
壁紙の汚れを落とす方法を調べていると、アルカリ電解水を勧める情報によく行き当たります。成分は水だけ、洗剤を使いたくない場所にも使える。そう書かれていれば、壁紙にも安心して使えそうに思えます。
先に結論をお伝えします。メーカーの資料で壁紙が名指しされているのは、タバコのヤニ汚れを扱ったコラム1本だけでした。商品ページにも、お掃除におすすめの場所として挙げられている7つの中にも、壁紙は出てきません。そして最も多く検索されているカビについては、メーカー自身が「アルカリ電解水では落とせない」と注意書きに書いています。
もうひとつ知っておきたいのが、アルカリ電解水はpH12.5で、重曹やセスキ炭酸ソーダより強いという点です。これは推測ではなく、同じメーカーが自社の解説ページに数値を並べて書いています。「水からできている」という言葉の印象と、実際の強さは別の話です。
この記事を読むと、次のことが分かります。
- メーカーの資料で壁紙が出てくるのはどこか、出てこないのはどこか
- カビについてメーカーが書いていること、壁紙メーカーが案内している別の方法
- ヤニについて、製品の側と壁紙メーカーの側で言っていることが食い違っていること
- pH12.5という強さと、拭き残したアルカリをどう考えるか
- 使わないほうがよい面と、試す前に確かめておくこと
- 落ちない汚れを張り替えで考えるときの範囲と費用
読み終えるころには、メーカーの表示をもとに手元のアルカリ電解水を使うかどうかを判断しやすくなり、落ちなかったときの次の一歩も決められるはずです。
ご自宅の壁紙が張り替えの必要な状態なのか、張り替えるとしたらどのくらいかかるのか。気になる点は、まずはお電話でもご相談いただけます。
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壁紙が名指しされているのは、ヤニのコラム1本だけ

アルカリ電解水は、スプレー、シート、詰め替えと、いくつもの形で売られています。どれも同じ「アルカリ電解水」ですが、メーカーがどこに使うものとして案内しているかは、ページによって書き方が違います。
商品ページにも、おすすめの場所にも壁紙は出てこない
分かりやすいのは、レックの「激落ちくん」ブランドです。
「水の【激落ちくん】400ml」の商品ページには、商品情報として「主原材料 アルカリ電解水」と書かれています。説明文は「水を独自の方法で電気分解したアルカリ電解水100%のマルチクリーナー。アルカリパワーが汚れを包みこんで、浮かせて落とします。界面活性剤不使用なので、2度拭き不要!洗剤を使いたくない場所のおそうじにピッタリ!」です(出典:レック「水の【激落ちくん】400ml」)。
水の【激落ちくん】の商品ページに、壁紙という言葉は出てきません。壁という言葉も出てきません。
同社の製品紹介コラムには「お掃除におすすめの場所やもの」として7つが挙げられています。キッチン、冷蔵庫や電子レンジなどの家電製品、食器棚、リビング、子供のおもちゃ、ペット用品、チャイルドシート。この7つにも壁紙はありません(出典:レック「洗剤を使いたくない場所のお掃除に『水の【激落ちくん】』」)。
このコラムで壁という言葉が出てくるのは1箇所だけで、「家具の側面や壁などの液だれが心配な場所で使用する際は、フキンに吹きかけて使用しましょう」という一文です。これは壁に使ってよいかどうかの話ではなく、吹きかけ方の注意として書かれています。
ヤニのコラムでは、壁紙を名指しして手順まで書いている
一方で、壁紙がはっきり出てくるページもあります。タバコのヤニ汚れを扱ったコラムです。
このページには「そしてヤニ汚れが壁紙などについたまま放置してしまうと、壁紙が劣化する原因になってしまうことも」とあり、掃除の手順に続いて「壁紙や液だれが気になる場所のお掃除に使用する際は汚れに直接スプレーするのではなく、クロスにスプレーして拭きとるのがポイントです」「お掃除の際は壁紙を傷つけないようにやさしく拭きとりましょう」と書かれています(出典:レック「やっかいなタバコのヤニ汚れのお掃除には『水の【激落ちくん】400ml』がピッタリ!」)。
壁紙を名指しし、直接スプレーしないこと、やさしく拭くことまで書いてあります。ここだけを読めば、壁紙に使う前提の案内です。
つまり同じメーカーの中で、商品ページと汎用の用途一覧には壁紙が無く、ヤニのコラムでは壁紙を名指ししている、という状態になっています。どちらか一方だけを見て判断すると、印象が変わってしまいます。
この「クロス」は壁紙のことではありません
ひとつ、読み間違えやすい箇所があります。
先ほどの「クロスにスプレーして拭きとる」という一文の「クロス」は、拭き取りに使う布のことです。このページで「クロス」は4回出てきますが、4回とも布の意味で、壁紙を指してはいません。壁材のほうは一貫して「壁紙」「壁」「壁面」と書き分けられています。
壁紙の業界では「クロス」は壁紙そのものを指すため、壁紙を調べている人がこの一文を読むと、意味が逆に取れてしまいます。メーカーが言っているのは「壁紙に直接スプレーせず、布に吹きかけてから拭く」であって、その反対ではありません。
カビについては、メーカー自身が「落とせない」と書いている

アルカリ電解水を調べる人が最も多く検索しているのは、カビに効くかどうかです。ここには、メーカー自身の注意書きがあります。
製造元が注意書きとして書いている
先ほどの製品紹介コラムには、アルカリ電解水の性質を説明したうえで、こう書かれています。「ただカビが原因の汚れは、アルカリ電解水では落とせないので注意しましょう」(出典:レック「洗剤を使いたくない場所のお掃除に『水の【激落ちくん】』」)。
同じページには、この製品が得意とする汚れも書かれています。「この"アルカリ性"の成分は油汚れや手アカなどの『酸性の汚れ』のお掃除に効果的なのです」。アルカリ性が働く相手として挙げられているのは酸性の汚れで、カビはそこに並んでいません。
売る側が自社製品について「落とせない」と書いているので、この一文はかなり強い意味を持ちます。
壁紙メーカーは、カビに別の方法を案内している
壁紙を作っている側も見ておきます。
シンコールの「壁紙のお手入れについて」には、カビの項目があります。「かび取り剤を使用して、かびをスポンジでこすり取ります。その後、消毒用アルコールで拭き取るのが効果的です。壁紙によっては表面を破損することがありますので、目立たないところで一度試してください」と書かれています(出典:シンコール「壁紙のお手入れについて」)。
サンゲツも、メンテナンスの資料の「かびについて」の項目で、「かびが壁紙表面だけに発生している場合、早めに消毒用アルコールで拭き取るのが効果的です。(壁紙の種類によっては表面が損傷する場合がありますので、目立たないところで試してからご使用ください。)」と書いています(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。
壁紙メーカーがカビに案内しているのは、かび取り剤や消毒用アルコールで拭き取る方法です。壁紙の内部まで入り込んだ場合や大量に発生した場合は、専門業者への相談を勧めています。アルカリ電解水は出てきません。
なお、壁紙メーカー3社のお手入れページと、サンゲツのメンテナンスの資料を確認しましたが、リリカラ(出典:リリカラ「ビニル壁紙のお手入れ方法」)とサンゲツ(出典:サンゲツ「壁紙のお手入れ方法」)を含め、3社とも「アルカリ電解水」「電解水」「アルカリ」という言葉が一度も出てきません。カビの落とし方を書いているのはシンコールのお手入れページと、サンゲツのメンテナンスの資料で、リリカラのお手入れページはカビに触れていません。
見た目が変わることと、カビが無くなることは別
もうひとつ、シンコールのページには続きがあります。「大量に発生した場合は専門業者にご相談ください。下地に菌糸が入り込んでいた場合、アルコールで拭き取っても再発生するおそれがあります」。
ここで言われているのは、消毒用アルコールという、壁紙メーカー自身が勧めている方法についてです。その方法で拭き取っても、下地に菌糸が入り込んでいれば再発することがある、と書かれています。
つまりカビについては、表面の見た目が変わったかどうかと、カビそのものへの対処ができたかどうかが、別の話になります。カビを何かで拭いて黒い部分が薄くなったとしても、それで解決したとは限りません。逆に、下地まで入り込んでいる場合は、表面から消そうとしても再発するおそれがある、ということになります。
壁紙のカビが下地まで届いているかどうか、張り替えるとどうなるかは、掃除とは別の判断になります。下地の防カビ処置や、張り替えの費用がどう変わるかは、壁紙のカビは張り替えだけで直る?下地の防カビ処置と費用の目安を解説で整理しています。
ヤニは、製品の側と壁紙メーカーの側で言っていることが違う
ヤニについても検索が多い項目です。ただしここは、調べていくと両者の言っていることが噛み合いません。
製品の側は「ピッタリ」、壁紙メーカーは「困難」
製品の側の書き方は、先ほど引いたとおりです。ページの見出しからして「やっかいなタバコのヤニ汚れのお掃除には『水の【激落ちくん】400ml』がピッタリ!」で、「なかなか落とせないガンコなヤニ汚れもアルカリイオンが包み込んで浮かせて落とします」と書かれています。
一方、シンコールの記述はこうです。「タバコのヤニ・キッチンの油汚れは少しずつ汚れが蓄積して除去することが難しくなります」。さらに汚れ防止壁紙についての注意事項として「汚れ防止壁紙は、突発的な汚れに適した壁紙です。タバコのヤニや、時間が経ったしつこい汚れなどを完全に拭き取ることは困難です」とあります(出典:シンコール「壁紙のお手入れについて」)。
片方は「ピッタリ」、もう片方は「完全に拭き取ることは困難」です。
両者の違いは、資料だけでは説明しきれない
この2つを、どちらかが間違っていると読む必要はありません。ただし、なぜ違うのかを資料から説明しきることもできません。
製品の側は「なかなか落とせないガンコなヤニ汚れもアルカリイオンが包み込んで浮かせて落とします」としています。壁紙メーカーの側は「少しずつ汚れが蓄積して除去することが難しくなります」「時間が経ったしつこい汚れなどを完全に拭き取ることは困難です」としています。どちらも似たような言葉で汚れを表していますが、片方は落とせるとし、もう片方は完全に拭き取るのは困難だとしています。
想定しているヤニの蓄積の程度や経過時間が違うのかもしれませんし、どこまでを「落ちた」とするかの水準が違うのかもしれません。ただ、どちらの資料もそこまでは書いていません。自宅のヤニがどちらに近いかは、実際に試したあとの状態を見て判断することになります。
もうひとつ、製品の側のページには書かれていないことがあります。落ちなかった場合にどうするか、という出口です。あのコラムは掃除の手順で終わっていて、それでも落ちないときの選択肢には触れていません。ヤニが壁紙の内部や下地まで染み込むことがある理由と、張り替えに切り替えるか考える目安は、壁紙のヤニ・タバコ汚れは掃除で落ちる?張り替えに切り替える4つのサインと見積もりの確認点で解説しています。
pH12.5。拭き残したアルカリをどう考えるか
「水からできている」という説明は、安全そうな印象を与えます。ただし数値を見ると、印象とは違う面が見えてきます。
重曹8.2、セスキ9.8、アルカリ電解水12.5
同じレックが、アルカリ性の洗剤を解説したページで3つの数値を並べています。「アルカリ電解水 → pH12.5」「セスキ炭酸ソーダ → pH9.8」「重曹 → pH8.2」。そして「ちなみにpH数値が8〜11のものが弱アルカリ性、pH11以上が強アルカリ性に分類されます」と続きます(出典:レック「アルカリ性洗剤とは?」)。
この分類に当てはめると、重曹とセスキ炭酸ソーダは弱アルカリ性、アルカリ電解水は強アルカリ性になります。3つのうち、線をまたいでいるのはアルカリ電解水だけです。
残る2つについて、メーカーの用途表示がどうなっているのかは、壁紙に重曹は使える?メーカーが壁紙用に挙げているのはシートだけ、研磨作用にも注意と壁紙にセスキ炭酸ソーダは使える?メーカー2社とも壁紙用に挙げず、アルカリは重曹より強いでそれぞれ整理しています。
製品紹介コラムのほうにも「アルカリ電解水は重曹やセスキより強いアルカリ性を持っている」と書かれています。強いことは、メーカーが隠していることではなく、むしろ売りとして書かれていることです。
「水だけ」でも、手袋を勧めている
同じ解説ページには、使う側への注意もあります。「素肌のまま使用すると肌荒れの原因になります」「強いアルカリ性質をもった洗剤は、炊事用手袋などを着用したうえで使用しましょう」。
成分が水であることと、素手で触って平気であることは、別の話だということです。製品紹介コラムのほうにも「主成分であるアルカリ電解水は酸性の汚れを中和する効果を持ち、人の肌の油分やタンパク質にも作用します」と書かれています。
「2度拭き不要」と「拭き残しは変色の原因」
ここで、製品の側と壁紙メーカーの側で、もう1つ書き方が分かれます。
製品の側は「界面活性剤不使用なので、2度拭き不要!」としています。製品紹介コラムでも「成分が水なのでベタつきが残らず、拭きとり跡も残りにくくて二度拭きの手間を必要としません」と説明されています。理由は界面活性剤を使っていないことです。
対して壁紙メーカー3社は、そろって拭き残しに注意を向けています。リリカラは「洗剤を使用したときは、必ずきれいな水で壁紙の表面に残った洗剤を拭き取ってください。洗剤が付着したままだと変色の原因になります」、サンゲツは「壁紙表面に残った洗剤は変色の原因になりますので、真水かぬるま湯できれいに拭き取ってください」、シンコールは「洗剤の拭き残しは変色の原因になります」としています。
この2つは、正面からぶつかっているようで、少しずれています。壁紙メーカーが注意しているのは洗剤の成分が残ることで、製品の側が「不要」と言っている根拠は界面活性剤を使っていないことです。話している対象が同じではありません。
そして、どちらも触れていないことがあります。界面活性剤は入っていないとして、pH12.5のアルカリ分が壁紙の上に残ったときにどうなるのかは、製品の側にも壁紙メーカーの側にも書かれていません。壁紙メーカーはアルカリ電解水という言葉自体を使っていないので、この製品が注意書きの対象に入るのかどうかも、資料からは決まりません。
一方で、はっきり書かれていることもあります。リリカラとサンゲツはどちらも「強い洗剤やシンナーなどの有機溶剤は、変色や表面破損の原因になるので使用しないでください」としています。pH12.5・強アルカリ性のものがこの「強い洗剤」に当たるのかどうかは書かれていませんが、判断の材料にはなります。
中性洗剤そのものの選び方や、二度拭きまで含めた基本の手順は、壁紙の掃除に使う洗剤はどれがいい?汚れ別の選び方と使ってはいけない洗剤の見分け方で整理しています。
アルカリ電解水を使ったあとに水拭きを加えるかどうかは、ここをどう見るかで変わります。製品の側の「不要」をそのまま採るという考え方もありますし、壁紙メーカー3社がそろって拭き残しに注意を向けていることを重く見て、あえて水拭きを加えておくという考え方もあります。どちらを選ぶかは、ここまでの資料を見たうえでの判断になります。
使わないほうがよい面と、試す前に確かめること
アルカリ電解水のメーカーは、使用を避けたほうがよいものを具体的に挙げています。壁紙まわりで関係してくるものを見ておきます。
水拭きができない壁紙は、この時点で対象外
製品紹介コラムの「使用を避けた方がよいもの」の筆頭は「水洗い・水拭きができないもの」です。続いて漆器、革製品、絹製品、アルミや銅、真鍮などの金属素材、宝石や貴金属、ニスなどで表面が加工されたインテリア、眼鏡、自動車の塗装面が並びます。
壁紙にはいくつか種類があり、水拭きできるものとできないものがあります。日本の住宅で多く使われているビニール壁紙は水拭きができますが、織物や和紙のものは向きません。サンゲツも「織物壁紙の特性上、濡れたタオルや洗剤で拭き取るとシミの原因になります」としています。自宅の壁紙がどれにあたるか分からない場合は、アルカリ電解水を使うかどうか以前に、そこを先に確かめてください。見分け方は壁紙は水拭きしていい?ビニールクロスはOK、織物・和紙はNGな理由で解説しています。
コーティングや塗装の面は避ける
もうひとつ、表面の加工に関わる項目があります。「ニスなどで表面が加工されたインテリア」が挙げられ、続けて「中でもコーティングが施されたものに使用すると加工がはがれてしまうおそれがあるので、使用しないようにしましょう」と書かれています。
解説ページのほうでも、相性の悪い素材・場所としてアルミ、畳、木(家具)、塗装面、素材の柔らかい床の5つが挙げられています。塗装面は両方に共通して出てきます。
ヤニのコラムにも「塗装面を始めとした変色が気になる場所をお掃除する際は、目立たない場所で試してから使用してください」とあります。壁の一部が塗装だったり、建具や枠に塗装やニスがかかっていたりする場所では、この注意が効いてきます。
目立たない場所で試し、こすらない
メーカーが書いている手順のうち、壁紙に関わるものをまとめると3つです。汚れに直接スプレーせず布に吹きかけること、目立たない場所で試してから使うこと、やさしく拭きとることです。
3つ目については、壁紙メーカー側にも対応する注意があります。リリカラは「強く力を入れて拭くと表面の凹凸が潰れたり、キズが付くことがあるので注意してください」としています。日本の住宅で使われているビニール壁紙の多くは、細かい型押しで表面に凹凸がついています。型押しが潰れると、その部分だけ光の反射が変わり、汚れが落ちたとしてもこすった範囲が四角く浮き上がって見えることがあります。
アルカリ電解水を使うかどうかとは別に、こすり方で壁紙は変わってしまう、ということです。
落ちない汚れは、張り替えの範囲と費用で考える
ここまで見てきたとおり、アルカリ電解水が壁紙にとって安全かどうかは、壁紙メーカーの資料からは確かめられません。カビについては、メーカー自身が落とせないと書いています。ヤニについては、蓄積したものを元どおりにするのは難しいと壁紙メーカーが書いています。
そこで考え方を変えます。落とせるかどうかではなく、張り替えるとどうなるかで見てみる、ということです。
判断の目安になるのは、試したあとの状態
掃除で落ちる汚れと落ちない汚れの線引きは、汚れの種類によって変わります。表面に付着した汚れは拭き取りで落ちることがありますが、時間が経って壁紙の内部まで染み込んだ汚れは落ちにくくなります。
判断の目安になるのは、水拭きと薄めた中性洗剤を試したあとの状態です。乾いたあとも汚れがはっきり残っている、拭いた場所と拭いていない場所の境目が出てしまった、こすった場所の質感が変わった、同じ場所にまた出てくる。こうした状態であれば、これ以上傷めないためにも、こすり続けずに張り替えを選択肢に入れて考えるほうが落ち着きます。
張り替えは1面単位が基本になる
壁紙はロール状のものを上から下へ貼っていくため、汚れた部分だけを四角く切り取って貼り直すと、その継ぎ目と色の差が目立ちます。同じ品番の壁紙が手に入ったとしても、既存の壁紙は日焼けや汚れで色が変わっているため、新しいものを部分的に貼ると、そこだけ浮いて見えます。
このため張り替えの範囲は、壁の面で区切った1面単位が基本になります。
複数の箇所が気になっている場合は、まとめて依頼するほうが1箇所あたりの負担は小さくなります。職人の手配や現地への移動には、施工する面積に関係なく一定のコストがかかるためです。
見積もりのときに「何を試したか」を伝える
現地調査を依頼するときには、これまでどこまで試したかを伝えておくと話が早くなります。水拭きをしたか、中性洗剤を使ったか、アルカリ電解水やかび取り剤を使ったか、それで落ちたのか落ちなかったのか。
すでに何かでこすってしまった場合は、そのことも伝えてください。表面の状態が変わっていると、張り替えるときの下地の扱いに関係することがあります。隠す必要はありません。
カビの場合は、同じ場所に繰り返し出ているかどうかも伝えておくと役に立ちます。下地まで届いているかどうかで、施工の内容が変わってくるためです。
そのうえで、張り替えるとしたらどの範囲になるのか、いくらくらいかかるのかを聞いてみてください。張り替えるかどうかの判断は、その金額を見てからでも遅くありません。
まとめ
アルカリ電解水について、メーカーの資料で壁紙が名指しされているのは、タバコのヤニ汚れを扱ったコラム1本だけでした。商品ページにも、お掃除におすすめの場所として挙げられている7つの中にも、壁紙は出てきません。そのコラムには「壁紙や液だれが気になる場所のお掃除に使用する際は汚れに直接スプレーするのではなく、クロスにスプレーして拭きとる」と書かれていますが、ここでの「クロス」は壁紙ではなく拭き取り用の布のことです。
カビについては、メーカー自身が「ただカビが原因の汚れは、アルカリ電解水では落とせないので注意しましょう」と注意書きに書いています。壁紙メーカーの側も、カビにはかび取り剤や、壁紙表面だけに発生した場合の消毒用アルコールを案内していて、アルカリ電解水は出てきません。そして、その勧められている方法で拭き取っても、下地に菌糸が入り込んでいれば再発するおそれがある、とも書かれています。表面の見た目が変わることと、カビそのものへの対処ができることは、別の話です。
ヤニについては、製品の側が「ピッタリ」とし、壁紙メーカーの側が「完全に拭き取ることは困難」としています。これは直ちに矛盾するとはいえません。想定しているヤニの蓄積の程度や経過時間、どこまでを「落ちた」とするかの水準が異なる可能性があります。ただし、どちらの資料もその違いや中間の状態については書いていません。
強さの数値も、メーカー自身が公開しています。アルカリ電解水はpH12.5、セスキ炭酸ソーダは9.8、重曹は8.2。同じページの分類では、pH11以上が強アルカリ性にあたります。3つのうち、そこに入るのはアルカリ電解水だけです。「水からできている」ことと、素材や肌に穏やかであることは別で、メーカー自身も炊事用手袋の着用を勧めています。
拭き取りについては、製品の側が界面活性剤不使用を理由に「2度拭き不要」とし、壁紙メーカー3社は洗剤の拭き残しを変色の原因としています。ただし壁紙メーカーはアルカリ電解水という言葉自体を使っておらず、pHの高い成分が残ったときにどうなるかは、どちらの資料にも書かれていません。
自宅の壁紙が水拭きできるものかを確かめ、塗装やコーティングの面を避け、目立たない場所で試し、こすらずにやさしく拭く。ここまで試しても落ちなかったり、同じ場所に繰り返し出てきたりするなら、そこから先は落とし方を探すより、壁紙を張り替えるとどの範囲になっていくらかかるのかを確かめてみてください。範囲は1面単位が基本で、気になっている箇所をまとめて依頼すれば1箇所あたりの負担は小さくなります。金額が分かれば、この先どうするかを決めやすくなります。
強いものを試して壁紙を傷めてしまう前に、今の状態のままご相談ください。壁の状態を見たうえでのご案内・お見積もりは無料です。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。 氏名:松田郁幾この記事の執筆者

実績:壁紙張り替えを中心に、これまで多くのお客様・職人と関わってきました。
この記事について:現場で見聞きした実例をもとに、誇張せず、実践的な視点で解説しています。



