壁紙の張り替えに火災保険は使える?水漏れ・うっかりした破損が対象になる条件と、保険料・申請の流れ

壁にできた水漏れのシミを、スマートフォンで撮影する女性

上の階からの水漏れで天井や壁にシミが広がった、洗面所の給水管から水が漏れて壁紙がふやけた、掃除中に家具をぶつけて壁紙を破ってしまった。こうしたことが起きると、「張り替えの費用を火災保険でまかなえないか」と考える方もいると思います。一方で、「こんなことで保険を使っていいのか」「使ったら次から保険料が上がるのでは」と迷って、保険会社に連絡しないままになっている方もいるかもしれません。

先に結論をお伝えします。壁紙が傷んだ原因が「偶然の事故」なら、火災保険で張り替え費用がまかなえる可能性があります。水漏れやうっかりした破損がその例で、補償されるかどうかは契約の内容によります。反対に、長く住んで黄ばんだ・はがれてきたといった年数による傷みや、模様替えのための張り替えは、火災保険の対象になりません。地震で傷んだ場合は、火災保険ではなく地震保険の考え方になります。

保険を使うと保険料が上がるのでは、という心配については、損保ジャパンは「保険金を受け取っても、保険料に影響はありません」と、東京海上日動火災保険は火災保険には自動車保険のような等級制度がないと説明しています。対象になりそうな事故なら、張り替えの工事を進める前に、まず保険会社か代理店へ連絡して手続きを確かめ、並行して張り替えの見積もりを取るのが基本の順番です。

この記事を読むと、次のことが分かります。

  • 火災保険で壁紙の張り替えがまかなえる「偶然の事故」とは何か(水漏れ、うっかりした破損)と、対象にならないケース(年数による傷み、模様替え、雨漏りの一部、地震)
  • 子どもの落書きやペットのひっかき傷は対象になるのか(2025年10月1日以降の「住まいの保険」についての案内と、「汚損」の扱い)
  • 保険を使うと次回から保険料は上がるのか(更新のときの保険料の改定との違い)
  • 申請の流れと、張り替えの工事の前にしておきたいこと(写真、保険証券の確認、保険会社への連絡、見積もり、調査を待つこと、「保険が使える」と勧誘する業者への注意)
  • 保険の対象外だった場合の、張り替え費用の考え方(面積と最低料金、破れが小さいときのリペア業者という選択肢、補助金・助成金)

読み終えるころには、自分のケースで何から手をつければよいかが分かるはずです。

水漏れや破損で傷んだ壁紙を張り替えるといくらかかるのか、保険会社への連絡と並行して確かめておきたい方は、電話でお気軽にお尋ねください。傷んだ場所と状況を伺い、現地調査で壁を見たうえで見積もりをお出しします。見積もり・現地調査は無料です。

電話が難しい方はでもご相談いただけます。


火災保険で壁紙の張り替えがまかなえるのは「偶然の事故」のとき

天井際の壁に広がった水漏れのシミと、落ちる水滴を受けるバケツ

火災保険という名前から、火事のときだけの保険だと思われがちです。ですが、火災保険は、火事のほかにも、契約で補償の対象にしている偶然の事故によって建物が受けた損害を補償する保険です。壁紙は建物の一部なので、建物を保険の対象にしている契約であれば、事故で傷んだ壁紙の張り替えが保険金の対象になる可能性があります。

東京海上日動火災保険は、火災保険の保険金の申請について「火災や自然災害などの、偶然な事故により保険の対象に生じた損害に対する保険金を保険会社に請求すること」と説明しています(出典:東京海上日動火災保険「【事例有り】火災保険の申請方法・手順を解説!条件や必要書類も」)。分かれ目は、壁紙が傷んだ原因が「偶然の事故」かどうかです。壁紙の張り替えに関わる代表的な例を2つ、そして対象にならないケースを順に見ていきます。

なお、どの事故が補償されるかは、保険会社、商品、契約した時期、付けている補償の種類によって違います。この記事で紹介するのは主に東京海上日動火災保険と損保ジャパンの公式の案内で、ほかの保険会社や、以前から続けている契約に同じ扱いが当てはまるとは限りません。最終的に対象になるかどうかを決めるのは保険会社なので、「自分の契約ではどうか」は保険会社か代理店に確かめてください。

代表例①:水漏れで壁紙が濡れた・シミになった

壁紙の張り替えで火災保険が関わる代表的な場面が、水漏れです。東京海上日動火災保険は、「給排水設備事故の水濡れ等」について、「給排水設備に生じた事故または被保険者以外の者が占有する戸室で生じた事故に伴う漏水、放水等による水濡れ、水圧等によって保険の対象に生じた損害」と説明しています(出典:東京海上日動火災保険「【火災保険】「給排水設備事故の水濡れ等」とは何ですか?」)。

言葉が少し難しいですが、自宅の給水管や排水管のトラブルで水が漏れた場合のほか、マンションで上の階の部屋から水が漏れてきた場合も、この説明に当てはまる形です。建物を保険の対象にしていて、この補償が付いている契約であれば、水漏れで濡れたりシミになったりした壁紙の張り替えが、保険金の対象になる可能性があります。

ただし、2つ気をつけたい点があります。

1つ目は、水漏れの原因になった設備そのものの扱いです。同社の解説では、給排水設備の事故による漏水で建物や家財に水濡れの損害が生じた場合は補償の範囲になる一方で、「水漏れの原因となった給排水設備そのものの損害については火災保険では対象とはなりません」とされています(出典:東京海上日動火災保険「【事例有り】火災保険の申請方法・手順を解説!条件や必要書類も」)。濡れた壁紙と、壊れた水道管の修理とでは、扱いが分かれることがあるということです。

2つ目は、上の階からの水漏れの場合です。同じ解説では、水濡れの原因が上の階に住んでいる人の過失であれば、上の階の方が加入している個人賠償責任保険などから補償してもらうことも確認が必要になる、とされています(出典:同上)。自分の火災保険を使うのか、相手の保険で補償してもらうのかは、状況によって変わります。どちらの保険で手続きするかは、自分の保険会社や代理店、マンションであれば管理会社とも相談しながら確かめていくことになります。マンションの場合、水の出どころ(上の階の部屋か、共用部分の配管か)によって候補になる保険がどう変わるか、管理組合の保険でどこまでまかなえるかは、マンションの水漏れで壁紙が傷んだら、費用は誰が持つ?自分・上の階・管理組合の保険の違いと張り替えの順番で詳しく扱っています。

なお、水漏れでは、壁紙の表面だけでなく、その下の石膏ボードまで水を吸って傷んでいることがあります。この点は、申請の流れのところで改めて触れます。

水漏れに気づいたら、張り替えの話より先に、水を止めて、出どころの修理を手配することが必要です。マンションで上の階からの水漏れが疑われる場合は、管理会社にも連絡します。応急の処置や修理をする場合は、その前後の写真も残しておくと、あとの手続きに役立ちます。

代表例②:うっかり物をぶつけて壁紙を破った

もう1つの例が、うっかりした破損です。掃除機や家具をぶつけて壁紙が破れた、物を運んでいて壁に穴を開けてしまった、といった場合です。

東京海上日動火災保険は、掃除中に物をぶつけて壁を破損した場合について、「「破損等リスク」を補償するタイプをご契約の場合、補償の対象となります。」と答えています(出典:東京海上日動火災保険「【火災保険】建物を対象とした火災保険に加入中です。掃除中にうっかり壁にものをぶつけて、壁を破損してしまった場合、保険で補償されますか?」)。

ここで大切なのは、うっかりした破損が補償の対象になるのは、「破損等リスク」を補償するタイプの契約の場合だという点です。火災保険には、火事や自然災害だけを補償する契約もあれば、こうした「不測かつ突発的な事故」まで補償する契約もあります。東京海上日動火災保険の解説でも、契約する補償内容によっては対象の事故を外している場合があるので、まず契約内容を確認するよう書かれています(出典:東京海上日動火災保険「【事例有り】火災保険の申請方法・手順を解説!条件や必要書類も」)。

また、同じ回答の中で、2025年10月1日以降の住まいの保険では、すり傷・かき傷・落書き・へこみなどの「外観上の損傷」が対象外になったことも書かれています。この点は、子どもの落書きやペットの傷にも関わるので、次の見出しで詳しく説明します。

対象にならないケース:年数による傷み、模様替え、地震

反対に、火災保険の対象にならない代表的なケースも押さえておきましょう。

1つ目は、年数がたって傷んだものです。東京海上日動火災保険は、経年劣化による建物の修復費用について「自然の消耗または劣化による損害は補償の対象外となります。」と答えています(出典:東京海上日動火災保険「【火災保険】経年劣化による建物の修復費用は、補償の対象になりますか?」)。長く住んで壁紙が黄ばんできた、継ぎ目が開いてきた、端からはがれてきたといった傷みは、年数とともに起きる変化で、事故による損害ではありません。

雨漏りにも注意が必要です。同社の解説では、経年劣化が対象外である例として「外壁の劣化している箇所から雨漏りしたケース」が挙げられています(出典:東京海上日動火災保険「【事例有り】火災保険の申請方法・手順を解説!条件や必要書類も」)。雨のシミも水のシミですが、原因が建物の古さにあると、水漏れの事故とは違い、補償の対象外になることがあります。シミの原因が水漏れなのか、雨漏りや結露なのかが分からない場合の見分け方は、壁紙のシミの原因は?雨漏り・結露・カビ・ヤニの見分け方と、張り替えの前にすべきことで扱っています。

2つ目は、模様替えのための張り替えです。「部屋の雰囲気を変えたい」「古くなったので新しくしたい」という張り替えは、事故による損害ではないので、火災保険で直すものではありません。

3つ目は、地震です。地震で壁紙が破れたりひび割れたりした場合は、火災保険ではなく地震保険の考え方になります。そして地震保険では、壁紙だけの損害は原則として保険金の対象になりません。東京海上日動火災保険は、「壁紙・クロスは主要構造部に該当しないため、壁紙・クロスのみに生じた損害に対しては、保険金は支払われません。」と説明しています(出典:東京海上日動火災保険「【地震保険】「壁紙・クロス」のみに生じた損害は、補償されますか?」)。地震保険の損害の決まり方(一戸建ての場合)や、調査が来るまでに気をつけたいことは、地震保険で壁紙・クロスのひび割れは補償される?原則と唯一の例外を解説で扱っています。分譲マンションなどは判定の仕組みが一部異なるので、加入している保険会社に確かめてください。

子どもの落書き・ペットのひっかき傷は対象になる?

壁に描かれたクレヨンの落書きと、猫のひっかき傷

自宅の壁紙が傷む理由には、お子さんの落書きやペットのひっかき傷もあります。「落書きやひっかき傷でも、火災保険が使えるのでは」と気になっている方もいると思います。

東京海上日動火災保険の2025年10月1日以降の住まいの保険では、落書きやかき傷、へこみなどの「外観上の損傷」は対象外とされている

先ほどの東京海上日動火災保険の回答には、続きがあります。うっかりした破損が「破損等リスク」で補償されると答えたうえで、「ただし、2025年10月1日以降の住まいの保険では、下記の場合は補償対象外となります。」として、次のように書かれています(出典:東京海上日動火災保険「【火災保険】建物を対象とした火災保険に加入中です。掃除中にうっかり壁にものをぶつけて、壁を破損してしまった場合、保険で補償されますか?」)。

「建物やその付属物等に生じた、すり傷、かき傷、塗料の剝がれ落ち、落書き、ゆがみ、たわみへこみその他外観上の損傷の損害*。」

ここには「落書き」と「かき傷」がはっきり挙がっています。東京海上日動火災保険の2025年10月1日以降の住まいの保険では、落書きやペットのひっかき傷は「外観上の損傷」として対象外になる、ということです。同じ一文には「へこみ」も入っているので、物をぶつけてできたへこみも対象外の側に入ります。

ただし「汚損の損害」はこの除外から外されている

この一文には、末尾に「*」が付いていて、すぐ下に「*汚損の損害を除きます。」という注記があります(出典:同上)。つまり、東京海上日動火災保険の2025年10月1日以降の住まいの保険では、汚損の損害であれば、外観上の損傷を対象外にする決まりを理由に対象外になるわけではない、という書き方です。

ただ、この回答には「汚損」がどういう場合を指すのかまでは書かれていません。落書きは対象外の側にはっきり挙がっていますし、汚れのように見えるものがすべて汚損として扱われるとも書かれていません。この回答だけでは決められないので、壁紙についた汚れが汚損に当たるかどうかは、保険会社か代理店に状況を伝えて確かめてください。

契約した時期と保険会社によって、扱いが違うことがある

ここで紹介したのは、東京海上日動火災保険の、2025年10月1日以降の住まいの保険についての案内です。落書きやひっかき傷を対象外とする扱いが、2025年10月1日より前から続けている契約や、ほかの保険会社の商品にも当てはまるとは限りません。ほかの保険会社で外観上の損傷がどう扱われているかは、各社の案内で確かめてください。

落書きやペットの傷で保険を使えないか考えるときは、

  • 保険証券で、建物が保険の対象に入っているか、「破損等」のような補償が付いているか
  • 契約した時期(または更新した時期)がいつか
  • 保険会社の案内で、落書きやかき傷のような外観上の損傷がどう扱われているか

を確かめてから、保険会社か代理店に相談してみてください。対象にならない場合の張り替えの費用の考え方は、このあとの「保険の対象外だった場合」で説明します。

保険が使えなかった場合に、傷んだ壁紙をどう直すか、張り替えるならいつがよいかは、傷み方ごとに次の記事で扱っています。

保険を使うと、次回から保険料は上がる?

保険金の請求をためらう理由の1つが、「一度使うと、次から保険料が上がるのでは」という心配です。自動車保険では事故で保険を使うと翌年の保険料が上がることがあるので、火災保険も同じだと思っている方もいるかもしれません。

損保ジャパン・東京海上日動火災保険は「影響しない」と説明している

損保ジャパンは、火災保険(「THE すまいの保険」)のよくある質問で、「保険金を請求したら、保険料は高くなりますか?」という質問に対して、「いいえ、保険料は高くなりません。」「保険金を受け取っても、保険料に影響はありません。」と答えています(出典:損保ジャパン「保険金を請求したら、保険料は高くなりますか?」)。

東京海上日動火災保険も、火災保険の保険金申請によって「次回更新時の保険料が個別に上がることはありません。」とし、その理由として「自動車保険では等級による割引制度があるため、事故の保険金支払実績によって保険料が上がることがあります。」「火災保険ではそのような等級制度がないので、申請の回数が保険料の増額に影響することはありません。」と説明しています(出典:東京海上日動火災保険「【事例有り】火災保険の申請方法・手順を解説!条件や必要書類も」)。

このように、多くの火災保険には、自動車保険のような等級制度は一般的に無いとされ、保険金を受け取っても保険料には影響しないとされています。ただし、ここで紹介したのは2社の案内です。自分の契約で確実なことを知りたい場合は、加入している保険会社か代理店に聞いてみてください。

保険料の心配から、対象になるかもしれない事故を相談しないままにしておくのは、もったいないことです。東京海上日動火災保険の解説でも、本来は保険金の申請ができる事故なのに、補償の対象であることを知らずにいると、保険料の支払いが無駄になってしまうこともある、と書かれています(出典:同上)。「こんなことで保険を使っていいのか」と迷っているなら、まずは保険会社や代理店に状況を伝えて、対象になるかどうかを聞いてみるところから始めてみてください。

更新のときに保険料が上がるのは、保険会社の改定による別の話

ただし、「保険料がずっと変わらない」という意味ではありません。東京海上日動火災保険の説明も、請求によって保険料が「個別に」上がることはない、という言い方です。保険会社が商品全体の保険料を改定すれば、更新のときに保険料が変わることはあります。

たとえば三井住友海上火災保険は、継続契約の保険料が今の契約より高くなっている理由について、「自然災害(風災、雹(ひょう)災、雪災、水災)の増加や、住宅の老朽化の進展および修理費の高騰等により、保険金のお支払総額は増加傾向にあることから、保険料改定を行っております(全国的に引上げ傾向)。」と説明しています(出典:三井住友海上火災保険「【火災保険】継続契約の保険料が満期を迎える契約(現契約)よりも高くなっています。なぜですか。」)。更新のときに保険料が上がっていても、それは自分が保険金を請求したことが理由とは限らない、ということです。

申請の流れ:張り替えの工事の前にしておきたいこと

対象になるかもしれないと思ったら、張り替えの工事をする前に進めておきたいことがあります。東京海上日動火災保険は、申請の流れを次の6つのステップで説明しています(出典:東京海上日動火災保険「【事例有り】火災保険の申請方法・手順を解説!条件や必要書類も」)。

  • 保険会社または保険代理店へ事故発生の連絡
  • 修理業者へ見積もり依頼
  • 保険金申請書類(保険金請求書、損害の写真、修理見積書等)の作成・準備
  • 保険会社へ書類を送付
  • 保険会社による事故原因や損害の調査
  • 保険金の受取

ここでは、この流れに入る前の準備も含めて、壁紙の張り替えに当てはめて気をつけたいことを順に見ていきます。

片付けや張り替えの前に、傷んだ箇所の写真を残す

最初にしておきたいのが、傷んだ箇所の写真です。同社の解説では、損害を受けた箇所や被害の程度が分かる写真を、様々な角度・距離から撮っておくことがすすめられていて、「少なくとも5枚以上は撮影しておくと、保険会社も被害内容を把握しやすくなります。」とされています。撮るタイミングは、被害を受けた後すぐが最適とされ、修理の前に応急処置をする場合は、その前後の写真も撮っておくよう書かれています(出典:同上)。

壁紙であれば、シミや破れの部分を近くから撮った写真に加えて、壁全体と部屋の様子が分かる写真、水漏れなら天井や上の方の濡れ具合が分かる写真があると、どこがどのくらい傷んだのかが伝わりやすくなります。シミは時間がたつと広がったり色が変わったりすることがあるので、気づいた時点で日付の分かる形で撮っておくと安心です。

保険証券を見て、何が補償されている契約かを確かめる

次に、保険証券(または契約内容が分かる書類やWebのページ)を手元に出して、次の点を確かめておきます。

  • 建物が保険の対象に入っているか(家財だけの契約ではないか)
  • 水濡れの補償や、「破損等」のような補償が付いているか
  • 免責金額(自己負担額)がいくらに設定されているか
  • 契約した時期、更新した時期

免責金額は見落としやすい項目です。東京海上日動火災保険の解説では、損害保険金は原則として「修理費用」から「免責金額」を差し引いて計算され、免責金額が設定されている場合は、修理費用がそれを超える必要があるとされています(出典:同上)。壁紙1面の張り替えのように修理費用が大きくない場合は、免責金額の設定によっては、保険金が出ない、または少なくなることもあります。

契約内容がよく分からなくても、それで手続きができないわけではありません。分からないところは、次のステップで保険会社や代理店に聞けば大丈夫です。

工事を頼む前に、保険会社か代理店へ連絡する

写真を残し、契約内容を確かめたら、早めに契約している保険会社か代理店に連絡します。同社の解説では、連絡先は保険証券や保険会社のホームページなどに書かれていて、保険会社と代理店のどちらに連絡しても基本的に問題ない、とされています(出典:同上)。連絡するときに主に聞かれるのは、契約者の氏名・住所・電話番号、証券番号、事故の日時・場所・状況、損害の程度などです。

連絡を急ぐ理由はもう1つあります。火災保険の保険金の請求には、「事故の発生から3年以内」という時効が定められていて、時間がたつほど事故の原因や損害の状態を確かめにくくなる、とされています(出典:同上)。「そのうち」と後回しにせず、気づいた時点で連絡しておくほうが安心です。

ここで気をつけたいのが、「保険が使えるので、自己負担なしで直せます」と言って勧誘してくる業者です。日本損害保険協会は、住宅の修理などで「保険が使える」と言って勧誘する業者とのトラブルが増えているとして、「住宅の修理を業者と契約する前に、ご契約している損害保険会社または損害保険代理店へご相談ください。」と呼びかけています。保険会社や代理店へ連絡する前に、問題のある業者や保険金請求の代行業者と契約してしまうと、保険金が支払われずに修理代金を自己負担することになったり、解約しようとすると高額な解約手数料を求められたりするトラブルがある、とも説明しています(出典:日本損害保険協会「住宅の修理などに関するトラブルにご注意」)。

保険の対象になるかどうかを決めるのは保険会社です。張り替えの業者が「必ず保険で直せる」と言い切ることはできません。業者からそうした話をされたときほど、契約の前に、自分の保険会社か代理店に確かめてください。

見積もりは取ってよいが、張り替えの工事は保険会社の確認を待つ

保険会社に連絡したら、張り替えの見積もりを取ります。同社の解説でも、保険会社への提出書類には修理業者が作成した修理見積書が含まれるので、保険会社へ連絡した後は早めに修理業者に見積もりを依頼しておくとスムーズだ、とされています(出典:東京海上日動火災保険「【事例有り】火災保険の申請方法・手順を解説!条件や必要書類も」)。見積書には、修理の総額だけでなく、修理内容、材料の単価と数量、工事の日数と人件費など、内訳が書かれているものを用意するとよい、とも書かれています。見積もりを頼むときに「火災保険の申請を考えている」と業者に伝えておくと、必要な写真や見積書の内訳について相談しやすくなります。

一方で、張り替えの工事そのものは、保険会社の確認が済むまで待つほうが安心です。書類を出した後、保険会社が事故の原因や損害の状況を確かめるために現地調査をすることがあり、写真だけでは判断しにくい場合などに、専門の鑑定人が来ることもあるとされています(出典:同上)。

同社の解説によると、申請の前に修理をしてしまった箇所も、後から申請すること自体はできます。ただし、修理前の損害の状況から、保険の対象になる事故によるものかを判断する必要があるため、修理前後の写真などが必要になり、修理前の状況を確かめるのが難しい場合は対象外になる可能性がある、とされています(出典:同上)。張り替えてしまうと、傷んだ壁紙はもう残りません。応急の片付けは別として、張り替えの工事は、保険会社に連絡し、必要な確認が終わってから進めるのが、行き違いを防ぐいちばんの方法です。

下地まで傷んでいたら、費用が加わることがある

水漏れの場合は特に、壁紙の下の石膏ボードまで水を吸って傷んでいることがあります。壁紙の張り替えだけで済むのか、下地の補修まで必要になるのかは、現地調査のときに業者が見当をつけられることが多いものの、古い壁紙を剥がしてみないと分からない部分も残り、下地の補修が必要になれば、そのぶん費用が加わります。

石膏ボードの傷みが小さい範囲なら、壁紙の職人がその場で補修できることもあります(その場合も、補修のぶん費用が加わります)。範囲が広くなると大工の手配が必要になり、大工の費用が別にかかります。どのくらいの範囲が分かれ目になるのかは、石膏ボードと壁紙は何が違う?傷みは30cmが分かれ目、ボード交換は大工が必要で別途費用で扱っています。

見積もりの段階で、「下地まで傷んでいた場合はどうなるか、どのくらい費用が加わるか」も業者に聞いておき、保険会社に伝えるときにもその可能性を一緒に伝えておくと、あとから費用が増えたときの行き違いを防ぎやすくなります。工事の途中で下地の傷みが見つかったときも、そのことを保険会社に伝えて、扱いを確かめてください。

保険の対象外だった場合の、張り替え費用の考え方

保険会社に確かめた結果、対象にならなかった、または免責金額の関係で保険金が出なかった、ということもあります。その場合は、実費での張り替えを考えることになります。

費用の目安は、面積と最低料金で決まる

一般的な価格帯の量産品の壁紙であれば、材料と工事を合わせて1㎡あたり1,500〜2,500円程度が目安です。また、職人が現場に来て、養生し、道具を出して片付けるまでの手間は、張り替える範囲が小さくてもあまり変わらないため、多くの業者は最低料金を4万〜6万円程度に設定しています。水漏れのシミや破れが壁1面だけでも、この最低料金がかかることが多いと考えておくとよいでしょう。1㎡あたりの単価に何が含まれ、何が別途になるかは、壁紙張り替え費用の内訳とは?㎡単価1,500〜2,500円に含まれるもの・別途になるもの、見積書の言葉を整理で整理しています。

壁紙は幅約90cmのロールを上から下へ貼り継いでいくので、張り替えは壁の面で区切った1面単位が基本です。張り替え業者に部分的な直しを頼む場合、めくれた部分の貼り戻しや、張り替えを伴わない小さな傷の直し程度であれば、1面の張り替えより安い料金を設けている業者もあります。一方、穴を埋めたり、破れた部分を新しい壁紙に張り替えたりする直しは、継ぎ目の位置で区切るため最低でもロール1枚分になり、職人の段取りも1面と変わらないので、費用は1面の張り替えと同じくらいになりやすくなります。継ぎ目や新旧の色の差が目立ちやすい点も考えておく必要があります。

破れや穴が1〜数箇所で、周りの壁紙がきれいな場合は、張り替えずに傷んだ箇所だけを目立たなくする「壁紙のリペア業者」に頼む方法もあります。費用は、下地に傷みがない場合で1万〜3万円程度、石膏ボードの補修も必要な場合で1万5,000〜5万円程度が目安で、いずれも傷みの大きさによります。条件によっては、近くで見ると直した跡が分かることもあります。水漏れのシミが広がっている、周りの壁紙も古くなっているといった場合は、張り替えのほうが向いています。破れの大きさや場所ごとに、自分で直すか業者に頼むかの目安は、壁紙の破れは自分で補修できる?業者に相談したほうがよい5つの目安と費用の考え方で扱っています。

気になる箇所をまとめると、1箇所あたりの負担を抑えやすい

最低料金は1回の依頼にかかるので、気になっている箇所がほかにもあれば、まとめて頼むと1箇所あたりの負担を小さくしやすくなります。たとえば水漏れで傷んだ面を張り替えるついでに、前から気になっていた別の部屋の壁紙も一緒に見積もってもらう、という考え方もできます。

補助金・助成金が使えるかも、あわせて確かめる

壁紙の張り替えだけを目的にした工事で使える国の補助金は、多くありません。ただ、市区町村によっては、内装の工事も対象にした独自の住宅リフォームの補助金・助成金を設けている場合があります。国の制度で対象になりにくい理由と、対象になりうるケースは壁紙の張り替えに補助金は使える?国の制度で対象外になる理由と、対象になりうる3つのケース、補助金と助成金の違いや自治体の制度の探し方は壁紙の張り替えに助成金は使える?国の制度は基本的に無し、補助金との違いと自治体の制度の探し方で扱っています。

まとめ:迷ったら、工事の前に保険会社へ連絡し、並行して見積もりを取る

  • 火災保険で壁紙の張り替えがまかなえる可能性があるのは、水漏れやうっかりした破損のような「偶然の事故」のとき。どの事故が補償されるかは契約の内容によるので、保険証券で確かめる
  • 年数による傷み、模様替えのための張り替えは対象外。外壁の劣化箇所からの雨漏りのように、原因が建物の古さにある場合も対象外になることがある。地震は地震保険の考え方で、壁紙だけの損害は原則として保険金の対象にならない
  • 東京海上日動火災保険の2025年10月1日以降の住まいの保険では、落書き・かき傷・へこみなどの「外観上の損傷」は対象外とされている。ただし「汚損の損害」はこの除外から外されている。契約の時期や保険会社で扱いが違うことがあるので、保険会社に確かめる
  • 損保ジャパンは保険金を受け取っても保険料に影響はないとし、東京海上日動火災保険は火災保険には自動車保険のような等級制度がないと説明している。更新のときに保険料が上がることはあり、保険会社による保険料の改定が理由になっている場合は、請求したこととは別の話
  • 水漏れなら、まず水を止めて出どころの修理を手配する(上の階からの水漏れが疑われる場合は、マンションの管理会社にも連絡)。応急の処置や修理の前後の写真も残す
  • 申請は、写真を残す・保険証券で契約内容を確かめる→保険会社・代理店へ連絡→見積もり→書類の提出→保険会社の確認→保険金の受取、の順。「保険が使える」と勧誘する業者とは、保険会社に相談する前に契約しない
  • 張り替えの工事は、保険会社の確認が済んでから。水漏れでは下地まで傷んでいることがあるので、見積もりの段階で下地の補修の可能性も聞いておく
  • 対象外だった場合は、量産品で1㎡あたり1,500〜2,500円程度、多くの業者は最低料金を4万〜6万円程度に設定している。気になる箇所をまとめると1箇所あたりの負担を抑えやすい。破れや穴が小さく、周りの壁紙がきれいなら、リペア業者に頼む方法もあり、自治体の補助金・助成金が使えるかもあわせて確かめる

「こんなことで保険を使っていいのか」と迷ったまま先に張り替えてしまうと、損害の状況を確かめにくくなり、本来は補償される可能性があった損害でも、対象外と判断されるおそれがあります。まずは保険会社か代理店に状況を伝え、並行して張り替えの見積もりを取って、どこまで直すといくらかかるのかをはっきりさせておくと、保険会社とのやり取りもスムーズに進みます。張り替えの見積もりが必要になったら、電話か問い合わせフォームで、傷んだ場所と状況をお聞かせください。

水漏れや破損で傷んだ壁紙をどこまで張り替えるかは、実際に壁を見てお伝えするのがいちばん確実です。保険会社への連絡と並行して、傷んだ場所と状況を電話でお聞かせください。現地調査で確認できる範囲を見たうえで、張り替えの範囲と、下地の補修が必要になった場合の費用も含めて見積もりをお出しします。保険の対象になるかどうかの判断は保険会社が行いますので、手続きの進め方は保険会社か代理店にご確認ください。見積もり・現地調査は無料です。

電話が難しい方はでもご相談いただけます。

この記事の執筆者

執筆者写真

氏名:松田郁幾
実績:壁紙張り替えを中心に、これまで多くのお客様・職人と関わってきました。
この記事について:現場で見聞きした実例をもとに、誇張せず、実践的な視点で解説しています。

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