
キッチンの壁紙が、油はねや湯気で黄ばんできた。拭いてもすっきりしないので、そろそろ張り替えたい。そう考えたときに気になりやすいのが、「コンロがあるのに、普通の壁紙で張り替えてよいのだろうか」という点です。火を使う場所なので、何か特別な壁紙を選ばなければいけないような気がする方もいると思います。
先に結論をお伝えします。住宅のキッチンで、今壁紙が貼られている場所であれば、特別な事情がない限り、一般的な量産壁紙で張り替えられます。火を使う部屋の壁や天井には、建物の条件によって燃えにくさの決まりがかかる場合があります。ただ、一般的な量産壁紙の多くはその基準を満たす認定を受けています。たとえば壁紙メーカーのサンゲツの量産壁紙の見本帳「SP」は、載っている品番がすべて「準不燃」の認定品です。
また、キッチンで張り替えるのは、主に流し台の周りや食器棚の周りの壁です。コンロのすぐ周りは、多くの場合キッチンパネルなど壁紙以外の仕上げになっていて、そこを壁紙に張り替える人はほとんどいません。天井を一緒に張り替えるかどうかは好みで、壁だけの方も、天井まで張り替える方もいます。
費用は、キッチンの壁だけなら面積が小さいため、多くの業者が設定している最低料金(4万〜6万円程度)が目安になりやすい範囲です。ほかの部屋とまとめて張り替えると、1箇所あたりの負担は小さくなります。
この記事を読むと、次のことが分かります。
- キッチンで壁紙を張り替えるのはどこか(流し台・食器棚の周り、天井はお好みで。リビングとつながったキッチンの区切り方)
- 「コンロがあるなら不燃の壁紙が必要では」という疑問への答えと、その根拠
- 壁紙選びで差が出る汚れ防止・消臭などの機能と、そのグレード
- 費用の考え方(面単位と最低料金、まとめて頼む場合、キッチンパネルに替える場合)
- 見積もりや現地調査で確認しておきたいこと(張り替える範囲、壁紙のグレード、食器棚や冷蔵庫の移動、設備の周りの納まり)
キッチンのどの壁を張り替えるか、どんな壁紙にするかで迷っている方は、電話でお尋ねください。キッチンの様子を伺ったうえで、張り替える範囲の考え方をご案内します。見積もり・現地調査は無料です。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
キッチンで張り替えるのは、流し台や食器棚の周り

キッチンの壁紙を張り替えたいと思ったとき、まず頭に浮かぶのは、汚れがいちばん目につく場所かもしれません。油はねの跡、湯気で浮いたような黄ばみ、手が触れる場所の黒ずみ。ただ、キッチンの壁は場所によって仕上げが違い、壁紙が貼られている場所とそうでない場所があります。張り替えの範囲は、まずそこから考えることになります。
コンロの周りは、壁紙以外の仕上げになっていることが多い
コンロのすぐ後ろや横の壁は、多くの場合キッチンパネルなど、壁紙ではない材料で仕上げられています。キッチンパネルは、コンロまわりの壁に貼る表面のつるりとした板で、油が付いても拭き取りやすく、火に近い場所に向いた材料です。
そのため、キッチンの壁紙の張り替えで、コンロのすぐ周りに壁紙を貼ることはほとんどありません。張り替えの相談でも、コンロ周りに壁紙を貼りたいという声はまず聞きません。「キッチンの壁紙」と言うとコンロ周りを思い浮かべるかもしれませんが、実際に張り替えの対象になるのは、その外側の壁です。
なお、築年数の経った住まいなどで、コンロのすぐ周りまで壁紙になっていることもあります。その場合は、張り替えの機会にその部分だけキッチンパネルにするかどうかも、現地調査のときに相談してみてください。
壁紙に付いた油汚れを掃除でどこまで落とせるか、張り替えに切り替える目安、コンロまわりにキッチンパネルを使うという考え方については、壁紙の油汚れの落とし方|中性洗剤で落ちる範囲と張り替えに切り替える5つのサインで扱っています。
実際に張り替えるのは、流し台の前や食器棚の周り
キッチンで張り替えが多いのは、流し台の前の壁や、食器棚・冷蔵庫の周りの壁です。水はねや湯気が当たりやすく、手が触れる機会も多いため、ほかの部屋より汚れが早く目立ちやすい場所です。
調理中の油煙は、コンロの真上だけに落ちるわけではありません。空気と一緒に移動しながら、少し離れた壁にも薄く付いていきます。コンロから離れた壁が全体的にくすんで見えるのは、このためです。張り替えを考えるときは、汚れが濃い一部分だけでなく、その壁の面全体を見ておくと、範囲を決めやすくなります。
天井を一緒に張り替えるかどうかは、好みで分かれます。天井は見上げないと目に入らないので、壁だけ新しくして天井はそのままにする方もいますし、湯気や油煙で天井の色も変わっているのが気になって、壁と一緒に張り替える方もいます。どちらが正しいということはありません。天井を加えると費用は上がりますが、壁と同時に張り替えるのであれば、天井だけを後から頼むより負担は小さく済みます。天井を一緒に張り替える場合の考え方は、クロス張り替えで天井もやるべき?壁と同時なら追加2万円、後回しは割高になる理由で詳しく扱っています。
リビングとつながったキッチンは、どこで区切るかを決める
最近の住まいに多い、リビングやダイニングとひと続きになったキッチンでは、キッチンの壁がそのまま隣の部屋の壁につながっていることがあります。この場合、「キッチンの壁紙」がどこで終わるのかを決めておく必要があります。
壁紙の張り替えは、壁の面で区切った1面を単位にするのが基本です。面の途中で新しい壁紙と古い壁紙を切り替えると、同じ品番の壁紙を使っても、年数の経った古い側との色の差が目立つことがあります。これは、壁紙が年月とともに少しずつ色を変えていくためで、新しく貼った側だけがきれいに見えてしまうのです。同じ品番でも色が合わない理由は、壁紙の日焼けは掃除・漂白で戻る?ヤニとの見分け方と部分張替えで色が合わない理由で詳しく扱っています。
区切るなら、壁と壁がぶつかる角(入隅)で区切るのが目立ちにくい方法です。キッチンの壁がリビング側へまっすぐ続いている場合は、その面の端から端までを1面として張り替えるか、リビングもまとめて張り替えるかのどちらかになることが多くなります。どこまでをキッチンとして張り替えるかは、実際の壁を見ながら決めるのが確実です。
今壁紙が貼られている場所は、壁紙で張り替えられる
ここまでの話をまとめると、キッチンの壁紙の張り替えは、「今壁紙が貼られている場所を、新しい壁紙に張り替える」工事です。今壁紙が貼られている場所であれば、特別な事情がない限り、壁紙で張り替えられます。
次の章では、「それでもコンロがある部屋なのだから、燃えにくい特別な壁紙を選ぶべきでは」という疑問に、メーカーの資料をもとに答えます。
「コンロがあるから不燃の壁紙」は必要?

キッチンは火を使う場所なので、壁紙にも燃えにくさが求められるのでは、と考える方は少なくありません。この考え自体は間違っていません。火を使う部屋の壁や天井には、建物の条件によっては、実際に燃えにくさの決まりがかかります。ただし、今壁紙が貼られている場所を張り替える場合、そのために特別な壁紙を探す必要は、住宅のキッチンではふつうありません。順を追って見ていきます。
火を使う部屋の壁・天井には「準不燃以上」が求められる場合がある
建物の内装には、燃えにくさの決まりがある場所があります。壁紙メーカーのサンゲツは、建築基準法などで定められた内装の決まりを一覧表にまとめており、そのなかで、コンロなど火を使う設備がある部屋については、壁と天井を「準不燃以上」で仕上げることを挙げています。住宅の場合、この表で対象として挙げられているのは、2階建て以上の住宅で、最上階以外の階に火を使う設備がある場合などです(出典:サンゲツ「壁紙の防火認定制度と表示について」)。
燃えにくさの区分には、「不燃」「準不燃」「難燃」の3段階があります。壁紙の場合、それぞれの区分の認定を受けた製品には認定番号が付いていて、番号の頭の記号で区分が分かります。サンゲツの説明では、不燃は「NM」、準不燃は「QM」、難燃は「RM」で始まる認定番号です(出典:同上)。
言葉だけ聞くと難しく感じますが、読者の立場で覚えておくのは「NM」「QM」「RM」という記号だけで十分です。たとえばサンゲツは、見本帳ごとに、載っている壁紙の防火認定番号の一覧を公開しています。気になる品番があれば、その番号の頭の記号を見れば、どの区分の壁紙なのかが分かります。
この決まりがかかるかどうかは、建物の構造や階数、その部屋が建物のどこにあるかなどによって細かく分かれていて、住宅のキッチンでも決まりの対象にならない場合があります。この記事ではその細部には立ち入りません。住宅のキッチンの張り替えで押さえておきたいのは、「火を使う部屋の壁・天井には準不燃以上が求められる場合がある」という点と、次に見る「一般的な量産壁紙の多くがその準不燃の認定を受けている」という点の2つです。
一般的な量産壁紙の多くは、準不燃の認定を受けている
準不燃以上と聞くと、特別な壁紙が必要な気がしますが、実際にはそうではありません。住宅の張り替えで広く使われている量産壁紙は、多くが準不燃の認定を受けています。
たとえば、サンゲツの量産壁紙の見本帳「SP」の品番対照表を見ると、掲載されている105の品番の防火認定番号はすべて「QM」、つまり準不燃です(出典:サンゲツ「SP」品番対照表)。不燃を示す「NM」の番号は、この一覧には1つもありません。
つまり、キッチンの壁紙を量産壁紙で張り替えても、燃えにくさの区分としては準不燃の壁紙を貼ることになります。「コンロがあるから普通の壁紙ではだめなのでは」という心配は、少なくともこの見本帳の壁紙については当たりません。ここで挙げたのは1つのメーカーの1冊の見本帳の例なので、実際に使う壁紙の区分は、見積もりのときに品番で確かめておくと確実です。
不燃の壁紙が必要になるのは、主に店舗や事務所など
では、「不燃」の壁紙はどういうときに使われるのでしょうか。不燃の認定を受けた壁紙は、グレードの高い壁紙の中の一部の品番として用意されています。求められるのは、主に店舗や事務所など、建物の用途や規模によって内装の条件が厳しくなる場合です。
住宅のキッチンの張り替えで、わざわざ不燃の壁紙を選ぶことはまずありません。当店でも、キッチンのために不燃の壁紙を選んだという例は、記憶にある限りありません。選ぶとすれば価格はグレードの高い壁紙と同じ扱いになり、量産壁紙より高くなります。
ここまでをまとめると、住宅のキッチンの壁紙選びでは、「不燃かどうか」はほとんど判断の材料になりません。実際に選ぶときに差が出るのは、次に見る汚れや臭いへの対策のほうです。
キッチンの壁紙選びで差が出るのは、汚れ防止・消臭などの機能
防火の面で特別な壁紙を探す必要がないとなれば、キッチンの壁紙はほかの部屋と同じように、色や柄、そしてグレードで選べます。そのうえでキッチンならではの選択肢になるのが、汚れや臭いへの対策を持たせた機能性の壁紙です。
汚れ防止・消臭の壁紙は、多くが1000番台のグレードになる
壁紙のグレードは、大きく「量産品」と「1000番台」に分かれます。量産品は流通量が多く価格を抑えたもの、1000番台はデザインや機能の選択肢が多いものです。汚れ防止や消臭といった機能を持たせた壁紙は、多くが1000番台のカタログに収録されています。
費用の差は、量産品と1000番台のグレードの差が基準になります。「汚れ防止だから特別に高い」というものではなく、多くは1000番台の中で、機能のない壁紙と同じ価格帯です(一部に、特別な価格が設定された品番もあります)。量産品と1000番台の差は、標準的なもので1㎡あたり数百円ほどです。キッチンの壁のように面積が小さい場所なら、差額はそれほど大きくなりません。両者の違いについては、量産クロスと1000番クロスの違い|価格差は6畳で約1万円、部屋ごとの選び分け方で詳しく扱っています。
面ごとに使い分けることもできます。汚れやすい流し台の前の壁だけを汚れ防止の壁紙にして、ほかの壁や天井は量産品にする、という組み合わせです。汚れ防止の効果がいちばん欲しいのは、水や油が飛びやすい一部の壁なので、すべての面を同じグレードにそろえる必要はありません。
機能の種類も1つではありません。メーカーのカタログには、油汚れや水汚れに向けた汚れ防止の壁紙のほかに、臭いを和らげる消臭のタイプなども用意されています。キッチンの場合、どの機能が合うかは、張り替えのきっかけになった汚れや気になっていることによって変わります。
なお、防カビは少し事情が違います。たとえばサンゲツの量産壁紙の見本帳「SP」は、先ほどの品番対照表に「全点防かび」と書かれているとおり、掲載されている壁紙のすべてに防カビの機能が付いています(出典:サンゲツ「SP」品番対照表)。防カビの壁紙がどこまで効くのかについては、防カビ壁紙は選んで買うもの?サンゲツの量産品は掲載品全点が防カビ、メーカーは「壁紙だけでは防げない」と明記で扱っています。
汚れ防止の壁紙を選ぶ人は、それほど多くない
ただ、実際に張り替えの相談を受けていると、汚れ防止の壁紙を選ぶ方はそれほど多くありません。こちらから「汚れ防止のタイプもありますよ」と聞かないと、候補に挙がらないことがほとんどです。見た目や質感、価格で選ばれることが多いのが実情です。
キッチンは、家の中でも汚れの種類がはっきりしている場所です。油はねが気になるのか、湯気や水はねが気になるのか、においが気になるのか。張り替えのきっかけになった汚れが何だったかを思い出して、それに合う機能があるかを見積もりのときに聞いてみる、という選び方をしてみてもよいと思います。
ただし、汚れ防止の壁紙にも限界があります。汚れ防止壁紙の規格が試験している汚れはコーヒー・醤油・クレヨン・水性サインペンの4つで、キッチンで気になりやすい油汚れは、この試験の項目に入っていません。油汚れ向けとして案内されているタイプもあるので、選ぶときはどの汚れを想定した壁紙かを確かめておくとよいでしょう。規格の試験の中身と、どこまで落ちるのかについては、壁紙の汚れ防止はどこまで落ちる?規格の試験は4つの汚れだけ、油汚れ・ヤニ・手垢は対象外で詳しく扱っています。
キッチンの壁紙張り替え費用の考え方
キッチンの壁紙の張り替え費用は、特別な計算方法があるわけではなく、ほかの部屋と同じ考え方で決まります。そのうえで、キッチンは面積が小さいことが多いので、その点が費用に効いてきます。
面積が小さいので、最低料金が目安になりやすい
前の章でも触れたとおり、壁紙の張り替えは、壁の面で区切った1面を単位にするのが基本です。壁紙は幅が約90cmのロールを上から下へ貼り継いでいくため、汚れた部分だけを切り取って貼り直すと、継ぎ目や色の差が目立ってしまいます。そのため、汚れが気になるのが一部分でも、張り替えはその面の単位で考えることになります。部分だけ張り替える方法と、その費用の考え方については、壁紙の部分張り替えはできる?最低1枚分になる理由と、1面張り替えと比べた費用・色の注意点で扱っています。
費用の目安としてよく使われるのは、量産壁紙で材料費と施工費を合わせて1㎡あたり1,500〜2,500円程度という単価です。ただし、面積が小さい工事ほど、この単価で計算した金額どおりにはなりません。職人が現場に来て、周りを養生し、道具を出して片づけて帰るまでの手間は、1面でも1部屋でもそれほど変わらないためです。多くの業者は、こうした手間を踏まえて、最低料金を4万〜6万円程度に設定しています。
キッチンの壁だけの張り替えは、面積としては小さい部類に入ります。たとえば張り替える壁の面積が10㎡ほどだとすると、先ほどの単価で計算した金額は1万5,000〜2万5,000円程度になり、最低料金を下回ります。このように、キッチンの壁だけのような狭い範囲では、㎡単価で計算した金額より、最低料金のほうが目安になりやすいと考えておくと、見積もりを見たときに戸惑いにくくなります。
天井を加える場合や、1000番台の壁紙を選ぶ場合は、その分だけ見積もりの金額が増えるのが基本です。ただし、最低料金の範囲に収まっているあいだは、面積が少し増えても金額が変わらない、あるいはあまり変わらないこともあります。同じ10㎡を1000番台にした場合の差も、1㎡あたり数百円の差であれば数千円ほどです。「どうせ最低料金がかかるなら、天井も一緒に」「流し台の前だけは汚れ防止に」と考える余地があるのは、このためです。
ほかの場所とまとめると、1箇所あたりの負担が小さくなる
最低料金の考え方を裏返すと、まとめて頼むほど1箇所あたりの負担が小さくなる、ということになります。職人の手配や移動、養生の手間は、工事の範囲が広がってもそれほど増えないためです。
キッチンの壁紙が気になり始めたときは、ほかの場所の壁紙も同じように古くなっていることが少なくありません。リビングやダイニングの壁、廊下、洗面所など、キッチンと一緒に気になっている場所があれば、まとめて見積もりを取ってみると、キッチンだけを頼む場合との違いが分かります。キッチンを含む複数の場所をまとめて張り替えた例は、【施工事例】東京都多摩市:猫にひっかかれた壁紙をリビング・洗面所・トイレ・キッチン・廊下で張替え|クッションフロアも同時施工で紹介しています。
壁までキッチンパネルに替えると、費用は上がる
コンロ周り以外の壁も、壁紙ではなくキッチンパネルにしたい、という考え方もあります。油汚れが拭き取りやすいという点では魅力がありますが、壁紙の壁をキッチンパネルに替えると壁紙より費用が高くなるため、実際にはほとんど選ばれていません。流し台の前や食器棚の周りのように、コンロから離れた壁であれば、壁紙で張り替えるのが一般的です。
キッチンパネルの施工も、壁紙の見積もりと一緒に相談することはできます。費用の差が気になる場合は、見積もりのときに両方の金額を聞いてみるとよいでしょう。
見積もり・現地調査で確認しておきたいこと
キッチンの壁紙の張り替えは、工事としては難しいものではありませんが、張り替える範囲や選ぶ壁紙によって金額が変わります。現地調査のときに、次の4つを確認しておくと、見積もりの内容を理解しやすくなります。
張り替える面の範囲と、キッチンパネルとの境目
まず、どの壁の、どこからどこまでを張り替えるのかを、実際の壁を指さしながら確認しておきましょう。キッチンでは、壁紙とキッチンパネルが隣り合っていることが多く、その境目が張り替えの端になります。天井を一緒に張り替えるかどうかも、ここで決めておきます。
張り替える面が決まると、見積もりの金額も決まりやすくなります。現地調査では、汚れが気になっている場所を伝えるだけでなく、「この壁は張り替えたいが、こちらは今のままでよい」といった希望も伝えておくと、無駄のない範囲を一緒に考えやすくなります。
あわせて、これまでに掃除で試したことがあれば伝えておきましょう。水拭きや洗剤、メラミンスポンジなど、何をどのくらい試したかが分かると、壁紙の表面の状態を見るときの参考になります。こすった跡があっても隠す必要はありません。張り替えでは古い壁紙ごと剥がしますが、表面や糊の状態によって、剥がしたあとの下地処理の見立てが変わることがあるためです。
食器棚や冷蔵庫を動かすかどうか
キッチンの壁の前には、食器棚や冷蔵庫、レンジ台など、大きくて重いものが置かれていることがよくあります。その裏の壁まで張り替えるなら、これらを一度動かす必要があります。
家具の移動は、業者側で行う場合と、依頼する側で事前に動かしておく場合があります。家具の移動をどちらが行うかは、現地調査のときに必ず確認しておきましょう。当日になって「これは動かせない」となると、職人の段取りが狂い、張り替えられる範囲も変わってしまいます。移動の費用は、見積書に項目が無くても施工費に含まれていることが多いですが、大型の家具が複数ある場合は数千円〜1万円前後、冷蔵庫のような大型家電がある場合は1万円以上かかることもあります。
冷蔵庫のように中身が入ったまま動かすものは、どこまで動かせるか、電源をどうするかも含めて相談しておくと安心です。家具の移動を誰が行うか、費用の目安については、壁紙張り替えの家具移動は業者に頼める?費用相場と自分では動かせない家具の対処法で詳しく扱っています。
量産壁紙にするか、汚れ防止などの機能つきにするか
次に、壁紙のグレードです。量産壁紙で張り替えるのか、汚れ防止や消臭などの機能を持たせた壁紙(多くは1000番台)にするのかで、金額が変わります。キッチンの中で面ごとに使い分けることもできるので、「流し台の前だけ汚れ防止にしたらいくらになるか」のように、組み合わせで聞いてみるのもひとつの方法です。
最初の見積もりはグレードだけで出され、品番は見本帳で選んでから決まることも多くあります。品番が決まったら、その壁紙の防火の区分(準不燃かどうか)も、念のため確認しておくと安心です。認定番号の頭が「QM」(準不燃)か「NM」(不燃)でなかった場合は、そのキッチンで使ってよいかを、その場で業者に確かめてください。
吊り戸棚・換気扇・コンセントの周りの納まり
キッチンの壁には、吊り戸棚や換気扇、コンセントやスイッチなど、壁紙を貼るときに周りを切り回す必要がある設備が集まっています。こうした設備の周りをどう仕上げるのか、外す必要があるものはあるのかを、現地調査のときに聞いておくとよいでしょう。
コンセントやスイッチのプレートは、外して壁紙を貼り、開口してから戻すのが一般的な進め方です。コンセントとスイッチの周りの進め方と、追加費用がかかる場合については、コンセント周りの壁紙張り替えに追加費用はかかる?標準工程と2つの例外を解説とスイッチ周りの壁紙張り替えに追加費用はかかる?標準工程と2つの例外を解説で扱っています。吊り戸棚や換気扇は、そのままにして周りを切り回すことが多いですが、設備の形や取り付け方によって扱いが変わることがあります。気になる設備があれば、その場で確認しておくと安心です。
まとめ
キッチンの壁紙の張り替えについて、張り替える場所、壁紙の選び方、費用の考え方を整理します。
- キッチンで張り替えるのは、主に流し台の周りや食器棚の周りの壁。コンロのすぐ周りはキッチンパネルなど壁紙以外の仕上げになっていることが多い
- 天井を一緒に張り替えるかは好みで分かれる。壁と同時なら、天井だけを後から頼むより負担は小さい
- 今壁紙が貼られている場所は、特別な事情がない限り、壁紙で張り替えられる
- 火を使う部屋の壁・天井には、建物の条件によって準不燃以上が求められる場合がある。一般的な量産壁紙の多くは準不燃の認定品で、たとえばサンゲツの量産壁紙の見本帳「SP」は、掲載品番がすべて準不燃
- 不燃の壁紙が必要になるのは主に店舗や事務所などで、住宅のキッチンでわざわざ選ぶことはまずない
- キッチンの壁紙選びで差が出るのは、汚れ防止・消臭などの機能。これらの多くは1000番台のグレードで、量産品との差は1㎡あたり数百円ほど。汚れ防止壁紙の規格の試験に、キッチンの油汚れは含まれていない。防カビは、サンゲツの量産壁紙の見本帳「SP」では全品番に付いている
- キッチンの壁だけなら面積が小さく、多くの業者が設定している最低料金(4万〜6万円程度)が目安になりやすい。ほかの場所とまとめると1箇所あたりの負担は小さくなる
- コンロ周り以外の壁までキッチンパネルにすると、壁紙より費用が上がる
- リビングとつながったキッチンは、壁の角(入隅)を区切りにすると色の差が目立ちにくい
- 現地調査では、張り替える面の範囲、壁紙のグレード、食器棚や冷蔵庫を誰が動かすか、吊り戸棚・換気扇・コンセントの周りの納まりを確認する
今壁紙が貼られている場所を張り替えるのであれば、コンロがあるという理由だけで特別な壁紙を探す必要は、ふつうありません。まずは、キッチンのどの壁が気になっているのか、ほかにも一緒に張り替えたい場所があるかを考えてみてください。それが決まれば、あとは現地で壁を見ながら、範囲と壁紙を一緒に決めていけます。
キッチンの壁紙を張り替えたい方、ほかの部屋と一緒にまとめて張り替えたい方は、電話でご相談ください。現地調査でキッチンの壁を見たうえで、張り替える範囲と壁紙の選び方をご案内します。見積もり・現地調査は無料です。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
この記事の執筆者

氏名:松田郁幾
実績:壁紙張り替えを中心に、これまで多くのお客様・職人と関わってきました。
この記事について:現場で見聞きした実例をもとに、誇張せず、実践的な視点で解説しています。



