
学校や保育園からのお知らせ、子どもが描いた絵、家族の予定表。リビングの壁に画鋲やテープで留めているうちに、画鋲の穴やテープの跡が増えてきて、「壁にそのままマグネットで留められたら」と考えたことはないでしょうか。「マグネット 壁紙」で調べると、今の壁に貼るだけのマグネットシートやホワイトボードシートがたくさん出てきます。この記事で扱うのはそちらではなく、壁紙メーカーが作っていて、壁紙の張り替えと同じように職人が張る「マグネットが付く壁紙」のほうです。壁紙の張り替えを考えている方が、そのときに一緒に取り入れるかどうかを判断するための話をします。
先に結論をお伝えします。マグネットが付く壁紙は、サンゲツなどの壁紙メーカーの製品として実在し、壁紙の張り替えで取り入れることができます。ただし、マグネットが付く壁紙の磁力は、冷蔵庫の扉のような鉄板そのものより弱く、紙のお知らせやメモを数枚留める程度の壁と考えておくのが確かです。サンゲツは自社のカタログで、紙を丸形の磁石2個で留めた場合にA4で3枚・A3で2枚という目安(保証値ではない参考値)を示しています。フックや小物入れのような重さのある物を掛ける用途には向きません。
費用も、普通の壁紙より高くなります。たとえばサンゲツのマグネット用の壁紙は、メーカーの標準価格が材料だけで1㎡あたり10,330円(税別・施工費別)です。一般的な量産品の壁紙を張り替えるときの単価は、材料と施工費を合わせて1㎡あたり1,500〜2,500円程度です。比べる範囲が違うので単純な比較はできませんが、マグネット用の壁紙は材料だけでこれを大きく上回ります。
この記事を読むと、次のことが分かります。
- マグネットが付く壁紙とはどんな製品か(貼るだけのシートとの違い、壁紙メーカーでの扱われ方)
- どこまで留められるか(鉄粉入りの壁紙で磁石を付ける仕組みと、メーカーが示す磁力の目安)
- タイプの選び方(壁紙そのものに鉄粉が入ったタイプ、下地材の上に好きな壁紙を貼るタイプ、マーカーで書いて消せるホワイトボードタイプ)
- 費用と施工の注意点(材料の価格、重さ・専用の糊・継ぎ目・角での貼り方・サビ・防火の表示)
- 取り入れる前に決めておくことと、見積もりで聞くこと
読み終えるころには、自分の家の壁にマグネットが付く壁紙が合うかどうかを判断できるはずです。
壁紙の張り替えにあわせて、マグネットが付く壁を取り入れられるか知りたい方は、電話でお尋ねください。留めたい物や張りたい場所を伺ったうえで、進め方をご案内します。見積もり・現地調査は無料です。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
マグネットが付く壁紙は、壁紙メーカーの製品として張り替えで取り入れられる

壁に磁石を付けたいときの主な方法は、今の壁の上に何かを貼ったり立てかけたりする方法と、壁紙そのものを磁石が付くものに張り替える方法です(壁に塗って磁石が付く面をつくる塗料もありますが、この記事では扱いません)。
貼るだけのシートとは別に、壁紙と同じように張る製品がある
通販やホームセンターでよく見かけるのは、今の壁紙の上に貼るマグネットシートやホワイトボードシートです。手軽に始められる一方で、あくまで壁の上に一枚重ねるものなので、大きさや見た目、はがすときの壁紙への影響は商品ごとに確かめることになります。
これとは別に、壁紙メーカーが作っている、磁石が付く壁紙があります。たとえばサンゲツの「サンマグネット」は、カタログで「鉄粉入りのため、マグネットでの掲示も可能な掲示板クロスです」と説明されています(出典:サンゲツ「2025-2028 掲示板クロス」カタログ)。こちらは壁の上に重ねるものではなく、古い壁紙を剥がし、下地を整えてから糊で張る壁紙そのものです。張り方の流れは普通の壁紙と同じですが、使う糊が指定されていたり、重さがあったりと、施工上の注意は多めです(後の章で詳しく見ます)。張った範囲がそのまま磁石の付く面になり、見た目も壁紙として仕上がります。
張り替えの予定がある方にとっては、張り替えのときに一緒に取り入れるかどうかを考えられる、というのがこちらの選択肢の特徴です。
機能性壁紙のガイドには無く、「掲示板クロス」のカタログで案内されている
磁石が付く壁紙は、汚れ防止や消臭のような、いわゆる機能性壁紙の一種と思われがちです。ただ、サンゲツが壁紙を機能で選ぶための案内として公開している「機能性壁紙ガイド」には、キズ・汚れ・消臭・抗ウイルスなどの分類はあるものの、マグネットや掲示についての分類はありません(出典:サンゲツ「機能性壁紙ガイド」)。
サンゲツでは、磁石が付く壁紙は主に「掲示板クロス」のカタログで案内されています。学校や会議室などの掲示板に使う壁紙と同じカタログです。そのカタログに載っているほか、商品ページを見ると、サンマグネットはファイン(FINE)やフェイス(FAITH)など、ほかの見本帳にも掲載されています(出典:サンゲツ K302 商品ページ)。リリカラにも「掲示板用壁装材」というカタログがあり、マグネットで掲示できる商品として、素材に鉄粉を使っておらずサビが発生しにくいとうたう「JMマグネット」や、ホワイトボードとして使える商品が載っています(出典:リリカラ「掲示板用壁装材 2023-」)。
もともと学校やオフィスの掲示板にも使われている製品群なので、住まいで取り入れる場合は、張り替えの相談で「マグネットが付く壁紙を使いたい」とはっきり伝えると話が早く進みます。なお、後の章で見るとおり、サンゲツのマグネット用の3商品はカタログで「非防火」と表示されています。内装に防火の決まりがかかる事務所や店舗では、使える場所かどうかを先に確かめる必要があります。オフィスや店舗の壁紙の張り替えで気をつけたい点(工事の時間帯や防火の決まりなど)は、オフィス・店舗の壁紙張り替え|休日・夜間施工の考え方、防火の決まり(準不燃)と費用の目安で別にまとめています。
どこまで留められるか(磁力は鉄板より弱い)

マグネットが付く壁紙を検討するとき、いちばん確かめておきたいのが「何をどこまで留められるか」です。ここを期待どおりに考えておかないと、費用をかけて張ったのに思ったほど留まらない、という後悔につながります。
鉄板ではなく、鉄粉を入れたシートで磁石を付けている
サンゲツのカタログでは、マグネット用の壁紙について「裏面に鉄粉シートを使用しており」と書かれています(出典:前掲、サンゲツ「2025-2028 掲示板クロス」)。磁石が付く仕組みは、壁紙の裏に鉄の粉を含んだシートが入っていることによるものです。
鉄の板そのものではないので、冷蔵庫の扉やスチールの棚と同じ感覚で磁石を付けると、弱く感じることがあります。磁石が「付く」ことと、何かを「しっかり支えられる」ことは別の話だと考えておきましょう。
メーカーの目安は、紙をA4で3枚・A3で2枚ほど
サンゲツは、カタログの各商品に「磁力評価(参考値)」という表を載せています。1㎡あたり64gの紙(カタログの表記は「紙厚:64g/㎡」)を、市販の磁石で何枚まで留められたかを測ったものです。
| 商品 | 磁石の種類 | A4サイズ | A3サイズ |
|---|---|---|---|
| サンマグネット(壁紙そのものに鉄粉が入ったタイプ) | 丸形マグネット(2個止め) | 3枚 | 2枚 |
| サンマグネット(同上) | マグネットバー | 5枚 | 3枚 |
| サンマグネシタジ(下地材)の上に壁紙を貼った場合 | 丸形マグネット(2個止め) | 2枚 | 1枚 |
| サンマグネシタジ(同上) | マグネットバー | 2枚 | 1枚 |
(出典:前掲、サンゲツ「2025-2028 掲示板クロス」。下地材の数値は、K304の上にTH34665という壁紙を施工した場合の測定値)
カタログには、この表とあわせて「上記の試験結果は測定値であり、保証値ではありません」「磁力の目安を示す資料です。掲載している磁石を推奨するものではなく、磁力の強い磁石を使用されることをおすすめします」と注記されています。また、施工要領書では「着磁性能は使用する磁石により変動しますので、事前にサンプル等で確認することをおすすめします」としています(出典:サンゲツ「施工要領書 サンマグネット」)。
つまり、メーカー自身が「紙を数枚留める程度」を目安として示し、使う磁石で結果が変わると断っています。磁石を強いものに替えれば留められる枚数が増える余地はありますが、それでも目安は紙の掲示の範囲で考えておくのが確かです。
紙のお知らせやメモ向き。重さのある物を掛ける壁ではない
この目安から考えると、マグネットが付く壁紙が向いているのは、次のような使い方です。
- 学校や保育園からのお知らせ、献立表、予定表を1〜2枚ずつ留める
- 子どもの絵や写真を、数枚ずつ入れ替えながら飾る
- キッチンでレシピのメモを、在宅ワークの壁でちょっとした予定のメモを留める(キッチンは防火の表示に注意。後の章で触れます)
一方で、フック付きの磁石でバッグや鍵を掛ける、磁石の付いた小物入れやタオル掛けを付ける、時計や額を留めるといった、重さのある物を掛ける使い方には向きません。紙を数枚重ねるだけでも目安の上限に近づくので、重さのある物は磁石ごとずり落ちるおそれがあります。紙を何枚も重ねて1か所に留めたい場合も、枚数を分けて留めるつもりでいると安心です。
タイプの選び方(見た目・磁力・書き込みの違い)
この記事では、磁石が付く壁を、仕上げ方と使い方から次の3つのタイプに分けて紹介します。前の2つは磁石を付ける仕組みの違い、3つ目は書き込みもできるという使い方の違いです。どれを選ぶかで、見た目の選べる幅と、留められる枚数が変わります。
壁紙そのものに鉄粉が入ったタイプ
サンゲツのサンマグネットのように、壁紙そのものに鉄粉が入っているタイプです。カタログには品番がK302・K303・K308の3つ載っており、この中から選ぶことになります(出典:前掲、サンゲツ「2025-2028 掲示板クロス」)。
先ほどの磁力評価では、下地材の上に壁紙を貼るタイプより留められる枚数が多いほうです。カタログの表示では、マグネットのほかに画鋲・ピンでも掲示できる商品とされていますが、施工要領書には「画鋲や押しピンを使用した場合、跡が残りますのでお含みおきください」とあります(出典:前掲、サンゲツ施工要領書)。画鋲も使いたい場合は、跡が残ることを承知のうえで使うことになります。
下地材の上に好きな壁紙を貼るタイプ
サンゲツの「サンマグネシタジ」は、カタログで「壁紙と組合わせて使用する鉄粉入りの下地材です」と説明されています(出典:前掲、サンゲツ「2025-2028 掲示板クロス」)。鉄粉の入った下地材を先に張り、その上に好みの壁紙を貼る、という二重の構造になります。部屋のほかの面と同じ壁紙で仕上げたいなど、見た目を優先したい場合に向いています。
ただし、その分だけ磁石と下地材の間に壁紙が一枚挟まるので、磁力評価ではA4で2枚・A3で1枚と、留められる枚数は少なくなります。さらにカタログの注意事項には、次のような点が書かれています(出典:前掲、サンゲツ「2025-2028 掲示板クロス」)。
- 着磁性能は上貼りする壁紙によって異なる。厚みのある壁紙や凹凸の深い壁紙を上貼りすると、十分な性能が発揮されない場合がある(事前にサンプル等で確認を)
- 下地材の継ぎ目の上から壁紙を貼ると、壁紙の表面に継ぎ目の段差が浮き出るおそれがある
- フィルムを表面に加工した壁紙を上から貼る場合、表面にフクレ等が発生する場合がある
つまり、鉄粉入りの下地材の上に厚手や凹凸の深い壁紙を貼ると、磁石の付きが弱くなることがあり、表面にフィルム加工のある壁紙は貼るときに注意が要ります。「好きな壁紙を選べる」といっても条件があるので、上に貼りたい壁紙が決まっているなら、その品番で磁石がどのくらい付くかを、見本で確かめてから決めるのが確実です。
マーカーで書いて消せるホワイトボードタイプ
サンゲツの「ニューサンホワイトボード」は、カタログで「ホワイトボード専用のマーカーでの書き消しや、マグネットでの掲示が可能です。プロジェクター投映にも対応します」と説明されています(出典:前掲、サンゲツ「2025-2028 掲示板クロス」)。磁力評価は、丸形マグネット2個止めでA4が3枚・A3が2枚です。
家族の伝言板として書き込みたい、子どもが絵を描けるスペースにしたい、在宅ワークでちょっとした図を書きたい。このように書き込みもしたいなら、ホワイトボードタイプが候補になります。注意事項には、筆記には推奨のマーカー・イレーザーを使うこと、ジョイント部分が目立ちやすいこと、光の角度によっては表面が若干波打ったように見える場合があることも書かれています。プロジェクターで映す壁としての使い方が主な目的なら、壁紙の色や凹凸が映像にどう影響するか、プロジェクター用の壁紙にはどんなものがあるかを、プロジェクターを映す壁紙、今のままでいい?色・凹凸・柄の影響と、プロジェクター用壁紙3社の比較で扱っています。
なお、同じカタログには、チョークで書いて消せる黒板の壁紙も別に載っています。ホワイトボードタイプとは書く道具も手入れの仕方も違う製品です。黒板の壁紙で使える筆記具や消し方、使い方の注意、施工費が割増しになる場合があることは、黒板クロスとは?使えるのはチョークだけ|消し方と後悔しない使い方、施工費が割増しになる理由で解説しています。
費用と施工の注意点
マグネットが付く壁紙は、材料の価格も、張るときの手間も、普通の壁紙とは違います。見積もりを取る前に、どこが違うのかを知っておくと、金額の説明を受けたときに納得しやすくなります。
費用は普通の壁紙より高くなる
サンゲツのカタログに載っている標準価格(材料のみ・税別)は、次のとおりです。
| 商品 | 標準価格(税別) | 巾 |
|---|---|---|
| サンマグネット | 1㎡あたり10,330円(1mあたり9,500円) | 92cm |
| サンマグネシタジ(下地材) | 1㎡あたり10,330円(1mあたり9,500円)。この上に貼る壁紙の材料費が別にかかる | 92cm |
| ニューサンホワイトボード | 1㎡あたり21,510円(1mあたり20,000円)/1㎡あたり21,490円(1mあたり26,000円) | 93cm/121cm |
(出典:前掲、サンゲツ「2025-2028 掲示板クロス」。カタログには「掲載商品の価格および仕様は、当見本帳発行時(2025年11月)のもの」とある。商品ページの価格は「税別、施工費別の表示」)
一般的な量産品の壁紙を張り替えるときの単価は、材料と施工費を合わせて1㎡あたり1,500〜2,500円程度が目安です。比べる範囲が違うので単純な比較はできませんが、マグネットが付く壁紙は、材料の標準価格だけでこれを大きく上回ります。施工費を含めた差額は、見積もりで確かめることになります。下地材のタイプは、下地材の上にさらに壁紙を貼るので、その壁紙の材料と、二重に張る手間も加わります。
なお、ここに挙げたのはメーカーの標準価格で、実際の見積もりの金額とは同じではありません。サンゲツの商品ページでは、これらの商品は「通常の商品と別の販売掛率設定品です」と表示されています(出典:前掲、サンゲツ K302 商品ページ)。実際にいくらになるかは、品番と張る面積を伝えて、見積もりで確かめることになります。
施工費の扱いも確かめておきたい点です。同じカタログでは、プロジェクター用壁紙や黒板の壁紙について「一般ビニル壁紙と比較して施工難易度が高いため、施工費が割増しになる場合があります」と書かれていますが、マグネット用の3商品の注意事項には、施工費についての記載はありません。ただ、次の項で見るように、重さや専用の糊など、普通の壁紙とは違う扱いが要る製品です。見積もりでは、材料の単価だけでなく、施工費がどう扱われるかもあわせて聞いておきましょう。
重さ・専用の糊・継ぎ目・角・サビ・防火の表示
サンゲツのカタログと施工要領書には、施工と使用についての注意が書かれています(出典:前掲、サンゲツ「2025-2028 掲示板クロス」、前掲、サンゲツ施工要領書)。住まいで使う方が知っておきたいのは、主に次の点です。
- 重さ:「製品重量が重いため、現場状況によっては複数名での施工をおすすめします」。サンマグネットの製品重量は1㎡あたり2.0kgと表示されている
- 専用の糊:「ミックス糊(BB-307)を相手糊にして施工してください」。普通の壁紙とは使う糊が違う
- 継ぎ目:「巾継ぎして施工した場合、ジョイント部分が目立つことがあります」。壁紙と壁紙の継ぎ目が、普通の壁紙より目に入りやすい
- 角:施工要領書には「出隅、入隅などへの折り曲げての施工はできません」とある。部屋の角をまたいで1枚で折り曲げて貼ることはできないので、角をまたがず、角で区切って張る
- サビ:「裏面に鉄粉シートを使用しており、製品側面・小口がサビにより経年で変色するおそれがあります」。商品ページには、サビの発生を抑制する加工をした商品とも表示されている
- 下地:「入念な下地処理を行い、施工面を平滑にしてください」。将来この壁紙を張り替えるときに下地を傷めないよう、紙を下に貼っておく施工もすすめられている
メーカーが下地を平らに整えることを求めているので、見積もりでは、下地処理が含まれているか、マグネットの壁紙を貼る前提で下地をどう整えるかも、あわせて確かめておくと安心です。下地処理がどういう作業で、見積書でどう確かめればよいかは、壁紙の下地処理とは?数か月後に浮きが出る理由と、見積書で確認する一言で詳しく解説しています。
防火の表示も見ておきましょう。サンマグネット・サンマグネシタジ・ニューサンホワイトボードの3商品は、カタログで「非防火」と表示されています。キッチンのように火を使う部屋は、建物の条件によっては内装に防火の決まりがかかる場合があります。キッチンに張りたい場合は、使える場所かどうかを業者に確かめてもらいましょう。火を使う部屋に防火の決まりがかかる条件と、キッチンの壁紙の選び方は、キッチンの壁紙張り替えは普通の壁紙でいい?量産壁紙の多くは準不燃、費用は最低料金4万〜6万円が目安で詳しく扱っています。
取り入れる前に決めておくこと・見積もりで聞くこと
最後に、張り替えの相談をする前に考えておくとよいことをまとめます。どれも、現地調査や見積もりの場で業者と一緒に確かめればよいことで、すべてを事前に決めておく必要はありません。
何を留めたいのかを決める
まず、その壁に何を留めたいのかを考えます。製品や紙の大きさ、使う磁石によって変わりますが、紙のお知らせやメモを留める用途なら、メーカーが示す枚数を目安にできます。書き込みもしたいならホワイトボードタイプ、部屋のほかの面と見た目をそろえたいなら下地材のタイプ、というように、留めたい物と使い方からタイプが絞れます。
反対に、フックで物を掛けたい、重さのある小物入れを付けたい、という使い方が主な目的なら、マグネットが付く壁紙では期待どおりにならない可能性が高いと考えておきましょう。
張る場所と範囲を決める
次に、どの部屋のどの壁に張るかを考えます。家族のお知らせを貼るリビングの一角、レシピを留めるキッチンの壁、子ども部屋、在宅ワークの机の前など、目的によって場所が変わります。キッチンに張りたい場合は、前の章で見た防火の表示もあわせて確かめておきましょう。
壁紙の張り替えは、壁の面で区切って頼むのが一般的です。マグネットが付く壁紙は角で折り曲げて貼れないので、少なくとも部屋の角が範囲の区切りになります。材料の価格が高いので、伝言板に使う一角だけ、つまり面の一部(壁紙の幅で数枚分)だけをマグネットの壁紙にして、残りを普通の壁紙にする方法も考えられます。その場合は、隣の普通の壁紙との厚みの違いや継ぎ目の見え方がどうなるかを、業者に確かめてから決めましょう。下地材のタイプなら、下地材を張った範囲の端の段差が上の壁紙に出ないかも、あわせて確かめておくと安心です。1面だけを張る場合は、隣の面と色や質感が違って見えることも頭に入れておきましょう。部屋の1面だけ壁紙を変えるときの、どの壁を選ぶか・ほかの面とどう合わせるかの考え方は、アクセントクロスの失敗例は3つ|面積は壁の2〜3割・色は3色まで、見本帳は少し濃いめを選ぶで詳しく解説しています。
費用の面では、職人が現場に来て、養生し、道具を出して片付けて帰るまでの手間は、1面でも1部屋でもそれほど変わりません。そのため、多くの業者が最低料金を4万〜6万円程度に設定しており、範囲が小さくてもこの金額を下回ることはまずありません。ただし、マグネットが付く壁紙は材料の価格が高いので、1面だけでも最低料金に収まるとは限らず、壁の大きさによってはそれを大きく上回ります。たとえば幅3.6m・高さ2.4mほどの壁1面(約8.6㎡)なら、面積で計算すると、サンマグネットの材料の標準価格だけで約9万円です。材料はメートル単位で買うので、実際の材料費はこれより多めになります。面積と材料の単価から、おおよその規模を見ておくとよいでしょう。ほかの部屋や面の張り替えも考えているなら、まとめて相談したほうが1箇所あたりの負担は小さくなります。1面だけでも最低料金がかかる理由と、隣の面との色の差については、壁紙の部分張り替えはできる?最低1枚分になる理由と、1面張り替えと比べた費用・色の注意点で解説しています。
タイプと費用を見積もりで聞く
張り替えの相談をするときは、次のことを伝えたり聞いたりすると、話が早く進みます。
- マグネットが付く壁紙を使いたいこと。気になる製品があれば、メーカー名と品番
- 何を留めたいか(紙のお知らせを何枚くらいか、書き込みもしたいか)
- 張りたい場所と範囲(どの壁の何面か)
- 材料の単価と、施工費の扱い(普通の壁紙と同じか、違うか)。下地処理が含まれているか
- 見本で磁石の付き方を確かめられるか
最後の点は、メーカーも「事前にサンプル等で確認」をすすめていることです。見本が手に入るなら、ふだん使っている磁石を当てて、紙を何枚まで留められるかを試してみると、張ったあとの使い方が具体的に想像できます。下地材のタイプなら、下地材と、その上に貼りたい壁紙の両方の見本を重ねて試す必要があります。見本帳の見方や、大きめのサンプルの取り寄せ方は、壁紙のサンプルと実際の色はなぜ違う?メーカーが説明する「面積効果」と、見本帳の見方・サンプルの取り寄せ方で扱っています。
下地の状態についても、あわせて聞いておくと安心です。今の壁に画鋲の穴がたくさん開いていても、張り替えでは古い壁紙を剥がしたあとに下地の小さな穴をパテで埋めて平らにするので、奥の石膏ボードが崩れていなければ、その通常の作業の範囲で埋まります。穴はそのままの状態で相談して構いません(刺さったままの画鋲は、自分で抜けるものは抜いておくと作業がスムーズです)。画鋲の穴が張り替えでどう扱われるかは、壁紙の画鋲の穴は張り替えで消える?自分で穴埋めする場合の限界と、穴が多い壁の判断で詳しく解説しています。
下地の傷みは、原則として現地調査の段階で見当がつき、補修が要る場合はその費用も施工の前に伝えられます。費用は、原則として見積もりのとおりです。ただ、特殊な場合には、壁紙を剥がしてみないと下地の状態が分からないこともあります。これは例外ですが、現地調査で「剥がしてみないと分からない」と言われたときは、「下地が傷んでいた場合、追加でどのくらいかかりそうか」の目安を、剥がす前に確認しておくとよいでしょう。
まとめ
マグネットが付く壁紙について、ポイントを整理します。
- マグネットが付く壁紙は、サンゲツやリリカラなどの壁紙メーカーが掲示板用の壁紙のカタログで案内している製品で、壁紙の張り替えと同じように職人が張る(専用の糊など施工上の注意は多め)。今の壁に貼るだけのシートとは別のもの
- 磁石が付くのは、壁紙の裏などに入った鉄粉のシートによるもので、鉄板そのものより引き付ける力は弱い。サンゲツの磁力評価(参考値)では、紙を丸形の磁石2個で留めてA4で3枚・A3で2枚、下地材の上に壁紙を貼った場合はA4で2枚・A3で1枚。メーカーは保証値ではないとし、強い磁石の使用と事前のサンプル確認をすすめている
- 紙のお知らせやメモ向きで、フックや小物入れなど重さのある物を掛ける用途には向かない
- タイプは、壁紙そのものに鉄粉が入ったタイプ、下地材の上に好きな壁紙を貼るタイプ(見た目を選べるが留められる枚数は少なく、上に貼る壁紙にも条件がある)、ホワイトボードタイプの3つ
- 費用は普通の壁紙より高い。サンゲツの標準価格は材料だけで1㎡あたり10,330円(税別)から。1面だけでも最低料金の範囲に収まるとは限らず、伝言板に使う一角だけをマグネットの壁紙にする方法も考えられる。重い・専用の糊・継ぎ目が目立つことがある・角で折り曲げて貼れない・小口のサビ・非防火、といった点も確かめておく
マグネットが付く壁紙は、留めたい物と期待する強さが合っていれば、画鋲の穴やテープの跡を気にせずに掲示物を入れ替えられる便利な壁になります。何を留めたいか、どの壁に張りたいかが決まったら、壁紙の張り替えの相談のときに、マグネットが付く壁紙を使いたいと伝えて、費用がどう変わるかを見積もりで聞いてみてください。
マグネットが付く壁を取り入れたいとお考えの方は、電話か問い合わせフォームでご相談ください。当店では、鉄粉入りの壁紙や下地材を使ったマグネットが付く壁の張り替えにも対応しています。費用は普通の壁紙より高くなり、磁力も鉄板ほど強くはないため、留めたい物と張りたい場所を伺ったうえで、合うタイプをご案内します。見積もり・現地調査は無料です。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
この記事の執筆者

氏名:松田郁幾
実績:壁紙張り替えを中心に、これまで多くのお客様・職人と関わってきました。
この記事について:現場で見聞きした実例をもとに、誇張せず、実践的な視点で解説しています。



