
「壁紙の張り替えを頼みたいけれど、部屋にある大きな家具はどうすればいいのだろう」——そんな疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
そろそろ壁紙を替えたいと思っていても、自分の体力では大きな家具を動かせそうにない。かといって、家具移動を業者に頼むといくらかかるのか、見当がつかないまま二の足を踏んでいる。そんな方に向けて書いた記事です。
結論からお伝えすると、家具移動は業者に依頼できるケースがほとんどです。ただし、空室でない限り家具移動費が発生するのが原則で、その金額や対応範囲は業者によって差があります。見積書に「家具移動費」という項目が明記されていなくても、施工費に含まれていることが多いため、現地調査の際に「誰が」「どこまで」「いくらで」動かすのかを確認しておくことが大切です。
この記事を読むと、次のことが分かります。
- 家具移動費の相場目安と、見積書に含まれているか確認する方法
- 自分で動かす場合のやり方と、動かせない大型家具・壁埋め込みのテレビ/エアコンへの対処法
- 施工後に家具を戻すタイミングの注意点と、複数部屋依頼時に施工時間・総額へ与える影響
読み終える頃には、体力面の不安を抱えたまま見積もり依頼をためらう必要がなくなっているはずです。
家具移動の対応は業者によって差があります。自分の部屋の場合はどうなるか気になる方は、お気軽にお問い合わせください。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
家具移動は「誰が」「いくらで」対応するのか

家具移動をめぐって最初に押さえておきたいのは、「これは現地調査の時点で必ず確認される項目である」という点と、「無料でやってもらえるとは限らない」という点の2つです。
現地調査で必ず聞かれる「業者が動かすか、自分で動かすか」
壁紙の張り替えは、現地調査の際に担当者が部屋の状態を確認しながら、「家具移動は業者側で対応するか、それともご自身で動かしていただくか」を必ず確認してきます。ここで自分の希望を伝えておくことが、当日のトラブルを避ける第一歩になります。
業者に家具移動を任せる場合、空室に近い状態でない限り、原則として家具移動費が発生すると考えておいたほうがよいでしょう。注意したいのは、この費用が見積書に「家具移動費」という独立した項目として明記されるとは限らない点です。項目として書かれていなくても、施工費に含まれているケースが多くあります。見積書に該当項目が見当たらないからといって「家具移動は無料」と早合点せず、金額に含まれているかどうかを担当者に確認しておくと安心です。
家具移動費の相場目安
家具移動費がいくらになるかは、動かす家具の量や大きさによって変わります。部屋単位で見た目安は次のとおりです。
| 部屋にある家具 | 家具移動費の目安 |
|---|---|
| 小型家具だけ(椅子・テーブルなど) | 無料〜3,000円程度 |
| 大型家具(ソファ・タンス・本棚など)が複数 | 数千円〜1万円前後 |
| ピアノ・金庫・大型家電がある | 1万円以上 |
小型家具であれば無料で対応してもらえることもありますが、大型家具や重量物になるほど費用は上がっていきます。これはあくまで一般的な目安のため、実際の金額は部屋の家具量や業者の料金体系によって変わります。正確な金額は、現地調査の際に自分の部屋にある家具を伝えたうえで確認するのが確実です。
自分で家具を動かす場合の準備

家具移動費を抑えたい場合は、自分で家具を動かしておくという選択肢もあります。ただし、「どの程度動かせばよいか」を業者に確認せずに進めてしまうと、当日になって「もう少し離してほしい」と言われ、結局その場で対応が必要になることもあります。事前にどこまで動かせばよいかを確認しておきましょう。
目安は「壁から1m」、または施工しない部屋への搬出でもOK
自分で家具を動かす場合の目安としては、壁から1m程度離して部屋の中央に寄せておくのが一般的です。壁面全体に職人が手を伸ばして作業できるスペースがあれば十分なため、部屋の外に運び出す必要は必ずしもありません。
ただし、部屋の中に空きスペースがあまりなく、中央に寄せても壁際に十分な余裕が確保できない場合は、施工しない他の部屋へ一時的に搬出してしまうのも一つの方法です。どちらの対応でも問題ないため、自分の部屋の状況に合わせて、動かしやすい方法を選んで構いません。迷う場合は、現地調査の際に「うちの部屋なら、どちらの対応がよさそうか」を担当者に相談してみるとよいでしょう。
収納家具は中身を空にしておくとスムーズ
タンスや食器棚のように、中に物が入ったままだと重くなる収納家具は、あらかじめ引き出しや棚の中身を空にしておくことをおすすめします。中身を空にしておくだけで家具自体がぐっと軽くなり、移動の負担が減るだけでなく、運んでいる最中に中の物が飛び出して破損する、といったトラブルも防げます。
特に食器や置物など割れやすい物が入っている収納家具は、移動の前に中身を取り出しておくと安心です。
自分では動かせない大型家具はどうする?
食器棚やタンス、ソファなど、一人ではとても動かせない大型家具がある場合も、対処法はシンプルです。「業者に移動をお願いする」か「その家具の周囲だけ施工を避けてもらう」かの2択で考えれば大丈夫です。
2択のどちらを選ぶにしても、当日の相談は厳禁
大型家具の扱いを決めるうえで、絶対に避けたいのが「施工当日になってから相談する」ことです。当日いきなり「この家具、動かせないので何とかなりませんか」と伝えても、職人のスケジュールはすでに他の作業を前提に組まれているため、その場での対応が難しく、工事全体のスケジュールが狂ってしまいます。
自分では動かせない家具があると分かった時点で、必ず事前に(できれば現地調査の段階で)業者に伝えておきましょう。業者側で移動を引き受けてもらえるのか、それとも家具の周囲を避けて施工する形になるのか、事前にすり合わせておけば、当日は決まった段取りどおりに作業が進みます。
家族や友人に助力を頼む場合は、「戻すとき」も忘れずに
大型家具の移動を、家族や友人に手伝ってもらうという方法もあります。業者に依頼する費用を抑えられるという意味では、有効な選択肢の一つです。
ただし、注意しておきたいのは、動かすときだけでなく、施工が終わって元の位置に戻すときにも、同じだけの人手が必要になるという点です。「動かす日は手伝ってもらえたけれど、戻す日は誰も都合がつかなかった」ということにならないよう、移動と復元の両方のタイミングで人手を確保できるか、あらかじめ見通しを立てておくと安心です。
業者に依頼する場合は、賠償責任保険の有無も確認しておく
家具移動を業者にお願いする場合、気になるのが「万が一、家具や床を傷つけてしまったらどうなるか」という点です。この点は、業者が賠償責任保険に加入しているかどうかで対応が変わります。加入している業者であれば、移動中に誤って家具を傷つけてしまった場合も、保険を通じて補償を受けられます。契約前に、保険加入の有無を一言確認しておくと安心です。保険以外にも見積書で確認しておきたい項目については、クロス張り替えの見積書チェックポイント7選|追加費用で後悔しないための確認事項で詳しく解説しています。
壁埋め込みテレビ・エアコン・DIY棚は別ルールで考える
ここまでは「家具」の移動について見てきましたが、部屋の中には家具とは違う理由で事前の相談が必要なものもあります。壁に埋め込まれたテレビやエアコン、DIYで設置した棚などです。これらは「重くて動かせない」のではなく、「取り外すこと自体に手間や専門知識が必要」という点で、家具とは別のルールで考える必要があります。
埋め込みテレビ・エアコンは、専門業者に依頼するか養生して避けてもらうか
エアコンの取り外し自体に法律上必須の資格はありませんが、配管に残った冷媒(フロンガス)をそのまま大気中に放出すると、オゾン層破壊や地球温暖化の原因になります。そのため、取り外し前には「ポンプダウン」と呼ばれる冷媒回収作業が必要です。家庭用エアコンは家電リサイクル法に基づき、冷媒フロンの適正な回収が求められています(出典:環境省「家電リサイクル法の概要」)。実務上は空調工事の専門業者に依頼するのが一般的なため、壁紙業者とは別に手配が必要になることもあり、事前に確認しておきましょう。
壁に埋め込まれたテレビがある場合も考え方は同じです。自分で取り外すのか、養生をして施工箇所を避けてもらうのか、あるいは電気店などの専門業者に取り外しを依頼するのか、どの対応を取るか事前に決めておく必要があります。
いずれの場合も、壁紙業者がそのまま取り外しまで対応してくれるとは限らない点に注意してください。取り外しが必要と分かった時点で、誰が対応するのかを早めに整理しておくと、当日になって慌てずに済みます。
DIYの棚・壁掛けアイテムは、くり抜き施工か取り外しか
壁に取り付けたオリジナルの棚や、DIYで設置した壁掛けアイテムがある場合も、事前の確認が必要です。壁紙をその棚の形に合わせてくり抜いて施工するのであれば、棚自体を取り外す必要はありません。一方で、棚をいったん取り外してから壁紙を貼り、再度取り付けてほしいという場合は、それなりの費用を覚悟しておく必要があります。
どちらの対応にするかによって、費用や当日の作業内容が変わってくるため、こちらも現地調査の段階で相談しておくのがおすすめです。
施工が終わっても、すぐに家具を戻していいわけではない
工事が終わり、新しい壁紙に貼り替わった部屋を見ると、すぐにでも家具を元の位置に戻したくなるものです。しかし、施工直後の壁紙は、糊がまだ完全に乾いて接着しきっていない状態です。このタイミングで家具を壁に強く押し付けてしまうと、壁紙が剥がれたり、跡が凹んでしまったりする原因になります。
目安としては、施工後少なくとも1時間は壁に触れない、家具を押し付けないようにしておくと安心です。ただし、乾燥にかかる時間はクロスの種類や気温・湿度によっても変わるため、正確なタイミングは施工してくれた業者に確認するのが確実です。「いつから家具を戻して大丈夫か」を、作業完了時にひとこと聞いておくとよいでしょう。
家具移動の量は、施工時間・総額にも影響する
家具移動を業者に任せる分量が多いほど、当日の作業時間は延びます。1部屋だけの施工であれば、家具移動を含めても1日で終わることがほとんどです。しかし、荷物の多い部屋を複数まとめて依頼する場合、部屋ごとに家具移動の時間が積み重なり、結果的に施工日数が延び、施工費も上がりやすくなります。
複数部屋をまとめて依頼する予定がある方は、家具移動の分量が全体のスケジュールや費用にどう影響するか、見積もりの段階で確認しておくとよいでしょう。所要時間の目安については、壁紙張り替えの時間はどれくらい?1部屋4〜6時間の目安と日数の決まり方を解説で詳しく解説しています。
家具移動は、事前確認さえしておけば怖くない
この記事では、家具移動費の相場から、自分で動かす場合の目安、動かせない大型家具や壁埋め込みのテレビ・エアコンへの対処法、施工後に家具を戻すタイミング、そして複数部屋依頼時に施工時間・総額へ与える影響まで、順番に見てきました。
振り返ると、押さえておきたいポイントはシンプルです。「業者が動かすか自分で動かすかを現地調査で確認する」「動かせない家具は必ず事前に相談し、当日の相談は避ける」「施工直後は家具をすぐ戻さない」。この3点さえ押さえておけば、体力面の不安があっても、家具移動で慌てることはなくなるはずです。
家具の量や大きさによって対応は一件ごとに変わるため、気になる点があれば、見積もりを依頼する際に遠慮なく相談してみてください。
家具移動について気になる点があれば、見積もりのご相談と合わせてお気軽にお聞かせください。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
この記事の執筆者

氏名:松田郁幾
実績:壁紙張り替えを中心に、これまで多くのお客様・職人と関わってきました。
この記事について:現場で見聞きした実例をもとに、誇張せず、実践的な視点で解説しています。



