
壁紙の張り替えで見本帳を開くと、「珪藻土」と書かれた壁紙が目に入ることがあります。珪藻土といえば、湿気を吸ったり吐いたりする自然素材として知られています。「結露やカビが気になる部屋に、珪藻土の壁紙を選べば効果があるのでは」と考える方もいるでしょう。
結論から言うと、珪藻土の壁紙(珪藻土クロス)にも湿気を吸ったり吐いたりする働きはありますが、左官職人が塗る本物の珪藻土の塗り壁と同じだけの調湿効果は期待できません。壁紙メーカーのサンゲツ自身が、比較データは無いとしたうえで「調湿機能比較では塗り壁が勝ります」と案内しています。理由は、塗り壁は厚みが10mm程度あり、壁紙よりかなり多くの珪藻土を使っているからです。一方で、同じサンゲツは、吸放湿性のビニールクロスと比べれば珪藻土壁紙のほうが調湿性能は高いとも案内しています。つまり珪藻土の壁紙は、「本物の塗り壁には及ばないが、メーカーが調湿タイプの一つとして案内している壁紙」という位置づけです。
選ぶときは、調湿のほかに、汚れが付きやすいこと、水が直接かかる場所には向かないこと、強くこすれないことも知っておく必要があります。
この記事を読むと、次のことが分かります。
- 珪藻土の壁紙とはどんなものか(ロール状の壁紙に珪藻土を使った製品で、本物の塗り壁とは別物であること)
- 調湿効果は本物の塗り壁と何が違うのか(サンゲツの2つのQ&Aの読み方と、「塗り壁が勝る」理由、塗り壁材メーカーの試験データを見るときの注意)
- 珪藻土の壁紙を選ぶときの注意点(汚れやすさ、水がかかる場所、こすらないお手入れ、費用の確かめ方)
- 調湿をもっと重視したいときの選択肢(本物の珪藻土の塗り壁、珪藻土以外の調湿タイプの壁紙、見た目だけ近づける塗り壁風の壁紙)
読み終えるころには、湿気が気になるその部屋にどの仕上げが合いそうか、見積もりのときに何を聞けばよいかが見えてくるはずです。
湿気や結露が気になる部屋の壁紙を、どのタイプにするか迷っている段階でも構いません。気になっている場所と、今の壁の状態を電話でお伝えください。見積もり・現地調査は無料です。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
珪藻土クロス(壁紙)とは、珪藻土を使った壁紙のこと
「珪藻土 壁紙」と調べると、壁紙の商品と、壁に塗る珪藻土の材料が混ざって出てきます。まずは、ここでいう珪藻土の壁紙が何を指すのかを整理しておきます。
ロール状の壁紙に、珪藻土を使っている
珪藻土の壁紙は、ほかの壁紙と同じようにロール状で、職人が壁に貼って仕上げる製品です。サンゲツは、住宅向けの壁紙の素材の一つとして珪藻土を挙げ、商品の例として、珪藻土と天然鉱石を使い「細かな珪藻土を吹き付けたプレーンな仕上がり」のものや、「表面に珪藻土と貝殻の粉末を使用した」ものを紹介しています(出典:サンゲツ「壁紙にはどんな素材がある? 代表的な種類と特長・注意点を解説」)。
同じページでは、この2つの商品について、どちらも防カビ加工が施されていると紹介されています。防カビは、珪藻土とは別に、加工として加えられた機能です。「珪藻土の壁紙なら、どれもカビが生えない」と受け取らないようにしておきましょう。
ビニールクロスのように、ほかの素材の柄を印刷・型押しで再現したものとは、表面に使っている材料そのものが違います。
左官職人が塗る、本物の珪藻土の塗り壁とは別物
もう一つ「珪藻土」と呼ばれるのが、左官職人がコテで珪藻土の材料を塗って仕上げる「珪藻土の塗り壁」です。名前は同じでも、壁紙のほうは工場で作られたロールを貼るもの、塗り壁のほうは現場で材料を塗り重ねて仕上げるもので、工事の種類も職人も違います。
この記事でいう「本物の珪藻土」は、この塗り壁のことです。次の章で見る調湿効果の違いも、この2つの作り方の違いから来ています。なお、珪藻土の壁紙と、ビニールクロス・織物・紙といったほかの素材の壁紙との違いは、壁紙の種類は代表的な4つ|住宅用の約9割はビニールクロス、分からないときの確かめ方で詳しく解説しています。
湿気を吸ったり吐いたりする壁の仕上げには、壁に張るタイルのエコカラットもあります。エコカラットと珪藻土の壁紙・塗り壁との違いや、メーカーが示している調湿の数字の読み方は、エコカラットと壁紙の違いは?1㎡8,900円〜のタイルと壁紙を機能・費用・模様替えで比べるで解説しています。
調湿効果は、珪藻土クロスと本物の珪藻土塗り壁で何が違うか

珪藻土の壁紙を選ぶかどうかでいちばん気になるのは、湿気への効果でしょう。ここでは、壁紙メーカーが公開している案内を順に読みながら、どこまで期待してよいかを整理します。
壁紙メーカー自身が「調湿機能比較では塗り壁が勝る」と案内している
サンゲツは、よくある質問のページで「珪藻土の塗り壁と、珪藻土壁紙では、吸放湿性はどれくらい違いますか?」という問いに、次のように答えています(出典:サンゲツ よくあるご質問「珪藻土の塗り壁と、珪藻土壁紙では、吸放湿性はどれくらい違いますか?」)。
「吸放湿性の比較データはありませんが一般的に塗り壁の珪藻土は厚みが10mm程度あり、珪藻土壁紙に比較してかなりの珪藻土量を使用しているので、調湿機能比較では塗り壁が勝ります。」
ここで押さえておきたいのは、2つの点です。一つは、珪藻土の壁紙を作っているメーカー自身が、調湿については塗り壁のほうが上だと案内していること。もう一つは、その答えが試験で並べて測った結果ではなく、「比較データはありませんが一般的に」という前置きのついた説明だということです。どのくらい差があるのかを数字で示しているわけではありません。
それでも、壁紙を売る側が自社の製品より塗り壁のほうが上だと書いている意味は小さくありません。珪藻土の壁紙を選べば、塗り壁と同じだけの調湿効果が得られる、と考えるのは期待しすぎ、と受け取っておくのが正確です。
理由は、珪藻土の使用量と厚みの違い
サンゲツが挙げている理由は、使っている珪藻土の量です。塗り壁は一般的に厚みが10mm程度あるのに対し、壁紙は壁紙という薄い製品の中で珪藻土を使っています。サンゲツは、この使用量の違いを、塗り壁が勝る理由として挙げています。
なお、このQ&Aに書かれている数字は、塗り壁の厚み「10mm程度」だけです。珪藻土の壁紙にどれだけの珪藻土が使われているかは書かれていません。品番によって表面の仕上げも違うので、壁紙どうしでも同じとは限りません。
同じ回答は、続けて珪藻土の壁紙の良さにも触れています。「ただし、塗り壁は施工に手間がかかります」としたうえで、珪藻土の持つメリットを生かしながら施工の手間を省き、安価に珪藻土の壁の仕上げを楽しめることが珪藻土壁紙の最大のメリットだ、としています(出典:同上)。調湿の大きさでは塗り壁、工事の手軽さでは壁紙、という役割分担で考えると分かりやすいでしょう。
この役割分担は、張り替えの計画を立てるときにも関わります。珪藻土の壁紙なら、ほかの部屋の壁紙と同じ張り替えの工事の中で、気になる面だけを選んで使えます。塗り壁にする場合は、壁紙とは別の職人と工程が加わります。どちらが合うかは、調湿をどこまで重視するかと、工事の手間や費用をどこまでかけられるかの兼ね合いで決まります。
「珪藻土壁紙のほうが調湿性能が高い」は、吸放湿性のビニールクロスと比べた話
一方で、「珪藻土の壁紙は調湿性能が高い」という説明を目にすることもあります。サンゲツの別のQ&Aでも、「吸放湿性のビニールクロスと珪藻土壁紙、調湿効果が高いのはどちらですか?」という問いに、「調湿性能が高いのは珪藻土壁紙です」と答えています(出典:サンゲツ よくあるご質問「①吸放湿性のビニールクロスと珪藻土壁紙、調湿効果が高いのはどちらですか?…」)。
一見すると、さきほどの「塗り壁が勝る」と食い違って見えますが、比べている相手が違います。こちらは、湿気対策を目的にした吸放湿性のビニールクロスと比べた話で、本物の塗り壁と比べた話ではありません。2つのQ&Aを並べると、メーカーの案内では、本物の珪藻土の塗り壁が珪藻土の壁紙を上回り、珪藻土の壁紙は吸放湿性のビニールクロスを上回る、という順になります。ただし、どちらのQ&Aにも、差を直接比べた数字は書かれていません。
また、サンゲツは調湿タイプの壁紙を紹介するページで、珪藻土壁紙について「夏は湿気を吸い取り、冬は水分を放出してお部屋の湿度を調節し結露やかびの発生を軽減します」としたうえで、「※使用環境により効果は異なります」と注記しています(出典:サンゲツ「カビ・結露を抑える調湿タイプ|壁紙の選び方」)。部屋の広さや換気、家具の置き方によって、感じられる効果は変わります。結露やカビの悩みが、壁紙を変えるだけで解決するとは限らない、という前提で選ぶのが安全です。すでにカビが出ている壁を張り替えるときに、下地の状態まで確かめる理由は、壁紙のカビは張り替えだけで直る?下地の防カビ処置と費用の目安を解説で解説しています。
塗り壁材メーカーの試験データは、比べている相手が違う
珪藻土について調べていると、塗り壁用の珪藻土の材料を作っているメーカーが、調湿性能の試験データを公開しているのを見かけることがあります。たとえばアトピッコハウスは、珪藻土の塗り壁材について、調湿の性能を評価するJIS規格に基づく試験で、規格の最低基準を大きく上回る結果が出たと公表しています。同じページでは、ビニールクロスの壁と比べて湿度の変わり方を見せる実験の動画も紹介しています(出典:アトピッコハウス「珪藻土塗り壁『はいから小町』の調湿試験データ」)。
こうしたデータを読むときは、何と何を比べているかを確かめることが大切です。このページの試験は塗り壁の材料についてのもので、比べている相手は規格の基準や一般のビニールクロスです。珪藻土の壁紙と比べたデータではありません。ですから、「珪藻土の壁紙より何倍も調湿する」といった読み方はできません。
塗り壁材のデータから言えるのは、本物の塗り壁を検討するときに、材料ごとの調湿性能を比べる手がかりになる、というところまでです。珪藻土の壁紙を選ぶかどうかを決める材料としては、さきほどのサンゲツの2つのQ&Aのほうが、比べている相手がはっきりしています。
珪藻土クロスを選ぶときに知っておきたい注意点

調湿の位置づけが分かったところで、実際に張り替えで選ぶときに気をつけたい点を見ていきます。「珪藻土 壁紙 デメリット」と検索されることが多いのも、主にこの章の内容です。
汚れが付きやすく、水が直接かかる場所は避ける
サンゲツは、珪藻土壁紙について「汚れが付着しやすい傾向があるため、汚れやすい場所への使用には注意が必要です」としています。また、「シミの原因になってしまうため、洗面台近くの壁など直接水分が付着するような場所への使用は避けることをおすすめします」とも書いています(出典:サンゲツ「壁紙にはどんな素材がある? 代表的な種類と特長・注意点を解説」、前出)。
少し紛らわしいのが、サンゲツの調湿タイプの壁紙を紹介するページです。こちらでは、吸放湿壁紙・通気性壁紙・珪藻土壁紙の3つをまとめて、おすすめの場所に「玄関、廊下、洗面・トイレ、クローゼット、和室」を挙げています(出典:サンゲツ「カビ・結露を抑える調湿タイプ|壁紙の選び方」、前出)。3つのタイプに共通の1行なので、珪藻土の壁紙を洗面台のすぐそばに使ってよい、という意味には読まないほうが安全です。リリカラも、和紙・織物・珪藻土などの素材系壁紙について「水廻りには不向きです」としています(出典:リリカラ「壁紙(クロス)の選び方【準備編】」)。洗面所やトイレで調湿を考えるなら、珪藻土の壁紙より先にほかの調湿タイプを候補にし、品番ごとの使える場所の表示を見本帳で確かめてください。
汚れやすさは、手がよく触れる場所でも気になります。スイッチのまわりやドアの脇、廊下の腰の高さなどは、どの壁紙でも手垢が付きやすい場所です。珪藻土の壁紙を使うなら、こうした場所は避けて、手が触れにくい面に使うと付き合いやすくなります。
裏返すと、珪藻土の壁紙を考えやすいのは、水がかからず、人の手もあまり触れないのに、湿気がこもりやすい場所です。サンゲツが調湿タイプのおすすめに挙げている場所のうち、クローゼットや和室などは候補になり得ますが、その品番が使える場所やお手入れの表示は、見本帳で確かめてください。部屋全体を珪藻土の壁紙にするのではなく、「湿気が気になる、汚れにくい面」に絞って使うと、調湿の働きと扱いにくさのバランスが取りやすくなります。ただし、珪藻土の壁紙を使う面積が小さいほど、部屋全体で感じられる調湿の効果も限られてきます。
「デメリット」と言われるのは、強くこすれずお手入れの方法が限られるから
珪藻土の壁紙は、ビニールクロスに比べてデリケートです。サンゲツはお手入れの案内で、「珪藻土壁紙は、力を入れて拭き取ると表面破損の原因になります。軽微な汚れは白い消しゴムで落とすことができます。汚れが目立つ場合は、かたく絞った布で汚れをたたくようにして落としてください」としています(出典:サンゲツ「壁紙のお手入れ方法」)。消しゴムがメーカーの案内に出てくる場面は、壁紙の汚れに消しゴムは使える?メーカーが挙げる2つの場面と「壁用消しゴム」3タイプの違いで詳しく解説しています。
素材の解説ページでも、お手入れのときは強くこすらず、固く絞った布で軽く叩くようにして落とすことが大切で、汚れが付いたらできるだけ早く拭き取るよう勧めています。汚れがついたまま時間がたつほど落ちにくくなり、シミになったり、水分を含む汚れならカビの原因になったりするためです(出典:サンゲツ「壁紙にはどんな素材がある? 代表的な種類と特長・注意点を解説」、前出)。
ビニールクロスなら、軽い汚れは水拭きや薄めた中性洗剤で拭き取れます。珪藻土の壁紙では、そうした「汚れたら拭けばよい」というお手入れが通用しにくく、付いた汚れが残りやすくなります。こうした扱いにくさは、選ぶ前に確認しておきたい点です。言い換えると、汚れが付きにくい場所を選び、こすらないお手入れを続けられるなら、扱いにくさを抑えやすくなる、ということでもあります。
なお、今住んでいる家の壁紙が珪藻土の壁紙かどうかは、見た目や手触りだけでは判断しにくいものです。珪藻土に似せた風合いのビニールクロスもあります。新築やリフォームのときの品番が分からなければ、珪藻土の壁紙かどうかを決めつけず、水拭きや洗剤を試したり強くこすったりするのは控えて、慎重に扱ってください。分からないうちは、ホコリを乾いた布で払う程度にとどめ、新築やリフォームのときの業者に品番を確かめると安心です。
費用は品番ごとに違うので、見積もりで並べて確かめる
珪藻土の壁紙の価格は、品番ごとに違います。量産品と呼ばれる標準的な壁紙と比べた価格も、選ぶ品番ごとに確かめる必要があります。
そのため、珪藻土の壁紙が気になっている場合は、見積もりのときに「珪藻土の壁紙にした場合」と「標準的な壁紙にした場合」の両方の金額を出してもらうと、差がはっきりします。部屋全体ではなく、湿気が気になる1面やクローゼットの中だけを珪藻土の壁紙にして、ほかは標準的な壁紙にする、という選び方もできます。どの面にどの壁紙を使うかで総額が変わるので、気になっている場所を具体的に伝えるのが近道です。
壁紙は、業者が現地調査のときに持ってくる見本帳から選ぶのが一般的です。珪藻土の壁紙を見本帳で選ぶときは、色や質感だけでなく、その品番にどんな機能の表示があるか(調湿のほか、防カビ加工が付いているか。ただし防カビ加工があっても、カビを壁紙だけで防げるわけではありません)も一緒に見ておくと、期待とのずれが小さくなります。
調湿効果をもっと重視したいなら
ここまで読んで、「珪藻土の壁紙では物足りないかもしれない」と感じた方もいるでしょう。その場合に考えられる選択肢を3つ挙げます。
本物の珪藻土の塗り壁にするという選択肢
調湿の大きさを優先するなら、本物の珪藻土の塗り壁にするという方法があります。サンゲツのQ&Aのとおり、一般的に厚みのある塗り壁は、珪藻土の壁紙よりかなり多くの珪藻土を使います。
ただし、塗り壁は左官職人の仕事で、壁紙の張り替えとは工事の内容が変わります。サンゲツも「塗り壁は施工に手間がかかります」としています(出典:サンゲツ よくあるご質問「珪藻土の塗り壁と、珪藻土壁紙では、吸放湿性はどれくらい違いますか?」、前出)。今の壁が壁紙なのか、どんな下地なのかによって、塗る前にどんな準備が要るかも変わります。工期や費用は、現地で壁の状態を見てもらったうえで確かめることになります。
壁紙の張り替えと塗り壁の両方を一つの窓口で相談できる業者もあれば、壁紙だけを扱う業者もあります。家のほかの部屋は壁紙を張り替え、湿気が気になる部屋だけ塗り壁にしたい、という場合は、どこまでを一緒に頼めるかを見積もりのときに確かめておくと、段取りを考えやすくなります。
珪藻土以外の調湿タイプの壁紙もある
壁紙のままで湿気対策をしたい場合、珪藻土の壁紙のほかにも選択肢があります。サンゲツは調湿タイプの壁紙として、珪藻土壁紙のほかに「吸放湿壁紙」と「通気性壁紙」を紹介しています。吸放湿壁紙は、壁紙に配合された吸水性ポリマーが湿度の変化に応じて吸湿・放湿し、結露やかびの発生を軽減するもの。通気性壁紙は、高い通気性で壁を通して湿気を排出し、結露やかびの発生リスクを軽減するものです(出典:サンゲツ「カビ・結露を抑える調湿タイプ|壁紙の選び方」、前出)。
調湿の大きさについては、さきほどのQ&Aのとおり、メーカーは吸放湿性のビニールクロスより珪藻土の壁紙のほうが上と案内しています。一方で、お手入れの方法や水まわりで使えるかどうかは、タイプや品番ごとに違います。水はねのある場所や手の触れる場所では、調湿の大きさとお手入れのしやすさのどちらを優先するかを決めたうえで、候補の品番のお手入れや使える場所の表示を見本帳で確かめるとよいでしょう。
なお、調湿タイプの壁紙は、防カビ剤でカビを抑える「防カビ」の機能とは別に、湿気を吸ったり逃がしたりして結露やカビを減らす選択肢、と考えると整理しやすくなります。サンゲツの見本帳で防カビの機能がどのくらいの壁紙に付いているかや、サンゲツなどのメーカーが「壁紙だけでは防げない」と書いている理由は、防カビ壁紙は選んで買うもの?サンゲツの量産品は掲載品全点が防カビ、メーカーは「壁紙だけでは防げない」と明記で詳しく解説しています。
見た目だけ近づけたいなら、塗り壁風の壁紙という選択肢も
「調湿よりも、珪藻土の塗り壁のような落ち着いた見た目が好き」という方もいるでしょう。その場合は、塗り壁のような質感を再現したビニールクロスを選ぶ方法があります。コテで塗ったような跡やざらっとした表情のものが見本帳に並んでいます。ビニールクロスなので、お手入れしやすいものもありますが、コテ跡の凹凸が強いものはホコリがたまりやすく、強く拭くと凹凸が潰れることもあります。表面の仕様は品番ごとに違うので、お手入れの表示も確かめてください。
ただし、塗り壁風の壁紙は見た目を近づけたもので、珪藻土の調湿の働きまで備わっているわけではありません。見た目と機能は分けて選ぶ、という点だけ押さえておけば、迷いが少なくなります。塗り壁風の壁紙の選び方や、本物の塗り壁と比べて解消できること・できないことは、塗り壁風の壁紙とは?石目調の選び方と本物の塗り壁との違い、費用はふつうの張り替えと同じで詳しく解説しています。
まとめ:珪藻土クロスの調湿は、メーカーの案内でも本物の塗り壁には及ばない
ここまで、珪藻土の壁紙の調湿効果と、選ぶときの注意点を見てきました。
- 珪藻土の壁紙は、ロール状の壁紙に珪藻土を使った製品。左官職人が塗る本物の珪藻土の塗り壁とは別物
- サンゲツは、比較データは無いとしたうえで、塗り壁は厚み10mm程度でかなりの珪藻土を使うため「調湿機能比較では塗り壁が勝ります」と案内している
- 「珪藻土壁紙のほうが調湿性能が高い」は、吸放湿性のビニールクロスと比べた話。塗り壁との比較ではない
- 塗り壁材メーカーの試験データは、規格の基準やビニールクロスと比べたもので、珪藻土の壁紙と比べたものではない
- 珪藻土の壁紙は汚れが付きやすく、洗面台の近くなど水が直接かかる場所は避けるよう勧められている。お手入れは強くこすらず、たたくように落とす
- 費用は品番ごとに違うので、標準的な壁紙と並べて見積もりで確かめる
- 調湿をもっと重視するなら本物の珪藻土の塗り壁、壁紙のままなら吸放湿壁紙・通気性壁紙、見た目だけなら塗り壁風の壁紙という選択肢もある
珪藻土の壁紙は、壁紙の張り替えと同じ工事の手軽さのまま、調湿タイプの壁紙を選びたい場合の候補になります。一方で、塗り壁と同じだけの調湿を期待すると、思っていたのと違うと感じるかもしれません。どの部屋のどの面が湿気で気になっているのか、汚れやすさやお手入れの手間をどこまで受け入れられるのかを整理してから選ぶと、後悔しにくくなります。
迷っているときは、湿気が気になる場所と今の壁の状態を伝えたうえで、珪藻土の壁紙・ほかの調湿タイプ・塗り壁のそれぞれについて、まずは電話か問い合わせフォームで相談してみてください。
湿気や結露が気になる場所と、珪藻土の壁紙が気になっていることを電話でお伝えください。壁の状態は現地調査で確かめたうえで、壁紙の選び方をご案内します。本物の珪藻土の塗り壁にしたい場合も、あわせてご相談いただけます。見積もり・現地調査は無料です。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
この記事の執筆者

氏名:松田郁幾
実績:壁紙張り替えを中心に、これまで多くのお客様・職人と関わってきました。
この記事について:現場で見聞きした実例をもとに、誇張せず、実践的な視点で解説しています。



