
入居者から退去の連絡が入ると、次の募集までに部屋を整える段取りが始まります。なかでも壁紙の張り替えは、部屋の印象を大きく左右するぶん、どこまで手を入れるかで費用が変わりやすい工事です。ワンルームは狭いから安く済むはず、と考えて予算を組んだものの、見積もりを取ってみたら思ったより高かった、という経験をお持ちの大家さんも少なくないのではないでしょうか。
結論から言うと、ワンルーム(1K・1R)の壁紙張り替え費用は、張り替える範囲によって数万円台から10万円を超えるところまで幅があります。居室の壁だけなら数万円台に収まることが多い一方で、天井やクローゼット、キッチン・トイレ・洗面まで含めていくと、少しずつ積み上がって10万円を超えることもあります。ワンルームは面積こそ小さいものの、部屋の中に居室・水まわり・収納といういくつもの場所があるので、「どこまで張り替えるか」を決めることが費用の見当をつける第一歩です。
もう一つ知っておきたいのは、同じ範囲でも頼み方で負担が変わるという点です。壁紙の工事には、1件の依頼ごとにかかる最低料金があります。気になる場所を一度にまとめて頼めば、基本的には合計面積に応じた金額になり、依頼ごとの最低料金を抑えやすくなります。これに対し、居室と水まわりを別々の時期に頼むと、そのたびに最低料金がかかりやすくなります。
この記事を読むと、次のことが分かります。
- ワンルームの壁紙張り替え費用の幅と、範囲による違い
- 居室・水まわり・収納など、場所ごとに費用を積み上げる考え方
- 壁紙のグレード、下地の傷み、まとめて頼むかどうか、時期という、費用や工期を左右する4つの要因
- 範囲を広げたら予算を大きく超えた、実際のご相談の例
- 入居者との負担の切り分けと、空室期間を延ばさないための動き方
読み終えるころには、退去後の張り替えについて、どこまでを今回張り替えるかを決めて見積もりを取る準備ができているはずです。
退去後のワンルームを張り替えたい大家さん・管理会社の方で、張り替える範囲だといくらくらいになるのかを知りたい方は、電話でご相談ください。気になっている場所をうかがったうえでご案内します。見積もり・現地調査は無料です。入居中の方は、まず大家さん・管理会社へご確認ください。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
ワンルームの張り替え費用は、範囲によって数万円台から10万円を超えるまで幅がある

壁紙の張り替え費用は、基本的に「張り替える面積×1㎡あたりの単価」で考えます。一般的な量産品の壁紙なら、材料と工事を合わせて1㎡あたり1,500〜2,500円程度が目安です。この単価には、古い壁紙を剥がす作業、新しい壁紙を貼る作業、養生、廃材の処分、軽い下地処理が含まれていることが多いものの、どこまで含むかは業者によって違います。
ただし、壁紙の工事には面積に関係なくかかる手間があります。職人が現場に来て、養生をし、道具を出して片付けて帰るまでの流れは、壁1面でも1部屋でも大きくは変わりません。そのため、多くの業者は1件あたりの最低料金を4万〜6万円程度に設定しています(税込みか税抜きかは業者によって違います)。ワンルームの張り替えでも、範囲をかなり絞った場合は、この最低料金が費用の目安になります。
居室が6畳ほどのワンルームなら、居室の壁は約30㎡です。居室の壁だけを量産品で張り替えるなら、最低料金の近くから数万円台の後半あたりに収まることが多くなります。ここに天井やクローゼット、キッチン・トイレ・洗面を加えていくと、それぞれの面積分が積み上がり、合計で10万円を超えることもあります。6畳ほどの部屋の費用の考え方は、【知らないと損】6畳の壁紙クロス張替え費用|4万円以下は見積もり内容を要確認。相場と失敗しない判断基準で解説しています。
つまり、ワンルームの張り替え費用に一つの決まった金額はなく、「どこまで張り替えるか」によって数万円単位で変わります。予算を組むときは、まず張り替える範囲を決めることが出発点です。
ワンルームは「部屋」ではなく、場所ごとの合算で考える

ワンルームや1Kは、面積が小さいので「1部屋の張り替え」と考えがちです。ただ実際には、居室のほかにキッチン、トイレ、洗面、クローゼットといった、壁紙を貼る場所がいくつもあります。費用の見当をつけるときは、場所ごとに分けて考えると分かりやすくなります。
居室は、6畳ほどの部屋と同じ考え方で見当をつける
ワンルームの居室は、部屋の広さに応じて壁の面積が決まります。壁の面積は「部屋の周りの長さ×天井の高さ」で見当がつけられ、天井の高さが2.4m前後なら、6畳ほどの居室で約30㎡になります。この数字は窓やドアを引く前の大まかな面積で、実際に貼る面積は窓やドア、収納の扉の分だけ少なくなります。
居室の面積が分かれば、1㎡あたりの単価を掛けることで、居室部分の金額の見当がつきます。見積書に書かれた面積が、この目安から大きく外れていないかを確かめる手がかりにもなります。
1Kの場合は、居室とキッチンが扉で仕切られていて、キッチンが玄関からの通路を兼ねていることが多い間取りです。キッチンの壁は、居室とは別の場所として面積を数えます。通路のように細長い場所は、床は狭くても壁が両側に続くので、思ったより面積があることがあります。1Rの場合はキッチンが居室の中にあるので、居室の壁の面積にキッチンまわりの壁も含めて考えます。
キッチン・トイレ・洗面は、分けて頼むと最低料金がかかりやすい
1Kのキッチンやトイレ、洗面は、1か所ずつの面積は小さな場所です。居室と一緒にまとめて頼めば、トイレや洗面所に最低料金並みの金額が改めて乗らないことが多く、加わる金額は、基本的にその場所の面積に応じて決まります。見積もりのときは、場所ごとの金額を分けて出してもらうと確かめやすくなります。
一方で、「今回は居室だけ」「トイレは次の退去のときに」と場所を分けて頼むと、トイレだけ、洗面所だけのような小さな工事になり、そのたびに最低料金がかかりやすくなります。面積が小さいのに、金額は数万円になる、というのはこのためです。
退去のたびに少しずつ張り替えるより、張り替えが必要な場所をまとめて頼むと、依頼ごとの最低料金を抑えやすく、1㎡あたりの負担が下がることがあります。トイレや洗面所を単独で頼んだ場合の目安(天井も含めた1室分)は、トイレの壁紙張り替え費用はいくら?5万円前後の目安と下地補修で追加費用が発生する条件を解説と洗面所の壁紙張り替え費用はいくら?4万〜6万円の目安と洗濯機移動で変わる金額を解説で解説しています。
クローゼットと天井を含めるかどうか
ワンルームの張り替えで総額が変わりやすいのが、クローゼットの内側と天井を含めるかどうかです。壁と同時に張り替える場合、天井の差額は天井の広さで変わり、6畳ほどの部屋で2万円程度、クローゼットは間口の広さにもよりますが2万円前後が目安です。
天井やクローゼットは、居室の壁ほど目立たないように思えますが、入居希望者が内見のときに見上げたり、扉を開けたりする場所でもあります。壁だけを新しくすると、天井の黄ばみや収納の中の汚れがかえって目立つこともあります。どこまで含めるかは、部屋の状態と予算のバランスで決めることになりますが、見積もりのときに、天井やクローゼットを「含める場合」と「含めない場合」の両方の金額を聞いておくと判断しやすくなります。天井を一緒に張り替えるかどうかの考え方はクロス張り替えで天井もやるべき?壁と同時なら追加2万円、後回しは割高になる理由で、クローゼットの費用の考え方はクローゼットのクロス(壁紙)張り替え費用|居室とまとめると差額2万円前後、単独だと割高になる仕組みで解説しています。
費用や工期を左右する4つの要因
張り替える範囲のほかにも、ワンルームの張り替えの費用や工期を左右する要因があります。ここでは、見積もりの金額や日程に影響しやすい4つを見ていきます。
壁紙のグレード(量産品か、1000番台か)
壁紙には、価格を抑えた量産品と、色や柄、機能の選択肢が多い1000番台と呼ばれるグレードがあります。両者の差は1㎡あたり数百円ほどが一般的で、6畳ほどの壁なら1万円前後の差になります。
賃貸のワンルームでは、次の入居者にとって見た目が清潔で明るいことが大切で、量産品でも十分なことが多いものです。一方で、アクセントになる壁を1面だけ1000番台にするといった使い分けもできます。
入居者の入れ替わりがある部屋では、汚れやカビへの強さも気になるところです。防カビの機能は、量産品の壁紙にも多く付いており、探して選ぶ特別な機能というより、標準的に備わっていることが多いものです。防カビの壁紙の考え方は、防カビ壁紙は選んで買うもの?サンゲツの量産品は掲載品全点が防カビ、メーカーは「壁紙だけでは防げない」と明記で解説しています。汚れ防止などの機能を持たせた壁紙は1000番台の見本帳に収録されていることが多く、費用の差は量産品と1000番台のグレード差が基準になります。全面を機能性の壁紙にするのではなく、キッチンまわりなど汚れやすい場所だけ使い分けることもできます。グレードの違いは、量産クロスと1000番クロスの違い|価格差は6畳で約1万円、部屋ごとの選び分け方で解説しています。
下地の傷み具合
古い壁紙を剥がしてみると、下地の石膏ボードに傷みが見つかることがあります。小さな穴やへこみ、継ぎ目の段差なら、パテで整えて張り替えの工程の中で対応できることが多いです。水を吸ってふやけた部分は、パテで埋めて直せないことがあります。範囲が小さければ、補修用のプレートやメッシュで塞いで対応できる場合もありますが、その場合は補修の分の費用が加わります。一方、水漏れや結露で石膏ボードが広く傷んでいる場合は、ボードの交換など下地の補修が別に必要になり、その分の費用が加わります。
ワンルームは、キッチンや浴室が居室の近くにあるぶん、水まわりの近くの壁や、北側の窓まわりに結露やカビの跡が出ていることがあります。下地の傷みがどの程度なら張り替えの工程で直せて、どこからが別の工事になるのかは、石膏ボードと壁紙は何が違う?傷みは30cmが分かれ目、ボード交換は大工が必要で別途費用で解説しています。
まとめて頼むかどうか
先に見たとおり、場所を分けて頼むと、そのたびに最低料金がかかりやすくなります。反対に、まとめて頼めば、職人の手配や移動、養生が1回で済み、職人も続けて効率よく作業できるので、1㎡あたりに直した負担は下がることがあります。
複数の部屋を所有している場合は、同じ時期に空く部屋をまとめて相談するのも一つの方法です。どこまで下がるかは業者や工事の条件によって違うので、まとめた場合と分けた場合の金額を、見積もりで確かめるのが確実です。
依頼する時期
賃貸の退去と入居が重なる2〜3月は、原状回復の工事で職人の予定が埋まりやすい時期です。費用そのものが季節で変わるわけではありませんが、予定が取りにくいと、張り替えの完了が遅れ、次の入居者募集の開始が後ろにずれることがあります。時期による予約の取りやすさの考え方は、壁紙・クロス張り替えに適した季節は?一年中できる理由と、避けたい2〜3月で解説しています。
範囲を広げたら、予算を大きく超えた例
範囲を広げると費用がどう積み上がるかは、実際のご相談の例で見るとイメージしやすくなります。
当店にも、6畳ほどの賃貸ワンルームをお持ちの大家さんから、入居者の退去に合わせて壁紙を張り替えたいというご相談をいただいたことがあります。部屋のにおいが気になっていて、以前ににおいを抑えるコーティングをしたものの効果がなかったため、今回は壁紙そのものを張り替えたい、というご希望でした。
対象は、居室の壁に加えて、天井、クローゼット、そしてトイレまで含めたいとのことでした。居室の壁、天井、クローゼット、トイレと範囲を積み上げていった結果、概算はご予算を大きく上回り、張り替えは見送られました。当時は壁紙の仕入れ価格が上がっていた時期でもあり、当店からはそのことが金額に影響している旨もお伝えしました。仕入れ価格が上がっている時期は、以前の張り替えのときの相場感で予算を組むと、足りなくなることがあります。このご相談の経緯は、兵庫県神戸市灘区:賃貸退去に伴うクロス張替えの予算オーバーのご相談で紹介しています。
この例から分かるのは、ワンルームでも、範囲を広げるたびに金額は積み上がっていくということです。予算が決まっている場合は、先に「どこまでを今回張り替えるか」の優先順位をつけておくと、見積もりとのずれが小さくなります。たとえば、居室の壁と天井は今回張り替え、トイレは状態を見て次回にする、といった分け方もできます。
優先順位をつけるときは、入居希望者が内見のときに目にする順番で考えると判断しやすくなります。玄関を開けて最初に目に入る壁、居室に入って正面になる壁、窓まわりのように明るくて汚れが目立つ場所は、張り替えた効果が伝わりやすい場所です。反対に、クローゼットの中のように扉を開けないと見えない場所は、汚れの程度によっては後回しにする判断もあります。ただし、先に見たとおり、場所を分けて頼むと最低料金がかかりやすくなる点は、あわせて考えておきましょう。
空室期間を延ばさないために、早めに動く
ワンルームの張り替えは、費用だけでなく、次の入居者募集にいつ間に合うかも大切です。空室の期間が延びれば、そのぶん家賃収入が入らない期間が長くなります。
退去の予定が分かったら、退去日を待たずに業者へ相談を始めておくと、日程の選択肢が広がります。現地調査は入居者の退去後になることが多いものの、「退去日はいつか」「どこを張り替えたいか」を先に伝えておけば、退去直後に現地調査と見積もりを進めやすくなります。当店にも、賃貸アパートのオーナー様から、次の入居者募集に向けて早く原状回復を進めたいので、なるべく早く現地調査に来てほしい、というご相談をいただいたことがあります。張り替える範囲も、現地で壁の状態を見ながら相談したいとのご希望でした。このときは現地調査まで進めたものの、ご希望の日程に工事を合わせることが難しく、お引き受けできませんでした。業者の予定は先まで埋まっていることがあるので、急ぎたいときほど早めに相談を始めることが大切です。このご相談の経緯は、【相談事例】奈良県磯城郡川西町:賃貸アパートの原状回復クロス張り替えのご相談で紹介しています。
退去後の空室のうちに張り替えるのは、作業の面でも都合がよいものです。住みながらの張り替えでは、家具を動かしながら作業を進める必要がありますが、空室なら家具の移動が要らず、壁の端から端まで続けて作業できます。入居者が決まってからでは張り替えの日程を取りにくくなるので、空室の期間を張り替えの機会として使うと考えておくと、段取りを組みやすくなります。
部屋が区分所有のマンションの1室なら、内装工事に管理組合への届け出が必要なこともあり、その手続きの日数も見込んでおく必要があります。管理組合への届け出の考え方は、マンションの壁紙張り替え費用はいくら?3LDKで20万〜34万円前後、間取り別の目安と費用の決まり方で触れています。
まとめ:張り替える範囲を決めて、退去の予定が分かった時点で相談する
ワンルームの壁紙張り替え費用について、ここまでの内容を整理します。
- ワンルーム(1K・1R)の壁紙張り替え費用は、範囲によって数万円台から10万円を超えるまで幅がある。居室の壁だけなら数万円台に収まることが多い
- 費用の基本は「面積×1㎡あたりの単価」。量産品は材料と工事を合わせて1㎡あたり1,500〜2,500円程度が目安で、範囲を絞った工事では最低料金(4万〜6万円程度)が目安になる
- 居室・キッチン・トイレ・洗面・クローゼット・天井と、場所ごとに積み上げて考える。場所を分けて頼むと、そのたびに最低料金がかかりやすい
- 費用や工期を左右するのは、壁紙のグレード、下地の傷み、まとめて頼むかどうか、依頼する時期
- 経年劣化の分は原則として貸主の負担。入居期間が長いほど、入居者に負担してもらえる割合は小さくなる
- 2〜3月は職人の予定が埋まりやすい。退去の予定が分かった時点で相談を始める
実際の金額は、部屋の広さや壁の状態を見ないと決まりません。張り替えたい場所の優先順位をつけたうえで、退去の予定が分かった時点で相談し、現地調査で見てもらうと、その部屋の場合の金額がはっきりしてきます。
退去後のワンルームの張り替えを考えている大家さん・管理会社の方は、電話でご相談ください。張り替えたい範囲と退去の予定をうかがい、現地調査で壁の状態を見たうえで、範囲ごとの費用をご案内します。見積もり・現地調査は無料です。入居中の方は、まず大家さん・管理会社へご確認ください。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
この記事の執筆者

氏名:松田郁幾
実績:壁紙張り替えを中心に、これまで多くのお客様・職人と関わってきました。
この記事について:現場で見聞きした実例をもとに、誇張せず、実践的な視点で解説しています。



