
部屋を片づけていて、壁に貼っていたカレンダーや飾りのテープを剥がしたら、壁紙の表面が一緒にぺろっと持っていかれてしまった。両面テープで留めていたフック、引っ越しや工事のときの養生テープ、マスキングテープでも、同じことが起きます。「自分で直せるのか」「業者に頼むほどのことなのか」「これ以上傷めないためにどうすればよいのか」と迷っている方もいると思います。
先に結論をお伝えします。一般的なビニル壁紙で、テープと一緒に持ち上がった壁紙がちぎれずに残っていて、まだやわらかく、奥の下地が傷んでいなければ、めくれた壁紙は文具用の糊や木工用ボンドで自分で貼り戻せることがあります。壁紙メーカーのサンゲツも、ビニル壁紙の部分的な剥がれは、文具用の糊や木工用ボンドで貼り付ける方法を案内しています。壁紙がちぎれて裂けや穴になっている場合は、貼り戻す材料がないので、手の届く場所の小さなものは、あとで剥がさない前提で補修用の壁紙やシールを使って目立たなくするか、業者に直してもらうかを考えることになります。奥の下地まで傷んでいる、何か所も剥がれている、壁紙が硬くなっていて貼り戻せない、という場合は、業者に見てもらったほうが早く片づきます。
業者に頼む場合の費用は、直し方によって分かれます。めくれた壁紙の貼り戻し程度の簡単な補修なら、1面の張り替えより安い料金を設けている業者もあります。一部を新しい壁紙に張り替える補修になると、費用は1面の張り替えと同じくらいになりやすく、多くの業者は最低料金を4万〜6万円程度に設定しています。張り替えずに傷んだ箇所だけを直すリペア業者という頼み先もあり、目安は下地に傷みがない場合で1万〜3万円程度です。
この記事を読むと、次のことが分かります。
- テープを剥がすと壁紙が持っていかれる理由と、壁紙メーカー3社が粘着テープについて注意していること
- 剥がれた跡を「めくれて残っている」「ちぎれて裂けや穴になっている」「下地まで傷んでいる」の3つに分けて見る方法と、見る前にやらないほうがよいこと
- 自分で貼り戻せる範囲と、貼り戻すときの手順(ちぎれてしまった場合に覆って目立たなくする方法の注意も)
- 自分では難しい場合の頼み先(張り替え業者の補修、リペア業者、1面の張り替え)と費用の考え方、実際にマスキングテープの剥がれから張り替えになった施工事例
読み終えるころには、目の前の剥がれを自分で貼り戻すか、見てもらうか、次に何をすればよいかが決められるはずです。
テープで剥がれた壁紙を自分で貼り戻せるのか判断がつかない方は、電話で剥がれた場所や大きさを、分かる範囲でお聞かせください。見てもらったほうがよい状態かどうかも含めてご案内します。見積もり・現地調査は無料です。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
なぜテープを剥がすと壁紙の表面が持っていかれるのか

テープを剥がしただけで壁紙が持っていかれると、「壁紙が弱いのでは」「貼り方が悪かったのでは」と思うかもしれません。ただ、壁紙をつくっている側は、粘着テープを壁紙に貼ること自体に注意を促しています。まず、メーカーが何を注意しているのかを見ておきます。
粘着剤が移って変色する、剥がすときに破損する——壁紙メーカー3社が注意している2つの理由
壁紙メーカーのサンゲツ・リリカラ・シンコールの3社は、いずれも粘着テープについて注意を促しています。そのうちリリカラとシンコールは、「粘着テープを貼らない」と項目を立てて明記しています。
リリカラは取扱上の注意に「粘着テープを貼らない」という項目を置き、「セロハンテープやガムテープなどの粘着テープ類は、粘着材が壁紙に移行して変色や汚れの原因になる上、剥がすときに壁紙を破損させることもあるので使用しないでください」と書いています(出典:リリカラ「取扱上の注意」)。
シンコールも「壁紙の変色を防ぐには」という項目の中で「粘着テープを貼らない」を挙げ、「粘着剤が変色や汚れの原因になったり、剥がす際に壁紙を破損させることもあります」としています(出典:シンコール「壁紙(クロス)お手入れ」)。
サンゲツは、壁紙のメンテナンスの資料の中で、「粘着テープ(セロハンテープ、ガムテープ、シールなど)を壁紙に貼ると、テープの粘着剤が壁紙に移行し変色や汚れの原因となります。特にゴム系粘着剤は変色が起こりやすいためご注意ください。また粘着テープを剥がすときに壁紙を破損する恐れがあります。」と書いています(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。
3社の書き方をまとめると、理由は2つです。1つは、テープの粘着剤が壁紙に移って、変色や汚れになること。もう1つは、テープを剥がすときに壁紙を傷めることです。今回の「剥がしたら壁紙が持っていかれた」は、メーカーが注意している2つ目のことが、そのまま起きた状態だといえます。
テープの粘着剤は、貼っているあいだ壁紙の表面に付いています。剥がすときには、テープが壁紙の表面を引っ張ることになります。そのときに壁紙の側がテープに負けると、壁紙の表面や壁紙そのものが、テープと一緒に持ち上がってしまう、と考えると分かりやすいでしょう。どのくらいの力で持っていかれるかは、テープの粘着の強さ、貼っていた期間、壁紙の種類や状態などで変わるので、「この条件なら必ず剥がれる/剥がれない」とは言えません。
テープの種類による違いは、メーカーの注意書きには書かれていない
「両面テープだったから剥がれたのか」「マスキングテープなら大丈夫だったのか」と気になる方もいると思います。
ただ、上で紹介した3社の注意書きは、テープの種類を分けて書いていません。例として名前が挙がっているのは、サンゲツがセロハンテープ・ガムテープ・シールなど、リリカラがセロハンテープやガムテープなどで、どちらも「粘着テープ」というくくりで注意しています。両面テープ・養生テープ・マスキングテープについて、「このテープなら剥がれない」「このテープは特に剥がれやすい」と書き分けているメーカーの案内は、今回確認した範囲にはありませんでした。
そのため、この記事でもテープの種類ごとの強い・弱いは断定しません。実際に、剥がすことを前提に使うマスキングテープでも、壁紙が剥がれることはあります。この記事の後半で紹介する施工事例も、工事の養生に使ったマスキングテープを剥がしたときに起きたものです。どのテープだったかよりも、目の前の剥がれがどんな状態かを見るほうが、次の行動を決めやすくなります。
剥がれた跡を3つに分けて見る

ここからは、剥がれた跡がどんな状態かを見ていきます。同じ「テープで剥がれた」でも、状態によって、自分で貼り戻せるのか、別の直し方になるのかが変わります。
確かめる前に、引っ張らない・上からテープで押さえない
剥がれに気づいた直後は、つい手を出したくなりますが、状態を確かめる前に、次のことは避けておいたほうが無難です。
- めくれた壁紙の端をつまんで、「どこまで剥がれているか」と引っ張る。一度伸びた壁紙は元の寸法に戻りにくく、貼り戻しても波打ったり、剥がれが広がったりすることがあります
- めくれた部分を、別のテープで上から押さえておく。メーカーが注意しているとおり、粘着テープは壁紙を変色させたり、剥がすときに傷めたりする原因になります。その場しのぎのつもりで貼ったテープを剥がすときに、また同じことが起きかねません
- ちぎれかけた壁紙の切れ端を、はさみで切り取ったり捨てたりする。めくれた壁紙が残っていれば貼り戻せる可能性がありますが、取ってしまうと貼り戻す材料がなくなります。テープ側に壁紙がくっついて取れてしまった場合も、すぐに捨てず、テープごと取っておくと状態を説明するときの手がかりになります
どれも「絶対にだめ」というものではありませんが、剥がれた跡の状態を確かめる前に手を加えると、貼り戻せたはずの剥がれが、貼り戻せない状態になることがあります。まずは、剥がれた跡をそのままの状態で見てください。
めくれた壁紙が残っている:「剥がれ」として貼り戻せる可能性がある
テープと一緒に持ち上がった壁紙が、ちぎれずにつながったまま、ぺらりとめくれている状態です。めくれた部分を引っ張らずに、指でそっと元の位置に戻してみて、ほぼ元どおりの形に沿うなら、貼り戻せる可能性があります。
壁紙の端(角や継ぎ目)がめくれ上がった状態は、一般に「剥がれ(めくれ)」と呼ばれます。テープの下がちょうど壁紙の継ぎ目にかかっていた場合は、継ぎ目に沿って端がめくれていることもあります。壁紙の中ほどがぷっくりとふくらんでいるのは「浮き」と呼ばれ、剥がれとは分けて考えます。テープの跡とは別に浮きも見つかった場合の見分け方と直し方は、壁紙の浮きは自分で直せる?補修できる3条件と、業者に見てもらうべき浮きの見分け方で扱っています。
めくれた壁紙が残り、元の位置に沿い、奥の下地も傷んでいなければ、次の章で紹介する方法で自分で貼り戻せることがあります。
ちぎれて裂けや穴になっている:「破れ」として考える
テープ側に壁紙の表面がくっついて取れてしまい、壁に裂け目や穴のような跡が残っている状態です。めくれた部分がちぎれてなくなっている、裂け目のふちがぎざぎざになっている、という場合もこちらです。
剥がれた跡に白っぽい紙のような層が見えていることもあります。一般的なビニル壁紙は、表面の層と裏の紙の層が重なってできているので、テープに表面の層だけが持っていかれて、裏の紙が壁に残ったように見えることがあります。ただ、次の項目で触れる下地(石膏ボード)の表面にも紙が貼られているので、見えている紙がどちらなのかは、見ただけでは区別しにくいことがあります。指で軽く押してみてへこむ、ぼろぼろと崩れる、という場合は、下地まで傷んでいる側として考えてください。判断がつかなければ、そのままの状態で見てもらうのが確実です。
この状態は、剥がれというより「破れ」に近く、ちぎれてなくなった部分は、貼り戻す方法では直せません。手の届く場所の小さなものなら、補修用の壁紙やシールで上から覆って目立たなくする方法もありますが、周りとの違いは出やすくなります。また、これらも粘着剤で貼るものなので、メーカーが粘着テープについて注意しているのと同じく、あとで剥がすときに周りの壁紙を傷めることがあります。貼ったら剥がさないつもりの場所に使う方法と考えてください。
自分で目立たなくできる破れの目安と、業者に相談したほうがよい目安は、壁紙の破れは自分で補修できる?業者に相談したほうがよい5つの目安と費用の考え方で詳しく扱っています。補修用の壁紙やシールで覆うときの注意(貼り直しができない、跡が残っても問題ない場所で使う、と商品側が書いていること)は、壁紙の汚れ隠しは貼るか塗るか|商品が限定する3つの条件と、壁紙メーカー3社が粘着テープを避ける理由で、壁紙メーカー3社の粘着テープの注意とあわせて整理しています。
奥の下地が傷んでいる・へこんでいる:自分で直すより見てもらう
剥がれた部分の奥を指で軽く押してみて、へこむ、ぼろぼろと崩れる、下地の板(多くの住宅では石膏ボード)の表面の紙ごとめくれてその奥が見えている、という場合は、下地まで傷んでいます。テープで下地まで傷むことは多くはありませんが、テープの粘着が強いと、壁紙だけでなく下地の表面まで一緒に持っていかれることがあります。
この状態で壁紙だけを貼り戻しても、下地の表面ごと剥がれてきたり、へこみや段差が残ったりします。めくれた壁紙が残っていても、残っていなくても、下地まで傷んでいるなら、自分で直すより一度見てもらったほうが確実です。
あわせて、剥がれの周りに茶色いシミや黒い点々としたカビ、触ると湿っている跡がないかも見てください。テープを剥がしたときに初めて気づいただけで、もともと湿気や結露で壁紙の接着が弱まっていた、ということもありえます。サンゲツも、結露や過度の湿気はシミ・剥がれ・かび発生の原因になると書いています(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。シミやカビがあるなら、貼り戻す前に、壁の中で何が起きているかを確かめることが先になります。シミの原因(雨漏り・結露・カビなど)の見分け方は、壁紙のシミの原因は?雨漏り・結露・カビ・ヤニの見分け方と、張り替えの前にすべきことで扱っています。
自分で貼り戻せる範囲と直し方
ここからは、めくれた壁紙が残っている「剥がれ」を、自分で貼り戻す場合の目安と方法を整理します。目安に当てはまれば必ずきれいに直る、というものではありません。「このくらいなら、自分で試してみる価値がある」という線として読んでください。
めくれた壁紙が残っていて、やわらかく、下地が傷んでいなければ貼り戻せることがある
前の章で剥がれた跡を見て、めくれた壁紙が残っていると分かったら、次は貼り戻せる状態かを詳しく確かめます。壁につながったままめくれている壁紙の表にテープがまだ付いているなら、先にテープを外してから確かめます。めくれた壁紙を指で押さえながら、テープをゆっくり外してください。外すときに壁紙がさらにちぎれそうなら、無理をせず、そのままの状態で見てもらうほうが無難です。
自分で貼り戻しやすいのは、次の条件がそろっている剥がれです。
- めくれた壁紙がちぎれずに残っていて、元の位置に戻せる
- めくれた壁紙を指で押さえると、まだやわらかく、元の位置に沿う
- めくれた奥の下地が、へこんだり崩れたりしていない
- 床に立ったまま手が届く高さで、剥がれが1〜2箇所程度
反対に、めくれた壁紙を押さえても元の位置に沿わない、端がぱりぱりと割れたり欠けたりする、という場合は、壁紙そのものが年数とともに硬くなっています。硬くなった壁紙は、自分で貼り戻すより張り替えを考える段階です。サンゲツは、はがれてきた壁紙の直し方を案内したうえで、「経時変化により壁紙が硬化している場合は部分的な補修では対応ができませんので、貼り替えをおすすめします」と書いています(出典:サンゲツ「壁紙のお手入れ方法」)。
また、脚立を使わないと届かない高い場所の剥がれは、自分で直すことをおすすめしません。上を向いたまま両手を使う作業になるので、体を支えにくく、脚立からの落下によるけがは一般的にも多いものです。急いで直す必要がなければ、ほかの気になる箇所と一緒に見てもらう形で十分です。
テープを貼っていた場所が部屋の角にかかっていて、角でめくれている場合の見分け方は、壁紙の角が剥がれてきたら?自分で貼り戻せる条件と、業者に頼む場合の費用の考え方で、出っ張った角とへこんだ角に分けて詳しく扱っています。
貼り戻すなら、文具用の糊か木工用ボンドで
条件がそろっている剥がれなら、めくれた部分を糊で貼り戻します。
サンゲツは、メンテナンスの資料で「部分的な剥がれであれば、剥がれが広がる前にゴミや埃を取り除いた後、壁紙の裏に文具用の糊や木工用ボンドをはみ出さないように塗布して、十分に圧着してください」と案内しています(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。シンコールも「壁紙が剥がれたら」として、「下地のゴミやホコリを取り除き、木工用水性接着剤で補修をしてください」と書いています(出典:シンコール「壁紙(クロス)お手入れ」)。どちらも、ビニル壁紙を前提にした案内なので、以下の手順もビニル壁紙を前提にしています。布や紙など、ほかの素材の壁紙の場合は、自分で貼り戻す前に一度見てもらったほうが安心です。
手順にすると、次のようになります。
- めくれた壁紙の表にテープの粘着剤が残っていたら、強くこすらず、取れる範囲で取り除く(メーカーが注意しているとおり、粘着剤が残ると変色や汚れの原因になることがある)
- めくれた壁紙の裏と、奥の下地についたほこりやごみを、乾いた布や刷毛で取り除く
- めくれた壁紙の裏に、文具用の糊か木工用ボンドを塗る。押さえたときにはみ出さないよう、量は控えめにする
- 元の位置に合わせて、指や乾いた布で内側から外側へ押さえ、しっかり圧着する
- はみ出した糊は、固く絞った布ですぐに拭き取る
- 糊が乾くまでは、押したり触ったりしない。乾く時間は製品の表示に従う
はみ出した糊を拭き取るのは、見た目のためだけではありません。シンコールは注意事項として、「接着剤がはみ出た場合は、十分に拭き取りましょう。放置すると、接着剤にホコリがついて固まったり、変色の原因になりますのでご注意ください」と書いています(出典:シンコール「壁紙(クロス)お手入れ」)。
瞬間接着剤は、乾くと固く盛り上がって段差になりやすいので向きません。また、貼り戻した上から、押さえのためにテープを貼っておくのも避けたほうが無難です。前の章で見たとおり、そのテープを剥がすときに、また壁紙を傷めることがあります。
剥がれは早めに貼り戻す。目指せるのは「目立たなくする」まで
サンゲツの資料は、貼り戻しの方法に続けて「剥がれてから時間が経ったものや、劣化して硬くなったものは補修が困難です。貼り替えをおすすめします」と書いています(出典:サンゲツ「壁紙のメンテナンス(一般ビニル壁紙)」)。めくれたまま長く置くと、めくれた部分にほこりがたまったり、癖がついて元の位置に沿いにくくなったりします。貼り戻すと決めたなら、気づいたときに早めに手をつけるほうが向いています。
自分で貼り戻した場合も、周りと完全に同じ見た目にはならないことがあります。剥がれの線がうっすら残ったり、はみ出した糊の跡が光の当たり方で見えたりすることがあります。目指せるのは「離れて見れば気にならない程度に目立たなくする」までと考えてください。
貼り戻した跡が気になる、しばらくしてまた剥がれてきた、という場合は、そこで張り替えを含めて見てもらう形でも遅くはありません。張り替えるなら、古い壁紙を剥がし、下地を整えてから新しい壁紙を貼るので、自分で直した跡を目立ちにくくできる場合があります。何を使ってどう直したかは、相談のときにそのまま伝えてください。
自分では難しい・広がってしまった場合の頼み先と費用
ちぎれて裂けや穴になっていて自分では目立たなくできない、下地まで傷んでいる、何か所も剥がれている、壁紙が硬くなっている、という場合は、業者に頼む直し方を考えます。頼み先は、壁紙の張り替え業者と、張り替えずに直すリペア業者に分かれます。
張り替え業者に頼む場合は、直し方で費用が分かれる
壁紙の張り替え業者に頼む場合の費用は、どんな直し方になるかで2つに分かれます。
1つは、めくれた壁紙を貼り戻したり、張り替えを伴わない小さな傷を目立たなくしたりする程度の、簡単な補修です。作業が短く済むので、1面の張り替えより安い「補修」の料金を設けている業者もあります。めくれた壁紙が残っていて、やわらかい剥がれなら、この直し方で済む可能性があります。
もう1つは、傷んだ部分を新しい壁紙に張り替える補修です。テープで壁紙がちぎれてなくなっている場合は、貼り戻す材料がないので、こちらの直し方になりやすくなります。壁紙は幅約90cmのロールを上から下へ貼り継いでいるので、一部を張り替える場合も、継ぎ目の位置で区切って、最低でも1枚分を張り替えることになります。そのうえ、職人が現場に来て、養生をし、道具を出して片づけて帰るまでの手間は、1面でも1部屋でもそれほど変わりません。そのため、一部を張り替える補修の費用は、1面の張り替えと同じくらいになりやすく、多くの業者は最低料金を4万〜6万円程度に設定しています。
さらに、新しく張った部分と周りの壁紙とで、色の見え方に差が出ることがあります。壁紙は年数とともに少しずつ色が変わっていくので、同じ品番の壁紙が手に入っても、既存の壁紙と完全に同じ色にはなりません。小さな剥がれでも、色や柄を揃えたい場合は、その面や部屋をまとめて張り替えるほうが向いていることがあります。一部の張り替えで継ぎ目や色がどう見えるかは、壁紙の部分張り替えはできる?最低1枚分になる理由と、1面張り替えと比べた費用・色の注意点で詳しく扱っています。
下地まで傷んでいた場合は、さらに別の費用がかかることがあります。テープで下地の表面の紙がめくれた程度の小さな傷みであれば、パテで整える程度で済み、張り替えの工程に含まれることが多いのですが、パテだけでは埋まらず、傷んだ部分をプレートやメッシュで塞ぐ補修になると、その分の費用が加わります(大工を手配するより抑えられることが多い直し方です)。下地の板(石膏ボード)を交換する必要があるほど傷んでいると、大工の手配が加わり、張り替えの費用とは別に大工の費用がかかります。どこまでが張り替えの中で済み、どこからが別の作業になるのかは、石膏ボードと壁紙は何が違う?傷みは30cmが分かれ目、ボード交換は大工が必要で別途費用で詳しく扱っています。
張り替えずに直す「リペア業者」という選択肢
張り替え業者とは別に、壁紙を張り替えずに、傷んだ箇所だけを直すことを専門にしているリペア業者もあります。補修に特化しているので、1〜数箇所の傷みであれば、張り替えより安く済むことが多くなります。テープで表面がちぎれてしまった跡のように、張り替えるほどではないけれど自分で直すのも難しい、という場合の頼み先になります。
費用の目安は、下地に傷みがない場合で1万〜3万円程度、奥の石膏ボードの補修を伴う場合で1万5,000〜5万円程度です。どちらも、傷みの大きさによって幅があります。
ただし、リペアは傷んだ箇所を周りの色や柄に合わせて目立たなくする直し方なので、条件によっては、近くで見ると直した跡が分かることがあります。また、直す箇所が増えれば、そのぶん費用も上がります。
剥がれが多い・周りの壁紙も古いなら、その面をまとめて張り替える
どの直し方が向いているかは、剥がれの数と、周りの壁紙の状態で変わります。剥がれが1〜数箇所にとどまり、周りの壁紙がまだきれいなら、貼り戻しやリペアで費用を抑えやすくなります。いくつもの場所で剥がれている、周りの壁紙も汚れや日焼けが目立つ、そろそろ張り替えを考えていた、という場合は、その面や部屋をまとめて張り替えるほうが向いています。部分的に直しても、周りの壁紙の古さはそのまま残り、直す箇所が増えるほど、費用も張り替えに近づいていくためです。
カレンダーや飾りを長く貼っていた場所を見回すと、テープの跡が変色していたり、ほかにも剥がれかけている場所があったりすることがあります。同じ部屋のほかの面や、別の部屋にも気になるところがあれば、一緒に見てもらうと、1箇所あたりの負担が小さくなることがあります。職人が来て、養生をし、片づけるまでの手間は、面積にかかわらずかかるからです。
見積もりのときは、剥がれた部分だけを直す場合と、1面を張り替える場合の、両方の金額を聞いておくと比べやすくなります。部分的な直しを頼むなら、貼り戻しで済むのか、一部の張り替えになるのかもあわせて聞いておくと、金額の違いの理由が分かります。
プロからの豆知識:マスキングテープの小さな剥がれから、納戸の壁と天井をまとめて張り替えた例
秋田県大館市の施工事例は、電気工事の会社の方からのご相談でした。施主様のお宅で電気工事をした際、養生に使ったマスキングテープを剥がしたところ、3畳ほどの納戸の壁紙が、幅1cm、長さ10cmほど剥がれてしまったというものです。補修するなら、なるべく周りと同じような雰囲気にしたい、というご希望でした。
現地調査のあと、張り替える範囲(剥がれた壁1面だけか、納戸の壁と天井か)と壁紙のグレードを組み合わせた4つの案が出されました。1面だけを新しい壁紙に張り替えると、周りの壁と色や柄が合わないことがあります。検討の結果、周りと色・柄を揃えるため、納戸の壁と天井をまとめて張り替えることになりました。案ごとの範囲や金額、施工の流れは、【施工事例】秋田県大館市:電気工事で剥がれた納戸の壁紙を補修|色柄を揃えるため壁と天井をまとめて張り替えで紹介しています。
剥がれ自体は小さくても、周りの壁紙と色や柄をどこまで揃えたいかによって、直す範囲は変わります。小さな剥がれだからと1面だけで考えず、仕上がりをどこまで求めるかを決めてから、範囲ごとの金額を聞いてみると判断しやすくなります。
まとめ
テープを剥がしたときに壁紙が持っていかれた場合の、見るところと直し方を整理します。
- 壁紙メーカーのサンゲツ・リリカラ・シンコールの3社は、いずれも粘着テープについて注意を促している(リリカラとシンコールは「貼らない」と明記)。理由は、粘着剤が移って変色・汚れになることと、剥がすときに壁紙を傷めることの2つ。テープの種類ごとの書き分けはない
- 確かめる前に、めくれた壁紙を引っ張る、上から別のテープで押さえる、切れ端を切り取って捨てる、といったことは避けておくほうが無難
- 剥がれた跡は「めくれた壁紙が残っている(剥がれ)」「ちぎれて裂けや穴になっている(破れ)」「奥の下地まで傷んでいる」の3つに分けて見る。ちぎれてなくなっている場合は貼り戻せないので、手の届く場所の小さなものは、あとで剥がさない前提で補修用の壁紙やシールを使って目立たなくするか、業者に直してもらうかを考える(これらも剥がすときに周りの壁紙を傷めることがある)。シミやカビがあれば、先に原因を確かめる
- 一般的なビニル壁紙で、めくれた壁紙が残っていてやわらかく、下地がしっかりしていて、手の届く場所の1〜2箇所程度なら、文具用の糊か木工用ボンドで自分で貼り戻せることがある。ほこりを取り、はみ出させず、十分に押さえ、早めに手をつける
- 張り替え業者の場合、貼り戻し程度の簡単な補修なら1面より安い料金を設けている業者もある。一部を張り替える補修は1面の張り替えと同じくらいになりやすく、多くの業者は最低料金を4万〜6万円程度に設定している
- 張り替えずに直すリペア業者なら、下地に傷みがない場合で1万〜3万円程度、石膏ボードの補修を伴えば1万5,000〜5万円程度が目安。剥がれがいくつもある・周りの壁紙も古い・色や柄を揃えたいなら、その面や部屋をまとめて張り替えるほうが向いている
業者に相談するときは、次のことを伝えておくと見立てが早くなります。
- いつ、何のテープを剥がしたときに剥がれたか(両面テープ・養生テープ・マスキングテープなど、分かる範囲で)
- 剥がれた場所(どの部屋の、どの壁か、床からの高さ)と、大きさ・数
- めくれた壁紙が残っているか、ちぎれてなくなっているか、奥の下地がへこんでいないか
- 自分で貼り戻したかどうか。何を使って、どう直したか
剥がれの近くから撮った写真と、壁の位置が分かるように少し離れて撮った写真の2枚があると、大きさと場所が伝わりやすくなります。
テープで剥がれた壁紙を見つけたら、まず引っ張らずに、めくれた壁紙が残っているか、奥の下地が傷んでいないかを見てください。一般的なビニル壁紙で、めくれた壁紙が残っていてやわらかく、下地が傷んでいない、手の届く場所の1〜2箇所なら、自分で貼り戻してみる価値があります。ちぎれてなくなっていて自分で目立たなくするのが難しい、下地まで傷んでいる、判断に迷う、という場合は、剥がれた場所と大きさを伝えて、一度見てもらってください。電話か問い合わせフォームで、そのままの状態で相談してもらえれば大丈夫です。
テープで壁紙がちぎれてしまった、下地まで傷んでいる、何か所も剥がれているなど、自分で直せるか迷う剥がれは、電話か問い合わせフォームでご相談ください。現地調査で壁の状態を見たうえで、剥がれた部分だけを直す場合と1面を張り替える場合の違いもご案内します。見積もり・現地調査は無料です。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
この記事の執筆者

氏名:松田郁幾
実績:壁紙張り替えを中心に、これまで多くのお客様・職人と関わってきました。
この記事について:現場で見聞きした実例をもとに、誇張せず、実践的な視点で解説しています。



