トイレの壁紙掃除は中性洗剤まで|便器用の酸性洗剤を壁に使ってはいけない理由

トイレの壁紙の黄ばみと、掃除に使う中性洗剤と布

トイレの壁紙が黄ばんできた、拭いても匂いが残る気がする。そんなとき、便器の黄ばみに使う酸性洗剤なら壁にも効くのではないか、と考えたことはないでしょうか。

先に結論をお伝えします。トイレの壁紙の掃除も、壁紙メーカーが案内している方法は他の部屋とまったく同じで、固く絞った布での水拭き、落ちなければ薄めた中性洗剤、ここまでです。壁紙メーカー3社のお手入れページを見ても、「トイレ」という項目も、「黄ばみ」という汚れの分類も出てきません。トイレだから特別な洗剤がある、というわけではないのです。

そして、便器の掃除に使う酸性のトイレ用洗剤は、壁紙に使う想定で作られていません。ある製品の用途欄には「便器内の掃除、トイレタイルの掃除」とだけ書かれており、壁紙という言葉はどこにも出てきません。

この記事を読むと、次のことが分かります。

  • トイレの壁紙の掃除で、メーカーが案内している範囲
  • 便器用の酸性洗剤を壁紙に使ってはいけない理由
  • それでも落ちない汚れをどう考えるか
  • トイレが「張り替え」を選びやすい場所である理由と、次に貼るときの選択肢

読み終えるころには、手元の洗剤を試してよいかどうかの判断がつき、落ちなかったときの次の一歩も決められるはずです。

ご自宅のトイレの壁が張り替えの必要な状態なのか、張り替えるとしたらどのくらいかかるのか。気になる点は、まずはお電話でもご相談いただけます。

電話が難しい方はでもご相談いただけます。


トイレの壁紙も、手入れは「水拭き→薄めた中性洗剤」まで

トイレの壁紙の手入れに使う、水を入れたバケツ・中性洗剤・固く絞った布

トイレの壁紙が、他の部屋と同じビニールクロスであれば、掃除の方法も他の部屋と変わりません。メーカーの案内を見るかぎり、トイレだけ別の手順が示されているということはありません。

メーカー3社の案内に「トイレ」という項目はない

壁紙メーカー各社は、公式サイトで壁紙のお手入れ方法を公開しています。リリカラ、シンコール、サンゲツの3社を確認しましたが、壁紙のお手入れの案内に「トイレ」「尿」「黄ばみ」といった項目はありませんでした。汚れの分類として挙げられているのは、飲食物や調味料をこぼした場合、子どもの落書き、カビといったもので、トイレという場所に固有の案内は設けられていません。

案内されている方法は3社とも共通しています。固く絞ったスポンジやタオルで水拭きし、落ちにくい場合は薄めた中性洗剤を使う、というものです(出典:リリカラ「ビニル壁紙|お手入れ便利帳」、シンコール「壁紙のお手入れについて」、サンゲツ「壁紙のお手入れ方法」)。

つまり、トイレの壁紙だから特別な洗剤が用意されている、ということはありません。まずは他の部屋と同じ方法を試すのが出発点になります。汚れの種類ごとに洗剤をどう選ぶかは、壁紙の掃除に使う洗剤はどれがいい?汚れ別の選び方と使ってはいけない洗剤の見分け方で詳しく解説しています。

洗剤を使ったら、真水で拭き取って終わる

中性洗剤を使う場合に必要なのが、最後に真水で拭き取る工程です。

メーカー各社はそろって、洗剤が壁紙の表面に残ると変色の原因になると案内しています。サンゲツは「壁紙表面に残った洗剤は変色の原因になりますので、真水かぬるま湯できれいに拭き取ってください」としており、リリカラも「洗剤が付着したままだと変色の原因になります」と書いています。

洗剤で汚れが落ちた時点で終わりにせず、洗剤を落とすところまでを1セットと考えてください。狭いトイレでは面倒に感じるかもしれませんが、この一手間を省くと、汚れは落ちたのに別の跡が残るおそれがあります。

つなぎ目に水を入れない

もうひとつ、トイレで特に気をつけたいのがつなぎ目です。

壁紙はロールを並べて貼っていくため、複数枚を並べた箇所には継ぎ目があります。リリカラとシンコールはどちらも、この「つなぎ目に水が入ると剥がれの原因になる」と案内しています。

トイレは狭く、壁に体を近づけて拭くことになります。力も入りやすく、濡れた布が同じ場所に長く当たりがちです。継ぎ目に沿って強くこすらない、布は固く絞る、という2点が剥がれを防ぐために大切です。

便器用の酸性洗剤を、壁紙に使ってはいけない

用途が便器内とタイルに限られる酸性洗剤と、想定されていないトイレの壁紙

便器の黄ばみが落ちるのだから壁の黄ばみにも効くはずだ、という発想は自然です。しかし、便器用の酸性洗剤は、壁紙への使用が想定されていません。

用途は「便器内」と「タイル」で、壁紙は入っていない

代表的なトイレ用洗剤であるサンポールの製品ページを見ると、用途の欄には「便器内の掃除、トイレタイルの掃除」と書かれています。壁紙やクロスという言葉は、このページのどこにも出てきません。

液性は酸性で、成分は塩酸が9.5%。使用上の注意の1項目めは「用途外に使わない。」です。使えないものとして挙げられているのは「金属製品、大理石(人造含)」で、壁紙は名指しされていません。つまり「壁紙に使うと必ず傷む」と書かれているわけではなく、そもそも壁紙が想定の外にある、という状態です。

メーカー自身が、用途外の使い方に注意を呼びかけている

同じページには、メーカーからの注意喚起も載っています。

「近年、サンポールを用途外の目的で使用している動画や記事などがWEB上で見られます。これは、タイルや樹脂、金属・大理石等の素材をいためたり変質する可能性もある間違った使用法です。当社では推奨できないばかりか、安全性も保障できません。絶対に真似をされないようにお願いします」(出典:KINCHO「トイレ用洗剤 サンポール」)

洗剤のメーカーが、自社製品の用途外使用について名指しで警告しているということです。メーカーが用途外使用の安全性は保証できないと明言している以上、便器用の酸性洗剤を壁紙に使うのは、試してみる価値のある方法とは言えません。

壁紙メーカー側からも、これと重なる案内が出ています。シンコールは変色を防ぐための注意として「化粧品や薬品(殺虫剤など)を付けない」を挙げ、「水廻りなど特に注意してください」と添えています。リリカラとサンゲツも「強い洗剤やシンナーなどの有機溶剤は、変色や表面破損の原因になるので使用しないでください」としています。どこからが「強い洗剤」かは書かれていません。ただ、サンポールは壁紙への使用をそもそも想定しておらず、用途外の使用にあたります。

落ちない汚れは、洗剤を強くしても落ちるとは限らない

水拭きと中性洗剤を試して落ちなかったとき、次に強い洗剤を探したくなります。ただ、洗剤を強くすれば落ちるとは限りません。

時間が経った汚れは、完全には拭き取れない

シンコールは、汚れ全般について「種類や放置時間によっては除去できなくなる場合もあります」と案内しています。汚れ防止機能のついた壁紙についても「突発的な汚れに適した壁紙です。タバコのヤニや、時間が経ったしつこい汚れなどを完全に拭き取ることは困難です」と明記しています。

汚れに強いことを売りにした壁紙ですらこう書かれています。一般的なビニールクロスでも、長期間蓄積した汚れは落とせない場合があります。長い年月をかけて少しずつ蓄積した汚れは、洗剤の種類を変えれば落ちるというものではありません。

強くこすると、先に壁紙のほうが変わる

もうひとつ避けたいのが、力を入れてこすることです。

リリカラは「強く力を入れて拭くと表面の凹凸が潰れたり、キズが付くことがある」と注意しています。ビニールクロスの表面には型押しの凹凸があり、これが潰れると、その部分だけ光の反射が変わって見えます。汚れが落ちたとしても、こすった範囲が四角く浮き上がって見えることがあります。

シンコールも「強くこすると、汚れが広がったり染み込んだり、表面が破損する場合があります」としています。落ちない汚れに力で対抗しても、結果は良くなりません。

黄ばみは、原因によって対処が変わる

トイレの壁の黄ばみは、原因がひとつとは限りません。日当たりのある窓があれば日焼けの可能性がありますし、手で触れる位置なら手垢の蓄積も考えられます。原因が違えば落ちやすさも変わるため、汚れの位置と状況から見当をつけると判断しやすくなります。

トイレは、張り替えを選びやすい場所

掃除で落ちない汚れが残ったとき、トイレは他の部屋より張り替えを選びやすい場所です。理由は面積と施工のしやすさの2つにあります。

面積が小さいぶん、費用を抑えられる

トイレの壁と天井は、一般的な居室より施工面積が小さくなります。使用する材料が少ないため、部屋全体の張り替えと比べれば費用を抑えやすくなります。

ただし、面積が小さいからといって金額が比例して下がるわけではない点には注意が必要です。職人の手配や現地への移動には、施工面積に関係なく一定のコストがかかるためです。トイレだけを単独で頼む場合の費用の目安は、トイレの壁紙張り替え費用はいくら?5万円前後の目安と下地補修で追加費用が発生する条件を解説で詳しく解説しています。

便器は、たいていの場合そのままで施工できる

トイレの張り替えで気になるのが便器の扱いです。便器は多くの場合、外さずに施工できます。

判断の基準は単純で、古い壁紙を剥がして新しい壁紙を貼る作業ができるだけのスペースが、便器と壁のあいだにあるかどうかです。便器の設置位置によっては外す必要が出ることもありますが、そうしたケースはそれほど多くありません。

現地調査のときに、便器のまわりのスペースを見てもらえば、外す必要があるかどうかはその場で判断できます。気になる場合は、見積もりを依頼する段階で「便器はそのままで施工できますか」と聞いてみてください。

次に貼るなら、消臭・汚れ防止という選択肢

張り替えることになった場合、次にどんな壁紙を選ぶかを考える機会にもなります。トイレのニオイに向いた機能を持つ壁紙(トイレ臭の原因物質を消臭性能試験の対象にしたもの)があります。

トイレのニオイの原因物質を、試験の対象にしている壁紙がある

壁紙には、消臭や汚れ防止の機能を持たせた製品があります。表面のフィルムに消臭剤を練り込み、ニオイの原因物質と化学反応させて吸着・分解する、という仕組みのものです。

サンゲツのフィルム汚れ防止 消臭タイプでは、消臭性能試験の対象物質として「アンモニア(トイレ臭・ペット臭など)」「メチルメルカプタン(生ゴミ臭・トイレ臭など)」が挙げられています。効果は「環境によって異なりますが、約5~10年間持続します」とされています(出典:サンゲツ「フィルム汚れ防止 消臭タイプ」)。

トイレのニオイが気になっている場合、こうした機能を持つ品番を選択肢に入れてみる価値はあります。なお、この製品ページに「トイレに使ってください」という設置場所の指定が書かれているわけではありません。壁紙の消臭試験の対象にトイレ臭の原因物質が含まれている、というところまでが確認できる事実です。

機能付きでも、同じグレードなら同じ単価の製品がある

機能がついた壁紙は高いのではないか、と思われるかもしれません。

壁紙にはグレードの区分があり、量産クロスと1000番クロスに分かれます。消臭や汚れ防止の機能を持つ品番には、1000番クロスに含まれるものがあります。あるメーカーの公式通販では、消臭・汚れ防止の品番も、機能のない一般的な1000番クロスも同じ単価で売られていました。ただし価格はメーカーや品番によって異なるため、実際の金額は見積もりで確認してください。グレードごとの価格差については、量産クロスと1000番クロスの違い|価格差は6畳で約1万円、部屋ごとの選び分け方で詳しく解説しています。

トイレは面積が小さいため、グレードを上げても材料費の差は部屋全体より抑えられます。ただし総額は施工の条件によっても変わるので、見積もりのときに、量産クロスの場合と機能付きの場合で金額がどれだけ変わるかを聞いてみるとよいでしょう。

汚れ防止の壁紙にも、できないことがある

ただし、機能を過大に期待しないほうがよい点もあります。

前述のとおり、汚れ防止壁紙も時間が経った汚れを完全に拭き取れるものではありません。またリリカラは「表面のフィルムが破損すると、その部分の汚れ防止機能が損なわれます」としており、硬いものや鋭利なもので傷をつけないよう注意を促しています。

汚れがついてすぐなら拭き取りやすくなる、というのが汚れ防止機能の実際のところです。掃除がまったく要らなくなるわけではありません。

まとめ

トイレの壁紙の掃除は、固く絞った布での水拭き、落ちなければ薄めた中性洗剤、ここまでが壁紙メーカーの案内している範囲です。3社のお手入れページを見ても「トイレ」という項目はなく、他の部屋と同じ扱いになっています。洗剤を使ったあとは真水で拭き取り、つなぎ目に水を入れないようにしてください。

便器の掃除に使う酸性のトイレ用洗剤は、用途が「便器内の掃除、トイレタイルの掃除」に限られており、壁紙は想定されていません。メーカー自身が用途外の使用について「推奨できないばかりか、安全性も保障できません」と注意を呼びかけています。壁紙メーカー側も、強い洗剤や薬品を壁紙に付けないよう案内しています。

それでも落ちない汚れは、洗剤を強くしても、力を入れてこすっても落ちるとは限りません。時間をかけて蓄積した汚れは、拭き取りでは元に戻らない場合があり、強くこすると型押しが潰れて別の跡が残るおそれもあります。

そこまで試して落ちなければ、張り替えを検討する段階です。トイレは面積が小さく、便器もたいていはそのままで施工できるため、部屋の張り替えより取りかかりやすい場所といえます。次に貼るときには、消臭や汚れ防止の機能を持つ品番という選択肢もあります。

まずは中性洗剤までを試してみてください。それで落ちなかった場合は、その状態を見てもらったうえで、張り替えるかどうかを相談するのが次の一歩になります。見積もりを依頼するときに「掃除では落ちなかった」と伝えておけば、汚れの程度を踏まえて判断してもらえます。

張り替えが必要な状態なのか、まだ様子を見てよいのか。トイレの壁の状態を見たうえでのご案内は無料です。強い洗剤を試してしまう前に、そのままの状態でお気軽にご相談ください。

電話が難しい方はでもご相談いただけます。


この記事の執筆者

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氏名:松田郁幾
実績:壁紙張り替えを中心に、これまで多くのお客様・職人と関わってきました。
この記事について:現場で見聞きした実例をもとに、誇張せず、実践的な視点で解説しています。

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