
漆喰の壁に壁紙を貼ることはできます。塗り壁だからといって、貼れない材料ではありません。
ただし、ひとつ知っておいていただきたいことがあります。確認した2社の一般壁紙の施工要領書に、漆喰は下地の種類として載っていません。 石膏ボードやベニヤ板、モルタルについては「こう処理してから貼る」と書かれているのに、漆喰の項目は出てこないのです。
これは「貼ってはいけない」という意味ではありません。ただ、メーカーが示した手順が無いということは、実際にどう処理するかが業者の判断にゆだねられるということです。ここが、石膏ボードやベニヤの壁とは事情が違うところです。
この記事を読むと、次のことが分かります。
- 壁紙メーカー2社の施工要領書に、漆喰の記載があるかどうか
- 要領書が変色の原因として名指ししている性質と、漆喰の性質の重なり
- 見積もりのときに業者へ聞く一言と、確認したいポイント
読み終えていただければ、業者の提案が分かれたときに何を確かめればよいかが分かります。
ご自宅の漆喰壁はどう扱うことになるのか、実際の壁を見ないと決まらない部分があります。電話1本でご相談いただけます。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
漆喰壁に壁紙は貼れる。ただしメーカーが示した手順は無い

まず、この記事でいちばんお伝えしたい事実から始めます。
壁紙メーカーは、下地の種類ごとに処理を書き分けている
壁紙を製造しているメーカーは、施工する職人に向けて施工要領書という資料を公開しています。そこには「どういう下地に、どう貼るか」が下地の種類ごとに書き分けられています。
リリカラの「壁紙施工要領書 一般壁紙」を見ると、下地が4種類に分けられています。セメント系下地(モルタル、コンクリート)、吸水性の多い下地(ケイ酸カルシウム板)、木質下地(ベニヤ板)、吸水性のない下地(金属)の4つです(出典:リリカラ「壁紙施工要領書 一般壁紙」)。
それぞれに目的と手順が書かれています。たとえば木質下地(ベニヤ板)なら「壁紙の変色を防止する」ことが目的で、シーラーを塗って灰汁止め・ヤニ止めをし、パテで平らにする、という順番です。吸水性のない下地(金属)では目的が変わり、「接着性の向上で壁紙の施工を安定させる」ことになります。
同じ壁紙を貼る作業でも、下地が違えば目的も手順も変わる。 これがこの資料の考え方です。
なぜ下地によって変わるのかというと、壁紙を貼るときに使う糊が水分を含んでいるからです。水分が加わったときに下地がどう反応するかは、材料によってまったく違います。水を吸い込む材料もあれば、まったく吸わない材料もある。水分で成分が溶け出す材料もあります。その違いに合わせて、事前に何をしておくかが決まります。
その一覧に、漆喰は出てこない
ここからが本題です。先ほどの4分類のどこにも、漆喰は出てきません。
セメント系下地の項目に書かれているのはモルタルとコンクリートで、漆喰ではありません。吸水性の多い下地として挙げられているのはケイ酸カルシウム板です。そもそも「塗り壁」という言葉自体、この資料には出てきません。
念のため、もう1社も確認しました。サンゲツの「施工要領書 一般ビニル壁紙」には、下地についてこう書かれています。
モルタルや合板下地の場合、アクが発生し壁紙を変色させることがあるため、シーラー処理をしてください。SAシーラー(BB-318)をおすすめします。シーラー処理をすることで下地の通気性を安定させ、壁紙表面の経年変化を軽減します。
(出典:サンゲツ「施工要領書 一般ビニル壁紙」)
挙がっているのはモルタルと合板だけです。こちらにも漆喰は出てきません。
つまり、確認した2社の一般壁紙の施工要領書には、どちらも漆喰についての記述がありませんでした。
念のために申し添えると、ここで確認したのは「一般的なビニル壁紙」の施工要領書です。メーカーは商品ごとにも資料を出しているので、そのどこかに触れられている可能性まで否定するものではありません。ただ、もっとも基本となる資料に載っていない、という事実は変わりません。
漆喰メーカーの側にも、上に壁紙を貼る話は書かれていない
では、漆喰を作っている側はどうでしょうか。
漆喰メーカーである日本プラスターの「漆喰とは?」というページを見ると、漆喰がどういう材料で、どんな性質を持つのかが詳しく説明されています。成分、固まる仕組み、防カビ性、調湿性、消臭性、不燃性。かなりの分量があります。
ところが、漆喰の上に壁紙や塗料など別の仕上げ材を施工することについては、一言も書かれていません。(出典:日本プラスター「漆喰とは?」)
漆喰を塗る側の話は出てきます。「様々な構造・下地にお応えできるしっくい工事が可能」という記述があり、これは漆喰を塗るときの下地についてです。漆喰の上に何かを貼る話ではありません。
確認した資料では、壁紙を作る側も漆喰を作る側も、漆喰の上に壁紙を貼ることに触れていない。 これが現状です。
考えてみれば、当然かもしれません。漆喰は本来、それ自体が仕上げ材です。塗ったあとに何かを貼ることを前提にした材料ではありません。メーカーの資料が想定しているのは「漆喰を塗る」ところまでで、その先は守備範囲の外ということでしょう。
手順が無いということは、業者の判断になるということ
ここまでの事実から言えることを整理します。
漆喰壁に壁紙を貼ることは、メーカーが推奨手順を用意している作業ではありません。 石膏ボードなら「パテで平らにして貼る」、ベニヤなら「シーラーを塗って灰汁止めをしてからパテ、そして貼る」という道筋がメーカーの資料に書かれています。漆喰にはそれがありません。
だからといって、施工できないという意味ではありません。ただ、どう処理するかは、現場を見た業者が判断することになります。
これは読者にとって、具体的な意味を持ちます。業者によって提案が変わりうる、ということです。
標準的な手順が示されている下地なら、その手順が比較の基準になります。見積もりを何社かで比べたとき、工事の中身を同じ土台で見比べやすい。漆喰の場合は、そうとは限りません。ある業者は「シーラーを塗って上から貼ります」と言い、別の業者は「掻き落としてから貼ったほうが確実です」と言うかもしれません。同じ壁を見ているのに、提案が分かれる可能性があります。
そのとき、どちらが正しいかを読者が判断するのは難しいと思います。 ただ、なぜその方法を選んだのかを聞くことはできます。 ここが、この記事でいちばんお伝えしたい行動です。後半でもう一度触れます。
要領書が警戒している性質は、漆喰と重なる

資料に漆喰が載っていないなら、何を手がかりにすればよいのか。ひとつの見方をお示しします。
セメント系下地の注意点は「白い粉」と「強いアルカリ性」
先ほどのリリカラの資料に戻ります。セメント系下地(モルタル、コンクリート)の項目には、こう書かれています。
- 下地が十分に乾燥している状態(水分率11%以下)であることを確認してください。表面に白い粉がある状態や、乾ききっていない状態での施工は、施工後に壁紙に変色等が発生する可能性があります。
粉:炭酸カルシウム 灰汁:強いアルカリ性 - 吸水性の調整、灰汁止めとして、シーラー塗布をしてください。
注目していただきたいのは、何を警戒しているかが具体的に名指しされている点です。表面の白い粉は炭酸カルシウム。灰汁は強いアルカリ性。 この2つが、壁紙の変色につながるものとして挙げられています。
そして対策はシーラーの塗布です。ベニヤ板の項目でもシーラーが出てきましたが、あちらは木から出る成分を止めるため。こちらは吸水性の調整と灰汁止めのためです。同じシーラーでも、何を止めるために塗るのかが下地ごとに違います。
ベニヤ下地でこの処理を省いたときに何が起きるかは、ベニヤ板に壁紙は貼れる?アク止めを省くと黄色〜茶色のシミが出る理由と、見積もりで聞く一言 で説明しています。
漆喰は、固まると炭酸カルシウムになる材料
では漆喰はどういう材料でしょうか。作っている側の説明を見てみます。
日本プラスターは、漆喰をこう説明しています。
漆喰(しっくい)とは、消石灰(水酸化カルシウム)を主原料とした鏝(コテ)で塗る塗り壁材のことです。
そして、固まる仕組みについてはこう書かれています。
漆喰の主原料である消石灰(水酸化カルシウム)は、空気中の二酸化炭素を長い年月をかけて吸収し続け、最終的に石灰石(炭酸カルシウム)に戻ります。
漆喰は、固まる過程で炭酸カルシウムになる材料です。 先ほどリリカラが「白い粉」として名指ししていたものと、同じ物質です。
しかもこの変化は、塗ってすぐ終わるものではありません。同じ説明の中で「長い年月をかけて」吸収し続ける、と書かれています。炭酸カルシウムへ戻る過程は、長い期間にわたって続くと説明されているわけです。
pH12以上の強アルカリ性を、長期間保つ
もうひとつの性質についても、同じページに書かれています。
漆喰はカビの繁殖を抑制します。長期間に亘り(現時点では30年超まで判明しております)、pH 12以上の強アルカリ性を保持し、カビの繁殖からお住まいを守ります。
漆喰は強いアルカリ性で、しかもそれが長期間続きます。 日本プラスターはこれを防カビ性の根拠として挙げていて、30年を超えて保持されることが確認されている、としています。
漆喰にとっては長所です。カビが生えにくいのですから、住む側にはありがたい性質です。実際、この性能を理由に漆喰を選ぶ方もいます。
ただし、先ほどの要領書が「灰汁:強いアルカリ性」を変色の原因として挙げていたことを思い出してください。同じ性質が、壁紙を貼る側から見ると注意すべきものになります。
しかも「30年超まで保持される」ということは、古い漆喰壁だからといってアルカリ性が抜けているとは限らない、ということでもあります。築年数だけでは判断できない、ということです。
ただし「漆喰=セメント系下地」と書かれているわけではない
ここで、はっきりさせておきたいことがあります。
リリカラの資料は「漆喰はセメント系下地に含まれる」とは書いていません。 セメント系下地として挙げられているのは、あくまでモルタルとコンクリートです。
ここまでの説明は、資料が警戒している物質(炭酸カルシウム・強アルカリ性)と、漆喰メーカーが説明する漆喰の性質が、同じものを指しているという対応関係にすぎません。「だから漆喰も同じ扱いでよい」と資料が言っているわけではありません。
この区別は大事です。 材料の性質が似ていることと、施工の手順が同じでよいことは、別の話だからです。モルタルと漆喰では、表面の硬さも、厚みも、下地との付き方も違います。性質のひとつが共通しているからといって、処理の方法まで同じとは限りません。
現場では、漆喰の状態・厚み・築年数・下地の構造によって判断が変わります。表面がしっかりしているのか、浮いている箇所があるのか、ひびが入っているのか。それを見ないと決められないというのが正直なところです。
ですから、この記事でお伝えできるのは次のところまでです。漆喰には、壁紙メーカーが変色の原因として名指ししている性質がある。だから何らかの処理が要ると考えるのが自然で、その中身は現場を見た業者に確認する必要がある。
逆に言えば、「漆喰の壁ですが、何も処理せずそのまま貼れます」という説明が返ってきたら、その理由は聞いておいたほうがよいということでもあります。絶対に駄目だと申し上げているのではありません。ただ、メーカーが名指ししている性質がある以上、なぜ処理が不要なのかには根拠があるはずです。
砂壁や繊維壁で使われる選択肢は、漆喰でも検討対象になる
漆喰も塗り壁のひとつです。壁紙にするときの選択肢は、ほかの塗り壁と重なります。
砂壁・繊維壁・土壁・京壁といった塗り壁を壁紙にする場合、対応の方法は大きく4つに分けられます。そのまま貼る方法、シーラーなどで固めてから貼る方法、掻き落として下地を整えてから貼る方法、石膏ボードやベニヤを増し張りしてから貼る方法です。
壁紙にする方法は、費用を抑えたものほどあとから剥がれなどが出るリスクが高くなる傾向があります。 そのまま貼る方法がもっとも安く済みますが、下地の状態に左右されます。シーラーで固める方法は、既存の壁を残したまま接着を安定させる狙いのものです。掻き落とす方法は手間がかかるぶん、下地の状態を直接見て調整しやすくなります。増し張りすれば工程は増えますが、もとの壁の状態に影響されにくくなります。
漆喰の場合も、主な検討対象になるのはこの4つです。塗り壁を壁紙にするという工事の考え方が重なるからです。 ただし、そのまま貼る方法については、先ほど述べたとおり根拠の確認が前提になります。
どれが向くかは、壁の状態によって変わります。 同じ漆喰でも、厚みや仕上げ方、経年の程度によって状況は違います。しっかり固まったままのこともあれば、浮きやひびが出ていることもあるでしょう。掻き落とす方法を選んだときの手間も、そこで変わってきます。ここも、現場を見てもらって判断するところです。
それぞれの方法の中身・費用の目安・リスクについては、砂壁の壁紙張り替えはそのまま貼れる?4つの対応方法の費用とリスク、追加料金が出やすい条件を解説 で詳しく説明しています。漆喰壁で検討される場合も、考え方の参考になります。
壁紙にすると、漆喰の性能の扱いが変わる
費用や工程とは別に、考えておいたほうがよい点があります。
漆喰メーカーは、調湿性・防カビ性・明るさを挙げている
漆喰は、性能を理由に選ばれてきた材料でもあります。日本プラスターは、自社の漆喰について次のような性能を挙げています。
調湿性については、住居空間を想定した箱で比較検証をしたとしています。防カビ性については、先ほどのpH12以上という数値を根拠にしています。そして明るさについては、漆喰の反射率93%に対しビニールクロスは81%という測定結果を示し、漆喰壁のほうが部屋を明るくする、と説明しています。
カビについては、壁紙と対比した書き方もされています。
- 壁紙 吸収した水分が壁材の内部に滞留して、カビの栄養源となり内部からカビが繁殖します。
- 漆喰 漆喰の内部が強アルカリ性のため、吸収した水分がカビの温床になりにくいです。
漆喰壁を壁紙にすると、壁の表面は壁紙に変わります。漆喰の層そのものは残りますが、調湿性や防カビ性がこれまでどおり働くかは、施工の方法によって変わります。 性能を理由に漆喰を選んだのであれば、そこは業者に確認しておきたい点です。
ただし、これは漆喰メーカー自身の説明
ここも区別が要ります。いま挙げた内容は、漆喰を作って売っている会社の説明です。
自社の製品を説明するページですから、漆喰の長所が中心になるのは当然のことです。壁紙について書かれている部分も、漆喰と比べる文脈で書かれています。漆喰メーカーが示す性能比較は、中立な比較として読むものではありません。
とはいえ、調湿性の検証や反射率の測定のように、具体的な数値や方法が示されているものもあります。そういう主張があることを知ったうえで判断するのが、現実的なところだと思います。
何を優先するかで、選ぶものが変わる
壁紙には壁紙の利点があります。汚れたら面単位で張り替えて新しくできること、色や柄の選択肢が多いこと、施工方法によっては工期を抑えやすいこと。漆喰にはない長所です。
漆喰と壁紙のどちらが優れているという話ではなく、何を優先するかの問題です。
漆喰の性能を重視するなら、壁紙にせず漆喰のまま塗り直すという選択肢もあります。見た目を変えたいだけなら、壁紙のほうが自由度は高くなります。和室の雰囲気を洋室に近づけたい、色柄を変えて部屋の印象を変えたい、といった目的であれば、壁紙も選択肢です。
このあたりは、実際の壁を見ながら業者と相談するのが早いと思います。
見積もりのときに確認すること
ここまでを踏まえて、読者の方に実際にやっていただきたいことをお伝えします。
「漆喰の壁はどう処理しますか」と聞く
見積もりを取るときに、「漆喰の壁はどう処理しますか。その処理に費用はかかりますか」と聞いてみてください。 処理の中身と費用は、セットで確認しておきたいところです。
この2点を確認することには意味があります。壁紙メーカーが手順を示していない以上、処理の方法は業者の判断に委ねられ、その方法によって費用も変わるからです。
石膏ボードの壁なら、一般にはパテで平らにしてから貼る工程が想定されます。どの業者でも大きくは変わりません。漆喰の場合は、そうとは限りません。聞いて初めて、その業者が選ぶ処理の方法と、それが見積もりにどう反映されるかが分かります。
比較に挙げた石膏ボードそのものについては、石膏ボードと壁紙は何が違う?傷みは30cmが分かれ目、ボード交換は大工が必要で別途費用 で説明しています。
大事なのは、説明が返ってくるかどうか
答えの中身としては、たとえばシーラーを塗ってから貼る、掻き落としてから貼る、板を増し張りする、といったものが考えられます。いずれも候補になり得ますが、その壁の状態に合う理由がついているかどうかは確認したいところです。
大事なのは、業者が処理方法を選んだ理由を説明できるかどうかです。
壁の状態を確認したうえで、その方法を選んだ理由を説明してもらえるかどうかを確かめてみてください。「表面がこうなっているので、この方法にします」という形で理由が返ってくれば、壁の状態を踏まえた判断かどうかを確かめる材料になります。手で触って粉が付くか、浮いている箇所があるか、ひびの入り方はどうか。そうした観察が説明に含まれているかが、ひとつの目安になります。
逆に、質問に対して曖昧な返事しか返ってこない場合は、下地の確認が十分でない可能性があります。工事が始まってから「実は処理が必要でした」と追加費用の話が出るより、見積もりの段階で聞いておくほうが、追加費用の可能性を事前に把握しやすくなります。
何も調べずに相談して構いません。 壁が漆喰かどうかの判断も含めて、見て決めるのは業者の仕事です。「和室の壁が白い塗り壁で、これも壁紙にしたい」と伝えていただければ、こちらで確かめます。
費用は、選ぶ方法によって変わる
費用については、方法によって変わるとしか言えません。
上から処理をして貼るのと、掻き落としてから貼るのとでは、手間が大きく違います。板を増し張りすれば材料費も加わります。どの方法になるかは壁の状態次第なので、見積もりを取らないと決まりません。
ただ、ひとつ言えることがあります。下地処理で追加の費用が生じる可能性がある、ということです。通常の張り替えの費用とは分けて、見積もりのときに確認してください。
見積書を見るときも、下地の処理にあたる項目があるかどうかを見てみてください。項目として立っていることもあれば、張り替えの単価に含まれていて見えないこともあります。書かれていないこと自体が問題なのではなく、聞いたときに説明があるかどうかが確認したい点です。
下地処理そのものが何をする工程なのか、見積書のどこを見ればよいのかは、壁紙の下地処理とは?数か月後に浮きが出る理由と、見積書で確認する一言 で詳しく説明しています。
気になる箇所があれば、まとめて見てもらう
漆喰の面だけを切り出さず、気になっている箇所をまとめて見てもらうほうが、結果として無駄が出にくくなります。 職人が現場に来て、道具を用意して、という段取りの部分は、面積が小さくても変わらないからです。
一箇所だけを単独で頼むと、その段取りのぶんが割高に感じられることがあります。ほかに気になる場所があれば、見積もりのときに一緒に伝えてみてください。
まとめ
漆喰の壁に壁紙を貼ることはできます。塗り壁だから貼れない、ということはありません。
ただし、確認した2社の一般壁紙の施工要領書には、漆喰は下地の種類として載っていません。 リリカラは下地を4分類(セメント系・吸水性の多い下地・木質下地・吸水性のない下地)していますが、そこに漆喰はありません。サンゲツが挙げているのもモルタルと合板だけです。漆喰メーカーの側にも、上に壁紙を貼ることについての記述はありませんでした。
一方で、要領書がセメント系下地について警戒している性質は、漆喰と重なります。 資料は「粉:炭酸カルシウム 灰汁:強いアルカリ性」を変色の原因として名指ししています。そして漆喰は、消石灰が固まって炭酸カルシウムになる材料で、pH12以上の強アルカリ性を長期間保ちます。ただし資料が「漆喰も同じ扱いでよい」と書いているわけではないので、そこは区別してください。
塗り壁である以上、砂壁や繊維壁で使われる選択肢が、漆喰でも検討対象になります。主な選択肢は、そのまま貼る、シーラーなどで固めてから貼る、掻き落としてから貼る、増し張りしてから貼る、の4つです。どれを選ぶかで費用と仕上がりが変わります。そのまま貼る方法を勧められた場合は、処理が不要だと判断した根拠を聞いてください。 壁の厚みや浮き・ひびの状態によっては、掻き落とす手間が増える可能性もありますが、それも壁の状態を見ないと決まりません。
壁紙にすると壁の表面は壁紙に変わるので、漆喰メーカーが挙げている調湿性や防カビ性がこれまでどおり働くかは、確認しておきたい点になります。ただしそれらは漆喰を売っている側の説明なので、中立な比較ではないという前提で受け取ってください。
確認した資料にメーカーの手順が無い以上、対応は業者の判断になります。 だからこそ、見積もりのときに「漆喰の壁はどう処理しますか。その処理に費用はかかりますか」と聞いてみてください。方法そのものより、壁を見たうえで理由とともに説明が返ってくるかどうかが、確認したい点です。
ほかにも気になる箇所があれば、まとめて相談すると無駄が出にくくなることがあります。壁の状態を見て判断するのは業者の仕事なので、こちらで調べてから相談する必要はありません。
漆喰の壁も含めて、お部屋の壁紙をまとめて見てほしいときは、無料の現地調査・お見積もりでご相談いただけます。処理の要否と費用を、壁を見たうえでご説明します。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
この記事の執筆者

氏名:松田郁幾
実績:壁紙張り替えを中心に、これまで多くのお客様・職人と関わってきました。
この記事について:現場で見聞きした実例をもとに、誇張せず、実践的な視点で解説しています。



