壁紙のクレヨンの落とし方|メーカーが「落とせない」とする理由と張り替えを検討する4つのサイン

壁に残ったクレヨンの落書きと、拭き取りに使う布

壁紙についたクレヨンを拭いても、跡がうっすら残ってしまう。強くこするべきか、もうあきらめるべきか迷っていませんか。

先に結論をお伝えします。壁紙のクレヨンは、薄めた中性洗剤かクレンジングオイルを布に含ませて汚れに当て、油をゆるませてから拭き取るのが基本です。ただし、完全に落ちきらないことのほうが多いと考えておいてください。壁紙メーカー自身が、一般的なビニル壁紙について「クレヨンは拭き取れない」と案内しています。

落ちにくいのは、クレヨンが油で固めた顔料で、それが壁紙の表面にある型押しの細かい凹みに入り込むからです。日本の住宅で使われているビニルクロスにはほとんど型押し模様が入っているため、表面を拭いても凹みの中までは届きません。そして落ちないからと力を入れてこすると、今度は汚れではなく壁紙そのものが元に戻らなくなります。

この記事を読むと、次のことが分かります。

  • 壁紙のクレヨンを落とす手順と、クレンジングオイルを使うときの注意点
  • 落ちきらない理由(型押しの凹み、汚れ防止タイプかどうか、紙・織物の壁紙)
  • メラミンスポンジ・歯磨き粉・消しゴム・除光液など、やらないほうがよいこと
  • どこで掃除をやめて、張り替えに切り替えるかの判断
  • クレヨンの落書きがあっても、張り替えの費用が上乗せされることはないということ
  • 張り替えるときの範囲と、クレヨンも拭き取れる汚れ防止タイプの壁紙という選択肢

読み終えるころには、ご自宅の壁紙に対して次に何をすればよいか、見当がついているはずです。

ご自宅の壁紙が張り替えの必要な状態なのか、張り替えるとしたらどのくらいの範囲になるのか。気になる点は、まずはお電話でもご相談いただけます。

電話が難しい方はでもご相談いただけます。


壁紙についたクレヨンは、何で落とすのが基本か

薄めた中性洗剤を含ませた布を、壁のクレヨン跡に当てて押さえている様子

クレヨンの汚れは、洗剤を選べば落ちるというより、汚れの性質に合った順番で進められるかどうかで結果が変わります。まずはクレヨンがどういうもので、壁紙メーカーとクレヨンメーカーがそれぞれ何を案内しているかを確認しておきます。

クレヨンは油で固めた顔料なので、水拭きだけでは動かない

クレヨンは、色のもとになる顔料を油で練り固めたものです。製造元のサクラクレパスも、クレヨンとクレパスの違いを説明するなかで「クレヨンにも量はクレパスに比べて少ないですが、油(液体油)が含まれています」と案内しています(出典:サクラクレパス「服や家具、フローリングなどについてしまったクレヨン・クレパスの汚れを落とす方法」)。

水拭きで落ちる汚れは、水に溶ける汚れです。クレヨンは油で固められているため、固く絞った布で水拭きしても、表面を押し広げるだけでほとんど動きません。最初の一拭きで「落ちない」と感じるのは自然なことで、力が足りないからではなく、方法が汚れの性質に合っていないためです。

薄めた中性洗剤でゆるませてから、拭き取る

サンゲツは壁紙のお手入れについて、日常の汚れは固く絞ったスポンジやタオルで水拭きし、「落ちにくい場合は中性洗剤をご使用ください。壁紙表面に残った洗剤は変色の原因になりますので、真水かぬるま湯できれいに拭き取ってください」と案内しています(出典:サンゲツ「壁紙のお手入れ方法」)。

クレヨンの場合も、この順番自体は変わりません。手順にすると次のようになります。

  • 乾いた布で周りのホコリを落とす
  • 薄めた中性洗剤を布に含ませ、汚れに当てて少し置く
  • 油がゆるんだところを、押さえるように拭き取る
  • 真水かぬるま湯で二度拭きし、乾拭きで仕上げる

ポイントは3番目の「少し置く」です。固まった油は一度拭いたくらいでは動きません。洗剤を含ませた布を壁に当てたまま少し待ち、ゆるんでから拭き取るほうが、強くこするより結果的にきれいになります。中性洗剤は製品の表示にある希釈のしかたに従って薄めてください。濃くすれば落ちるというものではなく、洗剤が濃くなるほど拭き残しによる変色のリスクが上がります。

なお、クレヨン以外の汚れも同時に気になっている場合は、汚れの種類によって効く洗剤が変わります。汚れ別の洗剤の選び方は、壁紙の掃除に使う洗剤はどれがいい?汚れ別の選び方と使ってはいけない洗剤の見分け方で解説しています。

クレンジングオイルを使うなら、洗剤と真水で二度拭きまでする

クレヨンの汚れにクレンジングオイルを使う方法は、製造元自身が案内しています。サクラクレパスは「ビニールクロスの場合、クレンジングオイルや薄めた中性洗剤を含ませた布でふき取ると汚れが落ちます」としています(出典:サクラクレパス「服や家具、フローリングなどについてしまったクレヨン・クレパスの汚れを落とす方法」)。油分でクレヨンの油を浮かせる、という考え方です。

ただし壁紙で使う場合は、ひとつ注意があります。クレンジングオイルは油なので、拭き取ったあとに壁へ油が残ります。そのままにするとその部分にホコリが付きやすくなり、かえって黒ずんで見えることがあります。使ったあとは薄めた中性洗剤でオイルを落とし、さらに真水で拭き取って、乾拭きで仕上げるところまでを一続きの作業と考えてください。

目立たない場所で試してから、目につく面に使う

壁紙は種類によって表面の作りが違い、同じ方法でも結果が変わります。洗剤にしてもクレンジングオイルにしても、いきなり目につく面で試すのは避けたほうが無難です。

家具の裏、クローゼットの中、ドアの陰など、普段目に入らない面で先に試し、乾いたあとに色の変化やテカりが出ていないかを確認してから、目立つ場所に使うかどうかを判断してください。壁紙は乾くまで見え方が変わるため、拭いた直後ではなく乾いてから確認するのが大切です。

それでも落ちきらないことが多い理由

凹凸のある一般的なビニル壁紙はクレヨンが薄く残り、表面が平滑な汚れ防止タイプは拭き取れるという違い

手順どおりに試しても、クレヨンの跡がうっすら残る。これはやり方が悪いわけではなく、多くの場合は壁紙の側の作りによるものです。ここを知っておくと、どこまで粘るべきかの見当がつきます。

壁紙メーカーは「一般のビニル壁紙ではクレヨンは落とせない」としている

意外に思われるかもしれませんが、壁紙をつくっているメーカー自身が、クレヨンは落ちない汚れとして案内しています。

リリカラは、ビニル壁紙のお手入れについて「油性マジックやクレヨンなどは拭き取れません」と明記しています(出典:リリカラ「ビニル壁紙|お手入れ便利帳」)。シンコールも同じく、一般のビニル壁紙について「クレヨンやマジックのような頑固な汚れは落とせません」としています(出典:シンコール「壁紙のお手入れについて」)。

一方でクレヨンの製造元であるサクラクレパスは、ビニールクロスならクレンジングオイルや薄めた中性洗剤で落ちるとしつつ、「完全には落ちない場合があります」と添えています(出典:サクラクレパス「服や家具、フローリングなどについてしまったクレヨン・クレパスの汚れを落とす方法」)。

両者は矛盾しているようで、立場が違うだけです。クレヨン側は「薄くはなる」という話をしていて、壁紙側は「元どおりにはならない」という話をしています。実際に試したときの感触も、この二つの間のどこかに落ち着きます。掃除で薄くなったとしても、跡が完全に消えることは期待しないほうが、判断を誤らずに済みます。

型押しの凹みに入ったクレヨンは、表面を拭くだけでは届かない

落ちきらない最大の理由は、壁紙の表面が平らではないことです。

日本の住宅で使われているビニルクロスには、ほとんどの場合、織物風・砂壁風・石目調といった細かい型押し模様(エンボス)が入っています。手で触ると分かるざらつきや凹凸がそれです。クレヨンを壁に走らせると、油分を含んだ顔料はこの凹みの底に押し込まれます。布で拭けるのは凸の部分だけなので、拭いたあとに「山は白くなったのに、谷の線が残っている」という状態になります。

サクラクレパスも、落とし方の案内のなかで「凸凹した面がある場合、落ちないこともあります」と注意を添えています(出典:サクラクレパス「服や家具、フローリングなどについてしまったクレヨン・クレパスの汚れを落とす方法」)。凹凸が深い壁紙ほど、この傾向は強く出ます。

見た目で残っているのが薄い線状の跡であれば、たいていはこの凹みに残ったクレヨンです。ここから先は、拭く回数を増やしても大きくは変わりません。

落とせるのは、表面にフィルムを貼った汚れ防止タイプの壁紙

同じビニル壁紙でも、クレヨンが落とせるものがあります。汚れ防止壁紙と呼ばれる、表面に透明なフィルムを貼った種類です。

リリカラはこのタイプについて「表面にフィルムがラミネートされているので、一般の壁紙では拭き取れない油性マジックやクレヨンなども落とすことが出来ます」としています(出典:リリカラ「ビニル壁紙|お手入れ便利帳」)。表面が平滑なフィルムで覆われているため、凹みに入り込まず、拭けば取れるという仕組みです。

ご自宅の壁紙がどちらなのかは、施工時の資料が残っていれば品番から確認できます。手元に資料がない場合でも、手のひらで触ったときに細かい凹凸をはっきり感じるなら一般的なビニル壁紙、つるりとした手ざわりならフィルム加工の可能性がある、という程度の目安にはなります。確実に知りたい場合は、現地調査の際に業者に見てもらうのが早い方法です。

紙・織物の壁紙は、水を含ませること自体が向かない

ビニル壁紙ではなく、紙壁紙や織物壁紙が貼られている場合は、対応がさらに限られます。

サクラクレパスは「紙の壁紙に付いた場合は落とせません」としています(出典:サクラクレパス「服や家具、フローリングなどについてしまったクレヨン・クレパスの汚れを落とす方法」)。紙や布は水分を吸うため、洗剤を含ませた布を当てると、クレヨンの油が繊維の奥へ広がったり、拭いた範囲だけ輪じみになったりします。落とそうとした結果、汚れの範囲が広がることのほうが多く、手を出さないほうがよい壁紙です。

表面に細かい布目が見える、こすると毛羽立つ、光沢がまったくないといった場合は、これらの壁紙の可能性があります。判断がつかないときは、水を含ませる前に業者に確認してください。壁紙の種類ごとに水拭きができるかどうかは、壁紙は水拭きしていい?ビニールクロスはOK、織物・和紙はNGな理由で詳しく解説しています。

落ちないときに、やってはいけないこと

拭いても薄くならないと分かると、次は道具を強いものに持ち替えたくなります。ただ、クレヨンが落ちない理由は力不足ではなく凹みに入り込んでいることなので、力を強める方向に進むと、汚れが取れる前に壁紙のほうが変わってしまいます。ここでは避けたほうがよい方法をまとめます。

強くこすると、型押しの山が削れてそこだけテカる

リリカラは壁紙のお手入れの注意として「強く力を入れて拭くと表面の凹凸が潰れたり、キズが付くことがあるので注意してください」としています(出典:リリカラ「ビニル壁紙|お手入れ便利帳」)。シンコールも「強くこすると、汚れが広がったり染み込んだり、表面が破損する場合があります」と案内しています(出典:シンコール「壁紙のお手入れについて」)。

実際に起きるのは、型押し模様の山の部分だけがつぶれて、そこだけ光を反射するようになる現象です。クレヨンの跡は薄くなったのに、こすった範囲が四角くテカって見える、という状態になります。しかもこの変化は乾いてから現れることが多く、作業中は気づきにくいのがやっかいなところです。

一度つぶれた凹凸は、あとから洗剤を変えても戻りません。クレヨンの跡は「汚れ」ですが、つぶれた型押しは「壁紙そのものの損傷」で、直すには、張り替えるか、リペア業者に目立たなくしてもらうかになります。リペアは、傷んだ箇所だけを小さく貼り直したり塗装したりして目立たなくする方法で、どこまでできるかは状態によります。直しても近くで見ると分かることがあるので、そのままにするか直すかは、気になる程度で決めることになります。

メラミンスポンジ・歯磨き粉は、汚れではなく壁紙を削っている

落ちない汚れの対処としてよく挙がるのが、メラミンスポンジと歯磨き粉です。どちらもクレヨンには一定の効果があるように見えますが、仕組みは同じで、細かい粒子や網目で表面を削り取っています。

削られているのはクレヨンだけではありません。型押しの山も、汚れ防止加工が施されている壁紙であればその加工の層も、一緒に削れます。跡が消えたように見えて、そこだけ質感が変わる・テカる・汚れがつきやすくなる、という結果になりやすい方法です。

壁紙メーカーのリリカラも「強く力を入れて拭くと表面の凹凸が潰れたり、キズが付くことがあるので注意してください」としています(出典:リリカラ「ビニル壁紙|お手入れ便利帳」)。クレヨンが落ちないときに必要なのは、より強い力ではなく、掃除で対応できる範囲を超えていると見極めることのほうです。すでに使ってしまった場合の見極め方も含め、壁紙にメラミンスポンジ(激落ちくん)は使える?製造元が挙げる「使用に適さない面」と張り替えを検討する5つのサインで解説しています。

消しゴムは鉛筆向けで、クレヨンには案内されていない

クレヨンが落ちないときに消しゴムを試す方もいますが、シンコールが汚れの種類別に挙げている対処法を見ると、消しゴムが割り当てられているのは鉛筆の行で、クレヨンに挙げられているのは中性洗剤です(出典:シンコール「壁紙のお手入れについて」)。消しゴムは、クレヨンに対してメーカーが案内している方法ではありません。

仕組みから見ても同じことが言えます。消しゴムは表面に乗っている粒を吸い付けて取る道具で、型押しの凹みに入り込んだクレヨンには吸い付ける相手がありません。それでも落とそうとすると自然に力が入り、結局こすって削る使い方になります。壁紙の表面には凹凸があるため、軽くこすったつもりでも山の部分に力が集中します。同じメーカーが「強くこすると、汚れが広がったり染み込んだり、表面が破損する場合があります」と注意しているのも、この点と地続きです。

試すのであれば、目立たない場所で軽く当ててみて、乾いたあとにテカりが出ていないかを確認してからにしてください。何度も往復させてようやく薄くなる、という状態であれば、消しゴムが効いているのではなく壁紙のほうを傷めている可能性があります。

除光液・漂白剤・シンナーは、変色と表面破損の原因になる

油を溶かすという発想から、除光液やシンナーのような溶剤を使いたくなることがあります。これは壁紙メーカーが明確に止めている方法です。

サンゲツは「強い洗剤やシンナーなどの有機溶剤は、変色や表面破損の原因になりますので使用しないでください」としています(出典:サンゲツ「壁紙のお手入れ方法」)。リリカラも同じ内容を注意事項として挙げています。

ビニルクロスの表面は樹脂の薄い膜でできているため、溶剤はクレヨンだけでなくこの膜も溶かします。作業中は汚れが落ちているように見えても、乾いたあとに白く曇る、べたつきが残る、色が抜けるといった変化が出ます。塩素系漂白剤も同様で、クレヨンの色は抜けても壁紙の色まで抜けてしまえば、張り替えるか、リペア業者に目立たなくしてもらうかになります。

溶剤や漂白剤に手を伸ばしたくなった時点で、それは掃除で対応できる範囲を超えたサインだと考えてください。

どこで掃除をやめて、張り替えに切り替えるか

クレヨンの跡が薄くはなったけれど消えてはいない、という状態は珍しくありません。ここからさらに粘るのか、張り替えを考えるのか。判断の材料を整理しておきます。

落ちるかどうかより、見て気になるかどうかで決める

掃除を続けるかどうかを、「まだ落とせる可能性があるか」で考えると、いつまでも区切りがつきません。クレヨンは薄くはなっても完全には消えないことが多く、可能性という意味では常にわずかに残るためです。

判断しやすいのは、汚れではなく自分の感じ方を基準にすることです。部屋に入ったときに目に入るか、来客があったときに気になるか、家具を置けば隠れる位置か。跡が残っていても生活のなかで意識に上らない場所であれば、無理に張り替える必要はありません。逆に、拭くたびに気になって何度も同じ場所を触ってしまうようであれば、掃除を続けるほど壁紙を傷めることになります。

なお、跡が気になる状態のまま何度も強くこすってしまうと、汚れが薄くなるより先に壁紙の損傷が進みます。急いで判断する必要はありませんが、こする回数を重ねるのは避けてください。

張り替えを検討したほうがよいサイン

次のような状態であれば、掃除を続けるより、張り替えを選択肢に入れて考えたほうが結果的に落ち着きます。こすり続けて壁紙を傷めてしまうと、クレヨンの跡に加えてテカりも直すことになり、張り替える範囲が広がることもあるためです。

  • 薄めた中性洗剤で数回試しても、跡がはっきり残っている:凹みに入り込んだクレヨンは、回数を重ねても大きくは変わりません。同じ方法を繰り返す段階を過ぎています。
  • こすった場所だけ質感が変わった、テカりが出た:クレヨンの跡ではなく壁紙自体が変わってしまった状態で、この変化は掃除では戻りません。
  • 落書きが1面に広く散っている、または複数の部屋に及んでいる:点々と描かれている場合、すべてを拭き上げる手間は大きく、拭いた場所と拭いていない場所の差も出やすくなります。
  • 築年数が経っていて、他の箇所の汚れも同時に気になっている:クレヨンだけを見れば張り替えるほどではなくても、他の汚れや黄ばみと合わせて考えると、まとめて直したほうが納得感のある結果になります。

クレヨン以外の汚れも含めて「そろそろ替えどきか」を考えたい場合は、壁紙の替えどきはいつ?築年数より見るべき「今の壁の状態」と見逃せない5つのサインが判断の参考になります。

判断に迷う場合は、その状態のまま業者に見てもらうのが確実です。張り替えが必要な状態かどうか、張り替えるならどの範囲でいくらかかるかは、壁紙の種類と傷み具合を実際に見れば分かります。無理に拭き上げてから相談する必要はなく、むしろ手を加える前のほうが正確に判断できます。

クレヨンの落書きがあっても、張り替え費用が上乗せされることはない

落書きがあると、その分だけ費用が高くなるのではないかと心配される方がいますが、基本的にそうはなりません。

壁紙の張り替えは、古い壁紙を剥がしてから新しいものを貼る作業です。表面にあるクレヨンは、古い壁紙と一緒に剥がされてなくなります。落書きの範囲が広くても狭くても、剥がして貼るという作業そのものは変わらないため、落書きを理由とした特別な処理や追加料金は発生しません。

費用を左右するのは、落書きの有無ではなく張り替える面積と壁紙のグレードです。「落書きしてしまったので割高になるのでは」と見積もりを取ることをためらう必要はありません。

張り替えるときの範囲と、再発を防ぐ壁紙の選び方

張り替えを考える段階になったら、次に決めるのは範囲です。落書きのある部分だけを直したいと考える方が多いのですが、壁紙の張り替えは面積が小さいほど割高になりやすいという性質があります。

落書きの部分だけ直すならリペア業者、張り替えるなら1面単位で考える

落書きのある部分だけを直したい場合は、壁紙を張り替えずに、傷や汚れのある箇所だけを直すことを専門にしているリペア業者に頼む方法があります。落書きが1〜数箇所で、周りの壁紙がまだきれいなら、費用の目安は1万〜3万円程度で、張り替えより安く済むことが多くなります。ただし、周りの色や柄に合わせて目立たなくする直し方なので、条件によっては、近くで見ると直した跡が分かることがあります。

張り替え業者に頼む場合は、事情が違います。壁紙は幅およそ90センチのロール状のもので、これを上から下まで貼り継いでいきます。「落書きのある50センチ四方だけ」を切り取って貼り直す部分補修という方法自体はありますが、継ぎ目の位置で区切る必要があるため、実際には最低でも1枚分を張り替えることになります。しかも段取りや職人の手間は1面を張り替える場合とあまり変わらないため、費用にもほとんど差がつかないことが多くなります。多くの業者は、最低料金を4万〜6万円程度に設定しています。実際に部分補修と一面張替えを比べたご相談の例は、神奈川県厚木市:壁紙の部分補修と一面張替えの費用差についてのご相談でご紹介しています。

もう一つ、部分的な張り替えには色の問題があります。既に貼られている壁紙は日焼けや汚れで少しずつ色が変わっているため、同じ品番の新しい壁紙を隣に貼ると、その部分だけ明るく浮いて見えます。品番が分からず廃番になっている場合は、近い柄を探すことになり、差はさらに出ます。1面ずつ、あるいは部屋単位で張り替えるほうが、仕上がりに違和感が出にくくなります。

他の箇所とまとめたほうが、結果的に割安になる

壁紙の張り替えには、面積にかかわらず発生する費用があります。職人の移動、家具の養生、道具の準備、作業後の片付けといった部分で、1面だけの張り替えでも一日分の段取りは同じようにかかります。このため小さい面積で依頼すると、1平方メートルあたりの単価は高くなります。

逆に、気になっている他の箇所と一緒に依頼すれば、この固定的な費用を分け合う形になり、クレヨンの落書き分の上乗せはごく小さくなります。同じ部屋の他の壁、廊下やリビングなど以前から汚れが気になっていた場所があるなら、まとめて相談してみてください。見積もりの段階で「この面も一緒に張り替えた場合はいくらか」を出してもらえば、比較して決められます。

どこを優先するかは、汚れの目立ちやすさと、その部屋で過ごす時間の長さで考えると整理しやすくなります。すべてを一度にやる必要はなく、気になる部屋から順に進めるという選び方もあります。

汚れ防止タイプの壁紙なら、クレヨンも拭き取れる

張り替えるタイミングは、壁紙の種類を選び直せるタイミングでもあります。落書きが繰り返し起きる環境であれば、汚れ防止タイプの壁紙が選択肢になります。

前に触れたとおり、このタイプは表面に透明なフィルムが貼られていて、リリカラは「一般の壁紙では拭き取れない油性マジックやクレヨンなども落とすことが出来ます」としています(出典:リリカラ「ビニル壁紙|お手入れ便利帳」)。シンコールも「お子様がいるご家庭には、汚れ防止壁紙がおすすめです」と案内しています(出典:シンコール「壁紙のお手入れについて」)。

ただし、いくつか知っておいたほうがよい点もあります。標準的な量産品より材料の単価は上がりますが、汚れ防止だから特別に高いわけではなく、差は1000番台という上のグレードを選ぶぶんです。また表面がフィルムで覆われている分、柄の見え方や手ざわりは一般的な壁紙と少し異なります。カタログやサンプルで実物を確認してから決めるのが確実です。

全面に使う必要もありません。落書きが起きやすいのは、低い位置にある、家具に囲まれていない広い壁面です。そうした面だけ汚れ防止タイプにして、天井や高い位置は一般的な壁紙にする、という組み合わせもできます。見積もりを依頼するときに、その分け方でいくら変わるのかを聞いてみるとよいでしょう。

水で落とせるタイプのクレヨンを選ぶという手もある

壁紙の側だけでなく、描く道具の側で対処する方法もあります。画材には水で落とせるタイプのクレヨンがあり、たとえばサクラクレパスの「水でおとせるクレヨン」がこれにあたります。

一般的なクレヨンが油で顔料を固めているのに対し、こうした製品は水に溶ける成分で作られているため、表面がつるりとした面であれば濡らした布で拭き取れます。ただし、これは壁紙に描いてよいという意味ではありません。型押しの凹みに入り込めば拭き取りにくくなる点は変わらず、紙や織物の壁紙で落ちないことも同じです。

張り替えたばかりの壁を守るという意味では、画材を使う人がいる住まいでは、描いてよい大きな紙を用意しておく、画材の置き場所を決めておくといった環境づくりのほうが確実です。壁紙の選択と合わせて考えておくと、次の張り替えまでの期間を延ばせます。

まとめ:どこまで掃除で落とし、どこから張り替えるか

壁紙についたクレヨンは、薄めた中性洗剤かクレンジングオイルで油をゆるませてから拭き取るのが基本です。クレンジングオイルを使った場合は、薄めた中性洗剤でオイルを落とし、さらに真水で拭き取って、乾拭きで仕上げるところまでを一続きの作業と考えてください。

ただし、跡が完全に消えることはあまり期待できません。壁紙メーカー自身が、一般的なビニル壁紙について「クレヨンは拭き取れない」「落とせません」と案内しています。理由は壁紙の表面にある型押しの細かい凹みで、クレヨンがその底に入り込むため、布で拭けるのは凸の部分だけだからです。拭き取れるのは、表面に透明なフィルムを貼った汚れ防止タイプの壁紙に限られます。

落ちないときに気をつけたいのは、力を強める方向に進まないことです。メラミンスポンジと歯磨き粉は表面を削って落とす方法で、クレヨンより先に型押しの山が削れてそこだけテカります。消しゴムはメーカーが鉛筆に挙げている方法で、クレヨンには挙げられていません。効かない相手に力を入れて往復させれば、結果は削ったときと同じになります。除光液やシンナー、塩素系漂白剤は、壁紙メーカーが変色と表面破損の原因として使用を止めています。一度変わってしまった表面は、あとから洗剤を変えても戻りません。

掃除をやめる線引きは、落とせる可能性ではなく、見て気になるかどうかで考えると決めやすくなります。中性洗剤で数回試しても跡がはっきり残っている、こすった場所の質感が変わった、落書きが1面に広く散っている、他の箇所の汚れも同時に気になっている。こうした状態であれば、これ以上傷めないためにも、こすり続けずに張り替えを選択肢に入れて考えるほうが落ち着きます。

落書きが1〜数箇所で、周りの壁紙がまだきれいなら、張り替えずに直すリペア業者(1万〜3万円程度が目安)という選択肢もあります。張り替えになっても、落書きがあることを理由に費用が上乗せされることはありません。古い壁紙と一緒に剥がされるため、特別な処理は必要ないからです。範囲は継ぎ目の関係で1面単位が基本になり、気になっている他の箇所とまとめて依頼すれば、クレヨン分の上乗せはごく小さくなります。そして張り替えるタイミングは、汚れ防止タイプの壁紙を選び直せるタイミングでもあります。

判断に迷うときは、拭き上げようと無理をする前に、その状態のまま見てもらうのが確実です。壁紙の種類と傷み具合を実際に見れば、張り替えが必要な状態かどうか、張り替えるならどの範囲でいくらかかるかはその場で分かります。

張り替えが必要な状態なのか、まだ様子を見てよいのか。壁の状態を見たうえでのご案内は無料です。拭き上げようと無理をする前に、そのままの状態でお気軽にご相談ください。

電話が難しい方はでもご相談いただけます。


この記事の執筆者

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氏名:松田郁幾
実績:壁紙張り替えを中心に、これまで多くのお客様・職人と関わってきました。
この記事について:現場で見聞きした実例をもとに、誇張せず、実践的な視点で解説しています。

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