壁紙の汚れ隠しは貼るか塗るか|商品が限定する3つの条件と、壁紙メーカー3社が粘着テープを避ける理由

壁の汚れの上に補修用のシールを当てている手元と、そばに置かれた水性塗料の缶とローラー

掃除しても落ちなかった壁紙の汚れを前にして、「もう落とすのは諦めて、とりあえず隠せないか」と考えることがあります。100円ショップやホームセンターに行けば、壁に貼るシートや壁に塗れる塗料が並んでいます。ただ、売り場で手に取ってみると、これを本当に部屋の壁に使っていいのか、貼ったあとどうなるのかが分からないまま、レジに向かうのをためらってしまいます。

先に結論をお伝えします。壁紙の汚れを隠す方法は、シートやシールを貼るか、塗料を塗るかのどちらかです。ただし、貼る製品も塗る製品も、自分の注意書きで使える場所をはっきり限定しています。特に「貼る」ほうは、凹凸のある面には貼れない、貼り直しはできない、跡が残っても問題ない場所で使う、と書かれています。壁紙をつくっている側も、3社とも、粘着テープを貼ると変色や破損のおそれがあると書いています。

もうひとつ、隠したあとの見え方も先にお伝えします。白い壁紙に白いシートを貼ったり白い塗料を塗ったりしても、周囲と完全に同じにはなりません。ひとくちに白といっても色味に幅があるためです。ですから判断は「汚れが消えるかどうか」ではなく、「今の汚れと、少し色の違う部分がある状態と、どちらがましか」という程度の比較になります。

一方で、塗って隠した場合でも、あとから壁紙を張り替えることはできます。「塗ってしまうと後で困るのではないか」という心配は要りません。この点は先に安心していただいて大丈夫です。

この記事を読むと、次のことが分かります。

  • 壁紙の汚れを隠す方法が「貼る」と「塗る」に分かれること、家具で隠す場合の注意
  • 白い壁紙でも周囲と完全に同じ色にはならないこと。判断は程度の比較になること
  • 貼って隠す製品が、凹凸・貼り直し・跡の3点で使える場所を限定していること
  • 壁紙メーカー3社とも、粘着テープによる変色や破損に注意を促していること
  • 塗って隠す場合に選べる壁紙と選べない壁紙。塗ったあとの張り替えへの影響
  • 隠す製品の大きさと、それを超える広さの汚れをどう考えるか

読み終えるころには、自分の家の汚れが隠して済む範囲なのか、それとも張り替えを考える段階なのかが判断できるようになります。

自分の家の壁はどちらに当てはまるのか、写真を見せながら聞いてみたい方は、お電話でも受け付けています。

電話が難しい方はでもご相談いただけます。


壁紙の汚れを隠す方法は、大きく「貼る」と「塗る」に分かれる

壁の汚れを隠す2つの方法。左はシートを貼る方法、右はローラーで塗料を塗る方法

売り場に並んでいる商品はたくさんありますが、やっていることで整理すると2つしかありません。汚れの上に何かを貼ってふさぐか、汚れの上から塗料を塗って覆うかです。どちらを選ぶかで、使える範囲も、あとから元に戻せるかどうかも変わってきます。

なお、この記事は掃除で落ちなかったところから始めます。まだ試していない方法が残っているかもしれない場合は、掃除の道具・洗剤や、汚れの種類ごとに次の記事で整理しています。

貼って隠す:補修シール、リメイクシート、補修用カベ紙

貼るタイプは、補修シール・リメイクシート・補修用カベ紙の3つに分かれます。

いちばん小さいのが、汚れや破れの上にそのまま貼る補修用のシールです。100円ショップのダイソーには「壁紙補修用シール」という商品があり、商品説明に「壁紙の汚れた部分に」「壁紙の破れの補修に」と書かれています(出典:ダイソー「壁紙補修用シール(シート、2枚)」)。

次が、柄のついたシートを広めに貼るリメイクシートです。同じくダイソーの「リメイクシート」は、商品説明に「キズや汚れの目隠しに」という使い道が挙げられています(出典:ダイソー「リメイクシート(コンクリート柄、グレー)」)。

もうひとつ、塗料メーカーが出している補修専用の壁紙もあります。アサヒペンの「補修用 カベ紙」は、特長として「カベ紙の部分破れや汚れたところにピタッと貼るだけで簡単に補修できます」と書かれています(出典:アサヒペン「補修用 カベ紙」)。

なお、汚れの上に新しい壁紙そのものを貼ってしまう「重ね張り」は、ここでいう貼るタイプの製品とは別の話になります。こちらについては壁紙の上から重ね張りはNG?ビニールクロスと水性のりが密着しない理由で扱っています。

塗って隠す:水性のかべ用塗料

もうひとつが、壁紙の上から塗料を塗ってしまう方法です。壁紙を剥がさず、そのまま上に塗り重ねます。貼るタイプと違って継ぎ目ができません。点々と散らばった汚れや面全体の黄ばみには、塗るほうが向いています。

塗料メーカーのアサヒペンは、よくある質問のページで「カベ紙に塗料を塗れますか?」という問いに答えており、塗れる壁紙と塗れない壁紙を分けて書いています(出典:アサヒペン「塗装場所/素地との相性 よくある質問集」)。詳しくは後半で見ていきます。

家具で隠すという手もあるが、メーカーは勧めていない

汚れた場所の前に棚やタンスを置いて見えなくする、という方法をとっている方もいます。お金もかからず、いちばん手軽です。

ただし、これは壁紙メーカーが避けるよう書いている使い方にあたります。リリカラは取扱上の注意で「家具を壁面に密着させない」という項目を設けていて、「家具の塗料や材料であるベニヤの色素が壁紙に移行することによって、変色を起こす場合があります。家具と壁紙の間には隙間を設けるように心がけてください」としています(出典:リリカラ「取扱上の注意」)。隠していたつもりが、その裏で別の変色が進むことがあるという指摘です。家具を置くにしても、壁との間に隙間をとっておくほうが無難です。

どこまで目立たなくなるのか。周囲と完全に同じにはなりません

白い壁に貼った新品の白いシートが、周囲の壁紙よりわずかに明るく浮いて見える様子

隠す方法を選ぶ前に、どのくらいの仕上がりになるのかを知っておいたほうが、あとでがっかりしません。ここは商品ページにも競合の記事にもあまり書かれていない部分です。

白い壁紙でも、白の色味は少しずつ違う

壁紙が白系であれば、白いシートや白い塗料を使えば合うだろう、と考えたくなります。ただ、実際にはそうなりません。白といっても、青みがかった白、黄みがかった白、グレーに寄った白と幅があり、商品の白がたまたま自宅の壁紙と同じ白である可能性は高くありません。

さらに、もともと貼ってある壁紙は年数とともに少しずつ色が変わっています。新品の白いシートを貼れば、その部分だけが明るく浮いて見えることになります。

ある程度は合いますし、離れて見れば分からなくなることもあります。それでも、周囲とまったく同じにはならない、というところは前提にしておいてください。

色が合わないという問題は、隠す場合に限りません。1面だけ張り替えたときに周囲と色が合わない理由については、壁紙の日焼けは掃除・漂白で戻る?ヤニとの見分け方と部分張替えで色が合わない理由で扱っています。

判断の基準は「完全に消えるか」ではなく「今の汚れと比べてどちらがましか」

この前提に立つと、隠すかどうかの考え方が変わります。

判断するのは「汚れが消えるかどうか」ではありません。今の汚れと、少し色の違う部分がある状態の、どちらが気にならないかを比べます。汚れが濃くて目立つなら、多少色が違っても貼ってしまったほうがすっきりします。逆に、うっすらした汚れであれば、貼ったほうがかえって目立つこともあります。

つまり、隠す方法が向いているかどうかは、汚れの濃さと範囲によって変わります。この点は、実際に商品を貼る前に、一度離れた場所から壁を眺めて考えてみる価値があります。

「貼って隠す」は、製品の注意書きが使える場所をかなり限定している

貼るタイプは手軽に見えますが、商品の注意書きを読むと、使える場所がかなり絞られています。しかもその制限は、売り場で商品を手に取っただけでは気づきにくいところに書かれています。

凹凸のある壁紙には貼れない、と書かれている

ダイソーのリメイクシートは、商品説明で「キズや汚れの目隠しに」という使い道を挙げている一方、同じ説明の中に「ザラザラ面・凹凸面には貼り付けできません」と書いています。あわせて「砂壁、繊維壁、高級家具、革製品等に貼らないでください」「特殊樹脂加工などの面や材質によって貼れない場合があります」「目立たない部分で試してから使用してください」とも書かれています(出典:ダイソー「リメイクシート(コンクリート柄、グレー)」)。

ここで気をつけたいのは、住宅に貼られているビニール壁紙には、表面に凹凸のあるものもあるという点です。指で触ると細かい凸凹を感じる壁紙は珍しくありません。その凹凸が「ザラザラ面・凹凸面」に当たるかどうかは商品説明からは読み取れませんが、少なくとも、貼る前に目立たない場所で試すよう書かれている以上、いきなり見える場所に貼るのは想定されていません。

アサヒペンの補修用カベ紙も、貼れる面を「ビニルカベ紙」としたうえで、「表面がザラザラした一部の砂壁調のビニルカベ紙や、セロハンテープが接着しないような特殊な表面加工されたカベ紙には、充分接着しないことがあります」と注記しています。貼れない面としては「布カベ紙、砂壁、せんい壁、天井、浴室内などの水のかかる場所、屋外」が挙げられています(出典:アサヒペン「補修用 カベ紙」)。天井が貼れない面に入っている点は見落としやすいところです。

貼り直しができない。一発勝負になる

貼るタイプでもうひとつ知っておきたいのが、位置を直せないことです。

アサヒペンの補修用カベ紙は、注意事項に「強粘着のため、貼り直しはできませんので注意して貼ってください」と明記しています(出典:アサヒペン「補修用 カベ紙」)。ダイソーの壁紙補修用シールも、注意書きに「接着後の貼り直し不可」とあります(出典:ダイソー「壁紙補修用シール(シート、2枚)」)。リメイクシートにも「粘着面を手で触ったり、貼り直しをすると粘着力が弱くなります」という記載があります。

補修シールと補修用カベ紙は、少し曲がってもしわが入っても貼り直せません。リメイクシートも、貼り直すと粘着力が落ちます。汚れを隠すつもりが、曲がったシートという別の気になる点を作ってしまうことがあります。

「跡が残っても問題ない場所で使用」と書かれている

ダイソーの壁紙補修用シールの注意書きには、「跡が残っても問題ない場所で使用」という一文があります(出典:ダイソー「壁紙補修用シール(シート、2枚)」)。リメイクシートのほうにも「一度貼るとはがす時、きれいに剥がれなかったり、糊が残る場合があります」と書かれています。

つまり、貼ったシートを剥がしても、元の壁紙がそのまま残るとは限りません。貼った時点で、その部分は元には戻らない可能性があるものとして扱われています。持ち家であれば自分の判断で済みますが、あとで張り替えるときに下地の状態が変わる可能性がある、という点は頭に入れておきたいところです。

セロハンテープが付かない壁紙なら、貼るタイプも付かない可能性がある

自宅の壁紙が貼れる面なのかどうかは、専門知識がないと分からないように思えます。ただ、アサヒペンの注記にひとつ手がかりがあります。

前述のとおり、同社は「セロハンテープが接着しないような特殊な表面加工されたカベ紙には、充分接着しないことがあります」と書いています(出典:アサヒペン「補修用 カベ紙」)。ここから言えるのは一方向だけです。セロハンテープが付かない壁紙なら、貼るタイプも十分に接着しない可能性があります。逆に、テープが付いたからといって問題なく付く、とは書かれていません。

目立たない場所にセロハンテープを軽く貼ってみて、すぐに落ちてくるようであれば、貼るタイプも十分に付かない可能性があります。買いに行く前にできる確認です。

壁紙メーカーは、そもそも粘着テープを避けるよう書いている

ここまでは商品の側の話でしたが、壁紙をつくっている側は、貼って隠すことについて別の見方を示しています。

3社とも書いている。理由は変色と破損の2つ

壁紙メーカー3社とも、粘着テープによる変色や破損に注意を促しています。サンゲツ・リリカラ・シンコールの3社で、リリカラとシンコールはお手入れのページに「貼らない」と明記し、サンゲツはメンテナンスの資料に、貼ると変色や破損のおそれがあると書いています。

リリカラは取扱上の注意に「粘着テープを貼らない」という項目を置き、「セロハンテープやガムテープなどの粘着テープ類は、粘着材が壁紙に移行して変色や汚れの原因になる上、剥がすときに壁紙を破損させることもあるので使用しないでください」と書いています(出典:リリカラ「取扱上の注意」)。

シンコールも「壁紙の変色を防ぐには」という項目の中で「粘着テープを貼らない」を挙げ、「粘着剤が変色や汚れの原因になったり、剥がす際に壁紙を破損させることもあります」としています(出典:シンコール「壁紙(クロス)お手入れ」)。

サンゲツは、壁紙の一般注意事項として「粘着テープ(セロハンテープ、ガムテープ、シールなど)を壁紙に貼ると、テープの粘着剤が壁紙に移行し変色や汚れの原因となります。特にゴム系粘着剤は変色が起こりやすいためご注意ください。また粘着テープを剥がすときに壁紙を破損する恐れがあります。」と書いています(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。お手入れのページには粘着テープの項目はなく、この資料のほうに書かれています。

理由は3社とも同じで、2つあります。ひとつは、粘着剤が壁紙に移っていって変色や汚れの原因になること。もうひとつは、剥がすときに壁紙そのものを破ってしまうことです。汚れを隠すために貼ったものが、その周りに新しい変色をつくり、剥がすときには壁紙を傷めるかもしれない、という指摘になります。

なお、例として名前が挙がっているのは、リリカラがセロハンテープやガムテープ、サンゲツがセロハンテープ、ガムテープ、シールなどです。シール一般は例に入っていますが、補修シールやリメイクシートという商品の区分が名指しされているわけではありません。ただ、粘着剤で貼り付けて、いずれ剥がすという点は同じです。

家具を壁に密着させるのも、同じ色移りの理由で避けるよう書かれている

先に触れた「家具を壁面に密着させない」も、同じリリカラの取扱上の注意に並んでいる項目です。家具の塗料やベニヤの色素が壁紙に移って変色する、という説明でした(出典:リリカラ「取扱上の注意」)。

粘着テープの項目と並べて読むと、共通しているのは「壁紙に何かを密着させると、相手の成分が移ってくる」という考え方です。貼るにしても家具を置くにしても、壁紙の側から見れば同じことが起きうる、ということになります。

「塗って隠す」は面で隠せて、あとの張り替えにも支障はありません

貼るタイプの制限を見てきましたが、塗るタイプは事情が違います。継ぎ目ができないので、点々と散らばった汚れや面全体の黄ばみには向いています。ただし、こちらにも塗れる壁紙と塗れない壁紙があります。

一般のビニルカベ紙には塗れる。布壁紙とオレフィン系のビニルカベ紙には塗れない

アサヒペンは「カベ紙に塗料を塗れますか?」という質問に対して、次のように答えています。

「カベ紙、ビニールカベ紙には、『NEW水性インテリアカラー』や『水性多用途ペイントマットカラー』が塗れます。布カベ紙には色ムラが生じやすく、仕上がりが悪いため塗れません。また、オレフィン系のビニールカベ紙には密着が悪く塗ることができません。用途外の塗料を塗ると塗装面がべたついてきますので使用しないでください。」(出典:アサヒペン「塗装場所/素地との相性 よくある質問集」)

塗れないとされているのは、布の壁紙とオレフィン系のビニール壁紙の2種類です。布の壁紙は色ムラが出て仕上がりが悪くなるため、オレフィン系は塗料が密着しないためです。

自分の家の壁紙がどれかは、見ただけでは分からない

ここが実際には難しいところです。自宅の壁紙がオレフィン系かどうかは、見た目や手触りでは判別できません。新築やリフォームのときの仕様書が残っていれば品番から分かりますが、中古で購入した住宅や、前の張り替えから年数が経っている場合は、手元に見当たらないこともあります。

塗れない壁紙に塗った場合どうなるかについては、上の引用のとおり「用途外の塗料を塗ると塗装面がべたついてきます」と書かれています。判断がつかないのであれば、まずは目立たない場所で小さく試すのが現実的です。

塗ったあとでも張り替えはできる

塗って隠すことをためらう理由として、「塗ってしまったら、もう張り替えられないのではないか」という心配があります。これについては、心配は要りません。

塗装で仕上げ直した壁紙も、あとから通常どおり剥がして張り替えられます。実際、賃貸物件では、退去のたびに張り替えるのではなく塗装で仕上げ直す方法がよく使われていて、その後の張り替えにも支障は出ていません。

ひとつだけ挙げるとすれば、塗料のぶんだけ剥がした壁紙の体積が増えるので、廃材の処分費用が少し上乗せになることはあります。ただ、これは張り替えそのものができなくなるという話ではありません。

広い範囲を貼って隠すのは、補修製品の想定から外れます

ここまで、貼る場合と塗る場合それぞれの条件を見てきました。貼るタイプには、もうひとつ大きな分かれ目があります。隠したい範囲の広さです。

補修シールは約8cm×14cm、リメイクシートは90cm×30cm

商品のサイズを見ると、想定されている使い方がはっきりします。

ダイソーの壁紙補修用シールは、商品説明によると「サイズ:約80mm×140mm」で2シート入りです(出典:ダイソー「壁紙補修用シール(シート、2枚)」)。手のひらほどの大きさで、狭い範囲の傷や破れを想定した商品です。

リメイクシートはもう少し大きく、90cm×30cmです(出典:ダイソー「リメイクシート(コンクリート柄、グレー)」)。アサヒペンの補修用カベ紙は、幅15cm・30cm・46cmの3種類で、いずれも長さ60cmです(出典:アサヒペン「補修用 カベ紙」)。

補修シールもリメイクシートも、壁の一面を覆うには桁が足りません。これらは面を隠す商品ではなく、部分を補修する商品として作られています。

複数枚貼っても柄は繋がらない、と書かれている

では何枚も買って並べて貼ればよいかというと、そこにも注記があります。

ダイソーのリメイクシートには「複数枚のシートを貼付ける場合、必ずしも柄が一致、繋がることはありませんので、ご了承ください」「生産ロットの単位ごとで、若干の色のさが生じることがあります」と書かれています(出典:ダイソー「リメイクシート(コンクリート柄、グレー)」)。

リメイクシートは枚数を増やしても、継ぎ目で柄がずれ、ロットで色も少し違います。汚れは隠れても、今度は継ぎ目のずれが気になる壁になりかねません。広い範囲であれば、塗るほうを検討したほうが素直です。

隠すより張り替えたほうが早い場合と、見積もりのときに伝えること

ここまでの条件を並べると、隠す方法が向いているのは、狭い範囲で、平らな面で、跡が残っても構わない場所、ということになります。この条件から外れているなら、隠す前に張り替えの話を聞いてしまったほうが、結果的に早いことがあります。

壁紙が硬くなると、はがれの部分補修はできなくなる

張り替えを考えるきっかけとして、壁紙メーカー自身の記述もひとつの目安になります。

サンゲツは、はがれてきた壁紙を直す方法としてビニル壁紙の場合を説明したうえで、「経時変化により壁紙が硬化している場合は部分的な補修では対応ができませんので、貼り替えをおすすめします」としています(出典:サンゲツ「壁紙のお手入れ方法」)。

これははがれの補修についての記述で、汚れを隠す話ではありません。ただ、年数が経って壁紙が硬くなると、はがれを部分的に補修することはできなくなります。メーカーがそう書いている点は、覚えておいて損がありません。触ると端がぱりぱりと欠ける、めくれた部分が元に戻らない、といった状態であれば、隠すより先に張り替えの話を聞いたほうが早い段階にきています。

張り替えは1面単位が基本

壁紙は幅のあるシートを並べて貼ってあるので、途中で切って一部だけ貼り替えると、そこだけ色や柄が変わって継ぎ目が出ます。そのため、張り替えは壁の1面単位、あるいは部屋単位で考えるのが基本になります。

裏を返せば、汚れが同じ1面の中で広がっても、張り替え費用は大きく変わらない場合があります。「汚れが増えたら高くなる」と考えて隠しながら我慢する必要は、必ずしもありません。

隠して我慢を続けるか、張り替えに切り替えるかという判断そのものは、壁紙の替えどきはいつ?築年数より見るべき「今の壁の状態」と見逃せない5つのサインが材料になります。

すでに貼った・塗ったなら、そのことを必ず伝える

見積もりを頼むときに、伝えておきたいことがあります。すでにシートを貼った、塗料を塗ったなら、そのことをそのまま伝えてください。

隠したことを言いにくく感じる方もいますが、現地を見れば分かることですし、隠してあるかどうかで下地の確認の仕方が変わります。貼ったシートを剥がしてみないと下の状態が分からない場合もあります。先に伝えておくほうが、見積もりの精度が上がります。

何を試したかを伝えると、下地の判断が早くなる

貼る・塗るの前に、掃除を試した方も多いはずです。どんな洗剤を使ったか、こすったかどうかも、あわせて伝えておくとよい情報になります。

強くこすった跡があれば、壁紙の表面が傷んでいる可能性があります。表面が傷んでいるかどうかで、張り替えの前に下地を整える手間が変わることがあります。何を試して落ちなかったのかが分かれば、現地での確認が早く済み、見積もりも出しやすくなります。

この下地を整える工程そのものについては、壁紙の下地処理とは?数か月後に浮きが出る理由と、見積書で確認する一言で詳しく扱っています。

まとめ

壁紙の汚れを隠す方法について、商品と壁紙メーカーの記述から分かったことを整理します。

  • 隠す方法は「貼る」と「塗る」の2つ。家具で隠すのは、リリカラが色移りの理由で避けるよう書いている
  • 白い壁紙に白い商品を使っても、周囲と完全に同じ色にはならない。判断は「消えるか」ではなく「今の汚れと比べてどちらがましか」という程度の比較になる
  • 貼るタイプは、凹凸面には貼れない、貼り直しがきかない、跡が残っても問題ない場所で使う、と商品側が書いている。セロハンテープが付かない壁紙なら、貼るタイプも付かない可能性がある
  • 壁紙メーカー3社とも、粘着テープによる変色や破損に注意を促している(リリカラとシンコールは「貼らない」と明記)。理由は粘着剤の移行による変色と、剥がすときの破損の2つ
  • 塗るタイプは継ぎ目ができないので広い範囲に向く。ただし一般のビニル壁紙には塗れるが、布壁紙とオレフィン系のビニル壁紙には塗れないと塗料メーカーが書いている。塗ったあとの張り替えに支障はない
  • 補修シールは約8cm×14cm、リメイクシートは90cm×30cm。複数枚貼っても柄は繋がらないと書かれており、広い範囲を貼って隠す使い方は想定されていない
  • 壁紙が経年で硬くなっている場合、はがれは部分的に補修できず貼り替えを勧める、とサンゲツが案内している

隠すという方法自体は、条件が合えば十分に使えます。狭い範囲で、平らな面で、跡が残っても構わない場所なら、張り替えよりずっと少ない出費で気にならなくできます。

一方で、貼って隠そうとしている汚れが面で広がっている場合や、貼りたい場所が天井である場合は、商品の側が想定していない使い方になります。天井は、アサヒペンが補修用カベ紙の貼れない面として挙げていました。そこで無理に貼ると、汚れとは別の見た目の問題を足すことになりかねません。また、壁紙の端がぱりぱりと欠けるなど硬くなってきている場合も、粘着剤で貼ったものを剥がすときに壁紙を傷めやすいので、隠すより張り替えを相談する段階にきています。

隠せる条件から外れていると感じたら、張り替えの範囲と費用を先に確かめてください。1面だけで収まるのか、部屋全体で考えたほうがよいのかが分かれば、隠して我慢し続けるかどうかも判断できます。すでに何かを試した場合は、そのことも含めて伝えてもらえれば、現地での確認がそのぶん早くなります。

隠して済ませるか張り替えるかを決める前に、まず今の状態を見てもらいたい、という段階でも構いません。無料の現地調査とお見積もりで、範囲と費用をお伝えします。

電話が難しい方はでもご相談いただけます。

この記事の執筆者

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氏名:松田郁幾
実績:壁紙張り替えを中心に、これまで多くのお客様・職人と関わってきました。
この記事について:現場で見聞きした実例をもとに、誇張せず、実践的な視点で解説しています。

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