壁紙にスチームクリーナーを使うと剥がれる?ケルヒャーが同じ機種用に「壁紙はがし」を販売

スチームクリーナーのノズルから出た蒸気が壁紙に当たり、当たった部分の壁紙が一枚めくれ上がっている

壁紙の汚れが洗剤で落ちないとき、次に思いつく方法のひとつがスチームクリーナーです。熱い蒸気を当てるだけで、洗剤を使わずに汚れが落ちる。そう聞くと、壁紙にも試してみたくなります。

先に結論をお伝えします。壁紙にスチームを当てると、剥がれることがあります。しかもこれは、想定外の事故ではありません。スチームクリーナーのメーカー自身が、「壁紙はがし」という専用のアクセサリーを売っているからです。その説明文は「高温のスチームで糊を溶かし、壁紙を剥がしやすくします。」で、適合機種として並んでいるのは、掃除に使う家庭用の機種そのものです。

つまり、同じ機械に別のノズルを付けると、壁紙を剥がす道具になります。壁紙が剥がれることは、この機械にとって不具合ではなく、用途のひとつとして想定されている、ということです。掃除のときにどこまで起きるかはノズルや当て方によって変わりますが、同じ蒸気を当てている以上、糊に影響が及ぶ可能性はあります。

もうひとつ知っておきたいのが、最も多く検索されているヤニについて、スチームクリーナーのメーカー自身が落とせる範囲を限定して書いている点です。「タバコのやに(壁などの素材に染み込んだ汚れは落とせません)」と、括弧の中で断っています。

この記事を読むと、次のことが分かります。

  • スチームクリーナーのメーカーが「壁紙はがし」として売っているものの中身
  • 壁紙メーカー3社の案内に、スチームがどう出てくるか
  • 一番多く検索されているヤニは、どこまで落ちるのか
  • カビについてスチームクリーナーのメーカーが書いていることと、試験の対象
  • それでも試す場合に、先に確かめておくこと
  • 剥がれてしまったときに、補修で戻るのか張り替えになるのか

読み終えるころには、手元のスチームクリーナーを壁紙に使うかどうかをメーカーの表示をもとに判断しやすくなり、落ちなかったとき・剥がれてしまったときの次の一歩も決められるはずです。

ご自宅の壁紙にスチームを当ててよいか迷っている、あるいは当ててみたら剥がれてしまったという場合は、電話1本でご相談いただけます。

電話が難しい方はでもご相談いただけます。


ケルヒャーが売っているのは「壁紙を剥がす」ためのアクセサリー

1台のスチームクリーナーに2種類のノズル。片方は床の掃除に、もう片方は壁紙の端をめくり上げるために使われている

スチームクリーナーは各社から出ていますが、家庭用でよく知られているのはケルヒャーです。同社の公式サイトには、スチームクリーナー用のアクセサリーとして「壁紙はがし」という製品が並んでいます。

説明文は「高温のスチームで糊を溶かし、壁紙を剥がしやすくします」

商品ページに書かれている説明は、この一文だけです。「高温のスチームで糊を溶かし、壁紙を剥がしやすくします。」(出典:ケルヒャー「壁紙はがし」)。型番は2.863-062.0です。

用途・清掃場所の欄には「頑固な汚れにも」とあるだけで、使い方の手順や、どの壁紙に使えるかといった説明はありません。

書かれていることは短いですが、はっきりしています。ケルヒャー自身が、高温のスチームを壁紙の糊を溶かすものとして説明しています。

適合機種は、掃除に使うその家庭用7機種

このアクセサリーの適合機種として挙げられているのは、SC 1 MINI、SC 1 Multi & Up(ハンディスチームモップ)、SC 1 Multi(ハンディスチーム)、SC 2 EasyFix W、SC 3 EasyFix W、SC 4 Deluxe、SG 4/4 の7機種です。壁紙はがしが使える7機種のうち、6機種は家庭用のスチームクリーナーです。業務用はSG 4/4だけです。

床やキッチンの掃除に使っている機械に、このノズルを取り付ければ壁紙が剥がせる、ということです。逆に言えば、掃除のときに手にしているスチームクリーナーは、壁紙を剥がせる機械と同じものです。

ケルヒャーの注釈は、壁紙を名指しで挙げている

ここまでは「剥がすための製品」の話ですが、掃除用の説明の側にも壁紙は出てきます。

ケルヒャーは注釈で、壁紙は変形・はがれの恐れがあるとしています。よくある質問の「スチームクリーナーとはどのような製品ですか?」という項目に、こう書かれています。「※熱に弱い材質、壁紙、プラスチックなどは変形・はがれなどの恐れがあります。目立たないところで試してからご使用ください。」(出典:ケルヒャー「スチームクリーナー(製品について知りたい)」)。

同じ回答の本文には、温度も書かれています。「ケルヒャー家庭用スチームクリーナーは、約100℃の高温スチームで汚れを浮かせて落とす清掃機器です。圧力鍋としくみが似ており、入れた水を密閉したボイラーで約 143℃まで熱し、スチームを発生させます。吐出されるときの温度は約100℃と高温でさらっとしたスチームが特徴です。」

「使用禁止」とは書かれていません。書かれているのは、変形・はがれなどの恐れがあることと、目立たないところで試してから使うこと、この2つです。

壁紙メーカー3社の案内に、スチームは一度も出てこない

壁紙の縦のつなぎ目に向けて蒸気を当てているところ。水滴がつなぎ目へ伝い、つなぎ目の端が浮いて開きはじめている

では、壁紙をつくっている側は何と言っているのか。サンゲツ、リリカラ、シンコールの3社が公開しているお手入れのページと、サンゲツのメンテナンスの資料(PDF)を確認しました。

壁紙メーカー3社とも、「スチーム」という言葉を一度も使っていません。「蒸気」も、サンゲツの資料の換気の説明に「水蒸気」として出てくるだけです。スチームクリーナーが使えるとも、使えないとも書かれていない、というのが正確なところです。

水分については、3社とも注意を書いている

スチームそのものの記述はありませんが、水分についてははっきり書かれています。

シンコールは、一般ビニル壁紙と汚れ防止壁紙の両方の注意事項に、同じ一文を置いています。「壁紙のつなぎ目に水分が入ると剥がれの原因になります。」(出典:シンコール「壁紙のお手入れについて」)。

リリカラも同じで、拭き取りの手順の中に「またつなぎ目に水が入ると剥がれの原因になるので注意してください。」とあります(出典:リリカラ「ビニル壁紙のお手入れ方法」)。

サンゲツは水拭き自体は案内していますが、織物壁紙については「織物壁紙の特性上、濡れたタオルや洗剤で拭き取るとシミの原因になります」としています(出典:サンゲツ「壁紙のお手入れ方法」)。

サンゲツのメンテナンスの資料には、水分についての注意がさらに2つあります。濃色の壁紙について「過度に擦ったり水分を含んだものを押し当てた場合、表面の色が落ちたり色が移るおそれがあります。」、湿気について「結露や過度の湿気は、シミ・剥がれ・かび発生の原因となります」です(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。

3社が拭き掃除で想定しているのは、固く絞った布やスポンジで拭く、という程度の水分です。スチームクリーナーは、その水分を蒸気の形で壁に吹き付けます。

熱に触れているのはシンコールとサンゲツ

温度についてはどうか。壁紙メーカー3社のうち、熱に触れているのはシンコールとサンゲツです。

シンコールは、「壁紙の変色を防ぐには」という項目に「暖房器具や電子レンジなどを近づけない」という見出しがあり、その理由として「熱風や高温になるものは変形する場合もあります。」と書かれています。

想定されているのは暖房器具や電子レンジで、スチームクリーナーではありません。ただ、熱風や高温になるものを近づけると変形することがある、という説明そのものは、約100℃の蒸気にも当てはまりそうに読めます。

サンゲツは、メンテナンスの資料の注意事項に「ストーブなどの暖房設備の熱風が壁紙に直接当たらないように注意してください。変色のおそれがあります。」と書いています(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。こちらも想定されているのは暖房設備ですが、熱風が当たると変色するおそれがある、という点は同じ方向の注意です。リリカラには、熱についての記述がありませんでした。

壁紙が何℃まで耐えられるかは、どこにも書かれていない

ここまで来ると、では何℃までなら大丈夫なのかを知りたくなります。

壁紙が何℃まで耐えられるかは、確認したどのメーカーの資料にも書かれていませんでした。壁紙メーカー3社のお手入れページにも、サンゲツのメンテナンスの資料にも耐熱温度の記載はなく、ケルヒャーの側にも「壁紙は変形・はがれの恐れがある」とあるだけで、何℃からそうなるのかは書かれていません。

つまり「約100℃だから危ない」とも「約100℃なら大丈夫」とも、メーカーの資料からは言えません。言えるのは、スチームクリーナーのメーカーが壁紙を名指しして変形・はがれの恐れを書いていること、壁紙メーカーが水分と高温のそれぞれについて注意を書いていること、この2つまでです。

一番多く検索されているヤニは、どこまで落ちるのか

スチームクリーナーと壁紙について調べている人が最も多く検索しているのは、ヤニです。「スチームクリーナーで壁紙のヤニは落とせますか」という質問が、この語では突出しています。

これについては、ケルヒャーが自分で答えを書いています。

ケルヒャーは「落ちやすい汚れ」に挙げつつ、括弧で限定している

よくある質問に「落ちる汚れと落ちない汚れがありますか?」という項目があり、汚れが3段階に分けられています。

「落ちやすい汚れ」に挙がっているのは、台所の流しや浴室のタイル目地などのぬめり、コンロの油汚れ(焦げていないもの)、換気扇・フードの油汚れ(薄い油膜は残る場合があります)、タバコのやに、トイレの黄ばみ(樹脂の変色は取れません)の5つです。

タバコのやには、たしかに「落ちやすい汚れ」の側にあります。ただし括弧が付いていて、こう書かれています。「タバコのやに(壁などの素材に染み込んだ汚れは落とせません)」。

続く「落ちにくい汚れ」は焦げ付いた油汚れと家具などに染みこんだ臭い、「落ちない汚れ」は変色してしまったもの、錆びや焼けた塗装面、黒いカビ、スケールが固着した状態です。

スチームクリーナーで落とせるのは表面に付着したヤニまでで、壁に染み込んだヤニは落とせない。ケルヒャーの書き方は、この2つに分かれています。

用途例に出てくるのは「天井についたタバコのヤニ」

同じページの別の質問「スチームクリーナーでどのような所を清掃できますか?」には、使える場所が並んでいます。台所の流し周り、ガスレンジ周りの油汚れ、お風呂場等のタイル目地、洗面所周りの汚れ落とし、エアコンのフィルター、車のシート、天井についたタバコのヤニ、絨毯・カーペットのシミや汚れ落としです。

ここに「天井についたタバコのヤニ」があります。一方で、スチームクリーナーの用途例に壁や壁紙は挙がっていません。

天井にも壁紙が貼られていることが多いので、この2つは一見ちぐはぐに見えます。先ほどの注釈と読み合わせると、ケルヒャーの資料の中に、ヤニの表面汚れには使えるという記述と、壁紙という素材には変形・はがれの恐れがあるという記述が、それぞれ別の場所に置かれている、という状態です。

壁紙メーカー側も「完全に拭き取ることは困難」としている

ヤニについては、壁紙メーカー側にも記述があります。

シンコールは、日常のお手入れの説明で「タバコのヤニ・キッチンの油汚れは少しずつ汚れが蓄積して除去することが難しくなります。できるだけ換気を行い、汚れが付着しないように心掛けましょう」としています。

さらに、汚れ防止壁紙(表面にフィルムが貼られた、汚れに強いタイプ)についてさえ「汚れ防止壁紙は、突発的な汚れに適した壁紙です。タバコのヤニや、時間が経ったしつこい汚れなどを完全に拭き取ることは困難です」と書いています。

汚れに強くつくられた壁紙でも、蓄積したヤニは完全には拭き取れません。一般のビニル壁紙であれば、なおさら難しくなります。

ヤニ汚れそのものの落とし方と、どこで張り替えに切り替えるかについては、壁紙のヤニ・タバコ汚れは掃除で落ちる?張り替えに切り替える4つのサインと見積もりの確認点で詳しく解説しています。

カビは「落ちない汚れ」に入っている

ヤニに次いで検索されているのがカビです。スチームクリーナーはカビ対策を前面に出して売られていることもあり、壁紙のカビにも効きそうに見えます。

ここにも、ケルヒャー自身の資料に答えがあります。

ケルヒャー自身が黒いカビを落ちない汚れに挙げている

先ほどの「落ちる汚れと落ちない汚れがありますか?」に戻ります。ケルヒャーが「落ちない汚れ」に挙げている4つのうちのひとつが、黒いカビです。

一方、製品紹介のページでは「浴室などの防カビ・除菌に!!」と大きく打ち出され、「高温のスチームがカビを除菌し、生えにくくします」と書かれています(出典:ケルヒャー「スチームクリーナーで除菌・カビ対策!油汚れも簡単スッキリ」)。

矛盾しているようですが、指しているものが分かれています。製品紹介で挙げられているカビは「浴室のピンクカビ」で、水まわりのカビです。落ちないとされているのは「黒いカビ」です。

カビの試験は床材、除菌の試験はプラスチック板

もう少し細かく見ると、根拠になっている試験の対象も書かれています。

カビの除去については、よくある質問に試験の詳細があります。試験機関は一般財団法人 北里環境科学センター、試験方法は「床材に付着させたカビ胞子にスチームを噴射しながら清拭し、付着カビの除去効果を検証した」、試験対象は「付着した1種類のカビ」です。

除菌のほうは、製品紹介のページに「菌液を滴下・乾燥させたプラスチック板へケルヒャースチームクリーナー(ハンドブラシとカバーを装着)でスチームを10秒噴射したところ、除菌効果が確認されました(財団法人日本食品分析センター調べ)」とあります。

カビと除菌の試験の対象は床材とプラスチック板で、壁紙で試した結果は出てきません。

製品紹介のページには清掃対象の場所が30以上挙げられていますが、その中に壁紙もクロスも入っていません。「壁」という語が出てくるのは「浴室の壁や床」と「浴室の広い壁面」の2箇所だけで、どちらも浴室です。

シンコールはカビに別の方法を案内している

壁紙のカビについては、壁紙メーカー側に具体的な案内があります。

シンコールは「かびが発生してしまったら…」という項目で、「かび取り剤を使用して、かびをスポンジでこすり取ります。その後、消毒用アルコール※で拭き取るのが効果的です。壁紙によっては表面を破損することがありますので、目立たないところで一度試してください」としています。シンコールがカビに案内しているのは、かび取り剤と消毒用アルコールです。ここにスチームは出てきません。

そして、その方法でも解決しない場合について、こう続けています。「専門業者にご相談ください。下地に菌糸が入り込んでいた場合、アルコールで拭き取っても再発生するおそれがあります。」

表面の見た目が変わることと、カビそのものが無くなることは別だ、ということです。壁紙のカビの原因と、張り替えで直るのかについては、壁紙のカビは張り替えだけで直る?下地の防カビ処置と費用の目安を解説で解説しています。

それでも試す場合に、先に確かめること

ここまで読んでも、手元にスチームクリーナーがあるなら試してみたい、という場合はあると思います。使うなとは言えません。ケルヒャーも、壁紙への使用を禁止とは書いていません。

なお、まだ洗剤での掃除を試していない段階であれば、先にそちらから進めるほうが安全です。汚れの種類ごとの洗剤の選び方は、壁紙の掃除に使う洗剤はどれがいい?汚れ別の選び方と使ってはいけない洗剤の見分け方で解説しています。

ただ、試す前に確かめておくことがいくつかあります。

水拭きができない壁紙は、この時点で対象外

スチームは水分です。したがって、水拭きができない壁紙は、スチームクリーナーの対象から外れます。

日本の住宅で多く使われているビニール壁紙は水拭きができますが、織物や和紙のものは向きません。サンゲツは織物壁紙について「濡れたタオルや洗剤で拭き取るとシミの原因になります」としており、珪藻土壁紙については「力を入れて拭き取ると表面破損の原因になります」としています。

自宅の壁紙がどれにあたるか分からない場合は、スチームクリーナーを使うかどうか以前に、そこを先に確かめてください。見分け方は壁紙は水拭きしていい?ビニールクロスはOK、織物・和紙はNGな理由で解説しています。

つなぎ目・めくれている箇所には当てない

壁紙メーカー3社のうち2社が書いていたのが、つなぎ目から水分が入ると剥がれる、という点でした。

壁紙は幅90cm前後のロールを縦に並べて貼っていくため、部屋の壁には一定の間隔で縦のつなぎ目があります。普段は目立ちませんが、明るいところで斜めから見ると見つけられます。壁紙の縦のつなぎ目には、蒸気を当てないでください。

すでに端がめくれている箇所、浮いている箇所も同じです。めくれている箇所に蒸気を当てると、糊に影響して、剥がれが広がるおそれがあります。剥がすための道具として売られているのが、まさにこの働きです。

目立たないところで試す、というのはケルヒャー自身の指示

ケルヒャーの注釈は「目立たないところで試してからご使用ください」で終わっています。目立たないところで試す、というのはケルヒャー自身が書いている指示です。一般的な但し書きではなく、壁紙を名指しした文に付いています。

家具の裏、クローゼットの中、壁の下のほうなど、見えにくい場所で試してください。当てた直後だけでなく、乾いたあとにもう一度見ることが大事です。乾いてから、艶が変わる、わずかに膨れる、色が変わる、といった変化が出ることがあります。

距離についても、ケルヒャーが目安を書いています。「スチームは、ノズルの先端から15cmほど離れると急激に温度が下がりますので、温度を下げて使いたい場合は、ノズルの先端から洗浄物を離してご使用ください。」ノズルを押し当てるのと、離して当てるのとでは、壁紙に届く温度が変わります。同じ場所に当て続けないことも含めて、加減が要ります。

剥がれてしまったら、補修で戻るのか張り替えになるのか

すでに試してしまって、壁紙が剥がれた・膨れた、という状態でこのページに来た方もいると思います。ここからはその場合の話です。

3社とも部分補修の方法は案内している

まず、剥がれた壁紙を貼り直す方法は、壁紙メーカー3社とも案内しています。

リリカラは「剥がれた部分をめくり、下地の汚れをキレイに取り除きます」「市販の木工用水性接着剤(木工用ボンド)を剥がれた壁紙の裏面に塗り、手で押えるようにして十分に圧着してください」としています。

シンコールは「下地のゴミやホコリを取り除き、木工用水性接着剤で補修をしてください」、サンゲツは「部分的なはがれであれば、ゴミやホコリを取り除いた後、壁紙の裏に文具用の糊や木工用ボンドをはみ出さないように塗布して貼り付けます」です。

対処の方向は3社とも同じで、下地のゴミを取ってから木工用ボンドで圧着する、というものです。自分で直せる浮き・剥がれの条件と、業者に見てもらったほうがよい見分け方は、壁紙の浮きは自分で直せる?補修できる3条件と、業者に見てもらうべき浮きの見分け方で解説しています。

古い糊が残っていると再剥離、硬化していると補修できない

ただし、メーカー側は条件も付けています。

リリカラは、下地の処理についてこう書いています。「また下地に残っている古い糊は、紙ヤスリを使って落としてください。糊が残っていると接着力が弱くなり再剥離の原因になります。」剥がれた箇所の下地には、古い糊が残っていることがあります。下地に古い糊が残っていると、貼り直してもまた剥がれることがある、ということです。

もうひとつが、壁紙自体の経年です。サンゲツは「経時変化により壁紙が硬化している場合は部分的な補修では対応ができませんので、貼り替えをおすすめします」としています。リリカラも「古くなった壁紙は、劣化により、生地が縮んだり固くなるので、きれいに補修することができなくなります」と書いています。

張ってから年数が経った壁紙ほど、この状態に当たりやすくなります。めくれた部分を戻そうとしても、元どおりに納まらないことがあります。

張り替えは1面単位が基本

自分での補修で戻らない場合は、業者に頼むことになります。張り替え業者の中には、めくれた壁紙の貼り戻し程度の簡単な補修なら、1面の張り替えより安い料金を設けているところもあります。剥がれが1〜数箇所で周りの壁紙がまだきれいなら、張り替えずに傷んだ箇所だけを直すリペア業者(費用の目安は1万〜3万円程度)という方法もあります。それでも納まらない場合や、周りの壁紙も古くなっている場合は、張り替えになります。

壁紙はロール状のものを上から下へ貼っていくため、剥がれた部分だけを四角く切り取って貼り直すと、その継ぎ目と色の差が目立ちます。同じ品番の壁紙が手に入ったとしても、既存の壁紙は日焼けや汚れで色が変わっているため、新しいものを部分的に貼ると、そこだけ浮いて見えます。

このため張り替えの範囲は、壁の面で区切った1面単位が基本になります。

複数の箇所が気になっている場合は、まとめて依頼するほうが1箇所あたりの負担は小さくなります。職人の手配や現地への移動には、施工する面積に関係なく一定のコストがかかるためです。今の壁紙が張り替えどきの状態かどうかの見方は、壁紙の替えどきはいつ?築年数より見るべき「今の壁の状態」と見逃せない5つのサインで解説しています。

見積もりのときに「何を試したか」を伝える

現地調査を依頼するときには、これまでに何を試したかを伝えてください。

スチームクリーナーを当てたことは、隠さずに伝えてください。どのくらいの距離と時間で当てたか、そのあとどうなったか。剥がれたのか、膨れたのか、艶が変わったのか。乾いてから戻ったのか、戻らなかったのか。

伝えにくい気がするかもしれませんが、隠す必要はありません。下地に古い糊が残っているかどうかで、張り替えるときの下地の処理が変わります。伝えてあったほうが、見積もりの精度が上がります。

洗剤を試した経過があれば、それも合わせて伝えてください。中性洗剤まで試したのか、それより強いものを使ったのか。壁紙の表面の状態は、そこでも変わります。

そのうえで、張り替えるとしたらどの範囲になるのか、いくらくらいかかるのかを聞いてみてください。張り替えるかどうかの判断は、その金額を見てからでも遅くありません。

まとめ

ケルヒャーは、スチームクリーナー用のアクセサリーとして「壁紙はがし」を売っています。説明は「高温のスチームで糊を溶かし、壁紙を剥がしやすくします。」で、適合機種は家庭用の機種を含む7機種です。掃除に使っている機械と同じものに、別のノズルを付けたものです。

ケルヒャーは、掃除用の説明の注釈でも「熱に弱い材質、壁紙、プラスチックなどは変形・はがれなどの恐れがあります。目立たないところで試してからご使用ください」と、壁紙を名指ししています。使用禁止とは書かれていませんが、恐れがあることと、目立たないところで試すことの2つは明記されています。

壁紙メーカー3社のお手入れのページにも、サンゲツのメンテナンスの資料にも、スチームという言葉が一度も出てきません。書かれているのは、つなぎ目に水分が入ると剥がれの原因になること(シンコール、リリカラ)、濃色の壁紙に水分を含んだものを押し当てると色落ちのおそれがあることと、過度の湿気が剥がれの原因になること(サンゲツ)、熱風や高温になるものを近づけると変形や変色のおそれがあること(シンコール、サンゲツ)です。スチームは水分と熱を同時に与えるため、つなぎ目に当てると水分が入り込むおそれがあり、面にも熱による影響が及ぶ可能性があります。なお、壁紙が何℃まで耐えられるかという数値は、確認した壁紙メーカー3社とケルヒャーの資料にはありませんでした。

ヤニについては、ケルヒャー自身が「タバコのやに(壁などの素材に染み込んだ汚れは落とせません)」と括弧で限定しています。壁紙メーカーの側も、汚れ防止壁紙についてさえ「タバコのヤニや、時間が経ったしつこい汚れなどを完全に拭き取ることは困難です」としています。どちらの資料からも、蓄積したヤニ・染み込んだヤニほど落としにくくなる、という点は共通して読み取れます。

カビは「落ちない汚れ」に黒いカビとして挙げられています。製品紹介で打ち出されているカビ対策は浴室のピンクカビで、根拠となる試験の対象は、床材に付着させたカビ胞子と、菌液を滴下・乾燥させたプラスチック板です。壁紙で試した結果は出てきません。

試す場合は、自宅の壁紙が水拭きできるものかを先に確かめ、つなぎ目とめくれている箇所を避け、目立たないところで試して、乾いてからもう一度見てください。ノズルを押し当てないこと、同じ場所に当て続けないことも大事です。そのうえで落ちなければ、それ以上当て続けないでください。染み込んだヤニや黒カビのように、ケルヒャー自身が落とせないとしている汚れであれば、なおさらです。

すでに剥がしてしまった場合は、木工用ボンドでの部分補修が3社とも案内されています。ただし下地に古い糊が残っていると再剥離しやすく、壁紙が硬化していると補修では戻りません。汚れが落ちなかった場合も、剥がれが補修で戻らなかった場合も、そこから先は落とし方や貼り直し方を探すより、業者に見てもらい、補修で直せるのか、張り替えるならどの範囲になっていくらかかるのかを確かめてみてください。範囲は1面単位が基本で、気になっている箇所をまとめて依頼すれば1箇所あたりの負担は小さくなります。金額が分かれば、この先どうするかを決めやすくなります。

壁紙にスチームを当ててよいか迷っている、あるいは当てても落ちなかった・剥がれてしまったという場合は、電話1本でご相談いただけます。張り替えるとどの範囲・いくらになるかも、無料の現地調査・お見積もりでそのままお答えします。

電話が難しい方はでもご相談いただけます。


この記事の執筆者

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氏名:松田郁幾
実績:壁紙張り替えを中心に、これまで多くのお客様・職人と関わってきました。
この記事について:現場で見聞きした実例をもとに、誇張せず、実践的な視点で解説しています。

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