
長く暮らしてきた部屋の壁紙を張り替えるなら、今の白い壁から少しだけ雰囲気を変えてみたい。インテリアの雑誌や写真でよく見かける「くすみカラー」の壁が気になっているけれど、そもそもどんな色のことを言うのか、パステルカラーのような可愛らしい色と何が違うのか、今の床や家具に合うのか、流行りの色を選んで数年で飽きないか。そんな迷いを持っている方もいると思います。
先に結論をお伝えします。くすみカラーとは、鮮やかさ(彩度)を抑え、グレーを含んだような落ち着いた色の総称です。壁紙メーカーのリリカラは「彩度が低く、くすみを含んだグレイッシュな色合いのこと」と説明し、「ダスティカラー」「ニュアンスカラー」とも呼ばれる、と書いています。特定の一色の名前ではなく、グレー系・ベージュ系・ピンク系・ブルー系・グリーン系など、いろいろな色にまたがる呼び方です。ですから、くすみカラーの壁紙を選ぶときは、「くすみカラーにするかどうか」よりも、「どの色のくすみカラーを、どの範囲に使うか」を決めて、見本帳で具体的な色を見比べることが近道になります。
この記事を読むと、次のことが分かります。
- くすみカラーとはどんな色か(「ダスティカラー」「ニュアンスカラー」という別の呼び名と、明るく澄んだパステルカラーとの違い)
- くすみカラーに含まれる色の例(グレージュ・くすみピンク・くすみグリーンなどの色相と、メーカーによって「くすみカラー」という呼び方の扱いが違うこと)
- 見本帳と壁一面での見え方の違い(色そのものは見本より明るく淡く見えることがあるので、迷ったら少し濃いめを選ぶ/照明が白っぽい光か橙色の光かでも印象が変わる)
- 量産品で選べる色か、1000番台まで見るか(グレー・ベージュ寄りのくすんだ中間色は量産品にもあること、色味がはっきりした色は見本帳で確かめること)
- 1面だけ(アクセントクロス)に使うか、部屋全体に使うか(メーカーが勧める使い分けと、濃いめの色で気をつけたいこと、天井も一緒に張り替えるかの考え方、迷っているときの見積もりの取り方)
読み終えるころには、「くすみカラーが気になるけれど、何から決めればいいか分からない」という迷いが、「この部屋のこの範囲を、グレー寄り(あるいはベージュ寄り)のこのくらいの色にしたい」という具体的な相談に変わっているはずです。
くすみカラーの壁紙が今の床やドアに合うか、どの色をどの範囲に使うか迷っている方は、電話でお尋ねください。お部屋の様子やご希望の雰囲気を伺ったうえで、見本帳を使った選び方をご案内します。見積もり・現地調査は無料です。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
くすみカラーとは?彩度を落とした、グレイッシュで落ち着いた色の総称
「くすみ」と聞くと、汚れて色がくすんだ状態を思い浮かべる方もいるかもしれません。インテリアの色の話でいう「くすみカラー」は、そうした汚れの意味ではなく、色そのものの性格を表す言葉です。まずは、どんな色を指すのかを確かめておきます。
「ダスティカラー」「ニュアンスカラー」とも呼ばれる
リリカラは、くすみカラーの壁紙を集めた特集ページで、「くすみカラーとは彩度が低く、くすみを含んだグレイッシュな色合いのことです。「ダスティカラー」や「ニュアンスカラー」ともいわれます」と説明しています。続けて、「やわらかく落ち着いたトーンで上品な印象になり、様々な場面で取り入れやすいのが人気の理由です」と書いています(出典:リリカラ公式オンラインストア「【保存版】くすみカラー壁紙(クロス)特集|アクセントクロスに取り入れておしゃれな空間に」)。
彩度とは、色の鮮やかさのことです。鮮やかな色は、色そのものの主張が強く、壁一面に使うと部屋の印象をその色が大きく決めてしまいます。くすみカラーは、色みは残しながら、グレーを含んだように鮮やかさが抑えられているので、主張がやわらぎます。白い壁から少し雰囲気を変えたいけれど、派手にはしたくない、という張り替えの場面で候補に挙がりやすいのは、この性格のためです。
別の呼び名の「ニュアンスカラー」について、リリカラは別のページで、「「ブルーグレー」や「セージグリーン」など彩度が低く、くすみがかった深みのある色合いのことです」と説明しています。同じページでは、似た言葉の「ニュートラルカラー」を、白・黒・グレーなどの彩度のない色や、それに近いアイボリー、ブラウンなどの色を指す言葉として紹介し、「ニュートラルカラーは空間の基礎として、ニュアンスカラーは個性を添えるアクセントとして使い分けるのがおすすめです」と書いています(出典:リリカラ「暮らしに溶け込む、ニュートラルカラー壁紙(クロス)の魅力」)。
検索や見本帳では、「くすみカラー」「ニュアンスカラー」「ダスティカラー」のどの呼び方でも、だいたい同じような落ち着いた色に行き当たります。ただし、呼び方に厳密な決まりがあるわけではないので、名前よりも、実際の色を見て「このくらいのグレーの混ざり方」「もう少し色みがあるもの」と伝えるほうが、思い描いている色に近づけます。
パステルカラーとの違い|どちらも鮮やかさは控えめ、パステルは明るく澄んだ色
くすみカラーと並べて語られることが多いのが、パステルカラーです。リリカラは、先ほどのくすみカラーの特集ページの中で、パステルカラーを別のグループとして取り上げ、「明度が高く、彩度が低い淡く澄んだペールトーンカラー。やさしく若々しい印象で、ミルキーな雰囲気のかわいらしい壁紙です」と説明しています。勧めている使い方は、「子ども部屋や部屋の一角のキッズスペースなど」です(出典:リリカラ公式オンラインストア「【保存版】くすみカラー壁紙(クロス)特集|アクセントクロスに取り入れておしゃれな空間に」、前出)。
明度とは、色の明るさのことです。2つの説明を並べると、パステルカラーも、くすみカラーも、どちらも鮮やかさ(彩度)は低い色として説明されています。違いは、パステルカラーが「明るく澄んだ」色として、くすみカラーが「くすみを含んだグレイッシュな」色として説明されている点です。同じように淡い色に見えても、澄んだパステル寄りの色は若々しく、かわいらしい印象に、グレーを含んだくすみ寄りの色は落ち着いた、大人っぽい印象に寄っていきます。
ですから、「子どもっぽくならないか」が気になるなら、見本帳で淡い色を見るときに、澄んだ明るさの色なのか、少しグレーやベージュが混ざった色なのかを見比べてみてください。2〜3枚を並べると、その違いは分かりやすくなります。
くすみカラーに含まれる色の例|グレー系・ベージュ系・ピンク系・グリーン系など
くすみカラーは、特定の一色の名前ではありません。どの色にも「鮮やかさを抑えた、くすんだ側」があり、それぞれがくすみカラーの仲間になります。どんな色があるのかと、メーカーによる呼び方の違いを見ていきます。
色相ごとの代表例(グレージュ・くすみピンク・くすみグリーンなど)
リリカラの特集ページでは、くすみカラーの壁紙が、印象ごとにいくつかのグループに分けて紹介されています(出典:リリカラ公式オンラインストア「【保存版】くすみカラー壁紙(クロス)特集|アクセントクロスに取り入れておしゃれな空間に」、前出)。
- 春色くすみカラー:アイボリー、グレイッシュなピンク、空の色のようなブルー。「グレイッシュな印象が強く、すっきりとした優しいインテリアにおすすめです」
- 秋色くすみカラー:なじみやすいブラウン、コンクリートのような雰囲気のクールな色、モスグリーン。「こっくりとした、秋を思わせる濃いめのカラーバリエーション」
- 大人かわいいくすみカラー:カフェラテのような優しいベージュ、それより少し濃いベージュ、上品なパープル。「彩度が低めで、ベージュ感を感じられるくすみカラー」
同じページのまとめでは、「くすみカラーと一言に言っても、グレー系・ベージュ系、壁紙の質感やくすみ具合などによって印象が全然変わってきます」と書き、「すっきりとしたくすみカラーがお好きな方は、よりグレイッシュなものを、あたたかみのあるくすみカラーがお好きな方は、少しベージュがかったものを参考に選ぶことをおすすめします」とまとめています(出典:同上)。淡い色も濃い色も、ピンクもブルーもグリーンも含まれる、幅の広い呼び方だということが分かります。
張り替えでくすみカラーを考えるときは、まず、どの色相が気になっているかを決めると、見本帳を見る範囲が絞れます。代表的な色相ごとの特徴は、次のように整理できます。
グレーとベージュの間にあるグレージュは、くすみカラーの中でも、張り替えで候補に挙がりやすい色の一つです。同じグレージュでも、ベージュに寄せた色からグレーに寄せた色、明るいものから濃いものまで幅があります。床との合わせ方や、部屋全体に使うときのトーンの選び方は、グレージュの壁紙の選び方|床との合わせ方と、部屋全体なら明るめ・見本は照明の下で確かめるで詳しく整理しています。グレージュよりもグレーの側に寄せて、グレーの壁紙そのものを考える場合の床との合わせ方や、部屋全体なら淡い色合いのグレーから選ぶ考え方は、グレーの壁紙の選び方|床との合わせ方と、部屋全体なら淡い色から・見本は壁に当てて確かめるでまとめています。
ピンクにも、グレーやベージュが混ざって甘さを抑えた「くすみピンク」「ピンクベージュ」と呼ばれる色があります。リリカラは、先ほどの春色のグループのグレイッシュなピンクを、部屋の一面などのアクセントクロスとして勧めています(出典:同上)。子ども部屋のようにならないか、床と合うかといった、大人の部屋にピンクを取り入れるときの選び方は、ピンクの壁紙は大人の部屋に合う?くすみピンクの選び方|床との合わせ方と、見本は壁に当てて確かめるで詳しく整理しています。
グリーンにも、灰色を少し混ぜたような「くすみグリーン」や、ハーブのセージの葉のような「セージグリーン」と呼ばれる淡い色から、秋色のグループにあるモスグリーンのような濃い色まであります。淡いグリーンと濃いグリーンでの印象の違いや、床との合わせ方は、グリーンの壁紙の選び方|淡い色と濃い色の違い、床の色との合わせ方、1面か部屋全体かの決め方で詳しく整理しています。
このほか、リリカラがニュアンスカラーの例に挙げているブルーグレーのような、くすみのあるブルーもあります。紫にも、リリカラの大人かわいいグループにあった上品なパープルのように彩度を落とした色があり、鮮やかな紫との違いや床との合わせ方はパープル(紫)の壁紙の選び方|くすみパープルと鮮やかな紫の違い、床との合わせ方、1面か部屋全体かの決め方で、灰色がかった落ち着いたオレンジを「くすみオレンジ」と呼ぶこともあるオレンジ系の選び方はオレンジの壁紙は派手になりすぎない?赤系と並ぶリリカラのストアでの探し方と、床との合わせ方・1面か部屋全体かの決め方で扱っています。色相ごとの選び方の細かい点は、それぞれの色によって違います。この記事では、色相にかかわらず、くすみカラーを選ぶときに共通して気をつけたいことを中心に見ていきます。
「くすみカラー」という呼び方は、メーカーによって扱いが異なる
「くすみカラー」は、壁紙メーカー共通の決まった分類名ではありません。リリカラは、くすみカラーを分類の名前として使い、くすみカラーの壁紙だけを集めた特集ページを設けています。一方で、ほかのメーカーでは、「グレージュ」「ベージュ」「グレー」「ブルーグレー」のように、色相の名前で紹介するのが一般的です。たとえばサンゲツは、グレージュの壁紙を取り上げたページを設けており、そこでは「くすみカラー」という分類ではなく、グレージュという色相の名前で紹介しています(出典:サンゲツ「グレージュの壁紙でシンプル&おしゃれなお部屋に! おすすめコーディネートを紹介」)。
そのため、ほかのメーカーの見本帳で「くすみカラー」という名前の欄を探しても、見つからないことがあります。見本帳で探すときは、「くすみカラー」という名前ではなく、グレー、ベージュ、ピンク、グリーンといった色の欄の中から、鮮やかさを抑えた、グレーがかった色を探していくことになります。問い合わせのときも、「くすみカラーの壁紙」とだけ伝えるより、「グレー寄りのくすんだベージュ」「くすんだピンク」のように、色相を添えて伝えたほうが、近い色の載った見本帳を用意してもらいやすくなります。
見本帳と壁一面に貼ったときの見え方の違い

くすみカラーは、わずかなグレーの混ざり方や明るさの差で印象が変わる色です。そのぶん、見本帳の小さな見本で見たときと、壁一面に貼ったときとで、印象が変わったと感じやすい色でもあります。リリカラも特集ページのまとめで、「くすみカラーの色味はブラウザ上で表現することが難しいので、是非サンプルで実物を見て、絶妙な色差を感じてみてください」と書いています(出典:リリカラ公式オンラインストア「【保存版】くすみカラー壁紙(クロス)特集|アクセントクロスに取り入れておしゃれな空間に」、前出)。写真や画面で見た色をそのまま頼りにせず、実物の見本で確かめることが前提になります。
色そのものは見本より明るく淡く見えることがある。迷ったら少し濃いめを選ぶ
サンゲツは、壁紙選びのポイントとして「カタログで見るより実際の仕上がりは明るく、淡く見えることがあります。なるべく大きなサンプルで確かめましょう」と書いています(出典:サンゲツ「壁紙選びのポイント」)。色そのものは、見本で見るより壁一面に貼ったときのほうが、明るく淡く見えることがあるということです。
くすみカラーでは、この見え方の違いが特に気になりやすくなります。もともと鮮やかさを抑えた色なので、見本で「ほどよいグレーのピンク」「落ち着いたベージュ」と思った色が、壁一面では白っぽく、色みがほとんど分からなく見えることがあります。せっかくくすみカラーにしたのに、貼ってみたら白い壁とあまり変わらなかった、と感じることがあるのは、この見え方の違いのためです。
張り替えの現場では、見本帳で同じ系統の色の濃さに迷ったときは、少し濃いほうを選ぶとよい、とよく言われます。これは、同じ系統で濃さの違う2つの候補のうち、濃いほうを選ぶという意味です。
一方で、部屋全体の印象は、色そのものの見え方とは別の話です。色そのものは見本より淡く見えることがあっても、グレーを含んだ落ち着いた色を4面すべてに使えば、部屋全体としては、白い壁より落ち着いた、少し暗めの印象になることがあります。濃いめのくすみカラーならなおさらです。どの範囲に使うかは、この後の「1面だけか、部屋全体か」の章で考えます。
小さな見本だけで決めきれないときは、大きなサンプルを取り寄せられるかを業者に聞いてみる方法もあります。ただし、取り寄せには手数料がかかったり、対応していなかったりすることもあるので、見積もりのときに確かめてみてください。見本と壁一面で色の見え方が違う理由や、見本帳の見方、サンプルの取り寄せ方は、壁紙のサンプルと実際の色はなぜ違う?メーカーが説明する「面積効果」と、見本帳の見方・サンプルの取り寄せ方で詳しく整理しています。
照明の色(白っぽい光か、橙色の光か)でも印象が変わる
色の見え方は、光によっても変わります。くすみカラーは、グレーやベージュが混ざった中間的な色なので、照明の色によって、グレーの側が強く見えたり、ベージュや赤みの側が強く見えたりすることがあります。昼間に窓からの光で見て「すっきりしたグレー寄り」と思った色が、夜に橙色がかった照明をつけると、思っていたより温かみのある色に見える、ということが起こり得ます。
張り替えでは、今の部屋の照明をそのまま使うことが多いので、確かめやすい条件がそろっています。見本は机の上で眺めるのではなく、貼る予定の壁に当てて、昼の窓からの光と、夜に照明をつけたときの両方で見てみてください。その部屋の照明が白っぽい光か、橙色がかった光かを考えに入れておくと、貼ってからの「思っていた色と違う」を減らせます。ショールームや明るい窓辺で見た印象と、自分の部屋の照明の下での見え方は違うことがあります。ショールームの照明と自分の部屋の照明の違いや、照明の色による見え方の確かめ方は、壁紙のショールームでできること|予約の要否・持っていくもの・照明の違いと、決めた柄の活かし方で詳しく整理しています。
気になる候補が2つ3つに絞れたら、それぞれを同じ壁に並べて当て、その部屋を主に使う時間帯の光で、特に念入りに見比べておくと安心です。
量産品で選べる色か、グレードを見ておくべきか
張り替え用の壁紙には、量産品と呼ばれる標準的なグレードと、1000番台と呼ばれる、色や柄の選択肢が多いグレードがあります。くすみカラーを選ぶときに、量産品の中から選べるのか、1000番台まで見たほうがよいのかは、どの色を選びたいかによって変わります。
量産品の見本帳は、白系統の色が多く並んでいます。それでも、グレーやベージュに寄ったくすんだ中間色は、量産品の中にもあります。グレージュのような、グレーとベージュの間の落ち着いた色を部屋全体に使いたいのであれば、まず量産品の見本帳から候補を探してみる方法があります。
一方で、ピンクやブルー、グリーンのように色みがはっきりしたくすみカラーは、量産品の中にどのくらいあるかが色やメーカーによって違います。たとえばグリーン系は、サンゲツの量産品「SP」の見本帳では多くありません。気になる色が量産品の見本帳で見つからないときは、1000番台の見本帳まで広げて見ると、候補が見つかりやすくなります。どの色がどのグレードにあるかは、見本帳ごとに違うので、実際の見本帳で確かめてください。
気に入った色が1000番台の品番なら、量産品との差額が加わります。量産品と標準的な1000番台の差は、1㎡あたり数百円ほどが一般的ですが、1000番台の中にも定価の高い品番があるので、品番ごとに確かめてください。部屋全体に使えば、その差額が4面分の面積にかかり、1面だけに使うなら、差額がかかるのはその1面の面積分だけです。グレードごとの違いと費用の差は、量産クロスと1000番クロスの違い|価格差は6畳で約1万円、部屋ごとの選び分け方で詳しく整理しています。
見本帳は、業者が現地調査のときに持ってきてくれるのが一般的です。「グレー寄りのくすんだ色を、まず量産品から見たい」「くすんだピンクを見たいので、1000番台の見本帳も見たい」のように、気になる色相とグレードの希望を問い合わせの段階で伝えておくと、その系統の色が載っている見本帳を持ってきてもらいやすくなります。
1面だけ(アクセントクロス)か、部屋全体か

くすみカラーを使う範囲は、大きく分けて、1面だけに使う方法と、部屋全体に使う方法があります。どちらが正解ということはなく、どのくらい部屋の雰囲気を変えたいか、どのくらいの明るさを保ちたいかで向き不向きが分かれます。
メーカーが勧めている使い分けを見ると、色によって向いている範囲が違います。リリカラの特集ページでは、春色のグループのアイボリーは「メインクロス」(部屋の基本になる壁紙)に、グレイッシュなピンクや空の色のようなブルーは「お部屋の一面やニッチなどのアクセントクロスとして取り入れて頂くのがおすすめです」と書いています。秋色のグループの濃いめの色も、「寝室・リビングなどの居住スペースにアクセントクロスとして取り入れ、落ち着いた空間を演出するのがおすすめです」としています。一方で、大人かわいいグループのベージュ系は「全面使いであたたかな空間を演出します」と書いています(出典:リリカラ公式オンラインストア「【保存版】くすみカラー壁紙(クロス)特集|アクセントクロスに取り入れておしゃれな空間に」、前出)。アイボリーやベージュのような落ち着いた色は部屋全体に、色みがはっきりした色や濃い色は1面に、という分け方は、範囲を決めるときの一つの目安になります。先ほど触れた、ニュートラルカラーを空間の基礎に、ニュアンスカラーをアクセントに、というリリカラの考え方とも重なります。
1面だけなら、残りの面が白やアイボリーのまま残るので、部屋全体が暗くなりすぎる心配が小さくなります。くすみカラーを初めて取り入れる方や、流行りの色を選んで飽きないかが気になる方にとっては、試しやすい方法です。1面だけにしておけば、あとから気持ちが変わったときも、張り直すのはその1面で済みます。ただし、あとから1面だけを貼り直す工事にも最低料金がかかり、何年かたってから1面だけを新しく貼ると、隣の面は年数がたった壁紙なので、色の差が出ることがあります。反対に、とても淡いくすみカラーを白い壁の中の1面だけに使うと、まわりの壁との差が小さく、アクセントとしては目立ちにくいことがあります。1面に使うなら、まわりの壁との違いが分かる濃さかどうかも、見本を壁に当てて確かめておきましょう。どの壁を選ぶか、どのくらいの面積にとどめるかといった、1面だけ色を変えるときの考え方とよくある失敗は、アクセントクロスの失敗例は3つ|面積は壁の2〜3割・色は3色まで、見本帳は少し濃いめを選ぶで詳しく整理しています。
部屋全体に使う場合は、前の章で触れた明るさを先に考えておきましょう。白い壁より落ち着いた、少し暗めの印象になるかもしれないことを前提に、その落ち着きを好ましいと感じられるかで考えるとよいでしょう。窓が小さい部屋や北側の部屋のように、もともと暗く感じやすい部屋では、明るめの色から候補を探し、なるべく大きな見本で、夜の照明の下でも暗く感じないかを確かめておくと安心です。天井の色も考えておきたいところです。サンゲツは、「①床→②壁→③天井の順に、上にいくほど明るくすると天井が高く広く感じられます」と書いています(出典:サンゲツ「壁紙選びのポイント」、前出)。壁をくすみカラーにするなら、天井は壁より明るい白にしておくと、圧迫感を抑えやすくなります。ただ、長く住んだ部屋では天井の壁紙も年数がたって色が変わっていることがあり、壁だけが新しくなると、天井の古さがかえって目立つこともあります。天井を白で一緒に張り替えるかどうかも、あわせて考えておくとよいでしょう。天井を壁と同時に張り替える場合と、後から天井だけを頼む場合とで費用のかかり方がどう違うかは、クロス張り替えで天井もやるべき?壁と同時なら追加2万円、後回しは割高になる理由で詳しく整理しています。
1面だけに使う場合も、ほかの壁や家具との組み合わせで気をつけたいことがあります。サンゲツは、アクセントクロスの選び方を説明するページで、色の鮮やかさについて「お部屋全体の統一感を損なわないためにも、高彩度と低彩度の壁紙が混在しないように注意しましょう」と書いています(出典:サンゲツ「アクセントクロスとは? 効果やメリット、選び方を徹底解説」)。くすみカラーを1面に使うなら、ほかに色のある壁紙を使う場所でも、鮮やかな色ではなく、同じように鮮やかさを抑えた色を合わせると、部屋の中で浮きにくくなります。家具やカーテンの色も、壁紙と一緒に考えておくとまとまりやすくなります。リリカラは、春色のグループの壁紙には「ホワイトやアイボリー、明るめのウッド調のものなど明度の高いもの」を、秋色のグループのような濃い色味の壁紙には「黒やアイアン調の家具」を合わせることを勧めています(出典:リリカラ公式オンラインストア「【保存版】くすみカラー壁紙(クロス)特集|アクセントクロスに取り入れておしゃれな空間に」、前出)。床やドア、これからも使う家具の色をスマートフォンで写真に撮っておくと、見本帳を見るときに見比べられるだけでなく、問い合わせのときに写真を見せながら相談できます。床の色ごとに合う壁紙の基本色や、色の数の抑え方といった、色選び全体の考え方は、壁紙の色の選び方は床とドアの色が基準|グレー・ベージュ・白の合わせ方と見本帳での4つの確認で詳しく整理しています。
濃いめのくすみカラーを選ぶときは、仕上がりの見え方にも気をつけておきたい点があります。リリカラは、秋色のグループの説明の中で、「一般的に濃いめのカラーの壁紙はひっかきキズや、糊の拭き残しが目立ちやすい商品です」と書いています(出典:同上)。この記述は自分で張る場合の注意として書かれたものですが、濃い色では傷や糊の跡が目立つ場合がある、という点は、張り替えを頼む場合にも、仕上がりを確かめるときの手がかりになります。濃いめの色を選んだときは、張り替えが終わって仕上がりを見るときに、窓からの光や照明が斜めに当たる位置からも壁を見ておくとよいでしょう。光る筋や、こすったような跡に気づいたら、その場で職人に伝えて見てもらうと、あとから言い出すより話がしやすくなります。黒のような濃い色の壁紙で、ホコリの目立ち方など住み始めてから気をつけたいことは、黒い壁紙に張り替える前に知りたい3つの注意点|暗さ・ホコリ・色落ちと、部屋全体か1面かの決め方で詳しく整理しています。
1面だけにするか部屋全体にするか迷っているなら、見積もりを頼む段階で「この部屋はくすみカラーも考えている」「この1面だけ色を変えるかもしれない」と伝えておきましょう。壁紙の張り替えは、1面だけの工事でも最低料金がかかり、多くの業者は最低料金を4万〜6万円程度に設定しています。部屋全体を白で張り替えたあとで「やはり1面だけくすみカラーにしたい」と頼み直すと、この最低料金がもう一度かかることになります。白のままの場合、1面だけくすみカラーにする場合、部屋全体をくすみカラーにする場合と分けて金額を聞いておけば、見た目と費用の両方を並べて決められます。
まとめ
くすみカラーの壁紙について、ポイントを整理します。
- くすみカラーは、鮮やかさ(彩度)を抑え、グレーを含んだような落ち着いた色の総称。リリカラは「彩度が低く、くすみを含んだグレイッシュな色合い」と説明し、「ダスティカラー」「ニュアンスカラー」とも呼ばれると書いている
- パステルカラーも鮮やかさは控えめな色だが、リリカラは「明度が高く」「淡く澄んだ」色として、子ども部屋などに勧めている。大人っぽく落ち着いた印象にしたいなら、グレーやベージュが混ざった色を見比べる
- くすみカラーには、グレージュ・ベージュ系、くすみピンク、ブルーグレー、くすみグリーン・モスグリーンなど、いろいろな色相が含まれる。すっきりした印象ならよりグレイッシュなもの、あたたかみを出すなら少しベージュがかったもの(リリカラ)
- 「くすみカラー」はメーカー共通の分類名ではない。リリカラは特集ページを設けているが、ほかのメーカーでは色相の名前で紹介するのが一般的なので、見本帳では色の欄の中から鮮やかさを抑えた色を探す
- 色そのものは、見本より壁一面のほうが明るく淡く見えることがある(サンゲツ)。同じ系統で濃さに迷ったら少し濃いほうを選ぶ。見本は貼る壁に当て、昼の光と夜の照明の両方で、照明が白っぽい光か橙色の光かも考えに入れて確かめる
- グレー・ベージュ寄りのくすんだ中間色は量産品にもある。色みがはっきりした色は、量産品の見本帳で見つからなければ1000番台まで広げ、どのグレードにあるかは見本帳で確かめる
- リリカラの特集ページでは、アイボリーやベージュ系はメインクロスや全面使いに、色みのはっきりした色や濃い色はアクセントクロスに、と紹介されており、範囲を決める目安になる。部屋全体なら白い壁より少し暗めの印象になりうることを前提に考え、もともと暗く感じやすい部屋なら明るめの色から選ぶ。1面なら鮮やかな色と混在させない(サンゲツ)。迷っているなら、見積もりの段階で白のまま・1面だけ・部屋全体の金額を分けて聞いておく。天井の古さが気になるなら、天井も一緒に張り替えた場合の金額もあわせて確かめておく
くすみカラーは、張り替えで白い壁から少し雰囲気を変えたいときに、取り入れやすい色の一つです。まずは、気になっている色相(グレー寄りか、ベージュ寄りか、ピンクやグリーンか)と、1面だけにするか部屋全体にするかの見当をつけ、床やドアの色を確かめてみてください。そのうえで、気になっている色相や迷っている点を添えて、現地調査で具体的に相談してみてください。
くすみカラーの壁紙に張り替えてみたい方は、電話か問い合わせフォームでご相談ください。現地調査のときに、気になる色相のくすみカラーが載った見本帳をお部屋の壁に当てて、床やドアとのなじみ方を見比べながら、1面だけにするか部屋全体にするかを考えられるよう進めます。費用の違いも、見積もりでお伝えします。見積もり・現地調査は無料です。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
この記事の執筆者

氏名:松田郁幾
実績:壁紙張り替えを中心に、これまで多くのお客様・職人と関わってきました。
この記事について:現場で見聞きした実例をもとに、誇張せず、実践的な視点で解説しています。



