都営住宅の壁紙張り替えはできる?入居中・退去時にできる3つのことと相談先

都営住宅の一室で、黄ばんで剥がれかけた壁紙を見上げて考える高齢の入居者

都営住宅の壁紙が古くなってきたとき、「大家にあたる東京都に言えば張り替えてもらえるのではないか」「自分の部屋なのだから、お金を出して業者に頼めばいいのではないか」と考える方は少なくありません。ですが都営住宅は、民間の賃貸住宅や持ち家とは扱いが違います。古くなっただけの壁紙を入居中に東京都へ張り替えてもらうことは基本的にできず、自費で張り替えるにも決められた手続きが必要です。

都営住宅は「入居者が自由に内装を変えられない住宅」です。壁紙の張り替えのような内装工事は法律と条例で原則制限されていて、自分の判断だけで業者を入れて工事すると、住宅を使ううえでのルールに反することがあります。修繕の分担も細かく決められており、色あせや黄ばみといった経年劣化の壁紙は、入居中に東京都が張り替える対象には含まれていません(退去して住宅を返したあとに、東京都が次の入居者のために張り替えます)。

この記事を読むと、次のことが分かります。

  • 古くなった壁紙を入居中に東京都へ張り替えてもらえるのか
  • 自費で張り替えるときに必要な「模様替え」の手続き
  • 退去時に自己負担になる傷みと、東京都の負担になる傷みの違い
  • まず何を、どこ(JKK東京)に相談すればよいか

読み終えるころには、いま自分がまず何を、どこへ相談すればよいかがはっきりしているはずです。

都営住宅にお住まいの方は、まずJKK東京のお客さまセンターへご確認ください。持ち家(戸建て・分譲マンション)にお住まいの方や、賃貸物件のオーナーの方で壁紙の張り替えを検討している場合は、無料の現地調査・お見積もりでご相談いただけます。

電話が難しい方はでもご相談いただけます。


都営住宅では、古くなっただけの壁紙を入居中に東京都へ張り替えてもらうことはできない

入居中は給排水や給湯器などの故障を東京都が修繕し、経年劣化した壁紙は退去後に東京都が張り替える流れを示した図

都営住宅の修繕には、入居者が自分で直すもの(費用も入居者負担)と、東京都が直すもの(費用も東京都負担)の区分があります。「都営住宅の使用者の負担に関する基準」で決められていて、JKK東京の「まるわかり!修繕費用の負担区分」で場所ごとに確認できます。

この区分で東京都が入居中に対応するのは、給排水管の詰まりや水漏れ、給湯器の故障、建具の建て付けの不具合など、生活に支障が出る壊れ方をした部分の修繕です。壁紙の色あせ・黄ばみ・角のわずかなめくれといった、時間の経過でゆっくり進む傷み(経年劣化)は、入居中に東京都へ申し出て張り替えてもらえる修繕には基本的に含まれていません。

ただし、壁紙が色あせているのではなく、雨漏りや漏水でシミ・浮き・剥がれが出ているような場合は、その原因の修繕として東京都が対応することがあります。まず自分の壁紙の傷みが「経年劣化」と「別の原因による損傷」のどちらなのかを分けて考えると、相談先がはっきりします。

経年劣化の壁紙は、退去して住宅を返したあとに東京都が張り替える

では経年劣化の壁紙はいつ張り替えられるかというと、入居者が退去して住宅を東京都に返した(住宅返還)あとです。JKK東京は、経年変化や通常の使用による住宅の傷みの復旧は貸主(東京都)の負担で行うとしています(原状回復について|JKK東京)。退去後、次の入居者が入る前の内装補修として、東京都の負担で壁紙が張り替えられます。

つまり「今、住んだまま、東京都の費用できれいにしてもらう」という形は、都営住宅の仕組みには用意されていません。この点が、「大家に頼めば張り替えてくれることがある」民間の賃貸住宅と大きく違うところです。都営住宅ではなく民間の賃貸住宅にお住まいの場合の進め方は、賃貸の壁紙張り替えは大家の許可が必要?大家指定業者と入居者手配の違いを解説で解説しています。

「50年住めば張り替えてもらえる」は都営住宅の話ではない

インターネットで調べていると、「長く住んでいる人から順番に壁・天井のクロスを部分的に張り替える」という案内を見かけることがあります。これはJKK東京が自ら貸している「公社住宅(JKK賃貸住宅)」で導入された対応で、継続して50年以上住んでいる人から順に申し出を受け付ける、というものです(公社の賃貸住宅の修繕負担区分の見直しについて|JKK東京)。

都営住宅(東京都が所有し、JKK東京が管理を任されている住宅)とは別の住宅の制度です。同じ「JKK東京」の名前が出てくるため混同しやすいのですが、都営住宅に住んでいる場合はこの対象になりません。

自費で張り替えたいときは「模様替え」の手続きがいる

模様替えの承認を得て自費で壁紙を張り替えても、退去時には元の状態に戻すよう求められる流れを示した図

入居中の壁紙をどうしてもきれいにしたい、というときは、自費で(全額自己負担で)張り替える方法があります。ただしその場合も、勝手に業者を呼んで工事することはできません。

JKK東京は、公共の財産である都営住宅に個人が工作物を設置したり改造を加えたりすることは、法律・条例で原則として禁止していると明記しています(模様替え申請/附帯設備追加届|JKK東京)。壁紙の張り替えのような内装工事も、この「改造」にあたる可能性があり、事前の手続きを踏まずに行うと、住宅を使ううえでのルールに反することになります。

まず窓口で「模様替え申請」が必要かを確認する

都営住宅で室内に手を加えるときの手続きには、東京都の承認が必要な「模様替え申請」と、届け出をすればよいものとがあります。模様替え申請の対象として案内されている例は、畳をフローリングに張り替える、浴槽を交換する、といった内容です。

壁紙の張り替えが「模様替え申請(承認)」と「模様替え届(届出)」のどちらの扱いになるかは、住宅や工事内容によって変わるため、自己判断せずJKK東京のお客さまセンターに確認してください。「居室の壁紙を自費で張り替えたい。模様替えの手続きは必要か」と具体的に伝えれば、必要な書類や進め方を案内してもらえます。

承認されても、退去時に「元に戻してください」と言われることがある

模様替えの承認を得て壁紙を張り替えた場合、退去(住宅返還)のときに、その部分をどう扱うかが問題になります。

JKK東京は、入居者が原状と異なるものに変更した箇所については、その原状回復(元の状態に戻すこと)を入居者の負担で行うものとしています(原状回復について|JKK東京)。自費で好みの壁紙に張り替えた場合、退去時に「入居時の状態に戻してください」と求められ、その費用も自分で負担する、という展開があり得ます。

模様替えの承認を受けるときに、「退去時にこの壁紙はそのままでよいのか、元に戻す必要があるのか」を必ず確認し、できれば書面やメールで残しておくと、退去時のやり取りがはっきりします。

急いでいないなら、退去のときの張り替えを待つ判断もある

ここまでを踏まえると、「入居中は東京都に張り替えてもらえない」「自費だと手続きも費用もかかるうえ、退去時に元に戻す話が出てくる」ことになります。どうしても早くきれいにしたい事情がなければ、無理に今動かず、退去のときの張り替えを待つ、という選択も現実的です。

経年劣化・通常の使用による傷みは、東京都の負担で張り替えられる

色あせ・黄ばみ・日焼けなど、普通に暮らしていて進んだ壁紙の傷みは、経年変化・通常の使用による損耗にあたり、退去時に貸主(東京都)の負担で復旧されます(原状回復について|JKK東京)。25年など長く住んで壁紙全体が黄ばんでいるようなケースは、その代表例です。

「長く住んで壁紙が古いこと」そのものは、入居者の落ち度ではありません。ここで焦って自費で張り替えると、かえって出費が増えることもあります。

自己負担になるのは、故意・過失や通常でない使い方による傷み

一方で、退去時に入居者の負担になるのは、故意・過失や、通常の使用方法とはいえない使い方でついた損耗・キズ・汚損です(原状回復について|JKK東京)。日ごろの手入れや使い方しだいで防げたはずの傷み、と言い換えてもよいでしょう。壁紙まわりでこれにあたりやすいのは、次のようなものです。

  • 室内での長期間の喫煙による、壁紙のヤニ汚れ・黄ばみ・臭い
  • 結露を放置して広がったカビ・シミ
  • 落書き、シールやテープをはがした跡
  • ペットによるひっかき傷や汚れ
  • くぎ・ネジを多数打った跡、下地(石膏ボード)まで達した穴

これらがある場合、その分の壁紙張り替えや消臭・除カビの費用を退去時に求められます。経年劣化・通常の使用による傷みは東京都の負担、故意・過失や通常でない使い方による傷みは入居者の負担、というのが基本の線引きです。自分のケースがどちらにあたるか、負担額がいくらになるかは、JKK東京に確認するのが確実です。なお、室内での喫煙によるヤニ汚れが壁紙の内部や下地まで染み込むことがある理由と、張り替えを考える目安は、壁紙のヤニ・タバコ汚れは掃除で落ちる?張り替えに切り替える4つのサインと見積もりの確認点で解説しています。

今できるのは「これ以上ひどくしない」こと

退去時の張り替えを待つと決めた場合、今できる備えは、負担が増える原因を作らないことです。こまめに換気して結露とカビを防ぐ、室内でタバコを吸わない、キッチンまわりの油汚れは早めに拭く、といった日常の手入れです。結露によるカビが壁紙のどこまで影響するか、下地の防カビ処置については、壁紙のカビは張り替えだけで直る?下地の防カビ処置と費用の目安を解説で詳しく解説しています。

古くなった壁紙をきれいにすることはできなくても、傷みを「経年劣化の範囲」にとどめておけば、退去時に自己負担が発生しにくくなります。

まず動くべきは、JKK東京のお客さまセンターへの電話一本

ここまで見てきたどの道を選ぶにしても、出発点は同じです。JKK東京のお客さまセンターに電話して、自分の住宅のケースを確認することです。

電話で聞くことは3つ

問い合わせのときは、次の3点を順に確認すると、話が整理できます。

  • この壁紙の傷みは、東京都が直してくれる範囲に入るか(雨漏りや漏水など、別の原因で壁紙が傷んでいる場合は、東京都の修繕になることがあります)
  • 自費で張り替えたい場合、模様替えの手続きは必要か。必要なら、どんな書類でどう進めるか
  • 自費で張り替えた壁紙は、退去時にそのままでよいのか、元に戻す必要があるのか

いずれも「居室の壁紙が古くなってきた」という前提を先に伝えたうえで聞くと、担当者も答えやすくなります。電話の内容は、日付とあわせてメモに残しておくと、あとで手続きを進めるときや、内容を見返すときに役立ちます。

窓口の連絡先は、入居時に配られた「住まいのしおり」や、JKK東京の都営住宅のページで確認できます。

民間の壁紙張り替え業者に、個人で頼むことは基本的にできない

「都営住宅 壁紙 張り替え」で検索すると、民間のリフォーム会社や壁紙張り替え業者のページも出てきます。ただし、都営住宅の入居者が、必要な承認・届出を確認しないまま個人でこうした業者へ工事を発注することは、前述のとおりできません。

民間の壁紙張り替えサービスが対象にしているのは、持ち家(戸建て・分譲マンション)の所有者や、賃貸物件のオーナー・管理会社です。都営住宅にお住まいの方が個人で申し込んでも、「まず東京都(JKK東京)にご確認ください」という案内になるのが実情です。都営住宅の壁紙については、業者を探すより先に、JKK東京への確認を済ませてください。

都営住宅の古い壁紙にできることは3つ、入り口はJKK東京への確認

この記事で見てきたとおり、都営住宅では、古くなっただけの壁紙を入居中に東京都へ張り替えてもらうことはできません。できることは、次の3つです。

  • 東京都が直す不具合にあたらないか確認する:雨漏りや漏水などが原因の傷みなら、東京都の修繕になることがあります。
  • 自費で張り替えるなら、模様替えの手続きを踏む:勝手に業者を入れる工事は認められません。承認が必要かをJKK東京に確認し、退去時に元へ戻す必要があるかもあわせて聞いておきます。
  • 急がないなら、退去時の張り替えを待つ:色あせ・黄ばみなどの経年劣化は、退去時に東京都の負担で張り替えられます。それまでは、換気でカビを防ぐ、室内で喫煙しないなど、傷みを広げないことが自己負担を避けるコツです。

どれを選ぶ場合も、最初の一歩はJKK東京のお客さまセンターへの電話です。自分の住宅と壁紙の状態を伝えて、どの道が使えるかを確認するところから始めてください。民間の壁紙張り替え業者を探すのは、JKK東京に確認し、必要な承認・届出を済ませてからで十分です。

繰り返しになりますが、都営住宅の壁紙は、まずJKK東京への確認が入り口です。持ち家や分譲マンションの壁紙を張り替えたい方、賃貸物件のオーナーの方は、無料の現地調査・お見積もりからお気軽にご相談ください。

電話が難しい方はでもご相談いただけます。


この記事の執筆者

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氏名:松田郁幾
実績:壁紙張り替えを中心に、これまで多くのお客様・職人と関わってきました。
この記事について:現場で見聞きした実例をもとに、誇張せず、実践的な視点で解説しています。

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