
家の中を見回していて、壁紙の一部の色が周りと違っていることに気づく。黄ばみとも違う、青っぽいような、茶色っぽいような、あるいは白く抜けたような色。拭いてみても戻らず、「何が起きているのだろう」「自分の掃除のやり方がまずかったのだろうか」と気になって調べている方も多いと思います。
先に結論をお伝えします。壁紙の変色には、壁紙メーカーが資料の中で名指ししている決まった原因がいくつかあります。サンゲツは「壁紙は単体で変色することはありません」とし、変色する場合は外部の環境の影響を受けている、と説明しています。メーカーの資料に挙がっているのは、粘着テープ、薬品や化粧品、直射日光、暖房器具などの熱、家具の塗料やベニヤの色素、洗剤や漂白剤、タバコの煙や油煙などです。これに、湿気によるカビや、雨漏り・結露による水の跡が加わります。原因によって、掃除を試す余地があるか、張り替えるときに何を確かめるかが変わるので、まずは自分の家の変色がどれに近いかの見当をつけることが近道になります。
見当をつける手がかりは、変色の色と、出ている場所・形です。黄色っぽい変色(手垢・日焼け・ヤニ)は別の記事で詳しく扱っているので、この記事では黄色以外の変色と、原因が一見して分からない変色を中心に整理します。
この記事を読むと、次のことが分かります。
- 壁紙メーカーが変色の原因として挙げているもの(粘着テープ・薬品や化粧品・直射日光・熱)と、黄色っぽい変色の扱い
- 色と場所から原因の見当をつける目安(青っぽい・黒っぽい、茶色っぽい・輪のような跡、白っぽく色が抜けた、線や四角い形、ピンクがかった変色)
- 掃除で戻る見込みがあるか、張り替えが必要かの考え方と、張り替えのときに下地の処理が関わる変色
- 原因が分からない、いくつも重なっているときに、現地調査で伝えておきたいこと
読み終えるころには、自分の家の変色について、次に何をすればよいかが見えてくるはずです。
変色の色や出ている場所から原因を絞りにくい方は、電話でお尋ねいただくこともできます。変色の様子や、これまでに試したことを伺い、確かめておきたいことをご案内します。見積もり・現地調査は無料です。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
壁紙メーカーが「変色の原因」として挙げているもの

壁紙の色が変わると、壁紙そのものが古くなって勝手に色が変わったように感じるかもしれません。ですが、壁紙メーカーのサンゲツは、メンテナンスの資料の「変色」という項目で、「壁紙は単体で変色することはありません。変色する場合にはなんらか外部環境の影響を受けており、メンテナンスで変色部分を取り除くことが困難な場合があります」と書いています(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。
つまり、変色にはたいてい、壁紙の外から来た何かがあります。何年もかけて少しずつ色が変わった場合も、日差しや空気中の汚れといった外からの影響が積み重なった結果と考えられます。この節では、壁紙メーカーの資料に実際に出てくる原因を整理します。
3社の資料にそろって出てくる4つ:粘着テープ・薬品や化粧品・直射日光・熱
壁紙メーカーのシンコールは、お手入れのページに「壁紙の変色を防ぐには」という項目を設け、次の4つを挙げています(出典:シンコール「壁紙(クロス)お手入れ」)。
- 粘着テープを貼らない
- 化粧品や薬品(殺虫剤など)を付けない
- 直射日光を当てない
- 暖房器具や電子レンジなどを近づけない
この4つは、サンゲツとリリカラの資料にもそろって出てきます。サンゲツは、粘着テープについて「粘着テープ(セロハンテープ、ガムテープ、シールなど)を壁紙に貼ると、テープの粘着剤が壁紙に移行し変色や汚れの原因となります。特にゴム系粘着剤は変色が起こりやすいためご注意ください。」と書き、殺虫剤や塗料などのスプレー式の薬品・化粧品・傷薬・口紅についても「種類によっては付着した色が落ちなくなったり壁紙が変色したりすることがあります」としています。直射日光は「変色や退色するおそれ」、ストーブなどの暖房設備の熱風は「変色のおそれ」がある、という書き方です(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。
リリカラも、取扱上の注意で、熱によって「壁紙が変形・変色することがあります」とし、ストーブなどの熱風が直接当たる場所や、キッチンのレンジ、ダウンライトのすぐ近くを挙げています。粘着テープと薬品・化粧品も変色の原因として挙げ、直射日光については「紫外線によって壁紙の色あせや劣化がすすみやすくなります」と書いています(出典:リリカラ「取扱上の注意」)。
粘着テープ、薬品や化粧品、直射日光、熱による変色は、どれも暮らしの中で知らないうちに起きるものです。カレンダーやメモを留めたテープ、壁の近くで使ったスプレー、カーテンを開けたままの窓際、冬のあいだ同じ場所に置いていたストーブ。思い当たるものがあれば、それが変色の手がかりになります。
このほか、資料には、家具の塗料やベニヤの色素が壁紙に移って変色すること(サンゲツ・リリカラ)、壁紙の表面に残った洗剤が変色の原因になること(サンゲツ・シンコール)、漂白剤や有機溶剤で変色するおそれがあること(サンゲツ)も書かれています。これらは、次の節で色ごとに見ていきます。
黄色っぽい変色は、手垢・日焼け・ヤニを先に疑う
黄色っぽい変色については、メーカーの資料にも記述があります。サンゲツは「タバコの煙やキッチンの油煙などは壁紙を黄変させ、汚れがとれなくなることがあります」とし(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)、リリカラも、タバコの煙やキッチンの油煙は「壁紙を黄色く変色させ」ると書いています(出典:リリカラ「取扱上の注意」)。
住まいの黄ばみでは、手が触れる場所にたまる手垢・皮脂、窓際や日の当たる面に出る日焼け、部屋全体や天井に出るタバコのヤニの3つが、まず考えられる原因です。手垢・日焼け・ヤニは、黄ばみの正体も、掃除で試せることも違います。場所と広がり方から3つを見分ける方法と、掃除で落ちなかったときの選択肢は、壁紙の黄ばみの原因は?手垢・日焼け・ヤニの見分け方と、掃除で落ちなかったときの選択肢で詳しく扱っています。黄色っぽい変色が気になっている場合は、先にこちらを読むと判断がつきやすくなります。
この記事では、ここから先、黄色以外の変色と、原因が一見して分からない変色を中心に見ていきます。
色と場所から原因の見当をつける

変色に気づいたら、拭いたり洗剤を試したりする前に、色と場所、形を少し観察しておくと、原因の見当をつけやすくなります。ここで挙げるのは、あくまで見当をつけるための目安です。同じような色でも原因が違うことはありますし、原因が1つとは限りません。見た目だけで原因を言い切ることはできない、という前提で読んでください。
青っぽい・黒っぽい変色:湿気のこもる場所ならカビの可能性
青みがかった、あるいは黒っぽい点が集まっていたり、ぼんやりと広がっていたりする変色は、カビの可能性があります。北向きの部屋の外に面した壁、窓の周り、押入れやクローゼットの中、家具を壁にぴったりつけていた場所など、湿気がこもりやすい場所に出ているなら、なおさらです。サンゲツは、家具と壁紙の間に空間の余裕をとるよう勧め、それが「結露やかび発生の防止にもなります」と書いています(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。
カビで気をつけたいのは、表面に見えている部分だけでは状態が分からないことです。サンゲツは、カビが「壁紙表面だけに発生している場合」は早めに消毒用アルコールで拭き取るのが効果的としています(壁紙の種類によっては表面が損傷する場合があるので、目立たないところで試してから、とも添えています)。その一方で、「壁紙内部に達している場合や大量に発生してしまった場合は落とすことが困難です」として、専門業者への相談を勧めています(出典:同上)。カビは、表面だけに生えていることもあれば、壁紙の裏や下地の石膏ボードまで届いていることもあります。カビが表面だけか下地まで届いているかは、見た目では区別がつきません。表面を拭いて薄くなったように見えても、下地にカビが残っていれば、湿気の条件がそろったときに同じ場所にまた出ることがあります。
一方で、青っぽい変色がカビとは限りません。デニムのような色の濃い布製品や、クッション、ソファなどが長く触れていた場所なら、その物の色が壁紙に移ったことも考えられます。物の形や位置と変色の形が重なるかどうかが、見分ける手がかりになります。
カビが疑われる場合は、強い薬剤でこすり続けるより、張り替えるかどうかも含めて、下地の状態を確かめてもらうことを考えてみてください。張り替えでカビに対して必要になる下地の処置と費用の目安は、壁紙のカビは張り替えだけで直る?下地の防カビ処置と費用の目安を解説で扱っています。黒ずみがカビか、ホコリ・手垢の蓄積か、エアコン周りの汚れかの見分け方と掃除の範囲は、壁紙の黒ずみの原因は?カビ・手垢・エアコン周りの汚れの見分け方と、掃除で落ちないときの選択肢で整理しています。
茶色っぽい変色・輪のような跡:水の跡、家具の色素、ベニヤのアク
茶色っぽい変色は、原因の候補がいくつかあります。場所と形で分けて考えると、見当がつきやすくなります。
天井や天井に近い壁、窓の下やサッシの周りに、縁が濃い茶色の輪のような跡が出ているなら、雨漏りや上の階からの水漏れ、結露で水が回った跡のことがあります。雨のあとに濃くなる、触ると湿っている、前より広がっている、という変化があれば、今も水が入ってきている可能性があります。水が回った跡なら、張り替えより先に、水の入り口を確かめて直すことが順番です。なお、壁紙の張り替え業者の多くは、雨漏りの修理そのものまではしません。修理は屋根や外壁、設備の業者に頼むことが多いものです。マンションで上の階からの水漏れが疑われる場合は、まず管理会社や管理組合に知らせて、上の階の部屋や共用部分の配管を確認してもらうことになります。原因が上の階にありそうでも、自分の火災保険が候補になることがあるので、張り替える前に保険会社や代理店にも連絡しておくと、被害の状況を確かめてもらいやすくなります。
水の跡について、詳しくは次の記事で扱っています。
- シミの見分け方と、張り替えの前にすべきこと:壁紙のシミの原因は?雨漏り・結露・カビ・ヤニの見分け方と、張り替えの前にすべきこと
- マンションの水漏れで、費用を誰が持つかと張り替えの順番:マンションの水漏れで壁紙が傷んだら、費用は誰が持つ?自分・上の階・管理組合の保険の違いと張り替えの順番
家具を動かしたら、家具が当たっていた場所のほうが茶色っぽく、あるいは黄色っぽく変わっていた、という場合は、家具からの色移りが考えられます。サンゲツは「家具の塗料やベニヤに含まれる色素により、壁紙が変色することがあります」と書き(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)、リリカラも「家具の塗料や材料であるベニヤの色素が壁紙に移行することによって、変色を起こす場合があります」としています(出典:リリカラ「取扱上の注意」)。家具の跡が周りより白いなら日焼けで周りの色が変わった可能性、周りより色が濃いなら家具の色素が移った可能性、と考えると、原因が逆になることが分かります。家具や布製品から壁紙に色が移った場合の考え方は、壁紙の色移りの落とし方|キッチンハイターがNGな理由と張り替えに切り替える4つのサインで扱っています。
押入れやクローゼットの中など、壁紙の下地がベニヤ板になっている場所に、黄色〜茶色のシミがにじんだように出ている場合は、ベニヤに含まれる成分(アク)が壁紙の表に出てきていることがあります。ベニヤ下地に壁紙を貼るときは、アクを抑える下地の処理(アク止め)が必要になります。アクで変色が出る理由と、見積もりで確かめたいことは、ベニヤ板に壁紙は貼れる?アク止めを省くと黄色〜茶色のシミが出る理由と、見積もりで聞く一言で扱っています。
部屋全体や天井がムラなく茶色っぽくなっている場合は、タバコのヤニや、長い年月のうちに積み重なった汚れも考えられます。ヤニは下地まで染み込むことがあり、掃除でどこまで取れるかも状態によります。張り替えに切り替える目安と、見積もりで確かめたいことは、壁紙のヤニ・タバコ汚れは掃除で落ちる?張り替えに切り替える4つのサインと見積もりの確認点で扱っています。黄色っぽさが強い場合は、前の節で紹介した黄ばみの見分け方もあわせて見てください。
白っぽく色が抜けた変色:漂白剤・除菌剤・洗剤の拭き残し
壁紙の一部だけが白っぽくなった、色が抜けたように見える。こうした白っぽい変色は、掃除や除菌の際に使ったものが関わっていることがあります。表面が傷んだ擦れ跡や、日焼けのこともあるので、あわせて見分けます。
サンゲツは、汚れが付いたときのお手入れについて「有機溶剤、漂白剤、研磨剤は使用しないでください。劣化促進・変色・破損のおそれがあります」と書いています。また、消毒用アルコールや次亜塩素酸水などで除菌した場合は、拭き残しがないように拭き取るよう求め、「退色や変色の恐れがあります」としています。中性洗剤を使ったあとも、「壁紙表面に残った洗剤は変色の原因になります」として、真水かぬるま湯で拭き取るよう案内しています(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。シンコールも、洗剤の拭き残しは変色の原因になるとしています(出典:シンコール「壁紙(クロス)お手入れ」)。
汚れを落とそうとして漂白剤を使った場所、除菌のためにスプレーして拭いた場所、ドアノブやスイッチの周りのように何度も洗剤や除菌剤で拭いてきた場所が白っぽくなっているなら、こうした原因が考えられます。色の濃い壁紙では、サンゲツは、過度にこすったり水分を含んだものを押し当てたりすると「表面の色が落ちたり色が移るおそれがあります」とも書いています(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。
一方、家具や椅子の背、掃除機が当たる場所や、強くこすってきた場所が白っぽく毛羽立っている、テカって見える、という場合は、薬剤による変色ではなく、摩擦で表面が傷んだ擦れ跡のこともあります。汚れとの見分け方と直し方は、壁紙の擦れ跡は掃除で戻らない?汚れとの見分け方と、直し方3つ・費用の目安で扱っています。
なお、窓際の面だけが全体的に色あせている場合は、日焼け(直射日光による退色)のことが多く、掃除の影響とは分けて考えます。日焼けの見分け方や、掃除・漂白で戻るのかは、壁紙の日焼けは掃除・漂白で戻る?ヤニとの見分け方と部分張替えで色が合わない理由で詳しく扱っています。漂白剤を使ってしまった場合の考え方は、壁紙に漂白剤は使える?サンゲツは名指しで「使用しないで」、ハイターも用途は衣料にまとめています。
線や点、四角い形の変色:粘着テープや接着剤の跡
カレンダーやポスター、メモなどを留めていた場所に、テープの形どおりの線や四角い跡が残っている場合は、テープの粘着剤が壁紙に移ったことによる変色が考えられます。先ほどのとおり、3社とも粘着テープを変色の原因として挙げています。テープを剥がしたときに壁紙の表面が一緒にめくれてしまうこともあり、メーカーは剥がすときの破損にも注意を促しています。そうして壁紙が剥がれたり破れたりした場合の直し方は、壁紙がテープで剥がれたら?剥がれ・破れ・下地の傷みの3つで変わる直し方と費用で扱っています。
壁紙が剥がれたところを接着剤で貼り戻した跡が変色している、ということもあります。シンコールは、貼り戻しの際に接着剤がはみ出た場合は十分に拭き取るよう求め、「放置すると、接着剤にホコリがついて固まったり、変色の原因になります」と書いています(出典:シンコール「壁紙(クロス)お手入れ」)。
また、壁紙の継ぎ目に沿って線のように黄ばみやテカりが出ている場合は、張り替えたときに付いた糊の拭き残しが、時間とともに変色したものかもしれません。
ピンクがかった変色:確かめたメーカー3社の資料には記述が見当たらない
ピンクや赤っぽい変色について調べている方もいると思います。ですが、今回確かめた壁紙メーカー3社の資料には、ピンクの変色に特有の記述は見当たりませんでした(サンゲツ・シンコール・リリカラ)。
湿気の多い場所に出ているのであれば、カビに類するものの可能性も考えられますが、資料で裏付けられる話ではありません。はっきりしない場合は、自己判断で薬剤を試すより、現地で状態を確認してもらうほうが確実です。
掃除で戻るか、張り替えが必要か
原因の見当がついたら、次は「掃除で戻せるのか、張り替えるしかないのか」が気になるところです。ここでは、掃除でどこまで落ちるかを言い切るのではなく、考え方の目安を整理します。実際にどこまで戻るかは、変色の原因や時間のたち方、壁紙の種類によって変わります。
表面に付いたものか、壁紙そのものの色が変わったか
目安になるのは、変色が「壁紙の表面に何かが付いたもの」か、「壁紙そのものの色が変わったもの」か、という分け方です(その中間のものもあります)。
表面に付いた汚れ(手垢、付いたばかりの汚れ、表面のホコリなど)は、掃除を試す余地があります。一方、日焼けや熱による変色、漂白剤や除菌剤による色抜けは、壁紙そのものの色が変わっているので、掃除で元の色に戻すことは期待しにくいものです。サンゲツが「メンテナンスで変色部分を取り除くことが困難な場合があります」と書いているのは、このことを指していると読めます。テープの粘着剤や家具の色素が移ったものは、外から付いたものですが、時間がたったものは、掃除でどこまで薄くなるかが状態によって変わります。
掃除を試すなら、壁紙メーカーが案内している方法の範囲にとどめるのが無難です。汚れが付いたときにメーカーが案内しているのは、固く絞った布での水拭きと、それで落ちなければ薄めた中性洗剤が基本で、壁紙の種類や汚れによっては消毒用アルコールも挙げられています。使ったあとは、洗剤や水分が残らないよう拭き取ります。ここで落ちないからといって、漂白剤や強い洗剤に持ち替えると、それ自体が新しい変色の原因になることがあります。汚れの種類の見分け方と、弱い方法から順に試す考え方は、壁紙の汚れ落としは何から試す?7つの汚れの見分け方と、弱い方法から順に試す理由で扱っています。
掃除で戻らなかったときの選択肢
掃除で戻らなかった変色を直すには、業者に頼む方法として、大きく分けて2つあります。
1つは、張り替えです。張り替えでは古い壁紙ごと剥がして新しくするので、変色そのものを消すための特別な処理は、基本的には要りません(下地の処理が関わる変色は、あとの項で整理します)。費用を左右するのは、張り替える面積と壁紙のグレードです。ただし、変色した部分だけを小さく張り替えるのは、あまり向いていません。壁紙は幅約90cmのロールを上から下へ貼り継いでいくので、一部分でも継ぎ目の位置で区切って最低1枚分になり、職人が来て養生し、片づけて帰る手間は1面の張り替えとそれほど変わりません。多くの業者は、こうした手間を踏まえて最低料金を4万〜6万円程度に設定しています。また、周りの壁紙も年月とともに色が変わっているので、同じ品番を貼っても新しい部分だけが浮いて見えることがあります。そのため、張り替えは壁の面で区切った1面、あるいは部屋単位で考えるのが基本になります。部分的に張り替える方法と、その費用や色の注意点は、壁紙の部分張り替えはできる?最低1枚分になる理由と、1面張り替えと比べた費用・色の注意点で扱っています。
もう1つは、張り替えずに傷や汚れの箇所だけを直す、壁紙のリペア業者に頼む方法です。傷んだ箇所を部分的に貼り直したり塗装したりして目立たなくするもので、漂白で抜けた色のような変色も対象になりえます。目安は、下地に傷みがない場合で1万〜3万円程度です。ただ、どこまで目立たなくできるかは状態により、直しても近くで見ると分かることがあります。変色が1〜数箇所で周りの壁紙がきれいならリペア、変色が広い・ほかの場所も同じように色が変わっている・張り替えの時期も近いなら張り替え、というように、範囲と周りの壁紙の状態で比べてみるとよいでしょう。
このほかに、ハウスクリーニングを頼むという手もあります。ただ、クリーニングは汚れを落とすサービスなので、日焼けや色抜けのように壁紙そのものの色が変わった変色には向きません。
張り替えを選んだ実際の例として、普段使っていない6畳の洋室で、奥の壁の下半分に黄色から茶色のシミが広がっていた壁を含めて、部屋の壁全面を量産クロスで張り替えた施工事例を、【施工事例】愛知県知多郡美浜町:使っていない洋室の壁紙を張り替え|シミのある壁を量産クロスで一新で紹介しています。
張り替えのときに、下地の処理が関わる変色
変色の原因によっては、新しい壁紙を貼る前に、下地の状態を確かめたり、処理を加えたりすることがあります。見積もりのときに確かめておきたい点を、原因ごとに整理します。
- タバコのヤニ:ヤニが下地に残っていると、新しい壁紙の表面へにじみ出てくることがあるため、張り替えの前にシーラーを塗って下地を整えます。見積もりのときに、その処理が入っているかを確かめておきます。
- 水の跡(雨漏り・結露):水の入り口を先に直し、下地が乾いてから貼ることが前提です。下地に水の跡が残っている場合、そのまま貼るとシミがぼんやり浮いてくることがあるので、見積もりのときに「シミが浮いてこないような下地の処理は入りますか」と聞いておくと安心です。下地の石膏ボードが水を吸ってふやけていれば、補修や交換が必要になることもあります。
- ベニヤのアク:ベニヤ下地には、アクを抑えるアク止めの処理が必要です。見積もりに含まれているかを確かめておきます。
- カビ:表面だけか下地まで届いているかは見た目では区別がつかないので、現地調査で下地の状態を確かめてもらい、防カビの処理を含めた施工にするかを相談します。カビが出た原因が結露や水漏れなら、その対策も一緒に考えます。
一方、粘着テープの跡や日焼け、漂白剤による色抜け、家具からの色移りのように、原因が下地まで及んでいない変色は、古い壁紙ごと剥がして新しくすることで、基本的には解消できます。
原因が分からない・いくつも重なっているときは、現地で見てもらう
ここまでの見方に当てはめても、原因が絞れないことはあります。窓際でタバコを吸う方がいる部屋のように、日焼けとヤニが重なっていることもありますし、湿気の多い部屋の家具の裏では、色移りとカビが重なっていることも考えられます。自分では見分けがつかないときは、現地で壁の状態を見てもらうと、判断の手がかりが増えます。
現地調査で確かめること
現地調査では、変色の色や広がり方だけでなく、壁を手で押したときの感触、継ぎ目や角のひび、表面のカビや変色、膨らみや浮きがないかといった点を確かめるのが一般的です。カビや水の跡が疑われる場合は、必要に応じて壁紙の一部を切り開き、下地の状態を直接確認することもあります。下地の傷みは、原則として現地調査のときに業者が見当をつけ、費用も見積もりのとおりに収まります。現地調査で「剥がしてみないと分からない部分がある」と言われたときは、傷んでいた場合に追加でどのくらいかかるかの目安を、剥がす前に聞いておくと安心です。
伝えておくと話が早いこと
相談するときは、次のようなことを伝えておくと、原因の見当をつけやすくなります。
- 変色の色と形、出ている場所(天井か、窓の周りか、家具の裏か、手が触れる場所か)
- いつごろ気づいたか、広がっているか、雨のあとに濃くなるか
- 変色した場所に、テープを貼っていた、家具を置いていた、ストーブを使っていた、といった心当たりがあるか
- 掃除で何を試したか(水拭き、中性洗剤、漂白剤、除菌スプレーなど)
掃除で試したことは、隠す必要はありません。張り替えでは古い壁紙ごと剥がしますし、何をどのくらい試したかが分かると、表面や糊の状態から下地の見立てをするときの助けになります。気づいた時点で変色の写真を撮っておくと、広がっているかどうかを自分でも比べられ、相談のときにも様子を伝えやすくなります。
変色に気づいてほかの壁を見てみると、同じように色が変わっている場所や、継ぎ目の開き、浮きなど、別の変化にも気づくことがあります。気になる場所がいくつかあるなら、まとめて見てもらうと、張り替えるかどうかを場所ごとに比べながら決めやすくなります。変色のほかに見ておきたい替えどきのサインは、壁紙の替えどきはいつ?築年数より見るべき「今の壁の状態」と見逃せない5つのサインで扱っています。
まとめ
壁紙の変色について、原因の見当のつけ方と、その後の考え方を整理します。
- サンゲツは「壁紙は単体で変色することはありません」としており、変色にはたいてい外からの原因がある
- 壁紙メーカー3社の資料にそろって出てくるのは、粘着テープ、薬品や化粧品、直射日光、暖房器具などの熱の4つ。家具の色素、洗剤の拭き残し、漂白剤なども資料に挙がっている
- 黄色っぽい変色は、手垢・日焼け・タバコのヤニを先に疑う
- 青っぽい・黒っぽい変色は、湿気のこもる場所ならカビの可能性。表面だけか下地まで届いているかは見た目では分からない。布製品などの色移りのこともある
- 茶色っぽい変色は、輪のような跡なら水の跡、家具の裏なら家具の色素、ベニヤ下地ならアクが考えられる。水の跡は、張り替えより先に水の入り口を直す
- 白っぽく色が抜けた変色は、漂白剤や除菌剤、洗剤の拭き残しが関わっていることがある。毛羽立ちやテカりを伴うなら擦れ跡のことも。窓際の面だけの色あせは日焼けのことが多い
- 線や四角い形の変色は、粘着テープや接着剤の跡のことがある
- ピンクがかった変色は、確かめたメーカー3社の資料には記述が見当たらない。決めつけずに現地で確かめてもらう
- 壁紙そのものの色が変わった変色は、掃除で戻すことは期待しにくい。テープの粘着剤や家具の色素のように外から付いたものも、時間がたつと、どこまで薄くなるかは状態による。掃除はメーカーの案内(水拭きと中性洗剤が基本)の範囲にとどめる
- 戻らないときは、張り替え(1面や部屋単位が基本)か、リペア業者に部分的に直してもらう方法がある
- 張り替えるときは、ヤニ・水の跡・ベニヤのアク・カビのように下地の処理が関わる変色かどうかを、見積もりで確かめる
変色は、色と場所を見れば、何が起きているかのおおよその見当がつくことが多いものです。見当がついたら、その原因を扱った記事で、掃除でどこまで試せるか、張り替えるなら何を確かめるかを確認してみてください。原因が重なっていて見分けがつかない、掃除で戻らない、という場合は、電話か問い合わせフォームで現地調査を頼み、壁の状態を見てもらうのが次の一歩になります。
変色の原因が分からない方や、掃除で戻らず張り替えも考えたい方は、電話でご相談ください。変色の様子や、ほかに気になっている場所を伺い、現地調査で壁と下地の状態を見たうえで、張り替える範囲をご案内します。雨漏りが疑われる場合は、その修理の手配もあわせてご相談いただけます。見積もり・現地調査は無料です。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
この記事の執筆者

氏名:松田郁幾
実績:壁紙張り替えを中心に、これまで多くのお客様・職人と関わってきました。
この記事について:現場で見聞きした実例をもとに、誇張せず、実践的な視点で解説しています。



