
スイッチの周りや廊下の壁が、いつの間にか黒っぽくくすんでいる。部屋の隅や窓の近くに、ぼんやりした黒い汚れが広がっている。家で過ごす時間が増えると、こうした壁紙の黒ずみがふと目につくようになるものです。「拭けば落ちるのだろうか」「もしかしてカビだろうか」と気になって調べている方も多いと思います。
先に結論をお伝えします。壁紙の黒ずみの原因として主に考えられるのは、カビ、ホコリや手垢が長い時間をかけて重なったもの、換気口やエアコンの周りに集まった汚れの3つです。「黒ずみ」は黒っぽく見えるという見た目の呼び名で、原因を1つに決める言葉ではありません。黒い汚れだからといってすべてがカビとは限らず、反対に、ホコリがたまったまま湿気を吸うとカビの原因にもなる、と壁紙メーカーのサンゲツは案内しています。原因が違えば、掃除でどこまで試せるかも、試しても気になるときの次の一歩も変わります。そのため、洗剤を替える前に、まず自分の家の黒ずみが3つの原因のどれに近いかの見当をつけることが近道です。
見当をつける手がかりになるのは、黒ずみが出ている場所と広がり方です。
この記事を読むと、次のことが分かります。
- 黒ずみの3つの原因(カビ、ホコリ・手垢の蓄積、換気口・エアコン周りの汚れ)と、それぞれが出やすい場所
- カビかどうかを見分ける3つの手がかり(範囲の広さ、拭いたあとにまた出てくるか、湿気のこもる場所か)と、換気口・エアコン周りの黒ずみで気をつけたいこと
- 掃除で試せる範囲(乾拭き、水拭き、薄めた中性洗剤。カビなら表面だけの場合の消毒用アルコール)と、漂白剤などに持ち替えないほうがよい理由
- 掃除で落ちない・繰り返し出るときの選択肢(隠す・クリーニングを頼む・張り替える)と、カビが原因のときに張り替えと一緒に確かめたいこと、張り替えるなら面単位になる理由
読み終えるころには、自分の家の黒ずみについて、次に何をすればよいかが見えてくるはずです。
黒ずみの原因に見当がつかない方や、掃除をしても気になる方は、電話でお尋ねいただくこともできます。黒ずみが出ている場所や広がり方、これまでに試した掃除を伺い、張り替えを考える場合に確かめておきたいことをご案内します。見積もり・現地調査は無料です。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
壁紙の黒ずみ、まず考えられる3つの原因

壁紙が黒っぽくなる原因はいくつかありますが、住まいでよく見られるのは、カビ、ホコリや手垢の蓄積、換気口やエアコンの周りに集まった汚れの3つです。見た目はどれも「黒ずみ」ですが、何が付いているのか、なぜその場所に出たのかが違います。
カビによるもの:湿気がこもりやすい場所に出やすい
北向きの部屋の外に面した壁、窓の周り、押入れやクローゼットの中、家具の裏など、空気がこもって湿気がたまりやすい場所に出る黒ずみは、カビの可能性があります。黒っぽい点が集まっていたり、点がつながってぼんやりと黒く広がっていたりするのが、よく見られる出方です。
サンゲツは、結露や過度の湿気は「シミ・剥がれ・かび発生の原因」になるとし、カビの発生は「建物の構造や環境に大きく影響を受けます」と書いています(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。つまり、カビの黒ずみは壁紙そのものより、その場所の湿気や空気の流れと深く関わっています。
カビは見た目だけの問題ではありません。サンゲツは同じ資料で、カビは「アレルギーやぜんそくなど、病気の原因になることがありますので注意が必要です」としています。必要以上に怖がることはありませんが、カビかもしれない黒ずみを長く放っておかないほうがよい、と考えておくとよいでしょう。
ホコリ・手垢の蓄積によるもの:手が触れる場所や凹凸のある壁紙に出やすい
照明のスイッチの周り、ドアノブの横、廊下や階段の手すりの高さなど、人の手がよく触れる場所に出る黒ずみは、手垢が重なったものであることが多いものです。毎日何度も手が触れるたびに、皮脂や汚れが少しずつ壁紙の表面に重なり、それが黒っぽいくすみとして見えてきます。範囲は手の届く高さや手をつきやすい位置に集まり、同じ部屋でも手が触れない場所はきれいなまま、という出方をします。手垢をどこまで掃除で試してよいか、落ちなかったときに張り替えを考える目安は、壁紙の手垢の落とし方|メーカーの案内は中性洗剤まで、張り替えを検討する4つのサインで詳しく扱っています。
もう1つが、ホコリです。サンゲツは、ホコリや塵は静電気で壁に付着する性質があり、「表面の凹凸にホコリがたまりやすく、放置するとホコリが湿気を吸い取りかび発生の原因にもなります」と書いています(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。サンゲツのお手入れのページでも、表面の凹凸が激しい壁紙はホコリがたまりやすいとしています(出典:サンゲツ「壁紙のお手入れ方法」)。凹凸の深い壁紙が全体にうっすら灰色っぽく見える、凹みの部分だけが黒く筋のように見える、という場合は、たまったホコリがその一因になっていることがあります。
また、サンゲツは冷蔵庫やテレビ、電子レンジなどの家電と壁紙の間に空間の余裕をとるよう勧め、静電気で「埃が付着しやすくなり、壁紙が汚れる原因となります」としています。家電を置いている場所のすぐ後ろや周りだけが黒っぽい場合も、このホコリの汚れが考えられます。
ホコリと手垢の黒ずみは、どちらも長い時間をかけて少しずつ濃くなるので、ある日急に気づくことが多いという点で共通しています。そして、ホコリが湿気を吸えばカビの原因にもなるので、この2つとカビは、きれいに分かれるとは限りません。
換気口・エアコン周りの汚れによるもの:風が当たる場所に汚れが集まる
エアコンの吹き出し口の近くや換気扇の周り、壁に付いた換気口(給気口)の周りなど、風が当たる場所に黒ずみが出ることもあります。
サンゲツは、エアコン・換気扇について「風があたる箇所や機器周り等は汚れが集中しやすく、こまめにハタキ掛けや拭き掃除等をおすすめします」と書いています(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。サンゲツが名前を挙げているのはエアコンと換気扇ですが、壁の換気口も空気が出入りする場所です。こうした場所では、風の当たる範囲に汚れやホコリが集まりやすく、それが重なると、換気口の周りを囲むように、あるいは吹き出し口から風が流れる向きに沿って、黒ずみとして見えてくることがあります。
この出方は、手垢のように手が触れる高さとは関係がなく、カビのように湿気のこもる場所とも限らないのが特徴です。黒ずみが風の出入りする場所を中心に出ているなら、風で集まった汚れの可能性が高くなります。
場所と広がり方で見分ける

3つの原因の特徴が分かったところで、実際の黒ずみを場所と広がり方に当てはめてみましょう。特に気になるのは、カビかどうかだと思います。
カビかどうかを見分ける3つの手がかり
黒ずみを見るときは、まず次の3つを確かめてみてください。
- 範囲の広さ:黒い点が集まって、少しずつ範囲が広がっていないか。同じ部屋のほかの壁や、家具の裏、押入れの中など、似た条件の場所にも出ていないか
- 拭いたあとにまた出てくるか:一度拭いて薄くなったのに、しばらくすると同じ場所にまた黒ずみが出てくることがないか
- 湿気のこもる場所か:北向きの外壁側、窓の周り、結露しやすい場所、家具を壁にぴったりつけている場所、押入れやクローゼットの中など、空気が動きにくく湿気がたまりやすい場所か
当てはまるものが多いほど、カビを疑う理由が増えます。反対に、スイッチの周りやドア脇など手が触れる高さだけに出ている、換気口やエアコンの周りの風が当たる範囲に集まっている、という場合は、それぞれ手垢、換気口・エアコン周りの汚れの可能性が高くなります。
ただし、これは見当をつけるための目安で、見た目だけでカビかどうか、どこまで広がっているかを決めることはできません。カビは、壁紙の表面だけに生えていることもあれば、壁紙の裏側やその下の下地(石膏ボードなど)まで届いていることもあり、見た目では区別がつきません。表面を拭いて薄くなったように見えても、裏側に残っていたり、原因の湿気がそのままだったりすると、同じ場所にまた出ることがあります。
また、原因が1つとは限らない点にも気をつけたいところです。たとえば、家具の裏にたまったホコリが湿気を吸ってカビの原因になる、手垢の黒ずみがある壁の隅にカビが出ている、というように、同じ壁で原因が重なることもあります。「この辺りは手垢、この隅はカビかもしれない」と、場所ごとに見ていくと判断しやすくなります。
なお、黒っぽいというより黄色っぽく変わっている場合や、縁が茶色い輪のような跡が出ている場合は、原因の考え方が変わります。白っぽく色が抜けたなど、ほかの色の変わり方も含めた見分け方は、壁紙の変色の原因は?青・茶色・白っぽい色の見分け方と、掃除で戻るか張り替えるかの考え方で整理しています。黄ばみとシミは、それぞれ次の記事で扱っています。
換気口・エアコン周りの黒ずみで気をつけたいこと
換気口やエアコンの周りの黒ずみは、風で汚れが集まりやすい場所であることが、いちばんの理由として考えられます。エアコンや換気扇の周りについて、サンゲツが勧めているのは、こまめなハタキ掛けや拭き掃除です。汚れが重なって濃くなる前に、ホコリを落としておくことが、黒ずみを濃くしないための基本になります。
ただ、風が当たる場所だからといって、黒ずみが汚れだけとは限りません。風が当たる範囲を超えて黒い点が広がっている、拭いてもまた出てくる、周りの壁紙が湿っぽい、という場合は、汚れだけでなくカビのことも考えて、先ほどの3つの手がかりに当てはめてみてください。
掃除で試せる範囲と、手を止める目安
原因の見当がついたら、掃除を試してみる余地があります。ただ、黒ずみの原因によって、試してよい方法も、どこで手を止めるかも変わります。
ホコリ・手垢の黒ずみは、乾拭き→水拭き→薄めた中性洗剤の順に
ホコリや手垢の黒ずみは、壁紙の表面に付いた汚れなので、掃除を試す余地があります。サンゲツの資料では、日常のお手入れとして、まず「こまめにハタキ掛けや乾いた布等での拭き取り」を勧め、そのうえで「軽い汚れであれば、水拭きや洗剤(薄めた中性洗剤等)で落とすこともできます」とし、拭き取ったあとは水分や洗剤が残らないよう乾拭きするよう書いています(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。
順番としては、まず乾いた布やハタキでホコリを落とし、それで変わらなければ固く絞った布で水拭き、それでも残るなら薄めた中性洗剤、と弱い方法から試していきます。最初の乾拭きだけでも、凹凸にたまったホコリが取れて、黒ずみが薄く見えることがあります。いきなり洗剤を使うより、壁紙に水分や洗剤を残す心配が少ないのも利点です。
試すときは、目立たない場所で様子を見てから、少しずつ範囲を広げてください。気になる所だけを拭いて終えると、拭いた部分だけが明るくなって、周りとの境目が目立つことがあります。拭くときは、最終的にはその壁の面全体を、端まで同じ手順で拭くつもりで進めるとよいでしょう。汚れの種類ごとの見分け方と、弱い方法から順に試す進め方は、壁紙の汚れ落としは何から試す?7つの汚れの見分け方と、弱い方法から順に試す理由で詳しく扱っています。
一方で、サンゲツは「長年、蓄積した汚れは落とすことが難しい」とも書いています。手垢やホコリの黒ずみも、何年も重なったものは、ここまでの方法を試しても薄くならないことがあります。どこまで落ちるかは汚れの状態によるので、落ちなかったとしても掃除のやり方が悪かったとは限りません。
カビと思われる場合は、表面だけか内部まで及んでいるかで分かれる
カビの可能性が高い黒ずみについて、サンゲツは次のように案内しています。「かびが壁紙表面だけに発生している場合、早めに消毒用アルコールで拭き取るのが効果的です」「尚、壁紙内部に達している場合や大量に発生してしまった場合は落とすことが困難です。専門業者に相談することをおすすめします」(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。消毒用アルコールについては、壁紙の種類によっては表面が傷むことがあるので、目立たないところで試してから使うよう添えられています。
ここで気をつけたいのは、この消毒用アルコールの案内は、カビについての案内だという点です。カビ以外の黒ずみ(手垢やホコリ)に、一般的なビニール壁紙でアルコールを使うよう勧めたものではありません。
また、先ほどのとおり、カビが表面だけなのか、壁紙の内部や下地まで及んでいるのかは、見た目では区別がつきません。表面のカビを拭き取ってきれいになったように見えても、しばらくして同じ場所に出てくるなら、内部に残っているか、原因の湿気がそのままになっている可能性があります。広い範囲に出ている、何度もくり返し出てくる、という場合は、自分で拭き続けるより、いったん手を止めるほうがよいでしょう。
サンゲツの資料には、どのような専門業者かまでは書かれていません。相談先の1つとして、カビの除去を専門に行う業者もあります。張り替えも考えているなら、張り替えの現地調査で、壁紙の業者に下地の状態を見てもらう方法もあります。カビを取り除くことを優先したいのか、張り替えて新しくすることも考えているのかによって、相談先を考えてみてください。
漂白剤や強い方法に持ち替えない
黒ずみが落ちないと、もっと強い洗剤や漂白剤、こすり落とす道具と、方法を強めたくなるものです。ですが、汚れが付いたときに壁紙メーカーが案内しているのは、水拭きと中性洗剤が基本で、壁紙の種類や汚れによって消毒用アルコールが挙げられている程度です。サンゲツは資料の中で「有機溶剤、漂白剤、研磨剤は使用しないでください。劣化促進・変色・破損のおそれがあります」とはっきり書いています(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。
強い方法は、黒ずみより先に壁紙の表面を傷めたり、色を抜いてしまったり、型押しの凹凸を潰してしまったりすることがあります。強い方法で傷めた跡は、黒ずみよりかえって目立ち、掃除では元に戻りません。こすって汚れを落とす道具の代表がメラミンスポンジです。サンゲツの資料にメラミンスポンジを名指しした記述はなく、研磨剤に当たると書かれているわけでもありません。ただ、メラミンスポンジの製造元の1つが「凹凸のある面」や「防汚加工などの表面加工された面」を使用に適さない面として挙げており、一般的なビニール壁紙には型押しの凹凸があるので、壁紙には使わないほうが無難です。
漂白剤とメラミンスポンジについては、次の記事で詳しく扱っています。
掃除で落ちない・繰り返し出るときの選択肢
弱い方法から試しても黒ずみが気になる、あるいは一度きれいになってもまた出てくる、ということはあります。最後に、そうした場合の考え方を整理します。
隠す・クリーニングを頼む・張り替える
掃除で落ちなかったときの選択肢は、強い方法に持ち替えることだけではありません。大きく分けると、次の3つがあります。
- 隠す:壁紙の上から貼るシートや塗るタイプの商品で、黒ずみを覆う
- クリーニングを頼む:壁紙のクリーニングを行う業者に、掃除を任せる
- 張り替える:黒ずんだ壁紙を剥がして、新しい壁紙にする
隠す方法は、商品によって使える壁紙や範囲に条件があります。また、カビの黒ずみは、シートなどで覆っても原因の湿気を取り除けるわけではないので、手垢やホコリの黒ずみと同じようには考えにくいところがあります。クリーニングは、汚れを落とすことを任せる方法です。どこまで落ちるかの見立ては、クリーニングの業者に聞くことになります。なお、サンゲツは、カビが壁紙の内部に達している場合や大量に発生している場合は、落とすことが困難としています。カビかもしれない黒ずみでクリーニングを考えるときは、カビが対象に入っているかを業者に確かめておくとよいでしょう。隠す方法の条件と、クリーニングの料金の目安や張り替えとの比べ方は、次の記事で扱っています。
- 隠す:壁紙の汚れ隠しは貼るか塗るか|商品が限定する3つの条件と、壁紙メーカー3社が粘着テープを避ける理由
- クリーニング:壁紙クリーニングの料金は20㎡以下で11,000円|6畳が枠に収まらない理由と張り替えとの比べ方
張り替える場合、黒ずみの原因が手垢やホコリであれば、古い壁紙ごと剥がして新しくするので、黒ずみを落とすための特別な処理は基本的に要りません。費用を左右するのは、主に張り替える面積と壁紙のグレードです。エアコンの周りの黒ずみで張り替えを考えるなら、「エアコンを外さないといけないのか」も気になるところです。エアコンを外すかどうかは費用や仕上がりにも関わるので、見積もりのときにあわせて確かめておくとよいでしょう。判断の分かれ目は、壁紙張り替えのときエアコンは外す?外さない?判断の3つの分かれ目と脱着費用の目安で扱っています。
また、張り替えずに汚れや傷みのある箇所だけを直すことに特化した、壁紙のリペア業者という頼み先もあります。1〜数箇所の小さな汚れで周りの壁紙がきれいな場合には比べてみる価値がありますが、直しても近くで見ると分かることがあり、どこまで目立たなくできるかは状態によります。黒ずみが広い範囲に出ている、周りの壁紙も同じように年月を重ねている、カビが関わっている、という場合は、張り替えのほうが向いていることが多いでしょう。
カビが原因なら、張り替えと一緒に下地と湿気を確かめる
カビの黒ずみを張り替えで直す場合は、表面の壁紙を新しくするだけでなく、下地の状態と、湿気の原因をあわせて確かめることが大切です。表面だけを新しくしても、下地にカビが残っていたり、湿気がこもる環境が変わらなかったりすると、同じ場所にまた出ることがあります。
下地の状態によって、必要になる作業も変わります。下地が傷んでいなければ、小さな凹凸をパテで埋めるといったふだんの下地処理をして張り替えます。水を吸ってふやけた部分がある場合は、範囲が目安として30cm程度までならプレートやメッシュで塞ぐ補修で対応できる可能性があり、その場合は補修の分の費用が加わります。それを超えて傷みが広がっていれば、石膏ボードを交換する工事になり、張り替えとは別にその分の費用がかかります。どの場合も、カビが出ていた壁では、下地の防カビ処理を含めた施工になっているかを、見積もりのときに確かめておきたいところです。
下地のふやけや傷みは、原則として現地調査のときに見当がつき、費用も原則として施工の前の見積もりのとおりです。ただ、カビは表面に見えている範囲と下地の傷みの範囲が一致しないことがあり、剥がしてみないと分からないと言われることもあります。そう言われたときは、「傷んでいた場合、追加でどのくらいかかるか」の目安を、剥がす前に確かめておくと安心です。傷みの範囲で直し方が変わる分かれ目は石膏ボードと壁紙は何が違う?傷みは30cmが分かれ目、ボード交換は大工が必要で別途費用で扱っています。カビの張り替えで必要になる下地の処置と費用の目安は壁紙のカビは張り替えだけで直る?下地の防カビ処置と費用の目安を解説で扱っています。
ボード交換の側の実例として、浴室ドアの横にある幅50cmほどの洗面所の壁で、カビが生えて壁紙がめくれていたところ、現地調査でめくれた壁紙の下の石膏ボードに点検用の穴を開けて確かめ、下地の石膏ボードまでカビが及んでいたことが分かった事例があります。石膏ボードと巾木を交換したうえで壁紙1面を張り替えており、大工の作業が加わるため当初の金額より上がる見込みが、見積もりの前に伝えられています(【施工事例】神奈川県鎌倉市:浴室裏の洗面所の壁にカビ|石膏ボード・巾木の交換と壁紙1面の張り替えを1日で)。
湿気の対策もあわせて考えておきたいところです。サンゲツは、「壁紙はほとんどの商品に防かび性能がありますが壁紙単体でかびの発生を防ぐことはできません」とし、十分な換気で風通しをよくし、湿度の上昇を抑えるよう書いています(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。家具を壁から少し離して置く、換気や除湿を心がける、といった対策で、張り替えたあとのカビは出にくくなります。防カビの機能が付いた壁紙をどう考えればよいか(サンゲツの量産品の見本帳での扱いを含めて)は、防カビ壁紙は選んで買うもの?サンゲツの量産品は掲載品全点が防カビ、メーカーは「壁紙だけでは防げない」と明記で扱っています。
張り替えるなら、黒ずんだ部分だけでなく面単位で考える
張り替えを考えるとき、「黒ずんでいる部分だけ新しくすれば安く済むのでは」と考える方もいると思います。ですが、黒ずみの張り替えでは、部分だけの張り替えはあまり向いていません。
理由は2つあります。1つは、壁紙が幅約90cmのロールを上から下へ貼り継いでいくものなので、一部分だけを直そうとしても、継ぎ目の位置で区切って最低1枚分を貼ることになり、職人が来て養生し、道具を出して片づける手間は1面を張り替える場合とそれほど変わらないことです。そのため、費用も1面を張り替える場合と同じくらいになりやすくなります。もう1つは、色の差です。周りの壁紙も年月を重ねているので、新しい壁紙を1枚だけ貼ると、同じ品番を使っても新しい部分だけが白く浮いて見えやすくなります。
そのため、黒ずみの張り替えは、壁の面で区切った1面、あるいは部屋単位で考えるのが基本になります。面の境目は、壁と壁がぶつかる角(入隅)で区切ると色の差が目立ちにくくなります。部分的に張り替える方法と、その費用や色の注意点は、壁紙の部分張り替えはできる?最低1枚分になる理由と、1面張り替えと比べた費用・色の注意点で詳しく扱っています。
黒ずみに気づいてほかの壁を見てみると、同じように黒ずんでいる場所や、継ぎ目の開き、浮きなど、別の変化にも気づくことがあります。気になる場所がいくつかあるなら、まとめて見てもらうと、張り替えるかどうかを場所ごとに比べながら決めやすくなります。黒ずみ以外の替えどきのサインは、壁紙の替えどきはいつ?築年数より見るべき「今の壁の状態」と見逃せない5つのサインで扱っています。
相談するときは、次のようなことを伝えておくと、見立ての助けになります。
- 黒ずみが出ている場所と広がり方(手が触れる場所か、換気口やエアコンの周りか、部屋の隅や家具の裏、押入れの中か)
- 拭いたあとに、また出てきたことがあるか
- 押すと柔らかい、ぶよぶよする箇所があるか
- 掃除で何を試したか(乾拭き、水拭き、中性洗剤、アルコール、ほかの洗剤やメラミンスポンジなど)
掃除で試したことは、隠す必要はありません。こすった跡があっても、張り替えでは古い壁紙ごと剥がします。ただ、表面や糊の状態によって下地の見立てが変わることがあるので、何をどのくらい試したかが分かると判断の助けになります。
まとめ
壁紙の黒ずみについて、原因の見分け方と、原因ごとの考え方を整理します。
- 壁紙の黒ずみの主な原因は、カビ、ホコリ・手垢の蓄積、換気口・エアコン周りに集まった汚れの3つ。「黒ずみ」は見た目の呼び名で、原因を1つに決める言葉ではない
- 手が触れる場所だけなら手垢、凹凸の深い壁紙や家電の周りならホコリ、風が当たる範囲に集まっているなら換気口・エアコン周りの汚れ、湿気のこもる場所で黒い点が広がるならカビの可能性がある。ホコリが湿気を吸えばカビの原因にもなるので、原因が重なることもある
- カビかどうかの手がかりは、範囲の広さ、拭いたあとにまた出てくるか、湿気のこもる場所か。ただし、表面だけか下地まで届いているかは見た目では区別がつかない
- ホコリ・手垢の黒ずみは、乾拭き→水拭き→薄めた中性洗剤の順に試す。長年重なった汚れは落とすのが難しいことがある
- カビは、表面だけなら消毒用アルコールで拭き取るのが効果的とサンゲツは案内している。内部に達している・大量に発生している場合は落とすのが難しく、専門業者への相談を勧めている。カビの除去を専門に行う業者もある
- 漂白剤・研磨剤・有機溶剤はサンゲツが使用しないよう書いており、メラミンスポンジも壁紙には使わないほうが無難
- 掃除で落ちない・繰り返し出るときは、隠す・クリーニングを頼む・張り替えるの選択肢を並べてみる(周りの壁紙がきれいで小さな汚れが1〜数箇所なら、リペア業者という頼み先もある)。カビが原因なら、張り替えと一緒に下地と湿気を確かめる。張り替えるなら1面や部屋単位で考えるのが基本
黒ずみは、原因によって正体が違います。自分の家の黒ずみが3つの原因のどれに近いかの見当がついたら、その原因に合った掃除を試し、それでも気になる、また出てくるという場合は、張り替えも含めて考えてみてください。カビかどうか、下地まで及んでいるかが分からないときは、現地調査で壁を見てもらうのも1つの方法です。
掃除を試しても黒ずみが気になる方、同じ場所に何度も出てくる方は、電話でご相談ください。黒ずみの場所や広がり方、試した掃除を伺い、現地調査で壁と下地の状態を見たうえで、張り替える範囲や費用をご案内します。見積もり・現地調査は無料です。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
この記事の執筆者

氏名:松田郁幾
実績:壁紙張り替えを中心に、これまで多くのお客様・職人と関わってきました。
この記事について:現場で見聞きした実例をもとに、誇張せず、実践的な視点で解説しています。



