
壁紙の張り替えを考えはじめて、業者の見積書やホームページを見ていると、「サンゲツ」「リリカラ」「シンコール」「東リ」といった名前が出てきます。どれも聞いたことはあるけれど、何が違うのかは分からない。検索してみると「サンゲツとリリカラ、どっちがいい?」という質問がたくさん並んでいて、選び方を間違えると失敗するのではないか、と不安になる方もいるかもしれません。
先に結論をお伝えします。壁紙メーカーの違いは、メーカー名だけで「どこの壁紙が一番優れているか」を決められるものではありません。4社とも住宅に使われる壁紙を扱っていて、キズや汚れへの強さには、壁紙工業会が定めた業界共通の試験があります。違いが表れるのは、会社の成り立ちや規模、壁紙以外にどんな事業をしているかという「会社の形」と、機能性壁紙をどんな言葉で案内しているかという「示し方」の2つです。
ですから、メーカー名で決めるより、「この部屋で気になっていること」を先に決めて、業者と一緒に見本帳から選ぶほうが失敗しにくくなります。キッチンの油汚れが気になるのか、手が触れる場所のキズが気になるのか、落ち着いた質感にしたいのか。これが決まっていれば、どのメーカーの見本帳を開いても候補を絞れます。なお、壁紙の素材の種類(ビニールクロス・織物・和紙・珪藻土)の違いは壁紙の種類は代表的な4つ|住宅用の約9割はビニールクロス、分からないときの確かめ方で扱っているので、この記事では会社の違いに絞ってお伝えします。
この記事を読むと、次のことが分かります。
- サンゲツ・リリカラ・シンコール・東リの4社が、会社としてどう違うか(成り立ち・規模・事業の広がり)
- 売上や従業員数を並べるときに気をつけたいことと、見積書に見慣れないメーカー名があったときの考え方
- 「汚れ防止」「キズに強い」といった機能を、各社がどう示しているか(試験の基準、限界の書き方)
- 「量産クロス」「1000番台」という呼び方と、見本帳の名前の違い
- メーカー名より先に決めておきたいこと(使う場所で気になっていること、見本帳の見え方、見積もりの比べ方)
読み終えるころには、業者が見本帳を持ってきたときに、何を伝えて何を確かめればよいかが見えてくるはずです。
どのメーカーの壁紙にするか決めていなくても、張り替えの相談はできます。気になっている場所と、その場所で困っていることを電話でお聞かせください。見積もり・現地調査は無料です。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
壁紙メーカー4社の違いは「会社の形」に表れる

まず、4社がそれぞれどんな会社なのかを、各社の会社概要ページで見ていきます。壁紙の見本帳だけを見ていると同じような会社に見えますが、会社の成り立ちや、壁紙以外に手がけている事業はかなり違います。
サンゲツ:創業1849年、インテリアの企画から施工まで手がける
サンゲツは、会社としての設立が1953年4月、創業は嘉永2年(1849年)です。資本金は136億1,610万円、売上高(連結)は2,064億円、従業員(連結)は3,299名で、いずれも2026年3月期の数字です。事業内容は「インテリアの企画・開発・製造・販売・施工、エクステリアの販売・施工」と「各種施設・オフィス空間等の企画・設計・工事監理・施工」とされています(出典:サンゲツ「企業概要」)。
壁紙だけでなく、床材やカーテン、エクステリア、さらに施設やオフィスの空間づくりまでを事業にしている会社です。売上高や従業員数からは事業の規模の大きさがうかがえます(ほかの3社との単純な比較ができない理由は、このあと説明します)。ショールームは仙台・品川・名古屋・金沢・大阪・広島・福岡・沖縄の8か所が挙げられています(出典:同上)。
リリカラ:創業1907年、紙の販売から壁紙へ
リリカラは、1907年(明治40年)に荒物雑貨商「山吉商店」として創業し、会社としての設立は1949年(昭和24年)7月です。同社は、和洋紙の販売から住宅用の壁紙などへ、時代とともに商品を変えてきたと紹介しています。資本金は33億3,550万円、従業員数は545名(2025年12月)です。会社概要のページに売上高の記載はありません(出典:リリカラ「基本情報」)。
事業は3つに分かれていて、壁紙・オーダーカーテン・床材などを扱う「インテリア事業」のほかに、オフィスや施設の設計・施工を行う「スペース ソリューション事業」、マンションやオフィスビルなどの売買・開発を行う「不動産投資開発事業」があります(出典:同上)。リリカラは壁紙の会社として知られていますが、会社全体では不動産の事業も持っている、という形です。
シンコール:設立1970年、インテリア専門商社
シンコールは、1970年(昭和45年)4月の設立です。資本金は9,980万円、売上高は115億5千万円(2024年3月期)、社員数は221名(2025年4月現在)です。事業内容は「インテリア専門商社、トータルインテリア用品の企画・開発・販売」で、営業品目にはカーテン・壁紙・カーペット・床材などの室内装飾用品が並んでいます(出典:シンコール「会社概要」)。
名古屋・東京・北海道に本社を置いていることも会社概要に書かれています。シンコールが自らを「専門商社」と名乗っているのが、4社の中での特徴です。
東リ:創業1919年、床材を中心に壁紙も製造
東リは、1919年(大正8年)12月の創業です。資本金は68億55百万円、従業員数は連結1,940名・個別920名(2026年3月末現在)、売上高は連結112,337百万円・個別69,983百万円(2026年3月期)と、連結と個別を分けて載せています(出典:東リ「会社概要」)。
業務内容の最初に挙がっているのは「ビニル床タイル、ビニル床シート、クッションフロア等の製造・販売」で、そのあとにカーペット・カーテン、そして「壁装材の製造・販売」が続きます。主要製品の壁装材としては、ビニル壁紙・紙壁紙・不燃化粧仕上げ材が挙げられています(出典:同上)。東リは床材のイメージが強い会社ですが、壁紙も自社で製造・販売している、という位置づけです。
売上や従業員数は、そのままでは比べられない
ここまでの数字を並べると、会社の大きさを比べたくなります。ただ、4社の数字はそろった条件で載っているわけではありません。
サンゲツは連結の数字、東リは連結と個別の両方、シンコールは連結・個別の記載がなく、リリカラは売上高そのものを会社概要に載せていません。数字の時点も、2024年3月期から2026年3月期までばらついています。従業員数も、「従業員(連結)」「従業員数」「社員数」と呼び方が違います。
そのうえ、どの会社も壁紙だけを売っているわけではありません。サンゲツにはエクステリアや空間づくりの事業があり、リリカラには不動産の事業があり、東リは床材が業務内容の先頭に来ています。会社全体の売上が大きいことは、壁紙の売上が大きいことと同じではありません。会社の規模は「どんな会社か」をつかむ手がかりにはなりますが、壁紙の良し悪しを比べる物差しにはならない、と考えておくのが安全です。
住宅の壁紙は、業者を通して選ぶのが基本
会社の形はそれぞれですが、壁紙の売り方には似たところもあります。リリカラは、インテリア事業の主要得意先として、全国200余の特約代理店や、全国の内装施工業者・インテリア専門店・表具店などを挙げています(出典:リリカラ「基本情報」)。シンコールも、主要販売先に内装業者を挙げています(出典:シンコール「会社概要」)。
つまり、住宅の張り替えで使う壁紙は、多くの場合、施主がメーカーから直接買うのではなく、内装業者を通して選び、施工されます。実際の張り替えでも、業者が持ってくる見本帳の中から色や柄を選ぶのが一般的です。メーカーの違いを調べる目的も、「どのメーカーから買うか」を決めることより、「業者が持ってきた見本帳を、どういう目で見ればよいか」を知ることにある、と考えると整理しやすくなります。
見積書に見慣れないメーカー名があっても、それだけで心配しなくてよい
「サンゲツは聞いたことがあるけれど、見積書に書かれていたのは別の会社だった」という場面もあるかもしれません。知らない名前だと、品質が落ちるのではないかと気になるものです。
この記事で見た4社は、いずれも創業または設立から50年以上がたっていて、会社概要に資本金や事業内容を公開している会社です。少なくとも、名前を聞いたことがあるかどうかだけで、品質や信頼性を判断する必要はありません。4社以外のメーカーの名前が書かれていた場合も、名前を知っているかどうかで良し悪しを決めず、次に挙げるグレードや機能を業者に確かめてみてください。
気になるなら、メーカー名の代わりに「この壁紙は量産クロスですか、1000番台ですか」「何か機能は付いていますか」と聞いてみてください。次の章で見るように、壁紙の性能を見るうえで手がかりになるのは、メーカーの名前よりも、グレードとどんな機能が付いているかのほうです。
機能性壁紙は、同じ名前でも各社の示し方が違う

会社の形の次に違いが見えるのが、機能性壁紙の案内の仕方です。ここでは、公式サイトで機能やお手入れの案内を確かめられたサンゲツ・リリカラ・シンコールの3社について見ていきます。
先にお伝えしておくと、ここで見るのは「どの社の汚れ防止がよく落ちるか」という性能の比較ではありません。各社が、自社の機能をどんな基準で、どこまで効くものとして説明しているか、という示し方の違いです。
キズや汚れへの強さには、業界共通の試験がある
サンゲツの「機能性壁紙ガイド」を見ると、キズに強い壁紙のうち「表面強化」について、「壁紙工業会規定『表面強化壁紙性能試験』に適合」「荷重200g・5往復(4級以上)」と書かれていて、これを「壁紙業界の統一基準」と説明しています(出典:サンゲツ「機能性壁紙ガイド」)。
リリカラも、自社の機能について説明する中で「壁紙業界規格の『表面強化(4〜5級)』」という言葉を使っています(出典:リリカラ「壁紙機能性ガイド」)。
つまり、「表面強化」や、このあと見る「汚れ防止」といった機能には、壁紙工業会の規定による、メーカーの枠を超えた業界共通の試験と等級があります。メーカーの名前ではなく、「どの試験に適合しているか」を見れば、同じ試験に適合したもの同士は、別々のメーカーの商品でも同じ物差しで比べられる、ということです。
サンゲツは「適合」「準拠」「自社試験」を書き分けている
サンゲツの「機能性壁紙ガイド」は、「汚れに強い壁紙は?」という同じ項目の中で、3つの機能を並べています。そして、それぞれが拠っている試験を書き分けています(出典:サンゲツ「機能性壁紙ガイド」)。
- 汚れ防止:壁紙工業会規定「汚れ防止壁紙性能試験」に適合。表面にフィルムをラミネートし、試験結果が5段階中4級以上
- ウレタンコート:壁紙工業会規定「汚れ防止壁紙性能試験」に準拠
- 撥水:自社オリジナル試験「撥水性能評価試験」に適合
同じ「汚れに強い」の中でも、業界の試験に「適合」しているもの、業界の試験に「準拠」しているもの、自社の試験に適合しているもの、という段差があるわけです。見本帳でマークが並んでいると同じように見えますが、根拠にしている試験は同じではありません。
リリカラは、自社の機能が業界規格に届かないことを明記している
リリカラの「壁紙機能性ガイド」には、「表面強度アップ」という機能があります。これについて同社は、「表面強度アップは一般ビニル壁紙に比べ、キズに強い特長がありますが、壁紙業界規格の『表面強化(4〜5級)』の性能には至りません。表面強度アップ品は概ね3〜4級レベルに該当します」と書いています(出典:リリカラ「壁紙機能性ガイド」)。
リリカラは、自社商品の機能について、業界規格との差を自ら数字で示している、ということです。「キズに強い」と書かれていても、業界規格の表面強化なのか、それより一段手前の機能なのかで意味が変わります。
同じガイドでは、汚れに強い機能を「油汚れなら」「水汚れなら」「ダスト汚れなら」と汚れの種類で分け、キズ・油汚れに強いエバール®フィルム加工のもの、臭い・水汚れに強いPPフィルム加工のもの、ホコリがつきにくいものを、それぞれ別の機能として案内しています(出典:同上)。汚れの種類から選ぶ、という示し方です。
シンコールは、汚れ防止壁紙の限界をお手入れの案内に書いている
シンコールは、壁紙のお手入れのページで、汚れ防止壁紙の注意事項としてこう書いています。「汚れ防止壁紙は、突発的な汚れに適した壁紙です。タバコのヤニや、時間が経ったしつこい汚れなどを完全に拭き取ることは困難です」(出典:シンコール「壁紙のお手入れについて」)。
同じページでは、防かび壁紙についても「防かび壁紙だけで、家の構造や生活環境によっては、かびの発生を防げません。常にお部屋の換気を心掛けることが大切です」としています(出典:同上)。シンコールは、機能の名前から期待しがちなことと実際にできることの境目を、お手入れの案内の中で先に示しています。汚れ防止壁紙の規格の試験がどの汚れを対象にしているか、どこまで落ちるかは、壁紙の汚れ防止はどこまで落ちる?規格の試験は4つの汚れだけ、油汚れ・ヤニ・手垢は対象外で詳しく解説しています。
防カビは、サンゲツの見本帳ではほとんどの商品に付いている
もう一つ、各社の案内を並べると見えてくるのが防カビの扱いです。サンゲツとリリカラの機能性ガイドには、キズ・汚れ・消臭・ひび割れ・ウイルスやアレル物質などの分類はありますが、かびの分類はありません(出典:サンゲツ「機能性壁紙ガイド」、リリカラ「壁紙機能性ガイド」)。
サンゲツの現行の見本帳を見ると、量産品の「Wallcoverings 2025-2027」では防カビが「掲載品全点」とされ、1000番台の「FINE 2023-2026」にも「壁紙はほとんどの商品に防かび性能があります」と書かれています(出典:サンゲツ「Wallcoverings 2025-2027」、サンゲツ「FINE 2023-2026」)。サンゲツでは、防カビがほとんどの商品に付いているために、「機能から探す」ページの分類の軸になっていないと読めます。
「防カビの壁紙にしたいので、防カビに強いメーカーを選ぶ」という考え方は、少なくともサンゲツの見本帳については当てはまりにくいと言えます。見本帳の記載と、メーカーが防カビの限界をどう書いているかは、防カビ壁紙は選んで買うもの?サンゲツの量産品は掲載品全点が防カビ、メーカーは「壁紙だけでは防げない」と明記で詳しく解説しています。
3社を並べて分かること
サンゲツは試験の根拠を書き分け、リリカラは業界規格との差を数字で書き、シンコールは限界をお手入れの案内に書いています。示し方は違いますが、3社とも、機能の名前だけでは分からない根拠や限界を、それぞれの形で補足しています。
ですから、見本帳で機能を見るときは、メーカー名よりも「この機能は、何の試験に適合しているのか」「この汚れに効くものなのか」を確かめるのが近道です。業者に聞くなら、「工業会の規定に適合した品番ですか」と一言添えるだけでも、答え方でその商品の位置づけが分かります。ただし、汚れ防止の規格の試験には、キッチンの油汚れは含まれていません。油汚れが気になる場所なら、あわせて「油汚れ向けとして案内されている商品ですか」と聞いてみてください。
「量産クロス」「1000番台」はグレードの呼び方、見本帳の名前は各社で違う
壁紙を調べていると、メーカー名と並んで「量産クロス」「1000番クロス」という言葉もよく出てきます。これはメーカーの違いではなく、ビニールクロスの中での価格帯と品ぞろえの違い、つまりグレードの呼び方で、業界で広く使われています。
量産クロスと1000番台は、メーカーの違いではなくグレードの違い
リリカラは、ビニル壁紙のカタログを「量産タイプ」と「1000番台」に分けて説明しています。量産タイプは「ベーシックな商品が多く、お求めやすい価格帯」、1000番台は「量産カタログよりも色や柄が豊富で“キズや汚れに強い”といった機能性も備えている壁紙も多く収録」しているとされています(出典:リリカラ「壁紙(クロス)の選び方【準備編】」)。前の章で見た汚れ防止のような機能性壁紙も、多くは1000番台の見本帳に収められています。
見積書でメーカー名と並んで「量産」「1000番台」のどちらかが書かれていれば、それがその壁紙のグレードです。量産クロスと1000番クロスの価格差や、部屋ごとの選び分け方は、量産クロスと1000番クロスの違い|価格差は6畳で約1万円、部屋ごとの選び分け方で詳しく解説しています。
見本帳の名前は、会社ごとに違い、数年ごとに入れ替わる
一方で、見本帳(カタログ)の名前は会社ごとにばらばらです。たとえばリリカラの機能性ガイドでは、同じ機能の商品を探す先として「LIGHT」「V-wall」「WILL」「BASE」といった見本帳の名前が並んでいます(出典:リリカラ「壁紙機能性ガイド」)。ほかの会社も、それぞれ独自の名前を付けています。
見本帳は数年ごとに新しい版に入れ替わり、そのたびに品番も変わります。この記事で各社の見本帳の名前や品番を一覧にしないのは、そのためです。今の時点で書いても、しばらくすると古くなってしまいます。
気になる壁紙があれば、見本帳の名前ではなく、品番とメーカー名を控えておくのが確実です。見積書に品番が書かれていれば、メーカーのサイトで品番を検索して、その壁紙の機能や素材を確かめることもできます。
「どこが一番いいか」より、見本帳を開く前に決めておくこと
ここまで見てきたように、メーカーの違いは会社の形と示し方に表れていて、「この会社の壁紙だから安心」「この会社は避けたほうがいい」という優劣を、メーカー名だけで決めることはできません。では、張り替えの壁紙を選ぶときに何を考えればよいのか。見本帳を開く前に決めておきたいことを整理します。
その部屋で気になっていることを、先に言葉にしておく
いちばん役に立つのは、「この部屋で気になっていること」を先に決めておくことです。
- キッチンの周りなら、油はねや調味料の汚れが気になるのか
- 廊下や玄関なら、手が触れる跡や、物をぶつけたときのキズが気になるのか
- トイレや洗面所なら、水はねやにおいが気になるのか
- リビングや寝室なら、落ち着いた質感や色合いを優先したいのか
これが決まっていれば、業者に「キッチンの壁は油汚れが気になるので、汚れに強いものを見たい」と伝えるだけで、見本帳の中から候補を絞ってもらえます。先ほど見たように、リリカラは汚れの種類から機能を選べる形で案内していますし、サンゲツも機能ごとに商品を探せるページを用意しています。気になっていることが言葉になっていれば、どのメーカーの見本帳を開いても探し方は同じです。
反対に、特に気になっていることがない部屋まで、無理に機能性壁紙を選ぶ必要はありません。量産クロスのままでも、居室として困ることはまずありません。
見本帳の小さなサンプルは、壁一面では明るく淡く見えることがある
見本帳で色や柄を選ぶときに知っておきたいのが、小さなサンプルで見た色は、壁一面に貼ると明るく淡く見えることがある、ということです。リリカラも、小さいサンプルで暗い・濃いと感じる商品が、大きいサンプルで見ると思ったより明るく・淡く見えることがある、と説明しています(出典:リリカラ「壁紙(クロス)の選び方【準備編】」)。迷ったら少し濃いめを選ぶ、というのが一つの目安です。一部の面だけ色を変える場合の選び方は、アクセントクロスの失敗例は3つ|面積は壁の2〜3割・色は3色まで、見本帳は少し濃いめを選ぶでも詳しく解説しています。
小さなサンプルでは判断しにくい場合は、メーカーのショールームで実物を見る方法もあります。リリカラも、ショールームで大きなサンプルを見て確認することを勧めています(出典:リリカラ「壁紙(クロス)の選び方【準備編】」)。サンゲツとリリカラは会社概要にショールームの所在地を載せていて(出典:サンゲツ「企業概要」、リリカラ「基本情報」)、東リとシンコールも自社サイトにショールームの案内を設けています。当店にご相談いただいた方の中にも、ショールームで実物を見て柄を決めた方がいます。
なお、大きなサンプルを個別に取り寄せる場合は、手数料がかかったり、取り寄せ自体を断られたりすることもあります。見本帳で迷ったら、まずは業者に相談してみるとよいでしょう。
見積もりは、メーカー名ではなく総額と中身で比べる
複数の業者から見積もりを取った場合、書かれているメーカーが違うことがあります。最初の見積もりではメーカー名や品番がなく、グレードだけで金額が出ていることもあります。そのときも、メーカー名で比べるより、総額と、その中に何が含まれているか(どのグレードの壁紙か、何㎡か、下地処理や家具の移動は含まれているか)で比べるほうが確実です。
同じメーカーでも、量産クロスか1000番台かで金額は変わります。見積書でメーカーより先に確かめたいのは、グレードと面積、そして含まれている作業のほうです。見積書のどこを見ればよいかは、クロス張り替えの見積書チェックポイント7選|追加費用で後悔しないための確認事項で詳しく解説しています。
まとめ:メーカー名で決めず、気になっていることから選ぶ
ここまで、壁紙メーカー4社の違いを見てきました。
- サンゲツ・リリカラ・シンコール・東リの違いは、メーカー名だけで優劣を決められるものではなく、会社の成り立ち・規模・事業の広がりという会社の形に表れる
- 4社の売上や従業員数は、連結・個別の別や時点がそろっておらず、壁紙以外の事業も含むため、そのままでは比べられない
- キズや汚れへの強さには壁紙工業会が定めた業界共通の試験があり、サンゲツは試験の根拠を書き分け、リリカラは業界規格との差を数字で書き、シンコールは汚れ防止壁紙の限界をお手入れの案内に書いている
- 防カビは、少なくともサンゲツの見本帳ではほとんどの商品に付いていて、メーカー選びの決め手にはなりにくい
- 「量産クロス」「1000番台」は業界で広く使われるグレードの呼び方。見本帳の名前は会社ごとに違い、数年ごとに入れ替わる
- 見本帳を開く前に、その部屋で気になっていることを決めておくと、どのメーカーでも候補を絞りやすい
メーカーの名前は、壁紙を選ぶときの入口の一つにすぎません。張り替えを考えている部屋で何が気になっているのかを書き出して、見積もりや現地調査のときに業者に伝えてみてください。見本帳の中から、その場所に合った壁紙を一緒に絞り込めます。
どのメーカーにするか決めていなくても、張り替えたい部屋で気になっていることが分かっていれば十分です。汚れやキズ、においなど、気になっている点を電話でお聞かせください。現地調査で壁の状態を見たうえで、張り替えの範囲と費用、選べる壁紙をご案内します。見積もり・現地調査は無料です。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
この記事の執筆者

氏名:松田郁幾
実績:壁紙張り替えを中心に、これまで多くのお客様・職人と関わってきました。
この記事について:現場で見聞きした実例をもとに、誇張せず、実践的な視点で解説しています。



