
家具を動かしたときに角が当たった、何かを引っかけてしまった、気づいたら壁紙の端がめくれて裂けていた。壁紙の破れを見つけると、「これくらいなら自分で直せるのか」「業者に頼むほどのことなのか」と迷う方は多いと思います。頼むと大ごとになりそうで、かといって自分で触って余計に目立たせるのも心配です。
先に結論をお伝えします。壁紙の破れは、大きさ・場所・原因によって、「自分で目立たなくできる範囲」と「業者に相談したほうがよい範囲」に分かれます。表面が少し切れた程度で、めくれた壁紙が残っていて、手の届く場所の1箇所だけなら、市販の補修用品で目立たなくできることがあります。一方で、破れの奥の下地がへこんでいる・崩れている、周りにシミやカビがある、高い場所にある、いくつもの場所に広がっている、といった破れは、相談したほうが結果的に早く片づきます。
費用についても先にお伝えしておきます。業者に頼む場合、頼み先は大きく2つに分かれます。1つは、壁紙を張り替えずに、破れや穴のあいた箇所だけを直すことを専門にしているリペア業者です。傷の大きさによって変わりますが、下地に傷みがない破れなら1万〜3万円程度、奥の石膏ボードの補修を伴う場合は1万5,000〜5万円程度が目安です。
もう1つは、壁紙の張り替え業者です。めくれの貼り戻しや、張り替えを伴わない小さな傷の直し程度の簡単な補修であれば、1面の張り替えより安い料金を設けている業者もあります。一方で、穴を埋めたり、破れた部分を新しい壁紙に張り替えたりする補修は、継ぎ目で区切って最低でも1枚分を張り替えることになり、職人の手間も1面の張り替えとほとんど変わりません。そのため、費用は1面の張り替えと同じくらいになりやすく、多くの業者は最低料金を4万〜6万円程度に設定しています。破れが1〜数箇所で周りの壁紙がまだきれいならリペア業者、破れがいくつもある・周りの壁紙も汚れや日焼けが目立つなら張り替え、というのがひとつの目安です。
この記事を読むと、次のことが分かります。
- 壁紙が破れる主な原因と、原因によって直し方が変わる理由
- 自分で目立たなくできる破れの目安(大きさ・下地・場所と数)
- 業者に相談したほうがよい破れの目安(下地の傷み・シミやカビ・高い場所・硬くなった壁紙・複数の破れ)
- 自分で補修するときに知っておきたい限界。色は周りと完全には合わないこと
- 業者に頼む場合の費用の考え方(リペア業者と張り替え業者の違い、どちらが向いているかの分かれ目)と、相談のときに伝えておくとよいこと
読み終えるころには、目の前の破れが自分で目立たなくできる範囲なのか、見てもらったほうがよいものなのか、見当がつくはずです。
壁紙の破れが自分で直せる範囲なのか判断がつかない方は、電話で破れの大きさや場所、破れたきっかけ、周りの様子を、分かる範囲でお聞かせください。見てもらったほうがよい破れかどうかも含めてご案内します。見積もり・現地調査は無料です。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
壁紙が破れる主な原因

破れの直し方を考える前に、なぜ破れたのかを見ておきます。同じ大きさの破れでも、原因によって「表面を直せば済むのか」「直してもまた同じことが起きるのか」が変わるからです。
なお、猫の爪とぎによる傷と、地震でできた亀裂は、それぞれ事情が異なるので、後の章で別の記事を紹介します。また、棚やフックを外したあとのビス穴のような小さな穴は、この記事でいう破れとは扱いが違い、張り替えの通常の工程で埋められることがほとんどです。こちらは壁のビス穴があっても壁紙張替えは大丈夫?石膏ボードの状態で対応が変わる理由を解説で扱っています。
物をぶつけた・引っかけた
いちばん多いのが、物が当たってできる破れです。家具を動かしたときに角が当たった、掃除機のヘッドをぶつけた、荷物を運んでいて擦った、といった一度きりの出来事でできるものです。
当店にいただいたご相談でも、物を動かした拍子に壁にぶつけて大きな傷が2箇所できた、店舗で何かをぶつけて拳一つ分ほどの穴やへこみができた、エアコンの取り付け工事中に壁紙を数センチ傷つけてしまった、といった例があります。
原因が一度きりの衝撃であれば、傷んだところを直せば、その後に同じ破れが広がっていくことは基本的にありません。考えるべきなのは、表面の壁紙だけが破れたのか、その奥の下地まで傷んだのか、という点です。この見分け方は後の章で扱います。
テープやシールを剥がしたとき
壁に貼っていたテープやシール、フックなどを剥がしたときに、壁紙の表面が一緒に持っていかれて破れることもあります。
壁紙メーカーのリリカラは、取扱上の注意で「粘着テープを貼らない」という項目を設け、「セロハンテープやガムテープなどの粘着テープ類は、粘着材が壁紙に移行して変色や汚れの原因になる上、剥がすときに壁紙を破損させることもあるので使用しないでください」と書いています(出典:リリカラ「取扱上の注意」)。
この種の破れは、表面の薄い層がはがれているだけのことも多く、下地まで傷んでいることはあまりありません。ただ、テープやフックを同じ場所に貼っては剥がすことを繰り返していると、破れた範囲がだんだん広がっていきます。
年数が経って壁紙が硬くなった
長く住んでいる家では、壁紙そのものが年数とともに硬くなり、継ぎ目や角から裂けたり、端が欠けたりすることがあります。触ると端がぱりぱりと割れる、めくれた部分を押さえても元に戻らない、という状態です。
壁紙メーカーのサンゲツは、はがれてきた壁紙の直し方を案内したうえで、「経時変化により壁紙が硬化している場合は部分的な補修では対応ができませんので、貼り替えをおすすめします」と書いています(出典:サンゲツ「壁紙のお手入れ方法」)。これは「はがれ」についての案内で、同じページに「破れ」の直し方は書かれていません。ただ、硬くなった壁紙は、破れた部分を貼り戻そうとしてもなじまず、周りから新しいひびが入りやすいので、考え方は同じです。
破れた箇所の壁紙が年数で硬くなっているなら、壁全体も同じように傷んでいると考えたほうが実態に近くなります。目の前の破れが1箇所でも同じです。
湿気や水漏れで下地ごと傷んだ
窓まわりや北側の部屋、水まわりに近い壁などで、湿気や結露、水漏れによって壁紙の裏の下地がふやけ、壁紙ごと破れたり、めくれたりすることがあります。破れの周りにシミや変色、カビが出ていることが多いのが特徴です。
この原因の場合、表面の破れだけを直しても、湿気や水の原因が残っていれば、また同じ場所が傷みます。見た目は小さな破れでも、ほかの原因とは扱いがまったく違います。
自分で目立たなくできる破れの目安

ここからは、自分で目立たなくできる破れの目安を見ていきます。目安であって、これに当てはまれば必ずきれいに直る、というものではありません。「このくらいなら、自分で試してみる価値がある」という線として読んでください。
表面が少し切れた程度で、めくれた壁紙が残っている
自分で対応しやすいのは、壁紙の表面が切れたり、端がめくれたりしていて、めくれた部分がちぎれずに残っている破れです。カッターで切ったような細い切れ目や、角が当たって一部がめくれた程度のものがこれにあたります。
めくれた壁紙が残っていて、壁紙が硬くなっていなければ、のりで元の位置に貼り戻せることがあります。破れの線がほとんど分からない程度まで目立たなくできることもあります。考え方は、壁紙のはがれや浮きを直すときに近いもので、裏のほこりを取ってから、のりをはみ出させないように貼り戻します。貼り戻すときの細かい注意点は、後の章で紹介する浮きの記事が参考になります。
反対に、壁紙がちぎれてなくなっている、穴が開いている、という破れは、その部分を何かで埋めるか、上から覆うことになります。貼り戻すのに比べて、周りとの違いが出やすくなります。
破れの奥の下地が、へこんだり崩れたりしていない
次に見るのは、破れた壁紙の奥です。壁紙の下には、多くの住まいで石膏ボードという板が張られています。表面の壁紙だけが切れていて、その奥の板が平らなままなら、表面の補修で済む可能性があります。
見分け方は、破れの周りを指で軽く押してみることです。押してもへこまず、周りの壁と同じ感触なら、下地は傷んでいない可能性が高くなります。押すとへこむ、フカフカと沈む、奥がボロボロと崩れてくる、という場合は、下地まで傷んでいます。この場合は、表面を覆っても、へこみや段差が残ります。
手の届く高さで、1箇所だけ
最後に、場所と数です。床に立ったまま手が届く高さで、破れが1箇所だけであれば、自分で試しやすい条件がそろっています。
同じような破れがいくつもある場合は、1箇所ずつ補修するより、その面をまとめて張り替えたほうがきれいに仕上がり、手間の面でも見合うことがあります。この点は、費用の話とあわせて後の章で扱います。
補修用品の種類(補修用のシール、補修用の壁紙など)と、それぞれの注意書きが使える場所をどう限っているかは、壁紙の汚れ隠しは貼るか塗るか|商品が限定する3つの条件と、壁紙メーカー3社が粘着テープを避ける理由で詳しく扱っています。汚れを隠す記事ですが、破れを覆う場合も、貼り直しができない、凹凸のある面には付きにくい、といった注意はそのまま当てはまります。
業者に相談したほうがよい破れの目安
次に、自分で直すより、相談したほうがよい破れを見ていきます。どれか1つに当てはまれば、無理に手を出さず、一度見てもらうことをおすすめします。
下地がへこんでいる・崩れている
前の章で見た「押すとへこむ」「奥が崩れてくる」という破れは、壁紙の下の石膏ボードが傷んでいます。この場合、表面の壁紙を直す前に、下地を平らに整える作業が必要になります。
注意したいのは、壁紙の破れの大きさと、下地の傷みの大きさは一致しないことです。神奈川県秦野市のご相談では、壁を蹴ってしまった拍子に穴が開き、その周りは壁紙が破れていないのにへこんでいて、壁紙が破れた穴より広い範囲で、奥の石膏ボード自体が損傷していました(【相談事例】壁に開いた穴の補修費用はいくら?神奈川県秦野市、壁紙1面49,500円(税込)から、石膏ボード交換の大工費用が加わるご相談)。反対に、壁紙が大きく裂けていても、下地は無傷ということもあります。表面の破れの大きさだけで判断せず、奥の状態を見ることが大切です。
張り替えで直す場合、下地の小さなへこみや傷をパテで整える程度なら、張り替えの工程に含まれることが多いです。パテだけでは埋まらず、傷んだ部分をプレートやメッシュで塞ぐ補修になると、その分の費用が加わります(大工を手配するより抑えられることが多い直し方です)。傷みが広く、下地の板を交換する場合は、大工の手配が加わり、張り替えの費用とは別に大工の費用がかかります。どこまでが張り替えの中で済み、どこからが別の作業になるのかは、石膏ボードと壁紙は何が違う?傷みは30cmが分かれ目、ボード交換は大工が必要で別途費用で詳しく扱っています。ここでいう30cmは石膏ボードの傷みの大きさで、壁紙の破れの大きさではない点に注意してください。
周りにシミ・カビ・湿った跡がある
破れの周りに、茶色いシミ、黒い点々としたカビ、触ると湿っている跡がある場合は、湿気や水漏れで下地が傷んでいる可能性があります。前の章で見たとおり、この原因の場合は、表面の破れを直しても、原因が残っていればまた同じ場所が傷みます。
シミやカビがあるなら、破れの補修より先に、壁の中で何が起きているかを確かめることが必要です。現地調査では、壁紙の一部を切り開いて下地を直接確認することもあります。原因によっては、壁紙の張り替えとは別の手当てが必要になることもあります。
カビが出ている壁で、張り替えのときに下地をどう処置するかは、壁紙のカビは張り替えだけで直る?下地の防カビ処置と費用の目安を解説で詳しく扱っています。
高い場所にある
天井の近くや階段の吹き抜けなど、脚立を使わないと届かない場所の破れは、自分で直すことをおすすめしません。
脚立からの落下によるけがは、一般的にも多いものです。しかも補修の作業は、上を向いたまま両手を使うことになるので、体を支えにくくなります。脚立の扱いに慣れていない方や、体力に不安のある方は、高い場所の補修は業者に任せてください。高い場所の破れは、ふだんの目線から離れているぶん目立ちにくいことも多いので、急いで直す必要がなければ、ほかの箇所と一緒に見てもらう形で十分です。
壁紙が硬くなって、端がぱりぱり欠ける
破れた部分の周りを触ってみて、壁紙が硬く、端がぱりぱりと欠けるようなら、前の章で見た「年数が経って壁紙が硬くなった」状態です。サンゲツも、硬化している場合は部分的な補修では対応できないとして、張り替えを勧めています(出典:サンゲツ「壁紙のお手入れ方法」)。
この状態の壁紙は、破れた部分を直そうとして触ること自体で、周りに新しいひびが入ることがあります。補修用品を貼っても、剥がすときや周りから、また別の破れが出やすくなります。壁紙が硬くなっているなら、1箇所を直すより、張り替えの時期を考えるサインと受け止めたほうがよいでしょう。表面が硬くなる・ひびが出るといった変化を含め、張り替えの時期を見極めるサインは、壁紙の替えどきはいつ?築年数より見るべき「今の壁の状態」と見逃せない5つのサインで扱っています。
同じような破れが、いくつもの場所にある
破れがいくつもの場所にあるなら、相談したほうが結果的に早く片づきます。同じ面に破れがいくつもある、別の壁にも同じような傷がある、という場合です。1箇所ずつ自分で補修していくと、そのたびに少しずつ色や質感の違う跡が増え、壁全体としてはかえって目立つことがあるためです。
張り替え業者に頼む場合は、破れが複数あると、1箇所ずつ直すより、その面をまとめて張り替えたほうが、仕上がりも費用も見合うことがあります。ただし、数箇所にとどまり、周りの壁紙がまだきれいなら、リペア業者も選択肢になります。この点は後の章で詳しく見ていきます。
破れのほかに、浮き・猫の爪とぎ・地震の亀裂がある
破れと一緒に、別の症状が出ていることもあります。その場合は、症状ごとに考えることが違います。
- 壁紙がぷっくりと浮いている:壁紙の浮きは自分で直せる?補修できる3条件と、業者に見てもらうべき浮きの見分け方
- 猫の爪とぎでできた傷:猫の爪とぎで傷んだ壁紙は張り替えられる?判断を分ける「これからもひっかくか」と実際に張り替えた3つの状況
- 地震でできた亀裂:地震保険で壁紙・クロスのひび割れは補償される?原則と唯一の例外を解説
猫の爪とぎは、これからもひっかくかどうかで直し方の考え方が変わります。地震でできた亀裂で地震保険の調査を受けるなら、調査が終わるまで本格的な補修を先にしないほうがよい、とされています。保険の対象になるかどうかという別の論点があるためです。自分で補修する前に、上の記事を確認してください。
自分で補修するときに知っておきたいこと
自分で目立たなくできる範囲の破れであっても、補修で目指せるところには限界があります。試す前に知っておくと、仕上がりを見てがっかりすることが減ります。
目指せるのは「目立たなくする」まで
自分で補修した破れは、周りと完全に同じ見た目にはなりません。貼り戻した場合でも破れの線はうっすら残り、覆った場合は、その部分の色や質感が周りと少し違って見えます。
離れて見れば分からない程度に収まることもありますし、光の当たり方によっては近くで見てもほとんど気にならないこともあります。それでも、破れる前の状態に戻るわけではない、という前提で考えてください。判断の基準は「元通りになるか」ではなく、「今の破れと、少し跡が見える状態と、どちらが気にならないか」になります。
色は周りと完全には合わない
覆ったり、一部を張り替えたりする場合に、特に差が出やすいのが色です。
貼ってある壁紙は、日光や照明、生活の汚れによって、年数とともに少しずつ色が変わっています。そのため、貼ってある壁紙と同じ品番のものが手に入ったとしても、色が100%一致することはありません。新しい壁紙のほうが、周りより明るく見えます。品番が廃番になっていて近い柄を探す場合は、差はさらに出ます。
凹凸のある壁紙では、色に加えて表面の模様の見え方も変わります。岡山市の店舗からいただいたご相談では、凹凸のある白い壁紙だったため、部分的に直すとその箇所だけ柄が違って見える懸念があることをお伝えしました。
一部だけ新しくすると色がそろわない理由は、壁紙の日焼けは掃除・漂白で戻る?ヤニとの見分け方と部分張替えで色が合わない理由で詳しく扱っています。
自分で補修した跡が気になったら、張り替えで消せる
自分で補修してみたものの、跡が思ったより目立ってしまい、どうしたらよいか困っている方もいるかもしれません。これは珍しいことではありません。
神奈川県厚木市のご相談では、物を動かした拍子に壁にぶつけてできた傷を、ご自身で補修してみた箇所もあったものの、仕上がりが気になり、プロによる補修を希望されていました(神奈川県厚木市:壁紙の部分補修と一面張替えの費用差についてのご相談)。補修したのが住まいの方でなくても同じことが起きます。福岡県京都郡苅田町のご相談では、エアコンの取り付け工事中に壁紙を傷つけた工事業者の方がその場で補修したものの、補修跡に住まいの方のご家族が納得されず、壁一面の張り替えを検討されていました(福岡県京都郡苅田町:エアコン工事で傷つけた壁紙一面張り替えのご相談)。
壁紙を張り替えれば、自分で補修した跡はそのまま残りません。古い壁紙を剥がしてから、新しい壁紙を貼るためです。「自分で触ってしまったから、もう頼みにくい」と考える必要はありません。何を使ってどう補修したかは、相談のときにそのまま伝えてください。貼ったもの、塗ったものによって、剥がしたあとの下地の整え方が変わることがあるためです。
業者に頼む場合の費用:リペア業者と張り替え業者の違い
最後に、業者に頼む場合の費用の考え方と、相談のときに伝えておくとよいことを整理します。壁紙の破れを直してくれる業者には、補修を専門にするリペア業者と、壁紙の張り替え業者があり、費用の考え方が違います。
リペア業者なら、破れた箇所だけを直せる
リペア業者は、壁紙を張り替えずに、破れや穴のあいた箇所だけを直すことを専門にしている業者です。補修に特化しているので、1〜数箇所の破れや穴であれば、張り替えより安く済むことが多くなります。
費用の目安は、下地に傷みがない破れで1万〜3万円程度、奥の石膏ボードの補修を伴う穴で1万5,000〜5万円程度です。どちらも、傷の大きさによって幅があります。
ただし、リペアは破れた箇所を周りの色や柄に合わせて目立たなくする直し方なので、条件によっては、近くで見ると直した跡が分かることがあります。また、傷の数や範囲が増えれば、そのぶん費用も上がります。
張り替え業者の場合は、一部を張り替える補修でも1面と同じくらいになりやすい
壁紙の張り替え業者に頼む場合の費用は、どんな直し方になるかで2つに分かれます。
1つは、めくれた壁紙を貼り戻したり、下地の補修や張り替えを伴わない小さな傷を目立たなくしたりする程度の、簡単な補修です。作業が短く済むので、1面の張り替えより安い「補修」の料金を設けている業者もあります。
もう1つは、穴を埋めたり、破れた部分を新しい壁紙に張り替えたりする補修です。壁紙は幅約90cmのロールを上から下へ貼り継いでいるので、一部を張り替える場合も、継ぎ目の位置で区切って、最低でも1枚分を張り替えることになります。好きな大きさに四角く切り取って、その部分だけ新しくする、という形にはなりにくいのです。そのうえ、職人が現場に来て、養生をし、道具を出して片づけて帰るまでの手間は、1面でも1部屋でもそれほど変わりません。そのため段取りは1面を張り替える場合とほとんど同じになり、一部を張り替える補修の費用は、1面の張り替えと同じくらいになりやすい、ということです。多くの業者は、最低料金を4万〜6万円程度に設定しています。
実際のご相談でも、この違いが出てきます。岡山市の店舗のご相談では、拳大の穴を部分的に直す方法をご案内しましたが、メッシュとパテで下地を整えて壁紙を貼る工程は1面の張り替えとほぼ同じになるため、剥がれなどの簡単な直し向けの補修の料金ではなく、一面張替えとほぼ同じ金額になることをご説明しました(【相談事例】壁の穴、部分補修でも一面張替えと金額が変わらなかった岡山市の店舗のご相談)。また、神奈川県厚木市のご相談では、傷が複数箇所ある場合、1箇所ずつの補修を積み重ねると、一面張替えと同程度の金額になることをご説明しました。破れが1箇所で済むのか、いくつもあるのかでも、費用の見え方は変わります。
リペアと張り替えの分かれ目は、破れの範囲と周りの壁紙の状態
どちらが向いているかは、破れの範囲と、周りの壁紙の状態によって変わります。
破れや穴が1〜数箇所にとどまり、周りの壁紙がまだきれいなら、リペア業者に相談すると費用を抑えやすくなります。
一方で、破れがいくつもの場所にある、周りの壁紙も汚れや日焼けが目立つ、壁紙が硬くなって端がぱりぱり欠ける、そろそろ張り替えを考えていた、という場合は、張り替えのほうが向いています。リペアで破れた箇所を直しても周りの古さはそのまま残り、直す箇所が増えるほど、費用も張り替えに近づいていくためです。周りにシミやカビがある場合は、どちらで直すかの前に、まず原因を確かめることが先になります。
同じ面・同じ部屋の気になる箇所は、まとめて見てもらう
1面を張り替えることになるなら、同じ面の中の破れが1箇所でも数箇所でも、費用は大きく変わらないことがあります。1面の中に収まっていれば、破れの周りの汚れや、別の小さな傷もまとめて新しくなります。
また、同じ部屋のほかの面や、別の部屋にも気になるところがあるかもしれません。気になるところは一緒に見てもらうと、1箇所あたりの負担が小さくなることがあります。職人が来て、養生をし、片づけるまでの手間は、面積にかかわらずかかるからです。破れを見つけたのをきっかけに、手が触れやすいスイッチ周りやドア脇の汚れ、継ぎ目の開きなど、ほかの傷みに気づくことも少なくありません。
見積もりのときは、破れた部分だけを直す場合と、1面を張り替える場合の、両方の金額を聞いておくと比べやすくなります。破れた部分だけを直す方法を考えているなら、リペア業者にも見積もりを頼んで、張り替え業者の金額と並べてみるとよいでしょう。張り替え業者に部分的な直しを頼む場合は、貼り戻しなどの簡単な補修で済むのか、張り替えになるのかもあわせて聞いておくと、金額の違いの理由が分かります。見積書でほかに確かめておきたい項目は、クロス張り替えの見積書チェックポイント7選|追加費用で後悔しないための確認事項にまとめています。
相談のときに伝えておくとよいこと
相談のときに次のことを伝えておくと、下地の状態も含めた見立てが早くなります。壁の構造が分からないまま相談しても、困ることはありません。分かる範囲で十分です。
- いつ、何がきっかけで破れたか(物が当たった、テープを剥がした、気づいたら破れていた、など)
- 破れの大きさと数、場所(床からの高さ、どの部屋のどの壁か)
- 破れの周りを押したときの感触(周りの壁と同じか、へこむ・沈むか)
- 周りにシミやカビ、湿った跡があるか
- 自分で補修したかどうか。何を使って、どう補修したか
- 新築時の壁紙の余りや、品番が分かる書類が手元にあるか
新築時の壁紙の余りを使ってもらえるかどうか、使う場合の保証の扱いは、業者によって違います。こちらは壁紙張り替えの持ち込み施工は可能?1面だけでもOKな条件と費用・保証の注意点で扱っています。
破れの様子を写真に撮っておくと、状況を説明するときの手がかりになり、現地調査のときにも役立ちます。破れの近くから撮った写真と、壁全体が写るように少し離れて撮った写真の2枚があると、大きさと場所が伝わりやすくなります。
まとめ
壁紙の破れについて、自分で目立たなくできる範囲と、相談したほうがよい範囲を整理します。
- 壁紙が破れる原因は、物をぶつけた・引っかけた、テープやシールを剥がした、年数が経って硬くなった、湿気や水漏れで下地ごと傷んだ、などに分かれる。原因によって、表面を直せば済むかどうかが変わる
- 自分で目立たなくできる目安は、表面が少し切れた程度でめくれた壁紙が残っている、奥の下地がへこんでいない、手の届く高さで1箇所だけ、の3つ
- 下地がへこんでいる・崩れている、周りにシミやカビがある、高い場所にある、壁紙が硬くなって端がぱりぱり欠ける、いくつもの場所に破れがある、という場合は、相談したほうがよい
- 自分で補修して目指せるのは「目立たなくする」まで。壁紙は年数とともに色が変わっているので、同じ品番でも周りと色が100%一致することはない
- 業者に頼む先は、破れた箇所だけを直すリペア業者と、壁紙の張り替え業者の2つ。リペア業者なら、傷の大きさにもよるが、下地に傷みがない破れで1万〜3万円程度、石膏ボードの補修を伴えば1万5,000〜5万円程度が目安
- 張り替え業者の場合、めくれの貼り戻しや、張り替えを伴わない小さな傷の直し程度の簡単な補修なら、1面より安い料金を設けている業者もある。穴埋めや一部の張り替えを伴う補修は、最低1枚分の張り替えになり段取りも1面と変わらないので、費用は1面の張り替えと同じくらいになりやすい。多くの業者は最低料金を4万〜6万円程度に設定している
- 破れが1〜数箇所で周りの壁紙がまだきれいならリペア業者、破れがいくつもある・周りの壁紙も汚れや日焼けが目立つ・壁紙が硬くなっている・そろそろ張り替えを考えていたなら張り替えが向いている。シミやカビがあるなら、まず原因を確かめる
- 同じ面・同じ部屋の気になる箇所はまとめて見てもらうと、1箇所あたりの負担が小さくなることがある。自分で補修した跡も、張り替えれば残らない
破れを見つけたら、まず周りにシミやカビ、湿った跡がないか、壁紙が硬くなっていないかを見てください。どちらもなければ、破れを広げないよう周りを指で軽く押して、下地の状態を確かめてみてください。自分で試せる範囲なら試してみて、試した跡が気になったり、判断に迷ったりしたら、そのままの状態で相談してもらえれば大丈夫です。
下地がへこんでいる、周りにシミやカビがある、高い場所やいくつもの場所にあるなど、自分で直せるか迷う破れや、自分で補修した跡が気になる破れは、電話でご相談ください。現地調査で壁の状態を見たうえで、破れた部分だけを直す場合と1面を張り替える場合の違いもご案内します。見積もり・現地調査は無料です。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
この記事の執筆者

氏名:松田郁幾
実績:壁紙張り替えを中心に、これまで多くのお客様・職人と関わってきました。
この記事について:現場で見聞きした実例をもとに、誇張せず、実践的な視点で解説しています。



