壁紙の保護シートの選び方|静電気吸着と粘着の2タイプ、貼る前の3つの確認と剥がすときの注意

壁の下のほうに透明な保護シートを貼った部屋と、その前に座る猫

ペットがひっかく壁、キッチンまわりの油が飛ぶ壁、手が触れて黒ずんでくるスイッチまわり。張り替えるほどではないけれど、これ以上汚したり傷めたりしたくない。そう考えて、100円ショップやホームセンターで「壁保護シート」を探してみると、透明のもの、半透明のもの、「はがせる」「ペット用」と書かれたものなど、思った以上に種類があって迷う方は多いと思います。

結論から言うと、市販の保護シートは、貼り付け方で「静電気吸着タイプ」と「粘着タイプ」の2つに分かれます。どちらを選ぶかは、ご自宅の壁紙の種類と、剥がすときのリスクをどこまで引き受けられるかで決まります。静電気吸着タイプは粘着剤を使わないぶん剥がすときの心配が少ない一方、たとえばダイソーの商品では、使えない壁が注意事項ではっきり決められていて、貼り直しの回数や時間の経過で吸着が弱まると書かれています。粘着タイプはロール状で大きな面にも貼れる商品がありますが、壁紙メーカー3社(サンゲツ・リリカラ・シンコール)は粘着テープについて「変色」と「剥がすときの破損」に注意を促しています。

そしてもうひとつ大事なのは、保護シートが守れるのは「これから付く汚れや傷」だということです。今ある汚れを消したり、ペットがひっかく行動そのものを止めたりするものではありません。

この記事を読むと、次のことが分かります。

  • 静電気吸着タイプと粘着タイプの違いと、貼る前に確かめたい自宅の壁紙の種類
  • 貼る前に確認する3つのこと(貼れない壁と壁紙の加工、試し貼りと下準備、貼る場所の絞り方)
  • 粘着タイプを剥がすときに知っておきたいこと(壁紙メーカーの注意と、商品の「はがせる」という案内の読み方)
  • 保護シートで対応できること・できないこと、張り替えを考える目安

読み終えるころには、ご自宅の壁に保護シートを貼るとき、次に何から手をつければよいかが見えてくるはずです。

保護シートを貼る前に、今の壁紙の傷みや汚れが張り替えを考える段階なのか気になる方は、電話で場所や状態を分かる範囲でお聞かせください。見積もり・現地調査は無料です。

電話が難しい方はでもご相談いただけます。


保護シートは「静電気吸着タイプ」と「粘着タイプ」の2つに分かれる

売り場には「壁保護シート」「汚れ防止シート」「ひっかき防止シート」など、さまざまな名前の商品が並んでいます。名前や用途の書き方は商品ごとにまちまちですが、選ぶときにまず見ておきたいのは、そのシートがどうやって壁に貼り付くかです。貼り付け方が違うと、貼れる壁も、剥がすときの心配も変わってきます。

静電気吸着タイプ:粘着剤を使わないので剥がすときの心配は少ないが、商品によって貼れる壁が限られる

ひとつは、粘着剤を使わず、静電気で壁に吸い付かせるタイプです。たとえばダイソーの「壁保護シート(透明)」がこれにあたります。材質はポリプロピレンで、大きさは60cm×45cm。商品説明には「壁を傷つけない静電気吸着」とあります(出典:ダイソー「壁保護シート(透明)」)。

粘着剤を使わない静電気吸着タイプは、剥がすときの心配が粘着タイプより小さくなります。あとで剥がすときに、粘着剤が壁紙に残ったり、粘着剤で壁紙の表面を引っ張ったりすることがないためです。気になる場所に試しに貼ってみる、という使い方にも向いています。

その一方で、同じ商品の注意事項には、使える範囲と持ちについての記述が並んでいます。

  • 「布や紙の壁、土壁、レンガ壁、セメント壁などには使用しないでください。」
  • 「2ー3回まで剥がして貼れますが、回数が多くなると静電気はなくなります。」
  • 「時間の経過につれて静電気が弱くなります。」

(出典:ダイソー「壁保護シート(透明)」)

つまりこの商品では、貼れる壁が決まっていて、貼り直しにも回数の目安があり、貼ったまま置いておいても吸着する力は弱まっていく、ということです。どのくらいの期間で弱まるかまでは書かれていないので、貼ったあとも、ときどき浮きや剥がれがないかを確かめ、吸着が弱まってきたら交換を考える、という付き合い方になります。

粘着タイプ:大きな面にも貼れるが、剥がすときのことは別に確認が要る

もうひとつは、裏面に粘着剤が付いていて、シールのように貼るタイプです。「はがせる」「再剥離」と書かれた商品が多く、ホームセンターや壁紙用品のメーカーから出ています。

たとえば、カインズの「貼ってはがせる 壁紙を保護するシート 半透明 CZWAS-400」は、材質が塩化ビニール樹脂で、幅45cm×長さ250cmのロール状です(出典:カインズ「貼ってはがせる 壁紙を保護するシート 半透明 CZWAS-400」)。同じカインズでも、ペット向けの「壁に貼る ひっかき防止シート 壁用再剥離 PETP02SS」は、幅30cm×長さ30cmのシートが3枚入りで、材質の欄には「ポリエステル、アクリル系粘着剤、剥離紙:紙」と書かれています(出典:カインズ「壁に貼る ひっかき防止シート 壁用再剥離 PETP02SS」)。

壁紙用品のメーカーでは、リンテックコマースの「壁紙の保護シート 傷・汚れ防止シート(はがせる)」が、弱粘着の半透明タイプです。商品ページでは「一般的なビニール壁紙に貼れる壁紙保護シートです。「貼ってはがせるタイプ」のため粘着力は弱いです。」と説明されています(出典:リンテックコマース「壁紙の保護シート 傷・汚れ防止シート(はがせる)」)。同じページの類似商品には、猫のひっかき防止向けの強粘着タイプも並んでいて、同じメーカーの中でも粘着の強さを分けて出していることが分かります。

粘着タイプは、ロール状のものなら必要な大きさに切って、腰の高さの帯状の範囲など、ある程度広い面にも貼れます。今回確認した粘着タイプの商品ページには、静電気吸着タイプのような「貼り直しの回数」の目安は書かれていませんでした。その代わりに確認しておきたいのが、剥がすときの話です。商品に「はがせる」と書かれていても、壁紙の側にどう影響するかは別に見ておく必要があります。これは後の章で詳しく見ていきます。

どちらを選ぶにしても、まず自分の壁紙の種類を確認する

2つのタイプは貼り付け方が違いますが、今回確認した商品の中には、住宅で一般的なビニール壁紙に貼ることを想定した説明が見られます。リンテックコマースは「一般的なビニール壁紙に貼れる」と明記していますし、ダイソーの静電気吸着タイプは「布や紙の壁」を使わない壁として挙げています。ただ、保護シートが使えるかどうかの最終的な判断は、それぞれの商品の表示で確かめることになります。

住宅の壁紙はビニールクロスが主流ですが、和室や一部の面だけ、紙や織物(布)の壁紙が使われていることもあります。ご自宅の壁紙がどれなのかは、見た目や手触りだけでは決めつけにくいものです。張り替えたときの業者や、購入時の書類が手元にあれば、品番や仕様から確かめられます。壁紙の種類ごとの特徴と、分からないときの確かめ方は、壁紙の種類は代表的な4つ|住宅用の約9割はビニールクロス、分からないときの確かめ方で詳しく解説しています。

もうひとつ、ビニール壁紙の中にも、表面に「汚れ防止」や「キズ防止」の加工がされたものがあります。後で見るように、粘着タイプの中にはこうした加工の壁紙には貼れないと書いている商品があります。以前の張り替えで機能のある壁紙を選んだ覚えがある場合は、その面に貼る前に商品の表示を確かめてください。

貼る前に確認する3つのこと

布を当てた手で壁に触れている様子と、床に置いた透明なシートとハサミ

タイプを決めたら、実際に貼る前に確認しておきたいことが3つあります。どれも商品の注意書きに書かれていることですが、売り場で手に取ったときには読み飛ばしがちな部分です。

1. 貼れない壁・貼れない壁紙の加工は、商品ごとに違う

保護シートの注意書きを並べてみると、「貼れない」とされている壁や壁紙は、商品ごとに少しずつ違います。今回確認した商品では、次のように書かれていました。

  • ダイソー「壁保護シート(透明)」(静電気吸着):布や紙の壁、土壁、レンガ壁、セメント壁など
  • カインズ「CZWAS-400」(粘着):「土壁・コンクリート・汚れ防止機能の壁紙には貼れません。」
  • カインズ「PETP02SS」(粘着):「壁紙の上に貼れますが汚れ防止加工、キズ防止加工など表面に特殊加工がしてある壁紙は貼れません。」
  • リンテックコマース「傷・汚れ防止シート(はがせる)」(粘着):「壁の他にもベニヤ板にもご利用いただけます。しかし、プリント合板に貼ると、表面を傷める場合がありますので貼らないでください。」

(出典:ダイソー「壁保護シート(透明)」、カインズ「CZWAS-400」、カインズ「PETP02SS」、リンテックコマース「傷・汚れ防止シート(はがせる)」)

同じ粘着タイプでも、汚れ防止の壁紙を外している商品もあれば、プリント合板を外している商品もあります。「粘着タイプならここに貼れる」「静電気吸着タイプならここは貼れない」とタイプでひとまとめにはできないので、買う前に、保護シートの「貼れる面」の欄を毎回読むのが確実です。前に別の商品を使ったことがある場合も、同じ条件だと思い込まないようにしてください。

貼り方の注意として、リンテックコマースは「梁や角のL字の部分に貼る場合は1面1面カットしてからお貼りください。L字に繋げて貼るとはがれます。」とも書いています(出典:リンテックコマース「壁紙の保護シート 傷・汚れ防止シート(はがせる)」)。ペットがこすれやすい壁の角や柱の出っ張りは保護したくなる場所ですが、1枚で角を包むように貼ると浮いてくる、ということです。

2. 目立たない場所で試し貼りをし、貼る面の汚れと水分を取っておく

カインズの「PETP02SS」は、貼れる面の欄に「あらかじめ目立たない部分で試してからお貼りください。」と書いています(出典:カインズ「PETP02SS」)。家具の陰になる場所や、普段は目に入らない低い位置などに小さく試し貼りして、シートの貼り付き方や見た目を確かめてから、貼る範囲を広げると安心です。壁紙の表面の凹凸の深さや加工によっても付き方は変わりうるので、「貼れる面」の欄で外されていない壁紙でも、実際に付くかどうかはここで確かめておきます。可能であれば、しばらく貼ったあとに剥がしてみるところまで試しておくと、剥がすときの様子も分かります。

貼る前の下準備も大切です。ダイソーの静電気吸着タイプは「接着面のホコリ、油分、水分を拭き取ってから使用してください。」としています(出典:ダイソー「壁保護シート(透明)」)。カインズの「CZWAS-400」にも「表面が濡れたままの状態で貼らないでください。」とあります(出典:カインズ「CZWAS-400」)。

キッチンの近くの壁や、手がよく触れるスイッチまわりは、見た目以上に油分や手垢が付いています。汚れたまま貼ると貼り付きが弱くなりやすいうえ、透明・半透明のシートなら、下の汚れがそのまま透けて見え続けます。拭き掃除をしてから貼るときは、水分が乾いてから貼るようにしてください。手垢と油汚れの落とし方は、壁紙の手垢の落とし方|メーカーの案内は中性洗剤まで、張り替えを検討する4つのサインと壁紙の油汚れの落とし方|中性洗剤で落ちる範囲と張り替えに切り替える5つのサインで解説しています。

貼るときの手順は商品によって違うので、それぞれの説明に従うのが基本です。たとえばダイソーの静電気吸着タイプは、貼る面を拭いたあと「フィルムを広げて壁面に吸着して平らになるように貼り付けます。」「ふきんで押さえてエアーを抜きながらしっかりと貼り付けます。」と案内しています(出典:ダイソー「壁保護シート(透明)」)。シートと壁のあいだに空気が残ると、そこから浮いたり、見た目がでこぼこしたりしやすくなります。

3. 貼る場所と枚数は「よく汚れる・傷む場所」に絞る

保護シートは、汚れや傷が集中する一部分を守るためのものです。リンテックコマースの商品ページでは、シートを貼ると「表面がフラットになるので、汚れが凹に入り込みにくくなります」と説明しています(出典:リンテックコマース「壁紙の保護シート 傷・汚れ防止シート(はがせる)」)。凹凸のある壁紙は汚れが溝に入り込むと落としにくくなるので、汚れやすい場所を平らな面で覆っておく、というのが保護シートの考え方です。

この記事でも、壁一面を覆うのではなく、部分的に守る使い方を前提にしています。枚数が増えるほどシートどうしの継ぎ目が増え、剥がすときに気をつける面積も広がります。ペットがひっかく高さの範囲、コンロや流し台に近い壁、手が触れるスイッチやドアノブのまわりなど、汚れや傷が付きやすい場所に絞って貼るのが現実的です。

なお、窓まわりや北側の壁、家具の裏など結露しやすい壁では、シートと壁紙の間に湿気がこもることがあります。壁紙メーカーのリリカラは、結露が壁紙のシミやカビ、剥がれの原因になると書いています(出典:リリカラ「取扱上の注意」)。結露しやすい壁に貼る場合は、シートの周りにシミや変色が出ていないかをときどき見てください。貼り直しができると案内されている静電気吸着タイプなら、その回数の範囲でいったん剥がして貼り直す際に、裏の状態も確かめられます。

壁一面をまとめて汚れに強くしたいなら、張り替えの機会に汚れ防止の機能がある壁紙を選ぶ、という別の方法があります。ただし、汚れ防止壁紙は今の壁紙の上から貼るものではなく、張り替えのときにしか選べません。汚れ防止壁紙がどの汚れにどこまで効くのかは、壁紙の汚れ防止はどこまで落ちる?規格の試験は4つの汚れだけ、油汚れ・ヤニ・手垢は対象外で詳しく解説しています。

粘着タイプを剥がすときに知っておきたいこと

粘着タイプを選ぶときにいちばん気になるのは、「剥がすときに壁紙を傷めないか」ではないでしょうか。商品には「はがせる」と書かれていますが、壁紙をつくっている側は、粘着テープについて注意を促しています。両方の案内を並べて見ておきます。

壁紙メーカー3社は、粘着テープによる変色と、剥がすときの破損に注意を促している

壁紙メーカーのサンゲツ・リリカラ・シンコールの3社は、いずれも粘着テープについて注意を促しています。そのうちリリカラとシンコールは、「粘着テープを貼らない」と項目を立てて明記しています。

リリカラは取扱上の注意に「粘着テープを貼らない」という項目を置き、「セロハンテープやガムテープなどの粘着テープ類は、粘着材が壁紙に移行して変色や汚れの原因になる上、剥がすときに壁紙を破損させることもあるので使用しないでください」と書いています(出典:リリカラ「取扱上の注意」)。

シンコールも「壁紙の変色を防ぐには」という項目の中で「粘着テープを貼らない」を挙げ、「粘着剤が変色や汚れの原因になったり、剥がす際に壁紙を破損させることもあります」としています(出典:シンコール「壁紙(クロス)お手入れ」)。

サンゲツは、壁紙のメンテナンスの資料の中で、「粘着テープ(セロハンテープ、ガムテープ、シールなど)を壁紙に貼ると、テープの粘着剤が壁紙に移行し変色や汚れの原因となります。特にゴム系粘着剤は変色が起こりやすいためご注意ください。また粘着テープを剥がすときに壁紙を破損する恐れがあります。」と書いています(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。

3社の書き方をまとめると、壁紙メーカーが粘着テープについて注意している点は、粘着剤が壁紙に移って変色や汚れになることと、剥がすときに壁紙を傷めることの2つです。

商品の「下地を傷めない」という案内と、メーカーの注意はどう読めばよいか

一方で、保護シートの側は、剥がせることを前提につくられています。カインズの「PETP02SS」は、特徴の欄で、はがしても壁紙の下地を傷めないとしつつ、壁紙の材質によって異なる、という括弧書きを添えています。使用上の注意には「壁紙を傷めないような特殊な粘着剤を使用していますが壁紙の素材、劣化状況により壁紙表面を傷める場合があります。」とあります(出典:カインズ「PETP02SS」)。リンテックコマースも、粘着力を弱くして「貼ってはがせる」ようにしていると説明しています。

ここで押さえておきたいのは、壁紙メーカーが例に挙げているのはセロハンテープやガムテープ、シールなどで、市販の保護シートの粘着剤を名指ししたものではない、ということです。今回確認した資料には、保護シートの粘着剤そのものを対象に、壁紙への影響を確かめたデータは示されていません。

ただ、粘着剤が壁紙に移って変色させる、剥がすときに壁紙の表面を引っ張って傷める、という理屈は、保護シートにも当てはまる可能性があり、商品側の注意書きと併せて考える必要があります。そして保護シートの側も、「壁紙の素材、劣化状況により壁紙表面を傷める場合があります」と、条件によっては傷めることがあると書いています。両方の案内は食い違っているというより、「傷めにくくつくってあるが、壁紙の種類や状態によっては傷めることがある」という同じ話を、別の立場から書いていると読むのが自然です。

粘着剤の種類について、サンゲツは「特にゴム系粘着剤は変色が起こりやすい」と書いています。保護シートの中には、カインズの「PETP02SS」のように材質の欄で粘着剤の種類を表示しているものもあります。ただし、サンゲツの資料はゴム系以外の粘着剤なら変色しない、とまでは書いていません。粘着剤の種類の表示は選ぶときの手がかりにはなりますが、それだけで安心してよいという根拠にはなりません。

剥がすときの心配を減らしたいなら、静電気吸着タイプか、試し貼りで確かめてから

剥がすときのリスクをできるだけ避けたいなら、選び方は2つです。

ひとつは、粘着剤を使わない静電気吸着タイプを選ぶことです。前の章で例に挙げた商品のように、貼れる壁や持ちに制限があるものもありますが、粘着剤が壁紙に移る、剥がすときに粘着剤で壁紙を引っ張る、という粘着剤に由来する心配は避けられます。

もうひとつは、粘着タイプを使うなら、目立たない場所で試してから広げることです。とくに気をつけたいのが、壁紙そのものに劣化が見られる場合です。カインズの注意書きにある「劣化状況により」という言葉のとおり、年数にかかわらず、変色や硬さ、めくれなどが出ている壁紙は、剥がすときに傷むおそれがあります。試し貼りで剥がしたときに、壁紙の表面が少しでも持ち上がるようなら、その壁には粘着タイプを使わないほうが無難です。

剥がすときは、商品に剥がし方の説明があればそれに従ってください。もし剥がしたときに壁紙の表面が一緒に持っていかれてしまった場合は、めくれた部分を引っ張ったり、上から別のテープで押さえたりせず、まずはそのままの状態で、どのくらい傷んでいるかを確かめるところから始めます。剥がれた跡の見分け方と直し方は、壁紙がテープで剥がれたら?剥がれ・破れ・下地の傷みの3つで変わる直し方と費用で詳しく解説しています。

保護シートで対応できること・できないこと

ここまで、選び方と貼り方を見てきました。最後に、保護シートに何を期待してよくて、何は期待しないほうがよいのかを整理しておきます。ここを取り違えると、「貼ったのに困りごとが解決しない」ということになりがちです。

守れるのは、これから付く汚れや傷。透明・半透明のシートでは今ある汚れは隠せない

保護シートは、汚れや傷が壁紙に直接付かないよう、間に一枚入れておくためのものです。ダイソーの静電気吸着タイプは特徴に「壁色を隠さない」と書かれた透明タイプで、リンテックコマースのシートも「半透明なので壁紙の上から貼っても変なテカリがなく、貼っても目立たない」と説明しています(出典:ダイソー「壁保護シート(透明)」、リンテックコマース「壁紙の保護シート 傷・汚れ防止シート(はがせる)」)。

壁紙の色や柄をそのまま見せたまま守れるのが保護シートの良いところですが、裏を返すと、透明・半透明のシートでは、すでに付いている汚れやシミも透けて見えたままになります。商品によっては白無地を選べるものもあります(カインズの「CZWAS-400」には半透明のほかに白無地があります)。ただ、白無地でも汚れを隠す目的の商品かどうかは表示で確かめる必要があり、保護シートの本来の役目は守ることです。今ある汚れを目立たなくすることは、別の話として考えたほうが選びやすくなります。

今ある汚れは、貼る前にできる範囲で掃除しておき、それでも残る汚れをどうするかは、隠す方法や張り替えと合わせて考えることになります。貼って隠す・塗って隠す方法と、それぞれの条件は、壁紙の汚れ隠しは貼るか塗るか|商品が限定する3つの条件と、壁紙メーカー3社が粘着テープを避ける理由で解説しています。

ペットのひっかき・かじりそのものは止められない

ペットのいる家では、保護シートを貼ると、爪や歯が当たる場所が壁紙からシートに変わります。リンテックコマースの商品ページでも「猫ちゃんの爪とぎ防止にも有効です」と紹介されていて、カインズの「PETP02SS」は「ペットのいたずらから、壁紙を守るシートです。」と説明されています(出典:リンテックコマース「壁紙の保護シート 傷・汚れ防止シート(はがせる)」、カインズ「PETP02SS」)。

ただし、シートが守ってくれるのは壁紙のほうで、ひっかく・かじるという行動そのものが変わるわけではありません。シートの表面は傷んでいくので、傷んだら貼り替えることになりますし、シートの端をめくられて、その下の壁紙が傷むこともあります。なお、ダイソーの静電気吸着タイプは、注意事項に「尖ったものや鋭利なものに触れさせないでください。」と書いています(出典:ダイソー「壁保護シート(透明)」)。ペットの爪対策として使うなら、ペット向けとして売られている商品を選ぶほうが、商品の想定と使い方が合います。

ペットの傷みが繰り返し出ている壁を張り替えるかどうかは、壁紙やシートの種類よりも、その子がこれからもひっかく・かじる状況かどうかで考えることになります。猫の場合は猫の爪とぎで傷んだ壁紙は張り替えられる?判断を分ける「これからもひっかくか」と実際に張り替えた3つの状況、犬の場合は犬にかじられた壁紙は張り替えるべき?判断を分ける「これからもかじるか」と直し方・費用の目安で詳しく解説しています。

キッチンまわりは、専用のシートや耐熱温度の表示を確かめる

キッチンまわりには、ガスレンジや流し台の周りの壁に貼る、キッチン向けのシートが別に売られています。また、保護シートの中には耐熱温度を表示しているものがあり、カインズの「CZWAS-400」は60℃、「PETP02SS」は約80℃と書かれています(出典:カインズ「CZWAS-400」、カインズ「PETP02SS」)。コンロに近い場所では、耐熱温度の表示と、火や熱源の近くで使えるかの注意書きを確かめてください。キッチン向けの商品を選ぶ場合も、貼れる面とあわせて同じように確かめます。なお、ダイソーの静電気吸着タイプは、注意事項に「火や熱源のそばに置かないでください。」と書いています(出典:ダイソー「壁保護シート(透明)」)。

シートの貼り替えが続く、または壁紙に劣化が見られたら、張り替えを考える目安

保護シートは、今の壁紙をもう少し長く使うための手段です。次のような状態になってきたら、シートで守り続けるより、張り替えを考える段階に入っているかもしれません。

  • シートの貼り替えを何度も繰り返していて、守りたい範囲が少しずつ広がっている
  • シートの端の外側や、シートを貼っていない場所にも、汚れや傷が出てきた
  • 壁紙そのものに、変色やめくれ、継ぎ目の開きが目立つ
  • 試し貼りや貼り替えのときに、壁紙の表面が持ち上がるようになった

壁紙そのものの劣化が進んでいる場合は、保護シートで壁紙を守るという前提そのものが成り立ちにくくなっています。上の4つのうち、最後の2つは、壁紙の劣化が疑われる状態です。劣化が見られる壁紙では、粘着タイプを剥がすときに表面を傷めるおそれもあります。年数より今の壁の状態で替えどきを見る考え方は、壁紙の替えどきはいつ?築年数より見るべき「今の壁の状態」と見逃せない5つのサインで詳しく解説しています。

張り替えを相談するときは、保護シートを貼っていること、貼っていた期間、剥がした跡や持ち上がった箇所があるかを伝えておくと、現地で壁紙の表面や下地の傷みを確認するときの手がかりになります。シートを貼った面を隠す必要はありません。張り替えのときには、汚れやキズに強い機能のある壁紙を選ぶ、という選択肢も一緒に検討できます。

まとめ

  • 市販の保護シートは、貼り付け方で「静電気吸着タイプ」と「粘着タイプ」の2つに分かれる
  • 静電気吸着タイプは粘着剤を使わないぶん剥がすときの心配が少ないが、例に挙げたダイソーの商品は布や紙の壁などには使えず、貼り直しの回数や時間の経過で吸着が弱まると書かれている
  • 粘着タイプはロール状なら大きな面にも貼れるが、壁紙メーカー3社は粘着テープについて変色と剥がすときの破損に注意を促している。今回確認した資料には、保護シートの粘着剤そのものを対象にしたデータは示されていないので、心配なら目立たない場所で試すか、静電気吸着タイプを選ぶ
  • 貼れない壁や壁紙の加工は、同じタイプの中でも商品ごとに違う。買う前に「貼れる面」の欄を読み、角はL字に繋げず1面ずつ貼る
  • 貼る前に、貼る面のホコリ・油分・水分を取り、汚れや傷が付きやすい場所に絞って貼る
  • 保護シートが守れるのはこれから付く汚れや傷で、今ある汚れを消したり、ペットのひっかく行動を止めたりするものではない
  • シートの貼り替えが続く、または壁紙に変色やめくれなどの劣化が見られたら、張り替えを考える目安になる

保護シートは、正しく選んで貼れば、汚れや傷が壁紙に直接付くのを手軽に抑えられる道具です。一方で、シートで守り続けるのが難しい状態になってきたら、張り替えで壁をまとめて新しくするほうが、結果的に手間が少なく済むこともあります。今の壁がどちらの段階にあるか迷ったら、まずは電話か問い合わせフォームで相談してみてください。

保護シートで守るか、張り替えを考えるか迷っている方は、気になっている場所を電話や問い合わせフォームでお伝えください。シートを貼っている場合は、その旨や貼っていた期間もあわせてお聞かせください。現地で壁紙の状態を見たうえで、張り替える範囲と費用をご案内します。見積もり・現地調査は無料です。

電話が難しい方はでもご相談いただけます。

この記事の執筆者

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氏名:松田郁幾
実績:壁紙張り替えを中心に、これまで多くのお客様・職人と関わってきました。
この記事について:現場で見聞きした実例をもとに、誇張せず、実践的な視点で解説しています。

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