
壁の内装をペンキで仕上げている物件に壁紙を貼りたいとき、「今の壁はペンキだから、普通に壁紙を貼るのは難しいのでは」と感じる方は少なくありません。実際、ペンキで塗られた壁は表面に独特のざらつきが残っていることが多く、その状態のまま壁紙を貼ってしまうと、時間が経ってから浮きや剥がれとして表れてくることがあります。
とはいえ、ペンキ下地だからといって壁紙を諦める必要はありません。結論から言うと、下地の状態に合わせた処理をきちんと行えば、ペンキ仕上げの壁にも壁紙を貼ることは可能です。
この記事を読むと、次のことが分かります。
- ペンキ面にそのまま壁紙を貼ると剥がれやすくなる理由
- 現場でパテ処理とシーラー処理をどう使い分けているか
- この一手間が費用や工期にどう影響するか
読み終えるころには、ペンキ下地でも壁紙を貼れる見通しが立ち、業者に相談する際に何を伝えておけばスムーズかが分かる状態になっているはずです。
ペンキ仕上げの壁でも壁紙を貼れるか気になる方は、まずはお気軽にご相談ください。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。
ペンキ仕上げの壁にも壁紙は貼れる

中古の建物を購入した場合や、賃貸物件・施設の一室など、壁が塗装(ペンキ)で仕上げられている物件は珍しくありません。壁紙を貼りたいと考えたとき、「壁紙はビニールクロスや石膏ボードの上に貼るものだから、ペンキの壁には向かないのでは」と不安に思う方は多いはずです。
実際に、老人ホームの居室(入居者の退去にともなう原状回復)でペンキ下地の壁に壁紙を施工した例もあります。この例の詳しい経緯は、【施工事例】神奈川県小田原市:老人ホームの空いた居室に壁紙を貼り床も張り替え|ペンキの壁をパテで平らにして施工で紹介しています。個人の持ち家に限らず、賃貸物件のオーナーや施設の管理担当者が同じような状況に直面することもあるテーマです。
ただし、今の壁の状態にそのまま壁紙を重ねてよいわけではありません。ペンキ仕上げの壁は、下地の状態次第でそのまま施工すると浮きや剥がれにつながりやすく、通常の壁紙下地とは違う一手間が必要になります。何が問題になるのか、次の章で見ていきます。
なぜペンキ面にそのまま貼ると剥がれやすいのか

壁紙を貼るときに使う接着剤(のり)は、下地の表面が平滑で均一であることを前提にしています。壁紙メーカーの施工要領書でも、下地調整の基本として「入念な下地処理を行い、施工面を平滑にしてください」と明記されています(出典:サンゲツ「施工要領書 一般ビニル壁紙」)。石膏ボードや、既存の壁紙を剥がした後の下地であれば、比較的このざらつきの少ない平滑な状態が保たれています。
一方、ペンキで仕上げられた壁は、表面に細かなざらつきや凹凸が残っていることがよくあります。塗るときのローラーやハケの跡、塗り重ねによる厚みのムラが原因になることもあれば、使われた塗料の仕上がり自体が、もともとざらついた質感になっていることもあります。このざらついた面にそのままのりを塗って壁紙を貼ると、のりが下地の凹凸に均一に効かず、接着が部分的に弱いところが残ったまま仕上がってしまいます。
貼った直後は見た目にきれいに収まっているように見えても、季節ごとの湿度変化で壁紙が伸び縮みを繰り返すうちに、接着が弱かった部分から少しずつ浮きが出てくることがあります。だからこそ、ペンキ面に壁紙を貼るときは、貼る前の下地処理が重要になります。このように、下地の性質によって壁紙の密着しやすさが変わる点は、壁紙の重ね張りが避けられている理由とも共通しています。くわしくは壁紙の上から重ね張りはNG?ビニールクロスと水性のりが密着しない理由で解説しています。
実際の下地処理はどう行うか
ペンキ面のざらつきに対しては、主に「パテ処理」と「シーラー処理」という2つの方法があります。どちらを使うか、あるいは両方を組み合わせるかは、その場の壁の状態によって変わります。特殊な下地に壁紙を貼る際、下地処理と追加費用が発生する構造は、プリント合板の壁紙張り替えは石膏ボードと何が違う?追加費用数千円〜数万円と業者の見分け方を解説で扱っているプリント合板下地とも共通しています。
パテ処理で済むケース
凹みや段差など、表面の凹凸が比較的分かりやすい形で残っている場合は、パテで下地を平らに均します。パテを塗って乾かし、必要であればやすりをかけて、壁紙を貼る面をなるべくフラットな状態に整える処理です。
シーラー処理が必要なケース
一方、パテで均すほどの凹凸ではなくても、ペンキの表面はのりが密着しにくいことがあります。こうした場合には、シーラーを下地に塗ってから壁紙を貼ります。パテが凹凸そのものを埋める処理であるのに対し、シーラーは凹凸を埋めるのではなく、下地の表面を整えてのりの密着力を底上げする処理です。
どちらにするかは職人が現地で判断する
パテとシーラーのどちらを選ぶか、あるいは両方行うかについて、決まったマニュアルがあるわけではありません。壁の凹凸の程度やペンキの状態は現場ごとに異なるため、実際に職人が壁を見て、触って確かめながら、その場で必要な処理を判断します。これは、写真や説明だけでは正確に把握しきれない部分でもあり、ペンキ下地の物件では特に、現地調査で実際の壁の状態を確認してもらうことが重要になります。こうした判断は、ペンキ下地のような特殊な状態を扱った経験があるかどうかによっても差が出やすい部分なので、見積もりの相談時に、同様の下地での施工実績があるか聞いてみると判断材料になります。業者選びの軸については、壁紙張り替えはどこに頼む?4種類の業者の違いと失敗しない選び方でも詳しく解説しています。
費用・日程への影響
ペンキ下地の処理は、通常の壁紙張り替えと比べて工程が一つ増える分、費用と日程の両面に影響することがあります。
石膏ボードの下地や、既存の壁紙を剥がしただけの下地であれば、下地調整と壁紙の施工を同じ日にまとめて行えることが多いのに対し、パテやシーラーで下地処理をする場合は、処理した箇所をしっかり乾かす時間が必要です。そのため、下地処理の日と壁紙を貼る日を分けて、数日おいて2回に分けて作業することがあります。急ぎで依頼したい場合は、この分の日程がかかることを見込んでおく必要があります。
費用についても、パテやシーラーの材料費と、それを扱う作業工程が加わる分、下地処理がほとんど必要ない物件に比べると、見積もりの項目が増えたり、金額が上乗せされたりすることがあります。ただし、どの程度の処理が必要かは壁の状態次第で変わるため、正確な金額は現地調査をしてみないと分かりません。
見積もりを依頼する際は、「壁がペンキで仕上げられている」ということをあらかじめ業者に伝えておくと、現地調査や見積もりの段階で下地の状態を踏まえた話がしやすくなります。見積書でどの項目を確認すればよいかは、クロス張り替えの見積書チェックポイント7選|追加費用で後悔しないための確認事項で詳しくまとめています。
まとめ
ペンキで仕上げられた壁でも、適切な下地処理を行えば壁紙を貼ることは可能です。ただし、ペンキ面には塗り方や塗料の仕上がりによる細かなざらつきが残っていることが多く、そのまま壁紙を貼ってしまうと、時間が経ってから浮きや剥がれにつながりやすくなります。パテやシーラーによる下地処理は、この密着不良を防ぐための工程で、どちらをどう使うかは、現場で壁の状態を見た職人が判断します。
この下地処理がある分、通常の張り替えより工期が延びたり、費用の項目が増えたりすることがありますが、事前に壁がペンキ仕上げであることを伝えておけば、現地調査や見積もりの段階でスムーズに話が進められます。中古物件のリフォームや、施設・空室の原状回復など、ペンキ下地に壁紙を貼りたい場面は個人宅に限らず起こりうるテーマです。壁の状態が気になる場合は、現地調査を依頼して実際の壁を見てもらうところから始めてみてください。
ペンキ下地の状態が気になる方は、まずはお気軽にご相談ください。
電話が難しい方はメールでもご相談いただけます。 氏名:松田郁幾この記事の執筆者

実績:壁紙張り替えを中心に、これまで多くのお客様・職人と関わってきました。
この記事について:現場で見聞きした実例をもとに、誇張せず、実践的な視点で解説しています。



