
子どもが壁に落書きをするなら、いっそ「描いてよい壁」をつくってしまえないか。家族の伝言やお知らせを、紙に書いて画鋲で留めるのではなく、壁に直接書けたら便利なのに。そう考えて「黒板クロス」を調べ始めた方もいるのではないでしょうか。インテリアの実例写真で見かけて、気になっている方もいると思います。
先に結論をお伝えします。黒板クロスは、壁紙メーカーが作っている、チョークで書いて消せる壁紙です。たとえばサンゲツの「Blackboard」は、家族の伝言、キッチンのレシピメモ、子ども部屋のお絵かきといった使い方を想定した壁紙で、ほかの壁紙と同じく職人が壁に張って仕上げます。材料の定価(メーカーの標準価格)は、1mあたり1,000円(税別・施工費別)。量産品と呼ばれる標準的な壁紙より一段上の、いわゆる1000番台の壁紙と同じくらいの価格帯で、材料の単価だけを見れば特別に高額な素材というわけではありません。
ただし、本物の黒板とまったく同じものではありません。サンゲツは、使えるのはチョークだけ、繰り返し書き消しすると汚れが少しずつ残り完全にはきれいな状態に戻らない、画鋲を刺すと跡が残る、そして一般のビニル壁紙より施工が難しいため施工費が割増しになる場合がある、と注意書きで案内しています。こうした性質を知ったうえで、部屋の壁すべてではなく、1面か、その一部に使うと取り入れやすい壁紙です。
この記事を読むと、次のことが分かります。
- 黒板クロスとはどんな壁紙か(サンゲツ「Blackboard」の特徴と、似た製品である「化粧シート」タイプとの違い、マグネットとの関係)
- 本物の黒板とどう違うか(使える筆記具は「チョークだけ」、メーカーが案内する消し方の手順、繰り返すと汚れが残っていくこと)
- 後悔しないための使い方(画鋲やテープとの相性、粉の扱い、全面ではなく一部に使う考え方)
- 費用と施工のポイント(材料の価格の水準、施工費が割増しになる場合があること、色の選び方、見積もりで確かめること)
読み終えるころには、黒板クロスを使うならどこに、どのくらいの広さで使いたいかと、張り替えを相談するときに何を伝えればよいかが見えてくるはずです。
黒板クロスを家のどこに使えそうか、施工費がどの程度変わるかを見積もりで確かめたい方は、まずは電話でご相談ください。使いたい場所や広さを伺ったうえで、張り替えの進め方をご案内します。見積もり・現地調査は無料です。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
黒板クロスとは。チョークで書いて消せる壁紙

黒板クロスは、表面にチョークで書いて、水拭きで消せるようにした壁紙です。見た目は黒やグリーンの黒板のようですが、ふだん住まいに貼られている壁紙と同じく、ロール状の材料を糊で壁に張って仕上げます。
サンゲツ「Blackboard」は、壁紙として張るタイプ
壁紙メーカーのサンゲツは、黒板壁紙「Blackboard」を「本物の黒板のようにチョークが使える黒板クロス」と紹介し、使い方の例として「家族の伝言、キッチンのレシピメモ、子ども部屋のお絵かきなど」を挙げています。同じページによると、このシリーズはグッドデザイン賞とキッズデザイン賞を受賞し、発売から10年を超えています(出典:サンゲツ「Blackboard|黒板壁紙」)。
商品ページでは、この壁紙は「エンボスへの工夫と表面のフィルムにより、黒板のようにチョークで書き消しできる壁紙」と説明されています(出典:サンゲツ FE78328 商品ページ)。施工の手順を説明した資料(施工要領書)でも、「チョークで書き消しが可能な黒板として使用できるフィルム汚れ防止・抗菌壁紙」とされています(出典:サンゲツ「施工要領書 黒板クロス K400~404」)。
つまり黒板クロスは、壁に黒板の板を取り付けるのではなく、壁紙そのものを黒板のように使える仕様にしたものです。壁紙の工事として職人が張りますが、あとで見るとおり、一般のビニル壁紙より施工に注意が要る壁紙です。
似た製品に「化粧シート」タイプもある
黒板のように使える製品には、壁紙とは別の種類もあります。リリカラが紹介している「パロアブラックボードシート」は、スエードの質感を再現した「化粧シート」です。化粧シートは、樹脂のフィルムなどのシートに柄を印刷したもので、室内の建具や内装、インテリア建材として使われている材料だと説明されています(出典:リリカラ「遊び心溢れるインテリア『ブラックボードシート(黒板用シート)』」(2020年8月17日))。
この化粧シートは、チョークのほか、水性のブラックボードマーカーや水性ペンでも書けて、水拭きで消せると案内されています。「フィルムに腰がある」ため施工がしやすい、という説明もあります。一方で、同じ紹介記事には「『学校で使用する黒板』とは性能が異なります」「チョークでも、『黒板消しではきれいに消えにくい』」という注意も書かれています(出典:前掲、リリカラ)。
見た目が似ていても、壁紙として張る黒板クロスと、フィルムのシートとでは、使える筆記具や張り方が違います。この記事では、壁紙の張り替え工事で職人が張る、壁紙タイプの黒板クロスを中心に説明します。
マグネットで留められる壁紙は、別の製品
黒板といえば、マグネットでプリントを留める使い方を思い浮かべる方もいると思います。ただ、サンゲツの黒板クロスの紹介ページ・商品ページ・施工要領書には、マグネットが付くという説明はありません。マグネットで留められる壁紙は、黒板クロスとは別の製品として作られています。
「書く」ことと「留める」ことの両方をしたい場合は、黒板クロスだけで済むとは考えず、見積もりのときに目的を伝えて、どの製品を組み合わせるかを相談するとよいでしょう。マグネットが付く壁紙の仕組みや種類、メーカーが示す磁力の目安、費用と施工の注意点は、マグネットが付く壁紙は張り替えで取り入れられる?磁力の目安は紙をA4で2〜3枚、費用と注意点で解説しています。
本物の黒板とどう違うか。書き味と消し方

黒板クロスは「本物の黒板のように」使える壁紙ですが、学校の黒板と同じように扱えるわけではありません。メーカーの資料から、使い方の違いを見ていきます。
消えやすさは黒板と同程度。ただし繰り返し使うと汚れが残りやすくなる
サンゲツのページには、黒板クロスをイベントのウェルカムボードに使ったときの、主催者であるチョークアーティストの感想が紹介されています。「本物に比べて少し凹凸があるため、チョークが少しひっかかり自然と筆圧が濃い目になるのと、チョークの減りが少し早いですが、描き心地も仕上がりも本物の黒板とほとんど変わりませんでした」という内容です(出典:前掲、サンゲツ「Blackboard」)。
メーカー自身の説明としては、施工要領書に「消去性は一般的な黒板と同等程度です」とあります。そのうえで、「繰り返し書き消しを行うと、壁紙の凹部に僅かにチョークの粉が残り、徐々に汚れが残りやすくなります。完全にきれいな状態には戻りませんので、あらかじめご了承ください」と続きます(出典:前掲、サンゲツ施工要領書)。
黒板クロスは、使うほど表面の細かな凹みに粉が残り、使い込まれた見た目になっていくものと考えておくと、思っていたのと違ったという後悔が少なくなります。張ったばかりの黒々とした表面が、ずっと保たれるわけではありません。
使えるのは「チョークだけ」。クレヨンやマーカーは使わない
サンゲツは注意書きの最初に「チョーク以外は使用しないでください。汚れやキズの原因になります」と書いています(出典:前掲、サンゲツ「Blackboard」)。施工要領書では、さらに具体的に「必ず炭酸カルシウム系または硫酸カルシウム(焼き石膏)系のチョークをご使用ください。その他の筆記用具(クレヨン・マーカーペン等)の使用は避けてください」と書かれています(出典:前掲、サンゲツ施工要領書)。
前の章で見た化粧シートタイプは水性マーカーも使えると案内されていましたが、サンゲツの黒板クロスでは、マーカーペンも避けるべき筆記具に入っています。製品によって使える筆記具が違うので、買い置きの画材をそのまま使えるとは考えないほうが安全です。また、施工要領書は黒板クロスを「フィルム汚れ防止」の壁紙としていますが、そのうえでクレヨンやマーカーペンなどは避けるよう求めています。黒板クロスは汚れ防止の壁紙でもありますが、だからといって、クレヨンやペンで描いてよいわけではありません。
子どもが小さいうちは、ここが一番の注意点になります。黒板クロスの面にクレヨンやペンで描いてしまうと、黒板クロスにとっては「使ってはいけない筆記具」で描いたことになり、汚れやキズの原因になります。黒板クロスは、落書きに強い壁紙ではなく、チョークで描いてよい場所をつくる壁紙です。チョークだけを手の届く場所に置き、ほかの画材は別の場所で使う、といった家の中のルールとセットで考えるとよいでしょう。
また、施工要領書には「過度な力でチョークを使用しないでください。キズや凹みの原因になります」ともあります。小さな子どもが力いっぱい描くと、表面が傷むことがある点も覚えておきましょう。
メーカーが案内する消し方の手順
黒板クロスの消し方は、黒板消しでこするのとは少し違います。サンゲツの施工要領書とページの注意書きをまとめると、手順は次のようになります(出典:前掲、サンゲツ施工要領書、サンゲツ「Blackboard」)。
- まず、乾いたブラシなどで、チョークの粉をある程度落とす
- 次に、マイクロファイバーのウエス(布)で、ていねいに水拭きする。ウエスはこまめに洗ってきれいな状態にしながら、数回繰り返して拭き取る
- 水拭きのあとも、表面の細かな凹みにチョークの粉が詰まって残っている場合は、霧吹きで少量の水を吹き付け、毛先の細かいブラシで軽く掻き出してから、もう一度マイクロファイバーのウエスで水拭きする
あわせて、いくつかの注意も書かれています。汚れたウエスで拭き続けると、ウエスに付いたチョークの粉がまた壁紙に付いて、かえって落としにくくなる場合があります。壁紙と壁紙の継ぎ目(ジョイント)を水拭きするときは、壁紙の剥がれに注意するよう書かれています。
そして、水拭きのあとが大切です。「壁紙表面に水分が残っている状態で書き込みをしないでください。チョークの粉が固まり除去できなくなるおそれがあります」とされており、施工要領書では、濡れた状態で書いた文字は落としにくくなるので、必ず乾いた状態で使うよう求めています。水拭きで消したら、すぐに書き直すのではなく、表面が乾くのを待ってから書く、という手順を家族で共有しておきましょう。
後悔しないための使い方。向く場所・向かない使い方
黒板クロスについて「後悔した」「デメリットはあるか」と調べる方は少なくありません。メーカーの注意書きを読むと、後悔につながりやすいのは、黒板クロスを「何でもできる壁」と考えて使い始めた場合だと分かります。ここでは、使い方の面から整理します。
画鋲やテープで「留める」使い方には向かない
家族の伝言板として使うなら、学校のお知らせやカレンダーも一緒に貼りたくなるかもしれません。ただ、施工要領書の「選択上の注意」には、次のように書かれています(出典:前掲、サンゲツ施工要領書)。
- ガムテープやセロハンテープなど、粘着力の強いテープは使わない。表面の剥がれや変色の原因になる
- 粘着力の弱いテープでも、長時間使うと変色の原因になる場合がある
- 画鋲を使った場合、跡が残る
黒板クロスは「書く」ための壁紙で、紙を「留める」ための壁紙ではありません。プリントやカレンダーを貼る場所は別に用意し、黒板クロスの面には書くだけにする、と分けて考えておくと、あとから跡や変色に悩まずに済みます。マグネットについても、前の章で見たとおり、黒板クロスにマグネットが付くという説明はありません。
チョークの粉が出る。継ぎ目や凹みにもたまりやすい
黒板と同じで、チョークを使えば粉が出ます。施工要領書には「チョークを使用した場合、粉が落ちますのでご注意ください」とあり、ページの注意書きには「ジョイント部分や壁紙表面の凹部にチョークの粉がたまる場合があります」とあります(出典:前掲、サンゲツ施工要領書、サンゲツ「Blackboard」)。
落ちたチョークの粉は、黒板クロスの下の床や、近くに置いた家具に積もります。黒板クロスを張る場所を決めるときは、すぐ下に布製のソファや、粉が入り込むと困る家具・家電を置く予定がないか、床の掃除がしやすいかも考えておくとよいでしょう。キッチンの壁に使う場合は、粉が食器や調理台にかからない位置かどうかも見ておきたいところです。
壁紙は幅90cmほどのロールを縦に張り継いでいくので、広い範囲に張れば、その中に継ぎ目が何本か入ります。継ぎ目に粉がたまりやすいこと、継ぎ目の水拭きでは剥がれに注意が要ることを考えると、むやみに広く張るより、使う範囲を絞るほうが手入れは楽になります。
部屋の全面より、1面か、その一部に使う
こうした性質を踏まえると、黒板クロスは部屋の壁すべてに張るより、使う場所を絞って取り入れるほうが向いています。メーカーが挙げている使い方の例も、家族の伝言、キッチンのレシピメモ、子ども部屋のお絵かきといった、場所を決めて使うものです(出典:前掲、サンゲツ「Blackboard」)。
- 家族の伝言板:玄関から居間へ向かう途中や、家族がよく通る廊下・ダイニングの壁など、目に入りやすい場所の一部
- キッチンのメモ:買い物リストや献立を書く、冷蔵庫の横などの壁の一部
- 子どものお絵かき:子どもの手が届く高さを中心にした、子ども部屋の1面の一部
壁紙の張り替えは、壁の面で区切って頼むのが一般的です。黒板クロスを1面だけに張れば、残りの面はふだんの壁紙のままにできます。アクセントクロスのように色を切り替える場合は、部屋の角(入隅)で区切るのが基本で、面の途中で切り替えると境目が目立ちやすくなります。1面の一部だけに黒板クロスを張りたい場合、境目の納め方には、境目が見えることを前提に位置を決めて張り分ける方法と、ジョイナー(見切り材)で区切る方法があります。ジョイナーは、壁紙と壁紙のつなぎ目に入れる目地材で、壁紙メーカーのリリカラは、異なる壁紙を同じ面で張り分けるときにも向く部材として紹介しています(出典:リリカラ「壁紙の仕上がりをより美しくする装飾用目地材『ジョイナー』」)。どの方法にするかは、見積もりのときに職人と相談して決めることになります。
部屋の1面だけに色の濃い壁紙を使うという点では、黒板クロスはアクセントクロス(1面だけ色や柄を変える壁紙)と似た取り入れ方になります。黒や深いグリーンのような濃い色は、部屋の印象を大きく変えるので、どの面に張ると部屋がどう見えるかもあわせて考えておきましょう。1面だけ色を変えるときの面積の目安や、よくある失敗は、アクセントクロスの失敗例は3つ|面積は壁の2〜3割・色は3色まで、見本帳は少し濃いめを選ぶで解説しています。
子ども部屋で考えているなら、張り替えのタイミングもあわせて
子ども部屋の落書きをきっかけに黒板クロスを調べている場合は、黒板クロスを張るかどうかだけでなく、部屋全体をいつ張り替えるかも一緒に考えておくとよいでしょう。黒板クロスを張るのは張り替えの工事なので、部屋のほかの面の張り替えと同時に依頼できれば、職人に来てもらうのは1回で済みます。
ただし、先に見たとおり、黒板クロスにクレヨンやペンで描いてしまうと汚れやキズの原因になります。クレヨンやペンを手に取る年齢のうちは、黒板クロスの面にもつい描いてしまうことがあり得るので、チョークだけで遊べる年齢かどうかも、張る時期を考える材料になります。子ども部屋を張り替える時期の目安や、落書き・傷があるときの費用の考え方は、子供部屋の壁紙はいつ張り替える?成長の節目と落書き・傷の費用、汚れやキズに強い壁紙の選び方で詳しく扱っています。
費用と施工のポイント
黒板クロスの費用は、材料の価格と、張る手間(施工費)の両方で考えます。ここでは、メーカーが公開している情報と、張り替え費用の一般的な考え方から整理します。
材料の価格は、1000番台の壁紙と同じ価格帯
サンゲツの黒板クロスの商品ページを見ると、標準価格は「1000円/M」「1090円/㎡」で、税別・施工費別の表示です。壁紙の幅は92cmと表示されています(出典:前掲、サンゲツ FE78328 商品ページ)。同じ黒板クロスは、品番違いで複数の見本帳に載っていますが、2026年10月に見本帳の異なる3つの品番の商品ページを確認したところ、いずれも同じ価格の表示でした。
壁紙のグレードを呼ぶときに使われる「1000番クロス」は、かつて定価が1mあたり1,000円前後のグレードをそう呼んだことに由来する通称で、今の価格そのものを指すわけではありません。黒板クロスの1mあたり1,000円は、この呼び名の由来と同じ水準です。つまり黒板クロスの材料の定価は、量産品より一段上の、いわゆる1000番台の壁紙と同じくらいの価格帯です。なお、この金額はメーカーの定価(標準価格)で、材料だけの値段です。量産品と呼ばれる標準的な壁紙と比べれば材料費は上がりますが、材料の単価だけを見れば、黒板クロスだから特別に高い素材、というわけではありません(施工費については次の項目で見ます)。量産品と標準的な1000番台の差は、見積もりの単価で1㎡あたり数百円ほどが一般的です。
ただし、実際の金額は、グレードの呼び名ではなく、見積もりに書かれる品番ごとの単価と面積で決まります。量産品と1000番台の違いや、価格差の考え方は、量産クロスと1000番クロスの違い|価格差は6畳で約1万円、部屋ごとの選び分け方で解説しています。
施工費は割増しになる場合がある
材料の価格とは別に、施工費については注意があります。サンゲツはページの注意書きと施工要領書の両方で、「一般ビニル壁紙と比較して施工難易度が高いため、施工費が割増しになる場合があります」と書いています(出典:前掲、サンゲツ「Blackboard」、サンゲツ施工要領書)。
施工要領書を見ると、下地については「入念な下地処理を行い、施工面を平滑にしてください」とあり、モルタルやベニヤの下地に張る場合は、ふくれやアクを防ぐためにシーラー処理をするよう書かれています(出典:前掲、サンゲツ施工要領書)。黒板クロスは表面にフィルムがあり、張ったあとにチョークで書いて水拭きを繰り返す壁紙なので、下地の整え方や張り方に気を配る必要がある、ということでしょう。
施工費が割増しになるかどうか、なるとしたらどのくらいかは、業者や現場の条件によって変わります。黒板クロスを使うなら、見積もりのときに、材料の単価とあわせて施工費の扱いも確かめておきましょう。下地処理がどういう作業で、見積書でどう確かめればよいかは、壁紙の下地処理とは?数か月後に浮きが出る理由と、見積書で確認する一言で解説しています。
1面だけの張り替えなら、最低料金も考えておく
黒板クロスを張りたいのが1面だけ、あるいは1面の一部だけという場合は、張り替えの最低料金も考えておく必要があります。職人が現場に来て、養生し、道具を出して片付けて帰るまでの手間は、張る面積が小さくてもそれほど変わりません。そのため、多くの業者が最低料金を4万〜6万円程度に設定しています。黒板クロスを張る面積が小さくても、少なくとも最低料金を起点に、施工費が割増しになるかも含めて見積もりで確かめるのが現実的です。
一方で、ほかの部屋や面の張り替えとまとめて頼めば、黒板クロスを張る分は、その面積に応じた材料費と、割増しの有無を含む施工の手間が加わる形になります。近いうちにほかの場所も張り替える予定があるなら、まとめて相談したほうが1箇所あたりの負担は小さくなります。
もう一つ、使わなくなって黒板クロスをやめ、ふだんの壁紙に戻すときのことも考えておきましょう。戻すときに、その部分だけを単独で頼むと最低料金がかかります(部屋全体の張り替えと一緒に戻すなら、その分の材料費と手間が加わる形です)。また、壁紙は年数とともに少しずつ色が変わるので、戻した部分だけが周りの古い壁紙より明るく見えることがあります。面の途中に新しい壁紙が入ると色の差が目立ちやすく、部屋の角(入隅)で区切った面ごとなら目立ちにくくなります。1面だけでも最低料金がかかる理由と、隣の面との色の差については、壁紙の部分張り替えはできる?最低1枚分になる理由と、1面張り替えと比べた費用・色の注意点で解説しています。
防火性能などの機能は、商品ページで確かめられる
サンゲツの黒板クロスの商品ページには、機能として、汚れを拭き取りやすい、表面に付着した細菌の増殖を抑える(抗菌)、破れにくく傷つきにくい(表面強化)、かびの発生・繁殖を抑える、といった項目が並んでいます(出典:前掲、サンゲツ FE78328 商品ページ)。
防火性能については、「不燃石膏ボード(厚さ12mm以上)および不燃材料に施工した場合、不燃認定となる商品」と表示されています(出典:同上)。黒板クロスの不燃の表示は、どんな下地に張っても不燃になるという意味ではなく、条件つきです。防火の決まりが気になる場所に使う場合は、条件にあてはまるかを業者と確かめてください。
取り入れる前に決めておくこと
最後に、黒板クロスを使いたいと思ったときに、張り替えの相談の前に整理しておくと話が早く進むことをまとめます。どれも、現地調査や見積もりの場で業者と一緒に決めればよいことで、すべてを事前に固めておく必要はありません。
どこに、どのくらいの広さで、何を書くか
まず考えておきたいのは、黒板クロスを使う目的です。家族の伝言板にするのか、キッチンのメモにするのか、子どものお絵かきの場所にするのかで、向いている場所や高さ、広さが変わります。
- 伝言板・メモなら:大人の目の高さで、家族がよく通る場所。書く量に合わせて、必要な広さだけ
- お絵かきなら:子どもの手が届く高さを中心に、のびのび描ける広さ。下の床が掃除しやすい場所
あわせて、その壁の近くに何を置く予定かも考えておきましょう。前の章で見たとおり、チョークの粉は下に落ちます。また、画鋲やテープで紙を留めたい場所と、書く場所は分けておくほうが安心です。
色は14色。見本帳によって載っている色が違う
サンゲツの「Blackboard」には、黒やチャコールのような定番の色のほか、緑、青系、赤茶系、ピンク系など、14色が用意されています。品番の頭の記号は、どの見本帳に載っているかを表していて、「FE品番はファイン、TH品番はフェイス、K品番はソリューションウォールの見本帳に掲載している品番です」と説明されています(出典:前掲、サンゲツ「Blackboard」)。
2026年10月に紹介ページの色の一覧(LINEUP)で確認した範囲では、14色すべてがそろっているのはファインの見本帳で、フェイスとソリューションウォールの見本帳には一部の色だけが載っていました。業者が持ってくる見本帳に、気になっている色が載っているとは限りません。相談するときは「黒板クロスを使いたい」と伝えるだけでなく、気になっている色の品番まで伝えると、話が早く進みます。
黒板の色は、チョークの文字や絵の見え方にも関わります。小さな見本と、壁一面に張ったときとでは、色の見え方も変わります。見本で色を確かめるときは、実際に使うチョークの色を思い浮かべながら選ぶとよいでしょう。見本と壁一面とで色の見え方が変わる理由や、見本帳の見方は、壁紙のサンプルと実際の色はなぜ違う?メーカーが説明する「面積効果」と、見本帳の見方・サンプルの取り寄せ方で詳しく扱っています。
見積もりのときに確かめておきたいこと
黒板クロスを含めて張り替えを相談するときは、次の点を確かめておくと、仕上がりと費用の食い違いを防ぎやすくなります。
- どのメーカーの、どの品番の黒板クロスを使うか(見積書の品番で確認する)
- 黒板クロスを張る面と範囲(1面すべてか、1面の一部か。一部なら境目の位置と、ジョイナーを使うかどうかを含めた納め方)
- 施工費が通常の壁紙と同じか、割増しになるか。割増しになるなら、どのくらいか
- 下地の状態と、下地処理が含まれているか
- ほかの面や部屋も一緒に張り替える場合の総額
使い方の注意(チョークだけを使う、乾いてから書く、画鋲や粘着力の強いテープは使わない、など)は、張り替えが終わったあとに家族全員で共有しておくと、落ちない汚れやキズ、跡や変色を防ぎやすくなります。
まとめ
黒板クロスについて、ポイントを整理します。
- 黒板クロスは、壁紙メーカーが作っている、チョークで書いて水拭きで消せる壁紙。サンゲツの「Blackboard」は、家族の伝言、キッチンのレシピメモ、子ども部屋のお絵かきといった使い方を例に挙げている
- リリカラが紹介している「ブラックボードシート」は、壁紙ではなく化粧シート(フィルム)で、使える筆記具や張り方が違う。サンゲツの黒板クロスの資料には、マグネットが付くという説明はなく、マグネットで留められる壁紙は別の製品
- サンゲツの黒板クロスで使えるのはチョークだけ。クレヨンやマーカーペンは避ける。メーカーは、消去性は一般的な黒板と同等程度としたうえで、繰り返し書き消しすると汚れが少しずつ残り、完全にはきれいな状態に戻らないと案内している
- 消すときは、乾いたブラシで粉を落とし、きれいなマイクロファイバーのウエスで数回水拭きする。表面が濡れたまま書くと、チョークが固まって落ちなくなるおそれがある
- 粘着力の強いテープは剥がれや変色の原因になり、画鋲を刺すと跡が残る。「書く」壁紙であって「留める」壁紙ではない。チョークの粉は下に落ち、継ぎ目や凹みにもたまりやすい
- 部屋の全面より、1面か、その一部に使うほうが取り入れやすい。一部に張る場合は、境目の位置と納め方(ジョイナーという部材で区切る方法もある)、やめて戻すときの色の差も見積もりのときに相談する
- 材料の定価は1mあたり1,000円(税別・施工費別)で、量産品より一段上の、いわゆる1000番台の壁紙と同じくらいの価格帯。ただし、一般の壁紙より施工が難しいため、施工費が割増しになる場合がある。1面だけなら最低料金(多くの業者で4万〜6万円程度)も考えておく
- 色は14色あるが、見本帳によって載っている色が違うので、品番で伝える
黒板クロスは、使い方の決まりごとを知っておけば、家の中に「書いてよい壁」をつくれる壁紙です。どこに、どのくらいの広さで、何を書くために使いたいかが決まったら、張り替えを相談するときに「黒板クロスを使いたい」と伝え、施工費がどう変わるかを見積もりで確かめてみてください。
黒板クロスを取り入れたいとお考えの方は、電話か問い合わせフォームでご相談ください。当店では、黒板クロスの張り替えにも対応しています。現地調査のときに、使いたい場所や広さ、書く内容を伺い、施工費の扱いも含めて見積もりでご案内します。見積もり・現地調査は無料です。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
この記事の執筆者

氏名:松田郁幾
実績:壁紙張り替えを中心に、これまで多くのお客様・職人と関わってきました。
この記事について:現場で見聞きした実例をもとに、誇張せず、実践的な視点で解説しています。



