
壁紙の張り替えを考え始めると、費用の相場と一緒に「補助金や助成金は使えないのだろうか」と気になる方は多いと思います。リフォームの補助金という話はよく耳にしますし、せっかく使える制度があるなら見逃したくない、というのは自然な気持ちです。
先に結論をお伝えします。壁紙の張り替えだけを目的にした工事で使える補助金・助成金は、多くありません。2026年度の国の代表的なリフォーム補助金は、窓の断熱や給湯器の交換といった省エネの工事が中心で、壁紙の張り替えは対象工事の一覧に入っていません。みらいエコ住宅2026事業の補助額は対象工事ごとに決まった額を合計する仕組みなので、断熱や窓の工事と一緒に張り替えても、壁紙の分が補助されるわけではありません。介護保険の住宅改修も、対象は手すりの取付けや段差の解消などに限られ、壁紙の張り替えは対象の種類として挙げられていません。火災保険も、古くなった壁紙の張り替えには使えません。
ただし、条件によっては費用の一部をまかなえる可能性があるケースもあります。
- お住まいの市区町村が、独自のリフォーム補助金・助成金を設けている場合
- 要介護・要支援の認定を受けている方の住宅改修で、手すりの取付けなどに合わせて壁の工事が必要になる場合(壁紙の貼り直し費用まで対象になるかは、窓口での確認が必要です)
- 水漏れのような偶然の事故で壁紙が傷み、火災保険の補償の対象になる場合
この記事を読むと、次のことが分かります。
- 国の補助金で、壁紙の張り替えが対象にならない理由と申請の仕組み
- それでも対象になりうる3つのケースと、それぞれの確かめ方
- 地震が原因のときの考え方
- 補助金や保険が使えない場合の、費用の考え方
読み終えるころには、自分のケースが制度の対象になりそうかどうかの見当がつき、どこに何を確かめればよいかが分かるはずです。
なお、国や自治体の補助金は、年度ごとに名称や内容が変わります。この記事は2026年9月時点で公表されている情報をもとにしています。申請を考える場合は、必ず各制度の公式の案内で最新の内容を確かめてください。
自分の家の張り替えがどのくらいの範囲・費用になりそうか、補助金を調べる前に一度確かめておきたい方は、電話でご相談ください。張り替えたい場所や壁の状態を伺い、見積もりの進め方をご案内します。見積もり・現地調査は無料です。
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壁紙の張り替えだけでは、使える補助金は多くない

リフォームの補助金というと、「リフォームなら何でも対象になる」という印象を持たれがちです。ですが、国の補助金は、それぞれ国として進めたい目的(省エネ、子育て、高齢者の暮らしやすさなど)に合った工事にお金を出す仕組みになっています。古くなった壁紙を新しくする、部屋の雰囲気を変えるといった理由での壁紙だけの張り替えは、こうした目的のどれにも直接は当てはまりません。ここでは、国の補助金、介護保険、火災保険の3つについて、壁紙の張り替えがなぜ対象外になるのかを見ていきます。
国の代表的なリフォーム補助金は、窓・断熱・給湯器などの省エネ工事が中心
2026年度の国のリフォーム補助金は、国土交通省・経済産業省・環境省が連携する「住宅省エネ2026キャンペーン」としてまとめられています。リフォーム向けには、「みらいエコ住宅2026事業」(国土交通省)、「先進的窓リノベ2026事業」(環境省)、「給湯省エネ2026事業」「賃貸集合給湯省エネ2026事業」(経済産業省)の4つの事業があります(出典:住宅省エネ2026キャンペーン【公式】「キャンペーンについて【リフォーム】」)。
このうち、対象となる工事がもっとも幅広いのが「みらいエコ住宅2026事業」です。国土交通省の資料では、補助の対象となるリフォーム工事として、次の8つの項目が挙げられています(出典:国土交通省「みらいエコ住宅2026事業(Me住宅2026)の内容について(令和8年5月26日時点)」)。
- 開口部の断熱改修(ガラス交換、内窓設置、外窓交換、ドア交換)
- 躯体の断熱改修(外壁、屋根・天井、床に一定量以上の断熱材を使う工事)
- エコ住宅設備の設置(高効率給湯器、節水型トイレ、高断熱浴槽、高効率エアコンなど)
- 子育て対応改修(ビルトイン食器洗機、掃除しやすいレンジフードなどの設置、防犯・防音に役立つ開口部の改修など)
- 防災性向上改修(防災性の向上に役立つ開口部の改修)
- バリアフリー改修(手すりの設置、段差解消、廊下幅等の拡張、衝撃緩和畳の設置)
- 空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
- リフォーム瑕疵保険等への加入
この一覧に、壁紙(クロス)の張り替えや、内装の仕上げを新しくする工事は入っていません。しかも、この事業では、上の一覧のうち開口部の断熱改修・躯体の断熱改修・エコ住宅設備の設置という省エネの工事を、決められた組み合わせで行うことが必要とされています。1回の申請あたりの補助額の合計が5万円に届かない場合も、申請できません(出典:同上)。つまり、壁紙の張り替えだけの工事は、みらいエコ住宅2026事業ではそもそも申請の入口に立てない、ということです。
窓の断熱に特化した「先進的窓リノベ2026事業」も、対象はガラス交換、内窓設置、外窓交換、ドア交換の4つで、壁紙に関わる工事は含まれていません(出典:環境省「先進的窓リノベ2026事業」事業概要)。
断熱や窓の工事と一緒に張り替えても、壁紙の分が補助されるわけではない
ここで、「壁の断熱工事をするなら、そのときに貼り直す壁紙も補助の対象になるのでは」と考える方もいるかもしれません。実際、室内側から壁に断熱材を入れる工事では、壁を開けたあとに仕上げを貼り直すことになる場合があります。
ここで知っておきたいのが、補助額の決まり方です。「みらいエコ住宅2026事業」の補助額は、工事にかかった費用の何割かを出すのではなく、対象工事の内容ごとに定められた額を合計する仕組みです(出典:国土交通省「みらいエコ住宅2026事業(Me住宅2026)の内容について(令和8年5月26日時点)」)。補助の額を決めるのは「どの対象工事を、どれだけ行ったか」で、工事全体にいくらかかったかではありません。窓や断熱の工事と同じ時期に壁紙を張り替えたとしても、その張り替えが対象工事の一覧に入っていない以上、壁紙の張り替えを加えてもみらいエコ住宅2026事業の補助額が増えることはない、と考えておくのが安全です。
また、断熱や窓の工事は、壁紙の張り替えとは規模も費用も大きく異なる工事です。もともと窓の断熱や給湯器の交換を考えていたのであれば、その工事で制度を使えるかを確かめる価値はあります。一方で、壁紙を新しくしたいという目的のために、補助金を受けられる工事を新たに組み込むのは順序が逆になりやすく、結果として総額が大きく膨らむこともあります。壁紙の張り替えと、省エネのリフォームは、それぞれ必要かどうかで分けて考えるのが実際的です。
「断熱をうたう壁紙やシートを貼れば、断熱の工事として補助の対象になるのでは」と考える方もいるかもしれません。ですが、この事業で補助の対象になる躯体の断熱改修は、外壁、屋根・天井、床の部位ごとに、一定の使用量以上の断熱材を使う工事とされています(出典:国土交通省「みらいエコ住宅2026事業(Me住宅2026)の内容について(令和8年5月26日時点)」)。壁紙やシートを貼るだけの工事が、この要件に当てはまることは考えにくいでしょう。壁紙や市販のシートで部屋の断熱をどこまで補えるかについては、壁紙は断熱できる?市販の断熱シートの効果とデメリットを解説で扱っています。
インターネットでは、「壁紙リフォームに使える補助金」として、こうした国の省エネの事業や介護保険の住宅改修が並べて紹介されていることがあります。制度の紹介としては間違いではありませんが、その多くは「壁紙の張り替えを含むリフォーム全体で使える制度」を挙げたもので、壁紙の張り替えそのものが対象工事になっていることを意味するわけではありません。一覧を見るときは、その制度の対象工事に何が書かれているかまで確かめると、期待とのずれを防げます。
国の補助金は、工事を行う事業者が申請する
「みらいエコ住宅2026事業」の申請は、リフォーム工事を行う事業者が行います。資料には「工事発注者や住宅購入者となる一般消費者は申請者にはなれません」と書かれています(出典:同上)。住宅省エネ2026キャンペーンの案内でも、いずれの事業も工事の発注者が自分で申請することはできないとされています(出典:住宅省エネ2026キャンペーン【公式】「キャンペーンについて【リフォーム】」)。もし業者から「壁紙の張り替えにも国の補助金が使えます」と説明された場合は、どの事業の、どの工事の区分で申請するのかを確かめてみてください。ここまで見てきた仕組みからすると、壁紙の張り替えそのものが対象になることは考えにくいため、説明の中身をはっきりさせておくと安心です。
介護保険の住宅改修も、壁紙の張り替えは対象の種類に入っていない
ご本人や同居する方が要介護・要支援の認定を受けている場合は、介護保険の住宅改修費を思い浮かべる方もいるかもしれません。介護保険では、要介護・要支援の認定を受けた方の住まいの改修について、費用の一部が支給される仕組みがあります。
ただ、対象になる住宅改修の種類は決まっています。厚生労働省の通知では、支給の対象となる住宅改修として次の種類が挙げられています(出典:厚生労働省「介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて」(平成12年1月31日老企第34号))。
- 手すりの取付け
- 段差の解消
- 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
- 引き戸等への扉の取替え
- 洋式便器等への便器の取替え
- その他これらの住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
材料の変更として挙がっているのは「床又は通路面」で、例としては、畳から板製の床材やビニル系の床材への変更、浴室の床を滑りにくいものに変えること、などが示されています(出典:同上)。壁紙(クロス)や内装の仕上げを新しくすることは、介護保険の住宅改修の種類には出てきません。転ばないため、移動しやすくするための改修が対象で、見た目を新しくするための張り替えは、この制度の目的とは別のものです。
火災保険も、古くなった壁紙の張り替えには使えない
もう1つ、「保険で直せないか」と考える方もいます。火災保険は、火事だけでなく、水漏れなどの事故による建物の損害を補償することがある保険です。ただし、火災保険では、年数がたって傷んだものを新しくする費用は補償の対象になりません。
東京海上日動火災保険は、公式のよくある質問で、経年劣化による建物の修復費用について「自然の消耗または劣化による損害は補償の対象外となります」と答えています(出典:東京海上日動火災保険「【火災保険】経年劣化による建物の修復費用は、補償の対象になりますか?」)。
長く住んで壁紙が黄ばんできた、継ぎ目が開いてきた、はがれてきた、といった傷みは、年数とともに起きる変化です。また、「部屋の雰囲気を変えたい」という模様替えとしての張り替えも、事故による損害ではありません。どちらも火災保険で直すものではない、と考えておいてください。
それでも対象になりうる3つのケース

ここまで見てきたとおり、壁紙の張り替えだけを目的にした工事は、国の補助金、介護保険、火災保険のいずれでも、原則として対象になりません。ただ、「一律にどれも使えない」と決めつけてしまうと、使える可能性がある制度を見逃すことになります。ここでは、条件によっては費用の一部をまかなえる可能性がある3つのケースと、それぞれどこに何を確かめればよいかを紹介します。
お住まいの自治体に、独自の補助金・助成金がある場合
国の制度とは別に、都道府県や市区町村が独自に住宅リフォームの補助金・助成金を設けていることがあります。こうした制度は、対象になる工事、補助の額、申請できる人の条件などが自治体ごとに大きく異なります。同じ「住宅リフォームの補助金」という名前でも、耐震や省エネの工事に限っているものもあれば、より幅広いリフォームを対象にしているものもあります。壁紙の張り替えが対象になるかどうかは、お住まいの自治体の制度の要件次第です。
自治体の制度を探すときに便利なのが、一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会の「地方公共団体における住宅リフォーム支援制度検索サイト」です。都道府県や市区町村を選び、「耐震化」「バリアフリー化」「省エネルギー化」「環境対策」「防災対策」「同居対応」「その他」といった支援の分類や、「補助」「融資」などの支援の方法で絞り込んで、地方公共団体が実施している住宅リフォームの支援制度を探せます(出典:一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会「地方公共団体における住宅リフォーム支援制度検索サイト」)。
ただし、同サイトにも「最新の情報については各地方公共団体にお問い合わせください」と書かれています(出典:同上)。検索で見つかった制度が気になったら、自治体の担当窓口に次のような点を確かめてみてください。
- 壁紙(内装)の張り替えだけの工事も対象になるか
- 申請は工事の契約・着工の前に必要か、工事のあとでもよいか
- 申請できる人に条件があるか(住宅の所有者であること、居住年数など。分譲マンションなら、住戸の中の工事も対象になるか)
- 工事を頼む業者に条件があるか(市内の業者に限る、など)
- 受付の期間や予算の上限があるか
特に申請のタイミングは大切です。制度によっては、工事の前に申請して決定を受けていないと対象にならないことがあります。張り替えの見積もりを取るのと並行して窓口に確認し、着工の前に条件をはっきりさせておくと、あとで「使えるはずだったのに」ということになりにくくなります。
要介護・要支援の認定を受けている方の住宅改修で、壁の工事が必要になる場合
先ほど、介護保険の住宅改修では壁紙の張り替えは対象の種類に入っていない、と説明しました。ただ、対象となる改修に付帯して必要になる工事は、支給の対象に含まれています。
厚生労働省の通知では、「付帯して必要となる住宅改修」の例として、手すりの取付けについては「手すりの取付けのための壁の下地補強」、引き戸等への扉の取替えについては「扉の取替えに伴う壁又は柱の改修工事」が挙げられています(出典:厚生労働省「介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて」(平成12年1月31日老企第34号))。
手すりをしっかり取り付けるには、壁の中に下地(手すりを固定するための板など)を入れる必要があることがあります。開き戸を引き戸に替えるときも、周りの壁や柱に手を入れることがあります。こうした工事で壁を開ければ、仕上げとして壁紙を貼り直すことになります。
ただし、通知に書かれているのは「壁の下地補強」「壁又は柱の改修工事」という言葉で、そのあとに壁紙を貼り直す費用まで含まれるのかどうかは、はっきり書かれていません。含まれるとも含まれないとも書かれておらず、手すりや扉の工事に伴う壁紙の貼り直しが介護保険の対象になるかは、国の通知からは判断できないため、この記事では「対象になる」とは言い切れません。また、仮に対象になるとしても、それは手すりや扉の工事に伴って必要になった範囲の話で、部屋全体の壁紙の張り替えが対象になるわけではありません。
ご本人や同居する方が要介護・要支援の認定を受けていて、手すりの取付けなどを考えている場合は、工事を決める前に、担当のケアマネジャーや市区町村の介護保険の窓口に「壁の仕上げの貼り直しは対象になるか」を確かめてみてください。
水漏れなど、偶然の事故が原因で壁紙が傷んだ場合
3つ目は、火災保険です。先ほど、年数がたって傷んだ壁紙の張り替えは対象外だと説明しましたが、原因が偶然の事故であれば話が変わることがあります。
代表的なのが水漏れです。東京海上日動火災保険は、「給排水設備事故の水濡れ等」について、「給排水設備に生じた事故または被保険者以外の者が占有する戸室で生じた事故に伴う漏水、放水等による水濡れ、水圧等によって保険の対象に生じた損害」と説明しています(出典:東京海上日動火災保険「【火災保険】「給排水設備事故の水濡れ等」とは何ですか?」)。家の中の給水管や排水管のトラブルで水が漏れた場合のほか、マンションで上の階の部屋から水が漏れてきた場合も、この説明に当てはまる形です。建物を保険の対象にしていて、この補償が付いている契約であれば、水漏れで傷んだ壁紙の張り替えが火災保険の保険金の対象になる可能性があります。
もう1つ、うっかり物をぶつけて壁を傷めてしまったような場合も、契約の内容によっては補償の対象になりえます。同社は、掃除中に物をぶつけて壁を破損した場合について、「『破損等リスク』を補償するタイプをご契約の場合、補償の対象となります」としています(出典:東京海上日動火災保険「【火災保険】建物を対象とした火災保険に加入中です。掃除中にうっかり壁にものをぶつけて、壁を破損してしまった場合、保険で補償されますか?」)。
ただし、同じ回答の中で、2025年10月1日以降の住まいの保険では、「すり傷、かき傷、塗料の剝がれ落ち、落書き、ゆがみ、たわみへこみその他外観上の損傷」は補償の対象外になるとも書かれています。ただし、この一文には「汚損の損害を除きます」という注記が付いています(出典:同上)。壁紙の表面についた傷や落書きのように、見た目だけの損傷は、契約の時期や内容によっては対象にならないということです。汚れが「汚損」に当たるかどうかや、落書き・ペットのひっかき傷の扱いは、壁紙の張り替えに火災保険は使える?水漏れ・うっかりした破損が対象になる条件と、保険料・申請の流れで詳しく説明しています。
火災保険の補償の範囲は、保険会社、商品、契約した時期、付けている補償の種類によって異なります。ここで紹介したのは1つの保険会社の案内で、ほかの保険会社や、以前から続けている契約に同じ扱いが当てはまるとは限りません。壁紙が傷んだ原因が事故かもしれないと思ったら、張り替えを決める前に、次のことをしておくと安心です。
- 傷んだ箇所の写真を撮っておく(水漏れなら、しみの広がりや天井・床の様子も)
- 保険証券で、建物が保険の対象に入っているか、水濡れや破損等の補償が付いているかを確かめる
- 張り替えの工事をする前に、保険会社や代理店に連絡して、手続きの進め方を聞く
保険会社に状況を確かめてもらう前に工事を済ませてしまうと、どのくらいの被害があったのかを説明しにくくなります。応急の片付けは別として、張り替えの工事は、保険会社に連絡し、必要な確認や記録を終えてから進めるほうが、申請時の行き違いを防ぎやすくなります。
なお、水漏れの場合は、壁紙の下の石膏ボードまで水を吸って傷んでいることがあります。壁紙の張り替えだけで済むのか、下地の補修まで必要になるのかは、現地調査のときに業者が見当をつけられることが多いものの、古い壁紙を剥がしてみないと分からない部分も残り、下地の補修が必要になれば、そのぶん費用が加わります。保険会社への説明や見積もりの段階では、「下地まで傷んでいた場合はどうなるか」も一緒に確かめておくとよいでしょう。下地の石膏ボードの傷みがどのくらいの範囲なら張り替えの工程で直せるのか、どこから別の工事になるのかは、石膏ボードと壁紙は何が違う?傷みは30cmが分かれ目、ボード交換は大工が必要で別途費用で扱っています。
地震が原因なら、考え方が別になる
壁紙の破れやひび割れの原因が地震の場合は、ここまでの火災保険の話とは別に、地震保険の仕組みで考えることになります。
地震保険は、壁紙が傷んだ範囲を個別に査定して保険金を決める仕組みではありません。東京海上日動火災保険は、「地震保険では建物の主要構造部(軸組、基礎、屋根、外壁等)の損害状況に基づき保険金が支払われます。壁紙・クロスは主要構造部に該当しないため、壁紙・クロスのみに生じた損害に対しては、保険金は支払われません」と説明しています(出典:東京海上日動火災保険「【地震保険】「壁紙・クロス」のみに生じた損害は、補償されますか?」)。
ただし、柱や外壁など壁紙以外の部分にも被害があれば、そちらは査定の対象になります。そのため、水漏れのときと同じく、地震で壁紙が傷んだ場合も、保険会社の調査が終わるまでは張り替えなどの本格的な補修は控え、傷んだ箇所の写真を残しておくほうが安心です。
一戸建ての場合の地震保険の損害区分の決まり方や、保険会社の調査が来るまでに気をつけたいことは、地震保険で壁紙・クロスのひび割れは補償される?原則と唯一の例外を解説で扱っています。分譲マンションなどの区分所有建物は判定の仕組みが一部異なるので、加入している保険会社に確かめてください。
補助金・保険が使えない場合の費用の考え方
自分のケースを確かめた結果、補助金も保険も使えないと分かることも多いと思います。その場合は、実費での張り替えを考えることになります。ここでは、費用の目安と、負担を抑えるための考え方を整理します。
費用は面積と壁紙のグレードでおおよそ決まる
壁紙の張り替え費用は、主に張り替える面積と、選ぶ壁紙のグレードで決まります。一般的な量産品の壁紙であれば、材料と工事を合わせて1㎡あたり1,500〜2,500円程度が目安とされています。
ただし、張り替える範囲が小さい場合は、この単価どおりにはなりません。職人が現場に来て、家具を動かし、養生をして、道具を出して片づけて帰るまでの手間は、1面でも1部屋でも大きくは変わらないためです。そのため、多くの業者は最低料金を4万〜6万円程度に設定しています。
1部屋を例にした費用の目安は【知らないと損】6畳の壁紙クロス張替え費用|4万円以下は見積もり内容を要確認。相場と失敗しない判断基準で、量産品とひとつ上のグレードの価格差は量産クロスと1000番クロスの違い|価格差は6畳で約1万円、部屋ごとの選び分け方で扱っています。
このほか、古い壁紙を剥がしたときに下地が大きく傷んでいた場合の補修や、特殊な壁紙を選んだ場合は、費用が加わることがあります。反対に、古い壁紙を剥がす作業や養生、廃材の処分、軽い下地の処理は、通常の張り替えの費用に含まれているのが標準的です。ただ、業者によっては別の項目として計上されることもあるので、見積書でどこまで含まれているかを確かめておくと安心です。見積書で確かめておきたい項目は、クロス張り替えの見積書チェックポイント7選|追加費用で後悔しないための確認事項にまとめています。
複数の箇所をまとめて頼むと、1箇所あたりの負担が小さくなりやすい
補助金が使えないとなると、少しでも費用を抑えたいと考えるのが自然です。そのときに効いてくるのが、張り替える箇所をまとめることです。
先ほどのとおり、職人の手配や移動、養生の手間は、面積にかかわらずかかります。そのため、「今年はリビング、来年は寝室」と分けて頼むより、気になっている箇所を一度にまとめて頼んだほうが、1箇所あたりの負担は小さくなる傾向があります。リビングの壁紙を見てもらうついでに、廊下や洗面所など、ほかに気になっている場所も一緒に見積もりに入れてもらうと、分けて頼んだ場合との違いが分かります。
反対に、予算が限られているなら、まず一番気になっている部屋や面から張り替える、という考え方もあります。どこから手をつけるかを決めるためにも、見積もりでは部屋ごと・面ごとの内訳が分かるようにしてもらうと、優先順位をつけやすくなります。まとめて頼むか、優先順位をつけて段階的に進めるかの考え方は、壁紙の替えどきはいつ?築年数より見るべき「今の壁の状態」と見逃せない5つのサインでも扱っています。
補助金を調べるために、張り替えを先延ばしにしすぎない
壁紙の張り替えだけの工事であれば、ここまで見てきたとおり、2026年度の国の代表的なリフォーム補助金の対象にはなりません。自治体の制度を確かめるのは大切ですが、使えるかどうか分からない制度を待つために張り替えを何か月も先延ばしにすると、希望する時期に工事ができなくなることもあります。
自治体の窓口への確認は、張り替えの見積もりを取るのと並行して進めることができます。見積もりで張り替えの範囲と金額が分かれば、窓口に相談するときにも「この工事は対象になるか」を具体的に聞きやすくなります。
まとめ
壁紙の張り替えに補助金・助成金が使えるかについて、2026年9月時点で公表されている情報をもとに整理します。
- 国の代表的なリフォーム補助金(住宅省エネ2026キャンペーン)は、窓の断熱や給湯器などの省エネ工事が中心。みらいエコ住宅2026事業でも、対象工事の一覧に壁紙の張り替えは入っておらず、省エネ工事の組み合わせが必要なため、壁紙の張り替えだけでは申請できない
- みらいエコ住宅2026事業の補助額は、対象工事ごとに定められた額の合計。断熱や窓の工事と一緒に張り替えても、壁紙の分が補助されるわけではない
- 国の補助金の申請は工事を行う事業者が行い、一般の消費者は申請者になれない。業者から「壁紙にも補助金が使える」と言われたら、どの事業のどの工事で申請するのかを確かめる
- 介護保険の住宅改修の対象は、手すりの取付け、段差の解消、床や通路面の材料の変更、扉の取替え、便器の取替えと、それらに付帯する工事。壁紙の張り替えは対象の種類に入っていない
- 火災保険は、経年劣化や模様替えのための張り替えには使えない
- ただし、①自治体独自の補助金・助成金、②要介護・要支援の認定を受けている方の住宅改修に付帯する壁の工事、③水漏れなど偶然の事故による損害への火災保険、の3つは、条件によって対象になる可能性がある。②は壁の下地補強などが対象で、壁紙の貼り直し費用まで含まれるかは確認が必要。確かめる先は、①自治体の窓口、②ケアマネジャーや市区町村の介護保険の窓口、③保険会社や代理店
- 地震が原因の場合は地震保険の仕組みで考える。壁紙・クロスのみの損害は、原則として地震保険の保険金の対象にならない
- 補助金も保険も使えない場合、量産品の壁紙なら材料と工事を合わせて1㎡あたり1,500〜2,500円程度が目安で、多くの業者は最低料金を4万〜6万円程度に設定している。気になる箇所をまとめて頼むと、1箇所あたりの負担は小さくなりやすい
補助金や保険を調べるのは損をしないための大切な一歩ですが、壁紙の張り替えそのものは、多くの場合、実費で行うことになります。自分のケースが例外に当てはまるかどうかを確かめながら、並行して張り替えの見積もりを取り、範囲と金額をはっきりさせるところから始めてみてください。
補助金や保険が使えるかを確かめるにも、どこまで張り替えるか、いくらかかるかが分かっていると話が早くなります(水漏れなど保険を使うかもしれない場合は、保険会社への連絡と並行して、工事の前に見積もりを取る形になります)。張り替えたい場所をまとめて伺い、現地調査で壁の状態を見たうえで、張り替える範囲をご相談しながら見積もりをお出しします。見積もり・現地調査は無料です。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
この記事の執筆者

氏名:松田郁幾
実績:壁紙張り替えを中心に、これまで多くのお客様・職人と関わってきました。
この記事について:現場で見聞きした実例をもとに、誇張せず、実践的な視点で解説しています。



