、張り替えるときの壁紙選び
読み終えるころには、目の前の擦れ跡をどう扱えばよいか、次に何から手をつければよいかが見えてくるはずです。
目の前の擦れ跡が張り替えで直すほどの状態なのか迷う方は、電話で擦れている場所や広さ、数を、分かる範囲でお聞かせください。張り替える場合の範囲や費用の考え方をご案内します。見積もり・現地調査は無料です。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
壁紙の擦れ跡はなぜ起きる?家具・椅子・掃除機との摩擦でできる物理的な傷み

壁紙の擦れ跡は、家具や椅子、掃除機のように、同じ場所に何度も当たるものとの摩擦でできます。1回で目に見えるほど傷むことは少なく、毎日少しずつ当たるうちに、ある日ふと気づく、という形で現れることが多いものです。
ビニル壁紙の表面には、細かな凹凸がつけられているものが多くあります。同じ場所で摩擦が繰り返されると、この凹凸が押しつぶされて平らになり、周りと光の反射が変わってテカって見えるようになります。さらに擦れが続くと、表面が削れて白っぽく毛羽立ったり、印刷された色や柄が薄くなったりします。
壁紙メーカーも、この傷みについて注意を促しています。サンゲツは、壁紙の一般的な注意事項として「壁紙に過度な衝撃や摩擦等を加えた場合、キズや破れ、表面の凹凸が復元しない場合があります」と書いています(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。リリカラは、お手入れの案内の中の「補修ができないもの」という項目で、「家具などの擦れ等により生じる引っ掻きキズや破れも、元通りに補修することは困難です」と挙げています(出典:リリカラ「ビニル壁紙|お手入れ便利帳」)。
2社とも、擦れや摩擦でできた傷みは元に戻らないことがある、と案内しているわけです。擦れ跡を「落とす」のではなく、「傷んだ壁紙をどう直すか」という見方で考えたほうが、遠回りをせずに済みます。
色が変わる「色移り」や表面の汚れと、表面が傷む「擦れ跡」は別のもの
擦れた場所に見える変化は、大きく2つに分けられます。1つは、表面に何かが付いたり、色が移ったり、日焼けなどで変わったりした「汚れ・色の変化」です。もう1つは、壁紙の表面そのものが削れたり潰れたりした「傷み」です。この記事で扱う擦れ跡は、後者にあたります。
汚れ・色の変化には、たとえば次のようなものがあります。落とし方や、掃除で落ちなかったときの考え方は、それぞれ次の記事で扱っています。
- 手垢(手がよく触れる場所に付いたもの):壁紙の手垢の落とし方|メーカーの案内は中性洗剤まで、張り替えを検討する4つのサイン
- 色移り(家具やゴム製品が触れて、その色が壁紙に移ったもの):壁紙の色移りの落とし方|キッチンハイターがNGな理由と張り替えに切り替える4つのサイン
- 黄ばみ(日焼けやタバコのヤニなどで、壁紙全体が黄色っぽくなったもの)の原因の見分け方:壁紙の黄ばみの原因は?手垢・日焼け・ヤニの見分け方と、掃除で落ちなかったときの選択肢
一方、濃い色の壁紙では、擦れたことで壁紙自体の色が落ちることがあります。サンゲツは、濃色の壁紙について「過度に擦ったり水分を含んだものを押し当てた場合、表面の色が落ちたり色が移るおそれがあります」と書いています(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。これは外から付いた色ではなく壁紙の表面が傷んだもので、擦れ跡の一つです。掃除では戻りません。外から移った色との見分け方は、先ほどの色移りの記事で扱っています。
汚れか傷みかを見分ける目安は、手ざわりと光の当たり方です。指でそっと触れて、擦れていない場所と手ざわりが変わらず、表面の凹凸も残っているなら、汚れや色の変化に近いと考えられます。擦れた場所だけが毛羽立っている、逆につるつるしている、斜めから光を当てると凹凸が平らになっている、という場合は、表面が傷んでいる可能性が高くなります。
実際には、表面の傷みの上に、擦れた相手から移った汚れが重なっていることもあります。汚れの部分は水拭きなどで薄くなることがありますが、傷みの部分は拭いても変わりません。
擦れ跡ができやすい場所
擦れ跡が出やすいのは、次のような場所です。
- ソファやベッドの背、テレビ台や棚の側面が触れる壁
- ダイニングチェアやデスクの椅子の背もたれが当たる高さ
- 掃除機のヘッドやコードが当たる、床に近い壁の下のほう
- 廊下や階段で、荷物や体が通りがかりに触れる壁
いずれも、同じものが同じ高さで何度も当たる場所です。家具の裏や椅子の背もたれの陰は、普段は目に入りにくいので、模様替えや大掃除で家具を動かしたときに初めて気づくこともあります。擦れ跡が1か所見つかったら、同じ高さのほかの壁や家具の裏側も見てみてください。ほかにも擦れている場所が見つかることがあります。
部屋の中に出っ張っている角(出隅)は、通りがかりに体や物が当たりやすく、擦れが特に出やすい場所です。角の場合は、表面の擦れのほかに、壁紙の端の接着が弱まってめくれていることもあり、直し方の考え方が少し変わります。角の傷みが表面の擦れなのか端のめくれなのかの見分け方と、めくれていた場合に自分で貼り戻せる条件、業者に頼むときの費用の考え方は、壁紙の角が剥がれてきたら?自分で貼り戻せる条件と、業者に頼む場合の費用の考え方で詳しく扱っています。
ペットのひっかき傷が混じっていることもある
猫や犬がいる家では、家具の擦れとペットのひっかき傷が、同じ壁に混じっていることもあります。ひっかき傷は、これからもひっかくかどうかで、直すタイミングや直し方の考え方が変わります。猫の爪とぎによる傷が混じっている場合は、猫の爪とぎで傷んだ壁紙は張り替えられる?判断を分ける「これからもひっかくか」と実際に張り替えた3つの状況が判断の参考になります。
擦れ跡は掃除や補修で目立たなくなる?メーカーが案内する範囲と限界

擦れ跡に気づくと、まず掃除で何とかならないか、自分で直せないかと考えると思います。ここでは、掃除と、市販の補修グッズでできることの範囲を見ていきます。
前提として、掃除は表面に付いた汚れを取るためのもので、押しつぶされた凹凸や、削れた表面を元に戻すものではありません。擦れ跡に汚れが重なっていれば、その汚れの部分が薄くなることはありますが、傷んだ表面そのものは掃除では戻りません。
掃除をするなら、水拭きと薄めた中性洗剤までにして、強くこすらない
ここで紹介する拭き方は、メーカーの案内と同じく一般的なビニール壁紙を前提にしています。織物や和紙の壁紙は水拭き自体が向きません。見分け方と扱いは、壁紙は水拭きしていい?ビニールクロスはOK、織物・和紙はNGな理由を参考にしてください。
汚れが重なっているか確かめるために拭いてみる場合は、壁紙メーカーが案内している範囲にとどめます。サンゲツは日常のお手入れとして、軽い汚れなら水拭きや薄めた中性洗剤で落とすこともできるとし、拭き取ったあとは水分や洗剤が残らないよう乾拭きするよう書いています。そのうえで、「有機溶剤、漂白剤、研磨剤は使用しないでください。劣化促進・変色・破損のおそれがあります」と注意しています(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。
もう1つ気をつけたいのが、こする力です。リリカラは、一般ビニル壁紙のお手入れの注意として「強く力を入れて拭くと表面の凹凸が潰れたり、キズが付くことがあるので注意してください」と書いています(出典:リリカラ「ビニル壁紙|お手入れ便利帳」)。
擦れ跡は、もともと摩擦で凹凸が潰れたり表面が削れたりしてできたものです。擦れ跡を強くこすれば、それ自体が新しい摩擦になり、傷んだ範囲を広げることになりかねません。研磨剤の入ったスポンジやクレンザーでこするのも同じ理由で避けてください。メラミンスポンジも、汚れと一緒に表面を削る道具なので同じです。すでに使ってしまった場合の見極め方は、壁紙にメラミンスポンジ(激落ちくん)は使える?製造元が挙げる「使用に適さない面」と張り替えを検討する5つのサインで扱っています。
水拭きか薄めた中性洗剤で軽く拭いても見た目が変わらない擦れ跡は、それ以上こすらず、傷みとして扱ったほうが安全です。
市販の補修キット・補修シールは、試せても元どおりにはなりにくい
ホームセンターや通販では、壁紙の補修用の材料やシールが売られています。こうしたものを使って自分で試してみる方法もあります。ただ、市販の補修グッズで壁紙の凹凸や色を周りと同じように再現するには限界があり、きれいに直るとは限りません。試した部分と周りとの境目が、かえって目立つこともあります。貼って隠すタイプの製品は、凹凸のある面には貼れない、貼り直しはできない、と注意書きで使える場所を限定していることもあります。貼って隠す製品が、凹凸・貼り直し・跡の3点で使える場所をどう限定しているかは、壁紙の汚れ隠しは貼るか塗るか|商品が限定する3つの条件と、壁紙メーカー3社が粘着テープを避ける理由で詳しく扱っています。
色合わせの難しさは、業者が直す場合でも変わりません。壁紙は年数とともに少しずつ色が変わっていくため、廃番になっていない同じ品番を使っても、今貼られている壁紙と完全に同じ色に合わせることはできません。
自分で何かを試した場合は、その後に業者へ相談するときに、何を使ってどう直したかを伝えてください。表面や糊の状態によって、張り替えのときの下地の整え方が変わることがあるためです。隠す必要はありません。
直す方法は3つ:部分補修(リペア業者)・部分張り替え・面や部屋ごとの張り替え
擦れ跡を目立たなくしたいときの直し方は、傷んだ箇所だけを直すリペア業者に頼む、壁紙の一部を張り替える、その面や部屋の壁紙をまとめて張り替える、の3つです。どれが向いているかは、擦れ跡の広さと数、周りの壁紙の状態で変わります。
範囲が小さく周りがきれいなら、リペア業者も候補(1万〜3万円程度)
張り替え業者とは別に、壁紙を張り替えずに、傷んだ箇所だけを直すことを専門にしているリペア業者があります。補修に特化しているので、1〜数箇所の傷みであれば、張り替えより安く済むことが多くなります。
費用の目安は、下地に傷みがない場合で1万〜3万円程度です。擦れが進んで壁紙が破れ、奥の石膏ボードまで傷んでいる場合は、ボードの補修を伴って1万5,000〜5万円程度になります。どちらも、傷みの大きさによって幅があります。擦れが進んで破れや穴になっている場合の直し方は、壁紙の破れは自分で補修できる?業者に相談したほうがよい5つの目安と費用の考え方で詳しく扱っています。
ただし、リペアは傷んだ箇所を周りの色や柄に合わせて目立たなくする直し方なので、条件によっては、近くで見ると直した跡が分かることがあります。擦れ跡のように、凹凸が広く潰れてテカっている傷みをどこまで目立たなくできるかは、傷みの状態や壁紙の柄によって違います。リペア業者に頼む前に写真を見てもらい、どこまで目立たなくできそうかを確かめておくと安心です。また、直す箇所が増えれば、そのぶん費用も上がります。
なお、壁紙の張り替え業者の中にも、張り替えを伴わずに小さな傷を目立たなくする程度の簡単な補修に、1面の張り替えより安い料金を設けているところがあります。擦れ跡がごく小さければこの直し方で済む可能性もありますが、ある程度の広さで表面が傷んでいる擦れ跡は、次の一部の張り替えになりやすいと考えておくとよいでしょう。
1つの面に何か所もある・範囲が広いなら、張り替え(一部でも最低1枚分)
壁紙を張り替えて直す場合、擦れた部分を含む一部だけを張り替える方法自体はあります。ただ、壁紙は幅約90cmのロールを上から下へ貼り継いでいるので、一部を張り替える場合も、継ぎ目の位置で区切って、最低でも1枚分を張り替えることになります。
そのうえ、職人が現場に来て、養生をし、道具を出して片づけて帰るまでの手間は、1面でも1部屋でもそれほど変わりません。そのため、一部を張り替える費用は1面の張り替えと同じくらいになりやすく、多くの業者は最低料金を4万〜6万円程度に設定しています。
逆にいえば、1面を張り替えることになるなら、同じ面の中の擦れ跡が1か所でも数か所でも、費用は大きく変わらないことがあります。ソファの裏の壁に擦れ跡がいくつもある、という場合は、1か所ずつ直すより、その面をまとめて張り替える見積もりもあわせて取っておくと比べやすくなります。
気をつけたいのは、色の差です。一部や1面だけを張り替えると、同じ品番の壁紙を使っても、年数を経た隣の面とのあいだに色の差が出ることがあります。面と面の境目(へこんだ角)で区切って張り替えると、差は目立ちにくくなります。一部を張り替える場合の費用と色の注意点は、壁紙の部分張り替えはできる?最低1枚分になる理由と、1面張り替えと比べた費用・色の注意点で詳しく扱っています。
周りの壁紙も古くなっているなら、面や部屋ごとの張り替えも考える
擦れ跡に気づいて部屋を見回すと、スイッチ周りやドア脇の手垢、日焼けによる色の変化、継ぎ目の開きなど、ほかの傷みにも気づくことがよくあります。擦れ跡は長く住んでいる家ほど増えていくものなので、周りの壁紙も同じだけ年数を重ねていると考えたほうが実態に近くなります。張り替えの時期を見極めるサインは、壁紙の替えどきはいつ?築年数より見るべき「今の壁の状態」と見逃せない5つのサインで扱っています。
周りの壁紙も古くなっているなら、擦れ跡だけを直しても、その部分だけが新しく見えて、かえって周りの古さが目立つことがあります。この場合は、擦れ跡のある面や部屋の壁紙をまとめて張り替えるほうが、仕上がりがそろいます。同じ部屋のほかの面や、別の部屋にも気になるところがあれば、一緒に見てもらうと、1箇所あたりの負担が小さくなることがあります。職人が来て、養生をし、片づけるまでの手間は、面積にかかわらずかかるからです。
どの直し方が向いているかを整理すると、次のようになります。
- 擦れ跡が1〜数箇所で、周りの壁紙がまだきれい:リペア業者に、どこまで目立たなくできるかを確かめたうえで頼むと、費用を抑えやすい
- 擦れ跡が1つの面にいくつもある、範囲が広い:その面を張り替える
- 周りの壁紙も汚れや日焼けが目立つ、そろそろ張り替えを考えていた:部屋ごとの張り替えを考える
見積もりのときは、擦れた部分だけを直す場合と、1面や部屋ごと張り替える場合の、両方の金額を聞いておくと比べやすくなります。
相談のときに伝えておくとよいこと
業者に相談するときに次のことを伝えておくと、見立てが早くなります。
- 擦れている場所(どの部屋の、どの壁の、床からどのくらいの高さか)
- 擦れ跡の広さと数(ほかの壁や家具の裏にも出ているか)
- 何が当たってできたか(ソファ、椅子の背もたれ、掃除機など、思い当たるもの)
- 掃除や補修グッズで何を試したか
- 家具を動かす必要がありそうか(擦れ跡の前に大きな家具があるか)
擦れ跡は家具の裏や椅子の陰にあることが多いので、張り替えるときは、その家具を動かす必要が出ることがあります。家具の移動を業者側でしてくれるのか、自分で動かしておくのか、費用に含まれているのかも、見積もりのときに確かめておくと安心です。家具移動の費用の目安と、自分で動かせない家具の扱いは、壁紙張り替えの家具移動は業者に頼める?費用相場と自分では動かせない家具の対処法で詳しく扱っています。
擦れ跡の様子を写真に撮っておくと、状況を説明するときの手がかりになります。近くから撮った写真と、壁のどのあたりかが分かるように少し離れて撮った写真の2枚があると、広さと場所が伝わりやすくなります。
擦れ跡を防ぐには
直したあとに、同じ場所がまた擦れてしまっては元も子もありません。ここでは、普段の暮らしでできることと、張り替えるときの壁紙選びの2つの方向から見ていきます。
家具の角が当たらないよう、壁との間に少し余裕を取る
リリカラは、先ほどの「補修ができないもの」の項目の中で、「普段から家具などの角が当らないようにするなど、心配りが必要です」と書いています(出典:リリカラ「ビニル壁紙|お手入れ便利帳」)。
具体的には、ソファやベッド、棚を壁にぴったり付けず、少し離して置くことです。ダイニングチェアのように引いたり戻したりする家具は、背もたれが壁に届かない位置にテーブルを置くと、当たる回数を減らせます。掃除機をかけるときは、壁際でヘッドを勢いよく押し当てないようにするだけでも、壁の下のほうの擦れは減らせます。
サンゲツも、家具と壁紙の間には空間の余裕をとるよう案内しています。サンゲツが挙げている理由は擦れではなく、家具の塗料などの色素による壁紙の変色を防ぐためと、結露やかびの発生を防ぐためです(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。家具を少し離しておくことは、擦れを減らすだけでなく、こうした傷みを防ぐことにもつながります。
張り替えるなら、表面を強くした壁紙も候補になる
リリカラは、「破れやキズを防止するには、表面にフィルムがラミネートされた汚れ防止壁紙や表面強化表示のある壁紙がおすすめです」と書いています(出典:リリカラ「ビニル壁紙|お手入れ便利帳」)。家具が当たりやすい壁や、掃除機がよくぶつかる壁を張り替えるなら、こうした壁紙も選択肢に入ります。
こうした機能のある壁紙は、量産品より上のグレード(1000番台など)の見本帳に多く載っていて、量産品で張り替える場合と比べると費用が上がることがあります。ただ、部屋のすべての面を同じ壁紙にする必要はありません。家具が当たる面だけ表面を強くした壁紙にする、という面ごとの使い分けもできます。
相談を受けていると、汚れ防止のような機能のある壁紙を選ぶ方は、それほど多くありません。こちらから聞かないと候補に挙がらないことも多いので、見本帳から選ぶときに「家具が当たって擦れやすい壁なので、キズに強いものから見たい」と伝えて探してもらうと効率的です。同じ「キズに強い」でも、表示によって強さの程度が違うことがあります。「汚れ防止」の表示が業界のどんな試験に基づいているか、また「表面強化」と「表面強度アップ」のように似た表示でも等級が違う例は、壁紙の汚れ防止はどこまで落ちる?規格の試験は4つの汚れだけ、油汚れ・ヤニ・手垢は対象外で詳しく扱っています。
まとめ
壁紙の擦れ跡について、ここまでの内容を整理します。
- 拭いても変わらない擦れ跡は、汚れではなく、家具や椅子、掃除機との摩擦で壁紙の表面そのものが傷んでいる可能性がある。サンゲツは摩擦によるキズや凹凸が「復元しない場合があります」、リリカラは擦れによるキズや破れを「元通りに補修することは困難」と案内している
- 手垢・色移り・黄ばみのような汚れや色の変化とは別のもの。手ざわりや光の当たり方で見分け、汚れなら落とし方の記事を参考にする
- 掃除をするなら水拭きと薄めた中性洗剤までにして、強くこすらない。研磨剤やメラミンスポンジは使わない。軽く拭いてみて変わらなければ、それ以上こすらず傷みとして扱う
- 市販の補修キットや補修シールは試せても、凹凸や色の再現には限界があり、きれいに直るとは限らない
- 擦れ跡が1〜数箇所で周りがきれいなら、リペア業者(下地に傷みがない場合で1万〜3万円程度)が候補になる。凹凸が潰れた傷みをどこまで目立たなくできるかは状態によるので、頼む前に確かめる。1つの面に何か所もある、または擦れた範囲が広いなら、その面の張り替えを検討する。一部でも最低1枚分になり、多くの業者は最低料金を4万〜6万円程度に設定している
- 周りの壁紙も古くなっているなら、面や部屋ごとの張り替えのほうが仕上がりがそろう
- 直したあとは、家具を壁から少し離して置く。張り替えるなら、汚れ防止や表面強化の表示がある壁紙も候補になる
擦れ跡に気づいたら、まず手ざわりと光の当たり方で、汚れなのか表面の傷みなのかを見てください。拭いても変わらない傷みが何か所もある、または周りの壁紙も古くなってきた場合は、一度見てもらってください。相談のときは、擦れている場所と広さ、家具を動かす必要があるかを伝えると、見立てが早くなります。電話か問い合わせフォームで、そのままの状態で相談してもらえれば大丈夫です。
拭いても変わらない擦れ跡が何か所もある、または周りの壁紙も古くなってきた、という方は、電話か問い合わせフォームでご相談ください。現地調査で壁の状態を見たうえで、擦れた部分を含む面だけを張り替える場合と、部屋ごとに張り替える場合の違いもご案内します。見積もり・現地調査は無料です。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
この記事の執筆者

氏名:松田郁幾
実績:壁紙張り替えを中心に、これまで多くのお客様・職人と関わってきました。
この記事について:現場で見聞きした実例をもとに、誇張せず、実践的な視点で解説しています。



