
猫のひっかき傷で壁紙がボロボロになってきたとき、「張り替えたいけれど、猫がいるうちは張り替えても無駄になるのではないか」と迷っていませんか。
結論から言うと、張り替えるかどうかの判断は「猫を飼っているかどうか」ではなく、これからもその猫が壁をひっかく状況かどうかで決まります。実際に張り替えに至ったのは、子猫の頃はひっかいていたけれど成猫になって落ち着いた、猫が過ごす部屋を分けた、以前飼っていた猫はひっかいたが今の猫はひっかかない、といったケースです。いずれも、以前と同じようにひっかかれる状況ではなくなった、という共通点があります。猫がいること自体が、張り替えを妨げるわけではありません。
一方、今も同じようにひっかく状況であれば、張り替えても同じ場所が同じように傷みます。猫の爪とぎによる傷は、トイレや廊下の角など決まった場所に集中して出る傾向があるためです。
この記事を読むと、次のことが分かります。
- 猫の爪とぎによる傷が、どこに、どんな形で出るか
- 張り替えに踏み切ってよい状況と、待ったほうがよい状況
- 「猫の爪に強い壁紙」は実際に存在するのか(壁紙メーカーの分類を確認した結果)
- 張り替えを相談するときに伝えておくとよいこと
読み終えるころには、ご自宅の壁を今直すべきか、もう少し様子を見るべきかの判断がついているはずです。
猫のひっかき傷がどこまで直せる状態か、今が張り替えどきかどうか。判断に迷う場合は、無料の現地調査でご自宅の状態を確認することもできます。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
猫の爪とぎによる傷は「決まった場所」に出る

猫のひっかき傷は、部屋のあちこちに均等につくわけではありません。傷がどこに、どんな形で出るのかが分かると、張り替える範囲を考えるときの見当がつきやすくなります。
トイレや廊下の角など、同じ場所が繰り返し傷む
猫は気に入った場所で繰り返し爪とぎをします。そのため壁紙の傷みは家全体に散らばるのではなく、特定の場所に集中して現れます。トイレや廊下の角、部屋の出入り口まわりなど、猫がよく通る動線上の決まった箇所が傷みやすい傾向があります。
裏を返せば、傷が集中している場所さえ分かれば、家中を張り替えなくても見た目の印象は大きく変わります。まずはどの部屋のどの面が傷んでいるのかを、一度書き出してみるとよいでしょう。
壁の上部から天井近くまで傷が及ぶこともある
爪とぎというと腰から下の高さを想像しがちですが、実際には壁の上部まで傷が届いていることがあります。猫が立ち上がって背伸びをした姿勢で爪をとぐことがあるためです。さらに、キャットタワーや家具を足場にできる環境では、天井の近くまで傷が及んでいることもあります。
高い位置の傷は、日常生活の目線からは気づきにくい場所にあります。壁の下のほうだけを見て「この面だけ直せば済む」と判断すると、張り替えたあとに上部の傷が残って目立ってしまうことがあります。
自分で貼る・家具で隠すという対処と、その限界
傷が気になり始めた段階で、ホームセンターやネットで壁紙を買って傷の部分だけ貼る、ポスターを貼る、家具や棚を置いて隠す、といった対処をされる方は少なくありません。
ただ、この方法には限界があります。部分的に貼った壁紙は、時間が経つと少しずつ端から剥がれてきます。また、周囲の壁紙は日焼けや経年で少しずつ色が変わっているため、あとから貼った部分だけ色の差が出ることもあります。
そして、隠す場所が増えるほど家具の配置が縛られます。「この家具は動かせない」「ここはポスターを貼ったままにしておく」という状態が続くと、部屋の使い方そのものが傷に合わせて決まってしまいます。
補修を重ねても剥がれが出てくる、隠す場所が増えてきた、という段階は、張り替えを検討し始める一つの目安になります。実際に、ご自身で購入したクロスを部分的に貼っていたものの、時間の経過とともに剥がれが出てきたことをきっかけに張り替えに至った例もあります(【施工事例】東京都八王子市:猫にひっかかれたトイレの壁紙を、お子様の新築の余りクロスで張り替え|クッションフロアも1日で同時施工)。
張り替えるかどうかは「これからもひっかくか」で決まる

猫のひっかき傷で悩んでいる方の多くは、「猫がいるうちは張り替えても仕方がない」と考えています。ここが実は、判断を分ける一番のポイントです。
「猫がいる=張り替えられない」ではない
張り替えを見送るかどうかを決めているのは、猫がいるかどうかではありません。これからもその猫が壁をひっかくかどうかです。
同じ「猫と暮らしている家」でも、今まさに毎日ひっかいている状態と、以前はひっかいていたけれど今は落ち着いている状態とでは、張り替えたあとの結果がまったく変わります。前者は張り替えても遠からず同じ状態に戻りますが、後者は爪とぎによる傷が再発する心配が小さくなります。
猫を飼っていることを理由に、相談そのものをためらう必要はありません。確認すべきなのは、今の猫が壁をひっかく状況にあるかどうかです。
実際に張り替えに至った3つの状況
猫と暮らしながら壁紙を張り替えたケースには、次のような状況があります。
- 子猫の頃はひっかいていたが、成猫になってからひっかかなくなった
- 猫が過ごす部屋を別に用意して、生活する部屋を分けた
- 以前飼っていた猫はひっかいたが、今飼っている猫はひっかかない
いずれも共通しているのは、以前に傷をつけた猫が今はひっかかない、あるいは傷の原因になった猫がいない、という点です。
子猫の時期の爪とぎが成長とともに落ち着くかどうかは、猫によって差があります。ただ、実際に「最近ひっかかなくなった」という変化が起きているのであれば、それは張り替えを検討してよいサインです。
猫が過ごす部屋を分ける方法も、間取りに余裕があれば選択肢になります。傷んでほしくない部屋と、猫が自由に過ごす部屋を分けられれば、張り替えた部屋の状態を保ちやすくなります。
長く一緒に暮らした猫がいなくなったタイミングで、「そろそろ張り替えようか」と踏み切られる方もいます(【施工事例】東京都多摩市:猫にひっかかれた壁紙をリビング・洗面所・トイレ・キッチン・廊下で張替え|クッションフロアも同時施工)。
まだひっかく状況なら、張り替えても同じ場所が同じように傷む
一方、今も毎日のように壁をひっかいている状況であれば、張り替えたあとの結果はある程度想像がつきます。前の章で見たとおり、猫は決まった場所で繰り返し爪とぎをするため、新しく張った壁紙の同じ場所が、また同じように傷んでいきます。
どのくらいの期間きれいな状態が保てるかは、猫の性格やひっかく頻度によって変わるため、一概には言えません。ただ、張り替えた直後の状態が長く続く前提で費用を考えると、期待と結果にずれが出やすくなります。
この場合に取れる選択肢は2つです。ひとつは、ひっかかない状況になるまで待つこと。もうひとつは、また傷むことを織り込んだうえで、今の生活のために張り替えることです。来客の予定がある、気分を変えたいといった理由で、傷むと分かっていて張り替えるという判断もあります。どちらが正しいということはなく、何を優先するかの問題です。
なお、猫の状況とは別に、壁紙そのものの傷み具合から張り替え時期を判断したい場合は、壁紙の替えどきはいつ?築年数より見るべき「今の壁の状態」と見逃せない5つのサインで解説しています。
「猫の爪に強い壁紙」は存在するのか
猫のひっかき傷について調べていると、「猫の爪に強い壁紙」「ペット対応クロス」といった言葉を目にします。張り替えるならそうした壁紙を選べば次は傷まないのではないか、と考える方は多いはずです。壁紙メーカーが公開している分類を確認すると、実際のところが見えてきます。
メーカー2社の分類にあるのはキズに強い壁紙で、猫の爪とぎ用という区分はない
サンゲツは、機能ごとに壁紙を分類した「機能性壁紙ガイド」を公開しています。そこに並ぶのは、キズに強い、汚れに強い、耐薬品性がある、ニオイに効果がある、耐クラック性能がある、ウイルス・アレル物質・細菌に効果がある、施工性が良い、という機能です(出典:サンゲツ「機能性壁紙ガイド」)。
このうち「キズに強い」壁紙として挙げられているのは「表面強化」「ウレタンコート」「スーパー耐久性」の3つです。「表面強化」は壁紙工業会規定の「表面強化壁紙性能試験」に適合したもので、「一般的なビニル壁紙に比較して表面強度が高いことを表しています」と説明されています。ただし、このガイドに犬や猫への言及はありません。ペットに関わる記述は、消臭機能の説明に「アンモニア(トイレ臭・ペット臭など)」と出てくる程度です。
リリカラの「壁紙機能性ガイド」でも、キズに強い壁紙が「スーパー強化」「表面強化」「表面強度アップ」の段階に分かれて紹介されています(出典:リリカラ「壁紙機能性ガイド」)。このうち最もキズに強い「スーパー強化+汚れ防止」には「(ペット対応)」と添えられ、使用場所の例として「キズが気になるペット住宅・玄関・廊下」が挙げられています。説明は「キズ・油汚れに強いエバール®フィルム加工」というもので、猫の爪とぎを想定した記述はありません。なお「表面強度アップ」は、業界規格の「表面強化(4〜5級)」の性能には至らないと明記されています。
つまり、サンゲツとリリカラの2社が用意しているのは「表面を強くした壁紙」という汎用の機能であって、「猫の爪とぎ用」という商品分類ではありません。リリカラの「ペット対応」も、猫の爪とぎ専用という意味ではなく、キズに強い壁紙の使い道のひとつとして示されているものです。なお、壁紙のグレードによる価格や質感の違いそのものについては、量産クロスと1000番クロスの違い|価格差は6畳で約1万円、部屋ごとの選び分け方で解説しています。
猫の爪とぎにどこまで耐えるかは、はっきりしていない
では、キズに強い壁紙を選べば猫の爪とぎに耐えられるのか。ここは正直にお伝えすると、はっきりしたことは分かっていません。
表面が強いという説明はメーカーの基準に基づくものですが、その基準は猫が爪を立てて繰り返し引っかく力を想定したものではありません。また、実際に張り替えてから数年後にどうなっているかは、施工した側にも追いきれない部分です。「キズに強い壁紙にしたから何年もつ」と言い切れるだけの裏付けは、現時点では持ち合わせていません。
キズに強い壁紙を選ぶこと自体は悪い選択ではありませんが、「これにすれば猫の爪とぎで傷まなくなる」という期待は持たないほうが、あとでがっかりせずに済みます。
壁紙の種類より、張り替えるタイミングのほうが結果を左右する
壁紙のグレードで悩む前に、もう一度確認しておきたいことがあります。今の猫が、これからも壁をひっかく状況かどうかです。
ひっかかない状況になっているのであれば、標準的な壁紙でも、爪とぎによる傷が再発する可能性は低くなります。逆に、今も毎日ひっかいている状況であれば、キズに強い壁紙を選んでも傷む可能性は残ります。壁紙の種類だけで結果が決まるわけではありません。どの壁紙を選ぶかより、いつ張り替えるかのほうが、張り替えたあとの満足度を大きく左右します。
もちろん、汚れに強い、拭き取りやすいといった機能には、猫の爪とぎとは別の使い勝手の良さがあります。壁紙を選ぶときに候補として検討すること自体は自然です。
張り替えを相談するときに伝えるとよいこと
実際に見積もりを取る段階になったら、先に伝えておくと話が早く進むことがいくつかあります。猫のひっかき傷ならではの確認事項もあります。
傷の場所と範囲、下地まで達しているか
まず伝えたいのは、どの部屋のどの面が、どのくらい傷んでいるかです。前述のとおり、傷は決まった場所に集中し、かつ思ったより高い位置まで及んでいることがあります。写真を撮っておくと状態が伝わりやすくなります。
あわせて確認しておきたいのが、傷が壁紙の表面だけで止まっているか、その下の下地にまで達しているかです。爪とぎが長く続いた壁では、壁紙をはがしたときに下地にも傷の跡が残っていることがあります。
下地の表面に小さな傷やえぐれがある程度なら、壁紙をはがしたあとにパテで平らにならす処理で整えられます。これは張り替えのたびに行う下地処理の範囲で、それだけで費用が大きく変わることはあまりありません。一方、石膏ボードが深くえぐれていたり、広い範囲が傷んでいたりする場合は、下地の補修やボードの交換が別に必要になり、その分の費用と工期が加わります。壁紙をはがしてみないと正確には分からない部分ですが、「かなり深くまでいっているかもしれない」という見込みを先に伝えておくと、見積もりの前提として共有できます。
猫の今の状況
猫のひっかき傷の場合、もうひとつ伝えておきたいのが、今の猫の状況です。
今も壁をひっかいているのか、最近は落ち着いているのか。子猫なのか成猫なのか。猫が過ごす部屋を分けているのか。こうした情報があると、張り替えたあとどのくらいの期間きれいな状態が保てそうか、施工する側も見当をつけやすくなります。
「今もひっかいている」と伝えると張り替えを断られるのではないか、と心配される方もいるかもしれません。ただ、前述のとおり、傷むと分かったうえで今の生活のために張り替えるという判断もあります。状況を正確に伝えたほうが、結果的に納得のいく選択になります。
複数の部屋にまたがっている場合
猫のひっかき傷は、リビング・廊下・トイレというように複数の部屋に及んでいることが珍しくありません。その場合は、気になっている箇所をまとめて伝えておくとよいでしょう。
壁紙の張り替えには、職人の移動や養生など、面積に関係なく発生する費用があります。1部屋ずつ別の日に頼むより、まとめて1回で施工したほうが、こうした費用を抑えられる場合があります。
とはいえ、予算の都合で全部は難しいこともあります。その場合も、まず全体を伝えたうえで「今回はここまで」と範囲を決めるほうが、優先順位をつけやすくなります。目に入る回数が多い場所から優先する、来客が通る場所から優先する、といった決め方もあります。
まとめ:直すタイミングは猫の状況で決まる
ここまでの内容を、判断の順番に沿って整理します。
猫の爪とぎによる壁紙の傷は、家全体に散らばるのではなく、トイレや廊下の角など決まった場所に集中して出ます。しかも腰から下だけでなく、背伸びをした高さや天井の近くまで及んでいることがあります。まずはどの部屋のどの面が傷んでいるのかを書き出してみてください。
張り替えるかどうかの判断は、猫を飼っているかどうかではなく、これからもその猫が壁をひっかく状況かどうかで決まります。猫はいるけれど、もうひっかかない状況になったというケースでは、猫と暮らしながら張り替えている方がいます。
一方、今も毎日のようにひっかいている状況なら、張り替えても同じ場所が同じように傷んでいきます。ひっかかない状況になるまで待つか、また傷むことを承知で今の生活のために張り替えるか、どちらを選ぶかの問題になります。
「猫の爪に強い壁紙」については、壁紙メーカー2社(サンゲツ・リリカラ)の分類にあるのはキズに強い壁紙で、「ペット対応」と添えられた商品もありますが、猫の爪とぎを想定した説明は見当たりません。キズに強い壁紙が猫の爪とぎにどこまで耐えるかも、はっきりとは分かっていません。どの壁紙を選ぶかより、いつ張り替えるかのほうが結果を左右します。
自分で貼った補修が剥がれてきた、家具やポスターで隠す場所が増えてきた、という段階は、張り替えを検討し始める目安です。相談するときは、傷の場所と範囲、下地まで達していそうか、そして今の猫の状況をあわせて伝えると、話が早く進みます。
猫と暮らす以上、壁紙が傷むこと自体は避けにくい面があります。大事なのは、傷を我慢し続けることでも、猫がいることを理由にあきらめることでもなく、今が直すタイミングなのかどうかを見極めることです。
判断がつかないときは、一人で決めずに一度見てもらうという選択肢もあります。相談や見積もりの依頼は、その場で契約を決めるものではありません。今の壁の状態と猫の様子を伝えて、今直すべきか、もう少し様子を見るべきかを聞いてみるだけでも、次にどうすればよいかがはっきりします。
今が張り替えどきか、もう少し様子を見るべきか。猫の今の状況とあわせて、現地を見たうえでお答えします。お見積もり・ご相談は無料です。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。 氏名:松田郁幾この記事の執筆者

実績:壁紙張り替えを中心に、これまで多くのお客様・職人と関わってきました。
この記事について:現場で見聞きした実例をもとに、誇張せず、実践的な視点で解説しています。



